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第64話 ダンジョン防衛のごぶ助

 ≪ポンコダンジョン≫


 それは相棒・一狼がダンジョン攻略に出かけてから2日目の夜中の事。


「がう・・・。敵の臭いがするがう!」


 ダンジョンの入口付近で敵の襲撃を警戒していたごぶ助は、同じく夜の警戒に当たっていたジョーからそんな報告を受けた。

 ごぶ助は慌てずにその場にいた5人のコボルトを呼び寄せ、予め決めておいた作戦通りに指示を出す。


「ごぶ!我が前に出て敵を倒すごぶ!ジョー、ワン、ニー、トウは入口付近で我が逃した敵を食い止めるごぶ!」


「「「「がう!」」」」


 作戦は至極単純で、ごぶ助が前に出て敵を蹴散らし、他の者はごぶ助が逃してしまった敵がダンジョン内部に侵入してこない様にブロックする。

 因みにだが例のやばい敵が出たら、全員でポンコルームへと一時避難して様子を見る事になっている。

 ごぶ助達もポンコに頼んで魔物を生成してもらえればよかったのだが、現在ポンコの魔物生成機能は壊れているらしく、復旧には1月ほどはかかるとの事。因みに、ごぶ魔物生成機能が壊れている原因は一狼とごぶ助にあるのだが、二人はすっかり忘れていた。


「ごぶ!キンは一度転移陣を通ってニコパパに知らせて来るごぶ!」


「がう!」


 この作戦における入口の防衛だが、流石に5人だと厳しいと考えられていた。なので予め条件付きの転移陣を作っておき、そこから増援を手配する予定になっていた。

 実はポンコがダンジョンを監視しているので増援を一々呼びに行く必要はないのだが、夜中という事もあって、念のために皆のいるポンコルームへ呼びに行く事になっていた。


「ごぶ!それでは作戦開始ごぶ!」


「「「「「がう!」」」」」


 最後にかけたれたごぶ助の合図により、その場にいた者は一斉に動きだそうとする。


「ごぶっ!」


 真っ先に動いたのは、合図をかけた張本人のごぶ助だった。

 ごぶ助はジョーから聞いた敵の来る方向へと動き、ポンコダンジョンから少し離れた森が開けた広場に陣取り・・・咆えた。


「ごぉぉおおぶぅぅうう!」


 ごぶ助の咆哮が周辺の森へと広がり、それによってある事が起こる。


「がう!散らばっていた音と臭いがごぶ助の方へ集まってるがう!」


 ごぶ助から少し離れたダンジョン入口に陣取っているジョーは、敵の動きが変わった事を察知した。どうやらごぶ助の目論見通りに、敵がごぶ助の方へと誘導されたようだ。

 やがて、闇の中に無数の光るものが見えた。


「「「「グルルルルルゥゥ」」」」


 光りは森の暗がりから月の光差す広場へと出て来た。敵性ダンジョンより来たコボルトとウルフの混成部隊だ。


「ごぶ・・・、かかってくるごぶ!」


 ごぶ助は手に持った『ごぶ助カリバー』の先を敵に向け、挑発をかます。それを受けたのは自我薄きダンジョンモンスター達だが、ごぶ助の持つスキルが関係しているのか、ごぶ助目掛けて殺到して来た。


「ごぶっ!数が多いごぶっ!」


 ごぶ助目掛けて殺到してきている敵の数は膨大だった。ごぶ助の後ろで見ていたコボルト達からは、まるでごぶ助が巨大な獣の咢に呑まれるようにさえ見えた。


「「「「危ないがるっ!」」」」


 思わずコボルト達は叫んでしまう。いくらごぶ助でもあの数に呑まれては・・・。コボルト達はごぶ助の安否を心配しおろおろしてしまう。


 突然・・・巨大な獣の咢が爆発した。


「「「「ギャァァウウウ!!」」」」


「ごおおおおおぶっ!ぬるいごぶっ!」


 爆発の原因はごぶ助だった。

 ごぶ助は敵の波の中から攻撃をし、敵の集団を粉砕したのだ。


「「「「か・・・かっこいいがうーー!!」」」」


 おろおろしていたはずのコボルト達は、勇猛なるごぶ助のカッコよさに憧れて思わず叫んでしまっていた。

 そしてそんな油断しまくりのコボルト達に敵が迫る。



「ごぶぅぅっっぁぁああ!!!」



「「「グ・・・グルッ」」」


 しかしそれらはごぶ助の圧を乗せた咆哮により固まってしまう。その段階になってコボルト達は動きだし、まだ固まっている敵へと攻撃を加え撃破する。


「が・・・がう!すまんがう!助かったがう!」


「ごぶっ!」


 コボルト達は助けてくれたごぶ助へと礼を言う。するとごぶ助はコボルト達に背中を向けたままサムズアップをしてきた。

 そのあまりにカッコイイ姿にコボルト達はまた痺れてしまう。だが再びヘマを繰り返すわけにはいかないと防衛へと気を入れ、再度流れて来た敵の対処を始める。

 やがて、ダンジョンの奥からニコパパ達も駆けつけ、ダンジョン入口の防衛層は厚くなった。


「ごぶ!ごぶううう!ごぶ!」


 ごぶ助は敵の大軍に対処しながらそんなコボルト達の様子を確認し、これならば大丈夫かとかかってくる敵の殲滅に集中しだした。



 ・

 ・

 ・



 朝日が昇る頃ようやく敵の波が収まり、コボルト達は漸く敵がいなくなったと安堵し、腰を下ろしてしまう。

 しかしごぶ助は気を抜かず、コボルト達へと指示を飛ばし始める。


「ごぶ!とりあえず周りに散らばるアイテムを回収するごぶ!足場が悪くて危ないごぶ!それと同時にご飯の用意ごぶ!」


 ごぶ助は皆にテキパキと指示を出していく。ごぶ助は、相棒が居ない今は我が頑張るごぶ、と気を張っていた。

 しかしそんなごぶ助にニコパパが話しかけてくる。


「がる、後は俺にまかせてごぶ助は休んでいるがる。敵のド真ん前で頑張っていたがる。疲れてない筈ないがる」


「ごぶ、我なら大丈夫ごぶ」


「がる、それでも休んでほしいがる。・・・ごぶ助も俺達のボスがる。どっしりとしていてほしいがる」


 ニコパパは申し訳なさそうにそう言ってくる。

 そこでごぶ助は気づいた。疲れているだろうから休んでほしいと言うのも本心だろうう。しかしそれに加えて、一狼が居ない今、皆を安心させるためにもどっしりと構えていてほしい、そんな思いもあるのだろうと。

 そういう事なら休むしかないなと思い、ごぶ助は食事の用意をしている場所へと行き、出来上がっていた物を受け取り食事をとり始めた。

 ごぶ助が食事をとり終わる頃には、散らばっていたアイテムも一か所に集められていたので、ごぶ助は取りあえずアイテムボックスにそれを収納する。

 そしてニコパパと今日これからの事を話そうと思いニコパパの方を見ると、まだ食事中だった。

 なら話をするのはもう少し後だなと思っていたところで、周りで座りながら食事をしていたコボルトの何人かが急に立ち上がった。


「ごぶ?・・・ごぶ!」


 最初は何だ?と思っていたごぶ助は気づいた。恐らく・・・敵襲。

 今日は多いな!と思いながら、すぐ傍に立ち上がって何やら探っている様子のキンが居たので話を聞いてみる。


「ごぶ、キン敵ごぶ?」


「がる、この感じはそうがる。さっきみたいに大量の気配を感じるがる」


「ごぶ、わかったごぶ!」


 ごぶ助はキンから話を聞くと、コボルト達に大声で話しかけた。


「ごぶ!また敵襲ごぶ!ご飯を切り上げて迎撃準備ごぶ!」


 そのごぶ助の声に続き、ニコパパが大声でコボルト達に指示をだす。


「がる!ごぶ助以外は入口前に集まるがう!夜中に前に出ていた者は後方で休みながら待機がる!」


 コボルト達はニコパパの指示を受け、急いで行動を始める。まだ食事の途中だった者もいたが、その者達も食事を切り上げてダンジョン入口前へと動き出した。

 そしてコボルト達がダンジョン前に集まった直後敵の大軍が現れた。


「ごぶ、ぎりぎり間に合ったごぶ」


 ごぶ助は無事集合が終わったコボルト達を見て安心し、敵の方へと向き直る。そして敵のヘイトを集める事を意識し叫んだ。



「ごぶぅぁああ!かかってくるごぶっ!」



「「「「グルッ!?グルルルゥゥ!」」」」


 夜中の時と同じく効果は抜群で、ダンジョンの方を見ていた者もごぶ助の方に注目した。ごぶ助はそれにニヤリと笑い、『ごぶ助カリバー』を片手に構え、もう片方の手で手招きをして更に敵を挑発する。


「「「「グルッ!グルルッ!グルァァァア!!」」」」


 これも効果が抜群みたいで、敵が次から次へとごぶ助へ押し寄せて来る。


「ごぶっ!ごぶぶっ!・・・ごぶっ!?」


 ごぶ助は押し寄せる敵を着実に削っていく。しかし挑発の効果がありすぎたのか、敵がダンジョンへ一切向かわなくなり、ごぶ助の方へのみ押し寄せて来た。

 これにはさすがにごぶ助も焦り始める。敵は雑魚ばかりでたやすく屠れるとはいえ、ごぶ助の攻撃方法は棒による殴打だ。攻撃範囲が狭いため一気に敵を削るという事が出来ず、夜中より凄まじい勢いで四方八方から押し寄せてくる敵に周りが見えなくなる。

 ダンジョン入口にいるコボルト達も、あまりに群がられすぎて姿が見えないごぶ助の事が心配になって来ていた。ごぶ助なら大丈夫だとは思っているのだが、流石に姿が一切見えないあの状態だと心配してしまう。


「がる、がるがる。がる!」


 ニコパパも外には出さないようにしていたが、心の中では心配して、さすがに助けたに行った方がいいのか?と思っていた。そしてニコパパは行動を起こす事にした。


「がるっ!俺を見ろがるっ!っふんす!がる!」


 ニコパパの起こした行動に、つい仲間も目を奪われてしまった。


「がるっ!がぁぁるっ!どうがるっ!」


 ダンジョンに生成され、自我が薄い筈の敵もついついニコパパを見てしまった。


「がるっ!がぁぁるっ!っふんがるっ!」


 ニコパパは・・・。


「がるっ!俺の筋肉を見ろがるっ!」



 その有り余る筋肉を見せつけながらポージングをしていた。



 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白かった」「続きが読みたい」「ジョーワンニートウキン?」等思ったら☆で評価やブックマークをして応援してください。

 ☆をもらえて、この小説が人気になると、作者のネーミングセンスが、少しましになります。


 追記:カクヨム様。にてコンテスト参加中です。よろしければ応援おねがいします。

 URL→ https://kakuyomu.jp/works/16816700428711348667

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