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第263話 恐怖の階層。そして新スキル無双なわんちゃん

 33階層までの道のりは・・・


「余裕だなぁ?オィい!」


「ごぶ。歯ごたえないごぶ」


 と、出て来る魔物と罠に余裕たっぷりで対処してみせ、何一つ問題なく進んでいた。


 しかし33階層・・・ここは駄目だった。


「ひぇぇぇ・・・無理だ・・・俺はエペシュの元へと帰る!浄化してもらうんだ!」


 進化して強くなった事により自信満々だった俺の威勢は小さくなり、泣き言も口から出ていた。

 それほどまでに33階層は恐ろしい場所だったのだ。


「ごぶ?」


 怖いもの知らずのごぶ助はいつも通りだったのだが、恐ろしい場所なのだ!33階層は!


「ぐぅぅ・・・こんな方法で探索者を阻むとは・・・策士すぎる!」


「ごぶ?何をそんなに怖がってるごぶ?」


「恐ろしいじゃないか!ピチピチなメイド服を着たムキムキマッチョなおっさん共がひしめいているんだぞ!しかも舌なめずりなんかもしてるし!ひぃ!ウィンクしてきやがった!」


「ごぶ?」


 むちとはこわいものだとおもいました まる


 とまぁ、俺が叫んだ通り33階層の恐ろしい所は、22,23層で見た様なメイド服を着たムキムキマッチョの魔物がひしめいている点だった。因みにだがステータスの値自体はそれなりだったので、戦闘力という点ではそこまで恐ろしくはなかった。


「マジで何考えてんだここの管理者は・・・」


 戦闘力ではなくビジュアルで戦いを仕掛けて来るダンジョンの管理者に文句が出てしまうのだが、俺は悪くない筈だ。


「ごぶ・・・仕方ないごぶ。相棒は下がってるごぶ」


「ごぶ助?」


 俺が手招きしているマッチョ共にガクガクしていると、ごぶ助が俺の背中からひらりと飛び降り歩き始めた。・・・まさか?


「ごぶ。我が奴らを片付けるごぶ。相棒は後ろからゆっくりついてくるごぶ」


「ご・・・ごぶ助さん!!」


 そのまさかだった様で、ごぶ助は単身マッチョメイド共へと突っ込んで行った。

 その雄姿に胸をときめかせていると・・・


「「「ウーホッ!!」」」


 それまではこちらを見て挑発?をするばかりだった敵が動き出した。どうやらあれでも狂暴な魔物ではないらしい。

 そんなダンジョンでは珍しい狂暴ではない魔物達とごぶ助の戦いは・・・一方的だった。


「ごぶ!ごぶりゃぁぁあああ!」


「「「うほっっ!!」」」


「ごぶっ!オーラブレード発動ごぶ!ごーぶぶぶぶぶぶっ!」


「「「うほぉぉぉおおおんん!!」」」


 覇王剣術やオーラブレードを使い、切り、吹き飛ばし、消し飛ばす。蹂躙といっても過言ではない様子だった。

 だがそれも当然なのかもしれない。なんせ相手のステータスはそれなりだが、ごぶ助のステータスは1周りも2周りも敵を上回っているのだ、実力差がありすぎた。


「ごぶっ!」


「・・・うぽっ・・・」


 5分も経つと10体近く居た敵も姿を消し、その場にはドロップアイテムだけが残っていた。俺はそれを拾いつつ、ごぶ助に礼を言った。


「ありがとなごぶ助。お陰で俺の目を心が助かったぜ」


「ごぶごぶ。この後も任せるごぶ」


「ご・・・ごぶ助さん!素敵っ!抱いてっ!」


 すると男前な発言を頂いてしまったので、俺は思わず『抱いてっ!』と言ってしまい・・・


「ごぶ?ごぶっ!」


「ご・・・ごぶ助さんっっ!」


 ・

 ・

 ・


「いやまぁ、ハグからのモフモフだったわけだがな?」


「ごぶ?」


「ああ、なんでもない。それより39階層だ。気を引き締めていこう」


「ごぶごぶ」


 ごぶ助の情熱的なハグを思い出し、ついつい呟いてしまった。

 ・・・と、まぁ33層で少し茶番が行われた訳だが、俺達は歩みを止めず進み、20日程かけて39階層まで降りて来ていた。

 ここまで来ると敵のステータスが俺達に並んできていたので、そろそろスキルの検証を始めてもいいかもしれない。


「ごぶ助、次の敵が1体か2体だったらスキルの検証をしてみたいんだが、いいか?」


「ごぶ?ごぶごぶ」


「ありがとな。行動にも注文つけるかもしれないから、よろしく頼む」


「ごぶ」


 いきなり初めるとごぶ助も困ってしまうだろうと思い、取りあえず許可だけをとっておき敵を探し始める。

 すると上手い具合に1体の敵と遭遇する事が出来たのだが・・・



 名前:

 種族:幽鬼

 年齢:-

 レベル:37

 str:1711

 vit:1505

 agi:1923

 dex:1117

 int:939

 luk:108

 スキル:亡者の爪 亡者の叫び 物理攻撃半減 亡火

 ユニークスキル:

 称号:



「む・・・なんかまた特殊そうな敵だな」


 その敵は『物理攻撃半減』という特殊なスキルを持つ敵だった。

 しかもコイツ、スキルも特殊だったが姿も少し特殊で、姿自体はフードを被ったオーガといった感じなのだが足が無く、宙に浮いて半透明だった。更に見えている顔と手はガリガリで、顔も眼窩の周りが落ち窪みと・・・とても不気味な様相をしていた。


「ごぶ!?足が無いごぶ!」


「幽霊みた「ギゲェェェァァァアアア!!」っとぉ!」


『ここまで特殊そうな敵だと、最初は普通に倒した方がいいか?』なんて思っていたのだが、敵の方から飛びかかって来たので考える間もなく応戦する事になってしまう。


「っと・・・ふっ・・・はっ!・・・っ!」


「ギギェアア!!」


「ごぶ!危ないごぶ!」


「ナイスごぶ助!」


 しかし攻撃方法はそこまで特殊ではなく、精々ローブに隠されていた腕が通常の関節の動きを無視して動いてくるくらいだった。・・・結構特殊かもしれないな、うん。

 ともあれ、俺達は幽鬼の攻撃を捌いていく。


「ギィッ!ギギゲェァッ!」


「ごぶ!」


「ふっ!そういうモンだと知っていたら屁でもねぇな!」


「ギギッ!」


「っていきなり火ぃ吹くんじゃねぇ!!」


 ごぶ助と2人で攻撃を捌くので敵の攻撃は俺達には今1つ届かず、敵の攻撃のパターンが割れて来た。

 そうなると少し余裕が出て来たので、俺は忘れていたスキルの検証を始める事にした。


【ごぶ助!攻げ・・・いや、俺が攻撃するから、フォロー頼む!】


【ごぶ!】


 動きの検証は今までので十分だろうから攻撃面を検証しようと思ったのだが、ごぶ助に攻撃を任せるとチート武器で全てを粉砕してしまう恐れがある。

 なので俺はごぶ助には防御面でのフォローだけを頼み、自分で攻撃を仕掛ける事にした。


【先ずは普通のパンチからだっ!喰らえっ!】


 俺の攻撃は猫パンチならぬ犬パンチから始まり、ひっかき、魔法と色々な事を試していく。

 結果、敵は物理攻撃半減というヤバイスキルを持っているだけあり、物理攻撃では大して攻撃を食らなかった。更に魔法も緩く撃っているからか、効果はソコソコという感じだ。


【ふむ・・・ごぶ助、防御を緩めてくれ。今から攻撃をワザと2,3発喰らう】


【ごぶ!?大丈夫ごぶ?】


【大丈夫・・・だと思う!やばそうならフォロー頼む!】


【ごぶ!】


【マジで頼むからな!マジで!】


 攻撃面が終わると防御面も試しておきたかったのでやろうと思ったのだが・・・正直怖かったのでヤバかったら直ぐ助けてくれるようにごぶ助へと頼んでおく。

 そして程よい攻撃が来た時に、ワザと少し当たっていったのだが・・・


「おうちっ!・・・いてぇ!」


 普通に痛くて声を上げてしまった。・・・一時期狛犬という防御型種族にはなったが、基本的に俺は回避系なのだ。装甲が薄いのは仕方がないのである。

 なので防御の検証はそうそう長くするもんじゃないと悟った俺は、直ぐに次の工程へと移行する事にした。動き、攻撃、防御と一通りは終わったので、次はついにスキルオン状態での検証である。


【防御の検証は終わりっ!次はスキルを使うから一旦引く!】


 俺は一旦幽鬼から距離をとり、そこでスキルを発動させた。


【原初の波動っ!っし!もう一回突っ込む!先ずは動きから確認だ!またフォロー頼む!】


【ごぶ!】


 無事スキルを発動させたなら、再び敵の方へと突っ込んで行く。

 そしてスキルオフ状態と同じ様に敵の近くで攻撃を躱していくのだが・・・


「ギギィ!!ギィェェアアア!」


「見える!見えるぞっ!フハハハッ!」


 スキルの効果は絶大だった。

 というのも、確かに豪鬼の時も『おお、遅いな』と実感は出来ていたのだが、所詮格下相手だったのでそこまで凄い効果だとは実感できなかった。

 しかし今戦っている幽鬼はスキルオフの状態だと俺と同格で、しかもスピードだけでいうと俺より少し速かった。それがスキルをオンにすると格下程度のスピードへとグレードダウンしたのだ・・・これはスキルの凄さをかなり実感できるというものだ。


【うっし!次は防御にいく!】


 それに気を良くした俺は、先程あんなに痛がっていた防御の検証をノリノリでし始めた。結果、これも大分効果があった。と言っても・・・


「ちょっと痛ぇ!」


 大分軽減されたとはいえ痛いモノは痛かった。しかし俺は繊細なのだ、仕方がないだろう。

 そして動きと防御の検証が終わったのなら次は攻撃なのだが、こちらは予想以上の効果をもたらしていた。


「お?おぉ?」


「ギギィッ!ギィィィ!」


「属性付与とかの効果もあるのか?」


 手始めにとパンチやひっかきと言った物理攻撃を試したのだが、どうも物理攻撃半減のスキルを貫通している様な気配があったのだ。

 ならば魔法はどうだと試してみると・・・


「燃えてしまえ!絡みつけ炎よ!ナパーム!」


「ギゲェェァァ!!」


「ごぶ。よく燃えてるごぶ」


 こちらも効きは良かった様に感じられ、火魔法の後に黒風を使った所で燃え尽きてしまった。

 こうして戦闘は終了した訳だが、俺は改めて新スキルの凄さを噛みしめ喜んだ。


「っひょーぅ!マジで当たりだわこのスキル!」


「ごぶごぶ。よかったごぶな」


「おうよ!あ、でももう2,3回は試した方がいいな!ごぶ助!次の敵へ行くぞ!」


 しかし未だ同格、各上に使って体験したのは1回だけだ。喜ぶばかりでなくもう少し試しておかなくてはならないと思い、俺はもっと敵と戦おうとごぶ助へと提案した。

 それに対しごぶ助も『ごぶごぶ』と賛成の意を表明してくれたので、俺達は敵を求め、ダンジョンの奥へと潜っていく。



 そして気が付くとあっという間に時は流れ・・・



 作者より:読んでいただきありがとうございます。誤字報告上げてくれている方、感謝です!

「面白かった」「続きが読みたい」「やらないか♂」等思ったら☆で評価やブックマーク、イイネをして応援してください。

 ☆をもらえて、この小説が人気になると、まっちょが ホイホイ♂っと手招きしてきます。


 こちらもよろしくお願いします↓スローペースな新作です。

『センテイシャ』 https://ncode.syosetu.com/n7217id/

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