第15話
俺がセキネさんに話しかけらないでいたら「おい、どうした?根倉?そんな苦しそうな表情して?そんなに読むのがつらい小説読んでいるのか?」とナカマくんが小説を読んでいるように装っていた俺に話しかけてきた。
「え?いや、その、小説を読んだ感想が顔に出ていたわけじゃなくて、別なことを考えていて出た表情だったんだけど、そんな苦しそうだった?」
自分では全く意識していなかったので、ナカマくんに表情を指摘されて恥ずかしかったが、俺は一体どんな表情をしていたのか気になったのでナカマくんに聞き返した。
「う~ん。なんていうか悩み事があって苦しんでますっていう感じの表情かな?うまく言えないけどそんな感じだ。自分から言っといてなんだけど、根倉の表情から感情を読み取れるほど根倉の顔を見ているわけではないから何となく感じたことを言ったんだけど間違ってた?」
「ううん。間違ってないよ。今ちょうど悩み事を抱えて苦しんでいるところだからね。」
「へー、それって俺が聞いても大丈夫なやつ?いや、あまりにも重い内容の悩み事なら話さなくていいよ。むしろ話してほしくないし。」
ナカマくんは笑いながらそう言ったが、それを聞いた時に俺は、俺とナカマくんの距離を感じた。
だがそれも仕方がなかった。家族や親戚といった関係でも相談されて困る悩みはあるだろうし、ましてや家族や親戚はおろか友達ですらない相手の悩みなど好き好んで聞く人はいないだろう。やっぱり誰かと友達になるのは難しいことなんだろうと思った。
しかしもしかしたらナカマくんは俺とナカマくんの心の距離を考えて、俺がしゃべりづらいことをしゃべらなくても良いように予防線を張ったのかもしれないとも考えた。そう考えると俺とナカマくんの距離はそんなに離れていないのかもしれない。
「そんなに重い内容の悩み事じゃないよ。でも話すのは少し恥ずかしい悩み事かな。」と、俺が答えるとナカマくんは「そう。まあ話したくないなら話さない方が良いよ。」と、それ以上俺の悩み事について聞くのをやめた。
「ところで根倉が今読んでいる小説は難しい内容じゃないんだよな?」
「え?うん。難しくはないよ。でもまあ、小学生の子が読んで分かりやすいか?って言われるとそこまで分かりやすくはないけど、それがどうかした?」
「この前、貸してもらった小説、今読んでるんだけどすごく面白くてさ。もしかしたら根倉とは本の好みが似てるんじゃないかと思ったから、難しくないなら根倉が読み終わったら、その小説も貸してもらえないかなと思ってさ。もちろん、今借りている小説を返してからだけど。」
「俺が読み終えてからでいいなら全然いいよ。ところでこの前、貸した小説はどこまで読んだ?」
「えーと、主人公が……。」と、そこから俺が貸した小説の話をナカマくんとしていたら昼休みが終わってしまった。
放課後だ!放課後になったらセキネさんに話しかけるぞ!と意気込んだが、やっぱり放課後になってもセキネさんの周りには女子が数人いて(ヒナという女子は相変わらずセキネさんと一緒だった)話しかけることが出来ないまま、セキネさんは一緒にいた女子たちと下校してしまった。
明日!明日こそはセキネさんに話しかけよう!そう決意を新たにして家に帰ったが、次の日にまたセキネさんの周りに女子がいたために話しかけるタイミングがつかめず、昼休みになり放課後になりセキネさんは下校してしまった。次の日も話しかけられず、気が付けばセキネさんに話しかけようと決意してから3日経っていた。




