第28話
「なんだよ!笑うことないだろ!」
「ごめん。ごめん。ナカマくんが話を戻してまでセキネさんが体操着を着ていた理由を聞きたいんだなぁ。って思うとおかしくてさ。それなら俺がセキネさんに何で体操着を着ているのかは聞いたよって言った時にすぐ俺にその理由を聞けばよかったんじゃないかなと思うしさ。」
「それはそうなんだけど、話の流れを遮ってまで聞く内容だとは思わなかったし…。あーもういいからさっさとセキネさんが体操着を着ていた理由を教えてくれよ!」
ナカマくんは恥ずかしさを振り払うようにさっきまでよりも大きな声でセキネさんが体操着を着ていた理由を俺に尋ねてきた。
俺は素直に「セキネさんが体操着を着ていた理由は昇降口に向かっている時に水の入ったバケツを持った書道部の人とぶつかって制服が濡れたからだってさ。」と答えた。
「……。」
ナカマくんは何も言わず少し驚いたような表情をしていた。
たぶん驚くだろうな。とは思っていたが、そこまで驚くとは思わなかったので俺はナカマくんの反応に驚いてしまった。
「そんなに驚いた?」と俺がナカマくんに尋ねると、ナカマくんは「いや、セキネさんが体操着を着ていた理由も気になったけど、俺が驚いたのは根倉が俺の聞いたことに素直に答えたことに驚いたんだ。もっと『えーどうしようかなぁ。』とか言って教えるのを渋られるかなぁと思ったからさ。でもよく考えれば根倉はそんな奴じゃないよな。」と答えた。
「そんなこと考えもしなかったなぁ。俺に優しくしてくれるナカマくんに意地悪する理由がないからなぁ。」
「ハハハ。根倉は将来詐欺とかに引っ掛かりそうだな。気を付けた方がいいぞ。」
ナカマくんは笑いながら俺の将来を心配してくれた。
優しくしてくれた人に優しくしようと思うからといって詐欺には引っ掛からないと思うけどなぁ。
でも確か自分は詐欺に引っ掛からないと思っている人の方が詐欺に引っ掛かるんだっけか?
「ハハハ。でも人付き合いするなら意地悪なやつよりは素直なやつの方がいいけどな。」
ナカマくんとあれこれ話しているうちに駅に着いてしまった。
「根倉は○○駅に行くんだよな?俺は2番線に乗るから一緒なのはここまでだな。」
「うん。それじゃあ、また学校で。」
「うん。また来週な。来週は中間テストがあるからお互い頑張ろうぜ。それじゃ。」
中間テスト…そういえばあったな…。とセキネさんに話しかけることに集中しすぎて頭の隅に置いておいた来週の中間テストを俺は思い出し、ナカマくんが2番線のホームへ向かうのをぼーっと見送っていた。




