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第277話 修行をしろ。なわんちゃん

「ん・・・お?移動完了か?・・・え?森?」


 ルキの秘術により移動した先にあったのは森だった。てっきり精○と〇の部屋や俺のレモン空間の様な精神崩壊待ったなしの真っ白空間に飛ばされると思ったのだが、どうやら違った様だ。


「色があるだけで相当違うから助かるわ・・・ん?何だこれ?」


 遠い目をしながらポツリと呟くと、その視界の端に石碑が映り込む。これ見よがしな感じに設置してあるので絶対何かあるだろうと考え確認してみると、それはどうやらこの空間についての案内の様だった。


「おー・・・親切だな。どれどれ・・・」


 石碑に書かれていたのはルキが説明してくれた『食事睡眠不要』や『空間から脱する方法』等が書かれており、彼女から聞いていない説明もいくつかあった。


「ふむふむ・・・修行用に5つのフィールドがあるのな」


 聞いていない説明としては・・・


 ◎この地には大きく分けて森・海・砂漠・闇の谷・毒の沼の5つのフィールドがある。自分の好きな所で修行すべし。

 ◎1日1度現れる魔物が現れる際は少し前に鐘がなる。その際の魔物は、居たフィールドに沿ったモノが出現するので活用すべし。

 ◎食事は不要だが果物や野菜、肉は自生しているので食べたければ食べるべし。


 の3点があった。


「いや、肉が自生ってなんやねん!・・・まぁいいや」


 ツッコミどころにツッコミつつ、石碑に書かれていた事を反芻しながら考え込む。何を考えていたかは・・・『どこで修行をするか』である。


「取りあえず森で慣らして、余裕が出たら他か?それともローテーションでも組むかな・・・」


 森に居れば比較的楽に生活は出来そうなのだが、折角色々なシチュエーションがあるのでこれを活用しない手はないからだ。


 なので俺はうんうんと唸りながら小一時間程考え・・・


「・・・」


 遂には考える事を止めた。


 ・・・いや、嘘だ。結果が出たので考える事を中止しただけだ。


「・・・時間はたっぷりあるんだしな。取りあえず森で暮らしてから後で考えんべ」


 とは言っても、出した答えは『先送り』。取りあえずのんびり暮らしてから後で考えればいいというモノだった。


「転生してから初めてかも知れないからな・・・こんなにのんびりできるの」


 知っているかも知れないが、俺は転生してからかなり忙しかった。いや、休んでいる時も確かにあったが、それはかなり少ない時間だ。

 だからと言ってはなんだが、ここらで一発だらりと過ごしてもよいだろう。


「っし、んじゃまぶらぶら散歩でもしつつ、のんびりしますかね」


 という訳で、思考停止ロボとなった俺は散歩を決め込むため当てもなく歩き始め・・・


 ・

 ・

 ・


 気がつけば1年の時が流れていた。


「ふぁ~~~~~・・・良く寝た」


 いや、これは・・・マジだった。


「さて、今日もゴロゴロすんべ・・・。あ、でも食い物のストックがないから探しにいかにゃならんな」


 明日こそやろう。明日こそやろう。そう思いながら食って寝て食って寝てしていたら何時の間にか1年くらい経ってしまっていたのだ。

 だが、それというのも全てこの環境が悪いのだ。


『・・・カランカラ~ン・・・』


「お?今日のが来たか。どれ」



 名前:

 種族:訓練用魔力体・森型

 年齢:-

 レベル:1

 str:733

 vit:819

 agi:592

 dex:301

 int:126

 luk:103

 スキル:怪力 再生・小 鈍器術

 ユニークスキル:

 称号:



 第1に1日1回出て来る魔物が弱い。いや、ほどほどに強いのだろうが、これ位ならば今の俺にとっては雑魚と変わりがないのだ。


「トロール型(推測)か。んじゃ火で炙ってっと・・・」


「グガ?グガァァアァッ!!」


「ハイ終わりっと。っし、食い物探しにいくっぺ。桃みたいな奴があるといいな~」


 第2に美味しい物がそこら中にゴロゴロと成っているのだ。食っちゃ寝の食う部分が捗る捗る。


「1人は寂しいけど、楽っちゃ楽だよな・・・ふふ・・・」


 第3に『怠けておるでない。ほれ、修行するのじゃ』等と尻を叩く者が居ない。これにより食っちゃ寝の寝部分も捗ってしまい、結果1年もだらだらと過ごしてしまった訳だ。


 うん・・・これ、完全に環境が悪いんじゃなくて、俺が悪いだけだわ。


「うおおおおおお!!何をやっていたんだ俺はぁぁぁあああ!!」


 ・

 ・

 ・


 そうして激しく落ち込む事1年・・・いや、今度は嘘だ。精々10分程だ。


「うん。真面目に修行しよ」


 落ち込むと共に反省を終えた俺は決意した。今こそだらけた生活を脱し、真面目に修行すべきだと。


 という訳で、早速修行を開始するのだが・・・


「何をしようか・・・」


 だらけていただけで具体的なプランを考える事もしていなかった為、悩むことになってしまった。

 なので先ずは具体的なプランを考えるところからスタートとなる。


「ん~・・・魔力とスキルを鍛える、それと体の動かし方を鍛える、でいいか」


 しかしここで細かくあーだこーだとプランを組むと先の1年と同じ様にだらだらとしたものになりそうだったので、大枠だけを決めておく事にする。というよりだ、強くなるためには『魔力』『スキル』『身体操作』の3つを鍛えるくらいしかないのだから、大して悩む必要もなかったかもしれない。


「っし、んじゃあ魔力からいくか。スキルも並行した方がいいのかな?」


 プランが決まったら早速行動!・・・という事で、俺は行動を開始する事にした。

 先ずはこの世界におけるもっとも重要なファクター(俺調べ)である魔力を鍛える為、ニア直伝身体強化を発動させる。


「・・・ん?ちょっと鈍ったか?」


 1年間もだらだらしていたせいだろう、身体強化を発動させるために体の内で魔力を練ったのだが、魔力の動きが鈍い様な感覚を受けてしまう。


「ははは・・・本格的にやらなきゃだめだなこれは」


 これは不味いと考えた俺は、それからしばらくの間以前行っていたトレーニングをする事に。

 そしてそれと並行し、スキルも鍛え・・・


 ・

 ・

 ・


「暴暴」


「・・・っっっ!!」


「イイ感じだな」


 気がつけば2年程経っていた。

 しかし2年も魔力とスキルを鍛えたお陰で魔力の運用は確実に以前以上、スキルも運用方法がかなり洗練される結果となった。

 その際たる結果は・・・


「爆暴檻。よしよし」


 この様に一言のキーワードに起こす事象を紐づけ、高威力でスムーズに使える様になった魔法であろう。因みにだが先程の『爆暴檻』だと、『水蒸気爆発』→『暴風』→『氷製の壁で対象と前2つの魔法を包み込む』の以前使っていた最強コンボだ。


「新しく幾つか開発したし、一旦魔力とスキルの鍛錬は切り上げるか」


 2年で魔力とスキルはソコソコの仕上がりを見せたので、次は身体操作の鍛錬に移行しようと決心し、その為にはどうするかと考えてみる事にする。


「ん~・・・魔力を鍛える時に走り込みはしてたし・・・立体起動とか、環境を変えて走ってみるか?・・・砂漠で砂上ダッシュとか良さそうだな」


 そうして考えた結果、『変化を付けて動く』『環境を変化させて動く』、そして『動いている時、常にその動きをチェックする』と決め、早速それを実践する為砂漠フィールド方面へと走り始めた。


「そうだ、鍛えている内に収納機能だけは使える様になったし、食べ物を集めて行くかな」


 その最中、この空間へ入ってから機能が制限されていたレモン空間へと道すがら食べ物を仕舞って行く。何故なら、森からフィールドを移すと食料確保が難しそうだったからだ。


「収納の中に一応食べ物はあるけど、消費すると外に出た時困るしな。お、ミカンぽい奴ゲット」


 俺はここに入って来てからかなり増えてしまった独り言を無意識に呟きつつ、砂漠フィールドへと向かう。


 ・

 ・

 ・


 そして気が付くと・・・またもや2年程経っていた。


「ほいほい・・・ほいっと!」


「・・・!!」


「ふぅ・・・終了っと」


 その2年の間に身体操作と共に身体強化を磨いた結果、相乗効果により魔力と体の使い方が洗練された俺の動きは・・・キモイ程ぬるぬると動く様になった。・・・言い方が悪かったかもしれないので言い直そう。


 俺は動く時に()()イメージ通りに動けるようになった。


「目を瞑って歩いてもブレなく歩けるし、今なら犬のお手手でも文字が書けそうだ」


 前世で『プロアスリートは体をイメージ通りに動かせる。だからあそこまでのパフォーマンスを発揮する事が出来る』とか聞いたことがあったが、俺は正に今それを実感している気分だった。


 しかしだ・・・


「けどあれだな・・・負けはしないが余裕は無くなってきたな」


 長く滞在した所為か出て来る魔物がかなり強くなってきており、滞在する為の条件である1日1匹の魔物討伐にそこまでの余裕は無くなって来ていた。それは『この空間から出る事になるのはそう遠い先ではないのかもしれない』と、そう考えてしまう程にだ。


「でもやれるだけはやらないとな。っし、今日からは魔力、スキル、身体操作、全部均等にやっていくか!」


 しかしだからと言ってここで諦めて試合終了にする事はしない。何故ならここでの鍛錬は前座。本番は()()ヨフィエルとの戦いなのだから。


「っしゃぁ!ファイトだ俺!いつかまた出会うかもしれない()()()にも勝てる様に頑張れ!おー!」


 そしてヨフィエルの事を考えた時、ふと頭によぎった()()()・・・カマエルの事を考え、俺は気合を入れた。


 2度ある事は3度あるだろうし、何となく俺は奴に悪縁を感じていた。だから奴と再び何時か出会う事になるだろう。


 その時に三度最悪な結果にならない様に頑張るのだ。


 俺はそう心の中で誓い、鍛錬を続行していった。



 ・・・と、ここで終わればスポコン漫画の主人公みたいで恰好いいのだろうが、俺は俺だった。


 馬鹿な俺はついつい忘れていたのだ・・・


()()()()()()()()()()()()()()()()・・・みたいに思ったらいいのかな?』

『アハハー!()()()()()()()()()()()()()()()か運が良ければ問題ないからさ!ま、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ー!アハハハハ!』



 作者より:読んでいただきありがとうございます。誤字報告上げてくれている方、感謝です!

「面白かった」「続きが読みたい」「ナマケーヌ」等思ったら☆で評価やブックマーク、イイネをして応援してください。

 ☆をもらえて、この小説が人気になると、一狼が 怠け犬に退化します。



 こちらもよろしくお願いします↓スローペースな新作です。

『センテイシャ』 https://ncode.syosetu.com/n7217id/

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