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第13話

 その後ホームルームを終えて放課後になって、みんな部活に行ったり帰宅したりし始めた。

俺は体操着を返してもらおうとセキネさんが日直の仕事を終えるまで本を読んで待っていた。ちょっと読むだけのつもりが没頭してしまい、「根倉くん!」と名前を呼ばれるまで本にのめり込んでいた。

なんだよ?いいところなのに!と目線を上に上げるとセキネさんと目が合った。


「ごめんね。待っててくれたんだよね?はいっ!これ借りてた体操着!」


セキネさんが体操着を差し出してきた。


「ありがとう。」と言って俺は体操着を受け取った。

セキネさんと話したいことがいろいろあったが、まずはさっきのお礼を言った方がいいなと思い、「さっきはありがとうございました。味方になってくれて。」と言うと、セキネさんは、「当然のことをしただけだよ。根倉くんが財布を盗む人だとは思えなかったから。だからごめん!」と急に俺に謝って来た。


意味が分からずに、「えっ⁈何でセキネさんが謝るんですか?」と尋ねると、「だって根倉くんが盗んでないと思っていながら、最初から味方していなかったから。あの場の空気のせいで言いづらくって。」とセキネさんは申し訳なさそうに理由を答えた。


「いいんですよ!あの空気じゃ仕方ないですよ!というか何で僕を信じてくれたんですか?そんなに親しいわけでもないのに。」


「あ、ひど~い!一緒に遭難しかけた仲なのに!」


「えっ⁈もしかしてそれだけの理由ですか?」

俺は驚きの声を上げた。

しかしセキネさんは真面目に答えていたみたいでちょっと機嫌を悪くしながら、「それだけじゃないよ!十分すぎる理由だよ!私はあの時から根倉くんはいい人だと分かっていたよ!」と言ってくれた。

俺は嬉しかった。セキネさんがたった数十分間、一緒にいただけの俺をそんな風に思っていてくれていた事が嬉しかった。ヤバい。泣きそう。話を変えた方がいいかも。


「そういえば俺を助けようとすると光るみたいですね?セキネさんの体。」


「うん。これで二回目だからそうかもしれないね。不思議だね。」「その、セキネさんの体って…。」


「もしかして知っちゃった?私の身体について。」「はい。病気なんですよね?」


「うん、そうだよ。宇宙人だなんてウソ言っちゃってごめんね。病気だって分かるといらない心配されるからさ。私はこの病気にかかって悲しいこともあるけど、嬉しいこともあるんだよ。」


「嬉しいこと?」「根倉くんと出会えたり、根倉くんを助けられたりしたこと。」


セキネさんは満面の笑みで言った。

ああ、セキネさんは明るいんだ。体が発光しなくても眩しくて直視できないほど明るいんだ。その明るさのおかげで普段明るくない俺もセキネさんの前では素の自分を出せるんだ。俺を根暗という呪縛から解き放ってくれそうだから、セキネさんに近づきたいんだ。


「あ、ごめん。ヒナたちを待たせてたんだ。じゃあ、私は帰るね。バイバイ根倉くん。」


セキネさんはそう言い残して教室から出て行った。俺は一人教室に佇みながらあることを心に決めた。「セキネさんと友達になる!」ということだ。セキネさんと友達になってセキネさんともっと近づければ、ずっと俺に付きまとっていた根暗から脱却できると思うからだ。

暗いところよりも明るいところの方がいいに決まっている。よしっ!なるぞ、セキネさんと友達に!

たとえ本当にセキネさんが宇宙人だとしても!いや、もうすでに「セキネさんと友達になる!」と思ったこの瞬間から根暗から一歩前進しているような気がした。


しかしそこで、もう一歩踏み出すのに解決すべき無理難題があるのに気付いた。

「友達ってどうやってなるんだっけ?」

そう呟いて俺は誰もいない教室で途方に暮れていた。

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