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第93話 知りたくなかった真実とわんちゃん

 真っ白な空と大地にちょこんと森がある空間・・・レモン空間には、現在微妙な空気が漂っていた。


 それというのは・・・


「・・・そうか、成程な・・・」


「・・・うん。もしかしたらイーストウッドの世界樹近くにあるエルフの首都、そちらではもう少し何かあるかもしれないけど・・・」


「・・・そうか。もしかしてニア、この事を知っていたな?」


「・・・」


「・・・そうか」


 ニアは何も言わなかったが、何となくその表情から知っていたと読み取れた。


「・・・そうかぁ、そういう事がなぁ・・・」


 俺は少しだけ考えをまとめる為に、エペシュから情報を聞いた時の事を思い出した。


 ・

 ・

 ・


「ありがとう。それじゃあまず・・・ここにいる長老の村にいたゴブリン達は、あのエルフ村に全員いるのか?」


 長老達から一度聞いた事はあるのだが、念の為にエルフ村の住人であるエペシュに確認をとる。


「長老の村から連れてこられたゴブリン達は砦村に全員いるよ・・・。基本的には一度連れて行った村から動かす事はないから・・・」


「ふむふむ・・・」


 エペシュは微かに顔を歪めながら話しているが、何かあるのだろうか?


「エルフはゴブリンを捕まえて働かせているんだよな?」


「働かせて《《も》》いる・・・」


 働かせて《《も》》?他に何かさせているのだろうか・・・?


「働かせる以外に何かさせているのか?危険な事とか?」


「それは・・・」


 エペシュは口をもごもごとするだけで中々続きを話してくれないが、俺は根気強く待ち続ける事にした。

 何故なら、ゴブリン達が危険な事をさせられているならば早く助けに行かねばならないかもしれないからだ。


 少し時間が経った後にエペシュは漸く話す気になったのか、何か覚悟を決めた様な顔をして口を開いた。


「話すけど覚悟して聞いてほしい・・・。これは私がゴブリン達を助けている理由でもある事。私もあまり知りたくなかった真実・・・」


 エペシュから出てきた言葉は予想以上に話が重くなりそうな予感をさせるが、聞かない訳にもいかない。

 俺は頭の中を一度リセットさせる様な気持ちで大きく息を吐き出し、どんな話が来ても冷静でいる覚悟を決める。


「ふぅ~・・・よし、話してくれ」


 俺が話してくれと促すとエペシュは頷き、なるべく感情を乗せない様にするためか、それまで以上に平坦な抑揚で喋り始めた。


「まず・・・前提として話すけど・・・ゴブリンという種族は、元はエルフと同じ種族」


「・・・は?」


 冷静でいる覚悟を決めたと言ったが、あまりにもぶっ飛んだ情報にその覚悟も吹き飛びかけるが何とか踏みとどまる。


「つ・・・続けてくれ」


「その種族が存在したのは遥か昔の事だから名前があるのかは解らないけど、私達は『原初妖精種』と呼んでいる。その原初妖精種が何故エルフとゴブリンに分かれたかも不明なんだけど、エルフの中では堕落したからとか言われてる」


「ふ・・・ふむふむ」


 堕落した・・・ね?

 俺はチラリとごぶ蔵を見て堕落した説は本当かも知れないと考えたのだが、今はゴブリンの奇妙な生態について考えている場合じゃないと、意識をエペシュの話へと戻す。


「そして原初精霊種であった時は問題なかったんだけど、解れた事による問題がでた」


「ふむ」


「それは繁殖の問題」


「ふ・・・ふむ!?」


 俺はエペシュの可愛い口から聞こえた可愛くない言葉に一瞬興奮を覚え掛けるが、今は真面目な話だと気を引き締める。


「原初精霊種は性を切り替えられたらしいんだけど、何故か別れた事でエルフとなった種は女性のみに固定されたみたい」


 そう言えば俺はあの砦村で女エルフしか見たことが無かった。・・・ような気がする。

 正直エルフは男女どちらも美形で、見分けがつかなかっただけだと思っていた。


「ゴブリンとなった種は性を切り替えられるみたいだけど、忌み嫌っているゴブリン達と番うのは有り得ないって考えたらしい。番おうと考えたエルフも居たみたいだけど、双方に拒否反応がでたらしい」


「ふ・・・ふむ!?!?」


 それ・・・マ?


 俺はチラリと長老達を見るが・・・すまない、ノーコメントだ。


 とか考えていたがエペシュの話は続いている。


「けど繁殖しないと滅びるし、どうした物かと考えた末にエルフ達は神様からある技を授けられた。それが・・・ゴブリン達を捕まえている理由」


「その技とやらがゴブリンに関係するのか?」


「・・・する」


 ここに来て再びエペシュは口をもごもごさせ始めたが、今度は直ぐに喋り始めた。


 しかしその内容はエペシュが事前に言っていたが・・・あまり知りたくない内容だった。



「その技というのは、ゴブリン達を錬成し種とする技。つまりゴブリン達は私達エルフが繁殖する為の材料になっている・・・」



「・・・は?」



 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白かった」「続きが読みたい」「超展開だってばよ?」等思ったら☆で評価やブックマークをして応援してください。

 ☆をもらえて、この小説が人気になると、ごぶ助が、ヒロインになります。


 こちらもよろしくお願いします↓恋愛ではなくファンタジー作品となっております。

『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』 https://ncode.syosetu.com/n2129hm/

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