第19話
俺が声を出そうとしたら、それよりも先にナカマくんが「よっ!根倉!俺も美化活動に参加するよ。」と、俺に向かって言ってきた。
「ナカマくん…どうして…?」
ナカマくんが美化活動に参加することを急に知って驚いたからと朝ナカマくんと話してから声を発していなかったために、俺はあまり上手く口が回らなかった。
するとナカマくんはニコッと笑いながら「だってさ、根倉1人だとセキネさんに話しかけられずに美化活動が終わっちゃう気がしたから。それでまた来週もセキネさんと話す機会がないか悩んでいる根倉を見るのが嫌だったしさ。安心してくれ。自然な感じでセキネさんと話す機会ができるようにアシストするからさ。」と答えた。
「ナカマくん…心配かけてごめん。俺、頑張るよ。」
「うん。でもこういう時は『ごめん。』じゃなくて『ありがとう』って言った方がいいよ。」
「あっ…ごめん。いや、今のは違くて…ごめ…じゃなくて、ありがとう。」「うん。」
「ところで、名前を記入する理由は良い方に考えれば内申点に反映するためって言ってたけど、悪い方に考えればどういう理由があると思うの?」
「気になる?おそらくだけど、ゴミを拾うためにトングとか貸し出すから終わった後ちゃんと回収したか確認するために名前を記入させるのかもしれないな。ほら貸した人の名前が分かれば、トングの数が足りないときに調べることが出来るだろ。でもまあ、そんな理由で名前を記入させてる訳じゃないと思うけどさ。」
「うん。俺もそうじゃないと思いたいな。」
「あっ、ほら、さっさと名前記入しに行こう。」
ナカマくんに促されて、俺は美化活動に参加するために名前を記入しに行った。名前を記入するときに何となく数えてしまったのだが、今のところ俺とナカマくん以外に3人の美化委員じゃない生徒が参加するみたいだった。
名前を記入してから1,2分後に眼鏡をかけた先輩らしき女子が「それでは1時半になりましたので美化活動を始めたいと思います。今日は初めて参加してくれた方がいらっしゃるので、まずは美化活動について説明したいと思います。今日の美化活動は学校の敷地内と学校周りのゴミ拾いです。1人ずつゴミ袋と…。」と美化活動の説明を始めた。
「すみませ~ん!遅れました~!」
眼鏡をかけた先輩らしき女子が美化活動について説明しているのを遮る声が聞こえた。開始時間より遅れてやって来た声の主はセキネさんとアオヤマさんだった。俺はそこでやっとセキネさんがさっきまでこの場にいなかったことに気が付いた。セキネさんが参加すると思ったから美化活動に参加しようと思ったのに、肝心のセキネさんがいないことに気が付かないなんて、俺はどれだけ抜けているんだ!セキネさんと話せると思って舞い上がり過ぎだ!と反省した。




