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第71話 ヨイショのわんちゃん

 朝日が顔に当たり、俺は目を覚ました。


「(むにゃ・・・朝か・・・)」


「起きたかえ、おはようなのじゃ童」


「(あぁ・・・おはようニア。・・・ふぅぁ~~ぁ)」


 ニアと挨拶を交わした俺は一度体を伸ばし体をほぐした。そして頭に血が巡って来た瞬間思い出す。


「(・・・っは!?そうだ!皆がやばいんだった!)」


 重大な事を思い出し、俺は直ぐに走り出そうとしたが・・・。


「待つのじゃ童、急いては事をみそ汁なのじゃ」


「(ぐぇ・・・っ!)」


 ニアが何かしたのか、俺は何かに足を取られて転んでしまう。俺はすぐさま立ち上がりニアへと抗議した。


「(何するんだニア!お前がやばいって教えてくれたんだろ!?早く皆の所へ行かなきゃ!)」


「言ったのじゃ童、急いては事をみそ汁と」


「(意味不明だっ!って、もしかして急いては事を仕損じるって言いたいのかっ!?)」


「おお、それなのじゃ。童、急いては事を仕損じる、なのじゃ。まずは飯を食うて妾の話を聞くが良いのじゃ」


 ニアは俺の抗議をさらりと受け流し、先ずはご飯でも食べろと言ってきた。強行突破しようにも恐らく無理だと思った俺は、渋々とそれを了承してご飯を食べる事にした。


「(・・・わかった。まずは飯だな・・・、ほら・・・これニアの分)」


 俺はレモン空間にストックしてあったご飯を二人分取り出し、一つをニアの方へ置く。ニアは俺に礼を言ってからそれを受け取った。


「それでは食べるとするのじゃ。いただきますなのじゃ」


「(いただきます・・・)」


 ご飯前の挨拶をして食べ始めるのだが、俺は急いで食べてご飯を終わらせ、ニアに声をかける。


「(俺は食べたから行くぞ?ニアは後から追ってきてくれよ。俺の場所くらいならわかるだろう?)」


 それだけ言って走り出そうとした。


「待つのじゃ童、妾は飯の後に話を聞けといったのじゃ」


「(んがっ!?)」


 しかし又もやニアに邪魔された。しかも今回は何かに全身を縛られて、全く身動きが出来ない状態にされて地面に転がされてしまった。


「(う、動けない・・・)」


「妾の話を聞かなんだバツとして、妾が食べ終わるまでそのままでおるのじゃ。モグモグ・・・、おお、美味いではないか童。これは高ポイントなのじゃ」


「(そうかい・・・あんがとよ・・・)」


 俺は体を動かすも、顔以外はピクリとも動かなかった為諦めた。なのでニアがご飯を食べ終わるまで待つしかないと思い、大人しく地面に転がっていた。


 ・

 ・

 ・


「うむ、中々の物であったのじゃ童。これからも励むとよいのじゃ」


「(はいはい・・・)」


 ニアはゆっくりと時間をかけてご飯を食べ、食べ終わると感想を言ってきた。俺はそれに対して適当に返事を返した。


「うむ。それでは飯も終わったので話をするのじゃ」


「(その前にこれ外してくれないか?)」


 俺は未だに顔以外動かない状態で何かに縛られて地面に転がっていた。なので取りあえず外してもらえるように頼んでみる。


「外してもよいのじゃが、大人しく話を聞くのじゃぞ?」


「(解ってるよ、大人しく聞く)」


 どうせ抵抗しても無駄なので俺は素直に従う事にした。


 クソッ!後を付いて来るだけなら何の支障にもならないからいい、とか若干キメ顔で言ってた奴出てこい、ぶっ飛ばしてやる。・・・ってそれ俺やないか!


 俺が心の中で一人ノリツッコミしていたら拘束が解かれ体が自由になったので、俺は立ち上がりニアの方へと向いた。


「(それで・・・?話ってなんだよ?)」


「うむ。妾は童が存外気に入ったので、少しだけ世話をやいてやるのじゃ。童、魔境地帯へ行くと言っておったが、どうやって行くつもりなのじゃ?」


「(それはありがたい事だが・・・どうやってとは?)」


 何故かニアに気に入られたようだが、ニアは俺に不思議な事を聞いてきた。どうやっても何も、走って行くしかないだろう。チャリで行けとでも言うのだろうか?


「どうとは道じゃ。どのような道順で魔境地帯へ行こうとしておるのじゃ?」


「(あぁ、そういう・・・)」


 ニアが聞いてきたのは魔境地帯へ至るまでのルートだった様だ。俺は考えていたルートを素直に話してみる。


「(流石に魔の森の中心を突っ切るのはきびしいと思っているから、外縁部を西周りで行こうとしていたが?)」


 ゴブリン村にいた時に誰かに聞いたのだが、この森は中心へ近づけば近づくほどやばい魔物が生息しているらしい。

 現在の俺は大分強くはなったが、それでもそこそこだ。なので一応安全策を取って外縁部を回って行こうとしていた。


 ニアはそんな俺の予定ルートについて話しだした。


「ふむ、魔の森中心を行かぬと言うのは良い判断なのじゃ。あそこには妾も勝てるかわからない世界最強格、その1体がおるのじゃ」


「(え・・・?それマ?)」


 ニアの言った事に、俺は女子高生みたいな返し方をしてしまった。ニアは、マ?とは何か聞いてきたので、俺は本当って意味だと教えた。

 するとニアは、早速覚えた言葉を使って話を続けて来た。


「マなのじゃ。そしてこの森の西側は、そ奴の配下共が西にある人間の国へ引っ切り無しに攻撃を仕掛けておるので通るのはお勧めせんのじゃ」


「(えぇ・・・、そうなのか)」


「うむ。マなのじゃ」


 もしもニアに話を聞いていなかったら俺は今頃森の西側を通り、中心にいると言う世界最強格の配下達と人間達、この二つの勢力の戦いに巻き込まれていたかもしれないので、ニアの話を聞いて俺は助かった様だ。


 俺はニアに感謝をし、残ったルートを行く事を伝えた。


「(ありがとうニア。早く出発させろと思っていたが、どうやらニアのおかげで助かったみたいだ。よし、じゃあ東回りで魔境地帯に出発だ!)」


 俺は方向を確認して歩き出そうとするが、またしてもニアに止められた。


「待つのじゃ童、まだ話は終わっとらんのじゃ」


「(おおっと。ふふっ、今度は転ばなかったぜ。で、まだ話があるのかニア?)」


 もしかしたらと身構えていた俺は転ぶ事を回避し、誰にするでもないがドヤ顔を決めた。そしてまだ話があると言っていたニアへと、ドヤ顔をしたまま聞いて見る。


「何かイラッとする顔をしておるのじゃ。殴っていいかや?」


「(ひぇっ・・・。や、止めてくれ!)」


 ニアは、ならあの顔は何なのだと聞いてきたので、俺はついつい出てしまったドヤ顔だと説明した。するとニアはドヤ顔について詳しく聞いてきたので、俺は何故かドヤ顔について長々と説明する羽目になってしまった。


「(ドヤ顔については解っただろ?で、話の続きがまだあるんじゃないのか?)」


「む?おお、そうなのじゃ。童、東は東で通るのにちと難があるのじゃ」


「(え゛っ!?)」


「魔の森は中心から円状に広がっておって、一定の距離を境に普通の森になるのじゃ。そして東側の外には普通の森が隣接しておっての?そこにはある種族が住んでおるのじゃが、そいつらが偶に魔の森まで出て来るのじゃ」


「(そいつらはまさか好戦的とか・・・?)」


「うむ。自分たちの種族以外には好戦的な筈なのじゃ」


 という事は、どちらのルートを通っても難がある・・・?ならば・・・。


「因みになのじゃが、魔の森を通らずに外側から回ると言うのも難しいのじゃ。西は人間の国が隙間なくあるし、東は端っこまで森なのじゃ」


「(そうか・・・、教えてくれてありがとう・・・)」


「うむ。よいのじゃ」


 ニアは俺の質問に先回りして答えてくれ、それにお礼を言うと早速ドヤ顔を披露して来たのだが・・・今の俺には構う気力は無かった。


 どうしよう・・・どこの道を通っても障害があるらしい。これは何かしら起こるのを覚悟で行くしかないか・・・。


 俺がそんな事を考えていると、ニアは更に助言をしてくれた。


「因みになのじゃが、妾は東周りをお勧めするのじゃ。奴らは魔の森に出て来るとは言っても、偶になのじゃ。引っ切り無しに戦いが起こっておる西側とは違い、上手く行けば奴らに出会わず行ける筈なのじゃ」


「(なるほど・・・)」


「まあ出会っても、童のスキルは奴らに相性が良いので如何にかなる筈なのじゃ」


「(ふむ・・・少しだけ考えさせてくれ)」


 俺がそう言うとニアは解ったと頷いたので、少しの間考えをまとめさせてもらう事にした。


 魔の森の北側へ抜けるにあたって俺が考えられるルートは四つ。魔の森の中央、東、西を通るルートと、魔の森の外に出るルート。

 この中で魔の森中央を通るルート、これは確実に無理だと思うので無しだ。

 魔の森の外に出るルートも人間の国が隙間なくあったり、好戦的な種族の本拠地の森があると言うので、それならば魔の森の中を隠れて進んだ方が良さそうなので無しだ。


「(となるとやっぱり魔の森の中を東か西に回るしかないが・・・)」


 どちらも一筋縄では行かなそうなんだよな・・・。


 西周りは中央の世界最強格の魔物の配下と人間が引っ切り無しに争っていると言うし、東周りは好戦的な種族が偶に出ると言う。


 俺はニアから聞いたこれらの情報を思い出しながらよく考え、暫くしてからニアへと考えた結果を言う。


「(よし、決めた東周りを行く事にする)」


「うむ、解ったのじゃ」


 結局はニアのお勧めである東ルートを選んだ。

 何故なら、ニアは好戦的な種族には偶にしか出会わないと言っていたので、隠れながら行けばこのルートが一番マシそうだったからだ。


「(ニア、これ以上話は無いんだよな?)」


「うむ、もうないのじゃ」


 また止められても嫌なので、もう話はないかとニアに確認すると無いと言われた。

 俺はそれを聞いた後、一度太陽の位置を見て方向を確認し、それをニアへと確かめてみる。

 異世界なのでもしかしたら俺の考えている方向と違うかもと思ったが、どうやらこの世界でも太陽の位置から解る方向は変わらなかったらしい。


「(よし、出発だ)」


 俺がニアへと声をかけて走り出すと、ニアは俺の後ろをついて走って来た。


 そうやって暫く無言で走っていたのだが、ふと気になった事があったのでニアへと聞いてみようと、一声かけてからニアの横へと並び聞いてみた。


「(そういえばニア、西側にいる好戦的な種族ってどんな種族何だ?)」


「うん?教えてほしいかや?」


 ニアはどうしようかなー?見たいな空気を出してきたので、俺は必殺技を発動させた。


「(はい!聡明なるニア様の知識を、その心地よい声で聞いて見たいのです!どうかお願いします!!)」


「仕方のない童なのじゃ、教えてやるのじゃ」


 必殺のヨイショが決まったー!!


 俺は対ニアへの必殺技としてヨイショが有効と心の中にメモをして、ニアの答えに耳を傾けた。


「奴らは風の魔術と弓を得意としておるのじゃ。妾が童のスキルと相性が良いと言ったのは、童の風ならば奴らの風と矢を防げるからなのじゃ」


「(なるほど、確かにそれなら出会ったとしても逃げられそうだな。因みに、何て言う種族なんだ?)」


「種族名かや?ん~なんじゃったか・・・。エ・・・エロ?エロフ?」


「(・・・エルフ?)」


「おお、それなのじゃ」



 どうもこの惑星のエルフは好戦的らしいです。



 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白かった」「続きが読みたい」「ニアちゃんの~ちょっといいとこ見てみたい!」等思ったら☆で評価やブックマークをして応援してください。

 ☆をもらえて、この小説が人気になると、ニアが、シャンパンタワー入れてくれます。

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