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第3話 ごぶりんとわんちゃん

 どうも俺です。無事転生させてもらい早3か月、元気にすくすく育っているわけだけど・・・クソッ!あの神様め!いや、俺も確かに悪いところはあったかもしれない。転生だの俺TUEEだのチーレムだの浮かれていて、転生のことをもっと詳しく聞き込めばよかった!くぅ~~あの神様め!いや、もう神様と呼ばずにわんこ様とでも呼んでやる!次あったらモフモフしたおしてやるんだからネッ!

 ・・・と色々愚痴ったところで、この3か月にあったことは・・・


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 うぅ~ん、暗くて寒い・・・どこだここは。木がいっぱいだ、森・・・?なんでこんなところに?無事に転生したんじゃないのか?まさか生まれてすぐに捨てられた!?そんな馬鹿な・・・


 『ザワザワ・・・ガサガサ・・・』


 ん?何かがやってくる?げ!あれはまさか!


「ごぶごぶ、くいもの、ないごぶか、ごぶごぶ」


 THEファンタジーの代名詞!その中でも雑魚や最初の敵を務め、おまけに冒険者の踏み台等の不名誉な称号をほしいままにするゴブリンだああああ!


「ごぶ?なにかおちてるごぶ」


 う・・・うわあああ、食われる!こんな不名誉な代名詞野郎に食われてしまう!食べ物探してるとか言ってたからペロリと食われてしまうううう!


「わ・・わぅぅ・・くぅ~ん・・・」


 ふわぁああ!犬の鳴き声も近くから!お前も逃げるんだーわんちゃん!食われてしまうぞおおお!


「ごぶ、うるふ?ごぶ」


 ゴブリンがスッっとこちらに手を伸ばして俺を持ち上げてくる。うわああ俺は食べてもおいしくないぞおおお!やめるんだあああ!


「きゅぅ~ん・・・」


「もちかえる、ごぶ」


 オワタ・・・っていうか、え?この犬の鳴き声ってもしかして俺?

 そう思いゴブリンに抱かえられている自分の手を見て一旦目を瞑る。そんな馬鹿なと思いもう一度目を開けて見てみると・・・。

 もっふもふやん。犬の手やん!転生って人間に転生するんじゃないのかよ!


 そんな馬鹿な!と俺は茫然自失している間にゴブリンに連れていかれたのだった。


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 ・

 ・


 そうして連れていかれた俺は結果を言えば食われずにすんだ。むしろ食べさせてもらった。

 どうもゴブリンと一部のウルフは共存しているらしく、持ちつ持たれつしているようだった。一緒に狩りを行い、ウルフの子育てやねぐらを用意していたり、様々だ。


「ごぶごぶ、ごはんごぶ、たべたらさんぽいくごぶ」


 このご飯を食べさせてくれるゴブリン、仮にごぶ助と呼ぼうか。俺を拾ってくれたゴブリンである。


「はやくおおきくなるごぶ、そしたらいっしょにかりにいくごぶ」


「いいなーいいなー、ぼくもあいぼうほしいごぶー」


 俺を羨ましがっているのはごぶ助の弟である。

 何故羨ましがっているのか?それは俺が将来でかくなったらごぶ助の相棒となり、一緒に狩りに出掛けるようになるからである。所謂ゴブリンライダーってやつだ。

 この集落ではこうしたウルフを相棒にした一部のゴブリンがゴブリンライダーとなり狩りの中核を担うようになるみたいだった。その為エリート的な存在になれるごぶ助を弟は羨んでいるわけである。


「でもにいちゃんー、このうるふ、やっぱりなんかよわそうごぶー?」


 ぐっ!いいやがるな弟ゴブリンめ・・・だが間違いではないとも言い切れないのが悲しいところなのだ。それはこれを見たら納得なのである。この3か月に発見した便利技発動!≪ステータスオープン≫


 名前:

 種族:魔チワワ

 年齢:0

 レベル:1

 str:1

 vit:1

 agi:1

 dex:1

 int:1

 luk:1

 スキル:

 ユニークスキル:ワンチャン

 称号:最弱犬 転生者


 そう!ご覧のとおりすごく弱いです・・・。最初見たときはしばらく放心してしまったよ、この酷さにな!

 まぁ100歩譲って転生したのが犬で魔チワワなのは許そう。犬大好きだしな!魔物転生っていうのも見方によっては悪くない。しかしである。


『 圧 倒 的 最 弱 』


 これは如何なものかと思う。虫とかにも勝てるのかね・・・?ごぶ助達が偶にご飯としてとってくる物の中にけっこう大き目な芋虫っぽいのとかもいるんだが、そいつらにも勝てるのだろうか・・・。

 俺が将来について悲観しているとごぶ助が弟ゴブに言う。


「ごぶ、きっとつよくなるごぶ。おれはしんじてるごぶ」


 ごぶ助ええええ!最初見たときはファンタジーの代名詞、雑魚筆頭のゴブリン野郎!だとか思ってごめんよー!一生ついていくぜ!ズットモダヨ!

 とごぶ助への感謝をこめつつステータスの話に戻るのだが。このステータス、自分のは見れるものの他人のステータスは見れないのである。なので自分が圧倒的最弱だとはわかるものの他がどれくらいなのかがわからないのだ。スキルで鑑定的な物でもあって、それが取れればわかるのであろうか。

 そしてステータスを見るとレベルというものがある。ファンタジー物のラノベとかを例にするならば、レベルを上げればステータスも上がり強くなることができる。

 なので今は圧倒的最弱ではある、だがレベルを上げていけばいずれは強くなれるかもしれない。ごぶ助も信じてくれているし、俺も一度は俺TUEEを夢みたのだ。弱いままじゃいられないっ!


「ごぶ、たべおわったごぶ?さんぽいくごぶ」


 おっと、色々考えている間にご飯を食べ終えてしまっていたみたいだ。

 そういえば俺の種族は魔チワワというらしいのだが、やはり普通のチワワとは違うみたいで、普通だと生後3週間ほどで目を開き、6週間ほどで離乳を開始するらしいのだが・・・、俺の場合は目は大体最初から見えていたし、離乳も1週間ほどでしてしまった。やはり魔物?だけあってそういうところはファンタジーなのであろうか。


「にいちゃーん、いってらっしゃいごぶー」


「ごぶ、いってくるごぶ」


 そんなこんなで散歩へ出かけることになり家をでる。


「きょうもいいてんきごぶ」


 そんなことを呟くごぶ蔵のあとをついて家を出て村の外へ歩いていく。歩きながら村の様子をチラチラと確認していく。

 このゴブリン村は質素なつくりをしていて村は森を少し開いてその中にある。

 家は木で作られたあばら家っぽい感じで村と森の間に柵などもなくかなりオープンな感じになっている。

 井戸はなくて水がほしければ近くの川にいくという塩梅だ。

 村の人口?ゴブ口?まぁ人口とするが、人口はそこそこにいて100~150人ほどはいるみたいだ。その中でもウルフを相棒にしているゴブリンライダーは20人ほどなので、ごぶ助は将来エリートなのである。

 しかし・・・、村にチラホラといるウルフなのだが、うん。あれって俺と違って普通に狼っぽい!まさにウルフじゃん!俺みたいにウルフ(チワワ)じゃねぇ!


「ごぶごぶ、めしもとれるといいごぶな」


 ごぶ助のほうはあんまり気にしてないが、俺のほうはいたたまれねぇ!心に響くぜロンリーウルフハート。ごぶ助のためにも強くならなきゃな!しかし強くなれるのか。

 そんなことを考えながら歩いていたら村を出て森のほうまで来ていた。


「ごぶ、きのこみつけたごぶ」


 ごぶ助はのんきにキノコとか採っていた。俺はそれを見つつ、強くなれる方法を考えていた。

 やっぱり虫とか退治してレベル上げなのかなぁとか思っていた。



『ガサガサ・・・』



 そんな風に草むらのほうが騒めいた。


「ごぶ?ごはんごぶ」


 草むらから出てきたのは虫だった。ごぶ助達がたまに食べているあの芋虫っぽいやつだ。

 その芋虫っぽいのはウゴウゴと地面を這って進んでいる。その芋虫に対してごぶ助が。


「ごぶ!」


 と、そこらへんに落ちていた木の棒で殴りかかった。


「キュビッ!」


「ごぶごぶ!」


 と威勢はいいものの見ている感じは泥試合。ごぶ助はぽこすか木の棒で殴っているものの芋虫は体力が多いのだろうか?いや、拾った木の棒が悪いのかもしれない。めっちゃしなったりして普通にパンチした方が強そうにも感じる。なので芋虫は中々倒れない。

 しかし芋虫の方は攻撃方法が体当たりくらいなのか、ウゴウゴと近づいて行くのみでこちらもごぶ助にダメージを与えられていない。


「ごぶ!」


「キュッ!」


 と何度目になるか、ごぶ助の攻撃が決まったところで芋虫は倒れた。

 ふーむ、あの芋虫ならばヒットアンドウェイ的な感じでやれば俺でもワンチャン倒せるかも・・・と思っていると、ふと思い出した。そうだ!ユニークスキル!あれを使えばまさにワンチャンなにかできるんじゃ!一応神様、いやわんこ様にもらったやつだしな!早速俺は念じる。


 ユニークスキル『ワンチャン』!



 すると・・・




お読みいただきありがとうございます。「面白い」「続きが読みたい」と思いましたら、下にある☆をつけていただきブックマークをよろしくお願いします。


2021/12/1 セリフの言い回しや行間を修正

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