第244話 援軍とわんちゃん
『敵襲!』に続き、ニコパパは『裏門へと敵の死体を持っていったら、離れた場所から複数の気配を察知した』と報告して来た。
「っちぃ・・・ニコパパ!」
俺はそのままニコパパへと避難所に知らせる様指示を出し、俺は敵襲に対応する為に残ったメンバーの半分を引き連れ裏門へと行く事にした。
「ごぶ助、エペシュ!お前達はそのまま正門の方へと回ってくれ!」
「ごぶ!」
「うん!」
そして残りの半分・・・ごぶ助、エペシュと先程一緒に探索していたコボルト達には、念の為にもう一つある入口、正門へと回ってもらう事にする。
そうしてごぶ助達と別れた後裏門へと向かうと、敵はまだ見えてはいなかったが『索敵』がニコパパの言う通り複数の気配を察知したので、俺はメンバーへと門を半円状に囲むよう指示をする。
「基本的には俺がやる!お前達は取りこぼしが村の中へと入らない様守ってくれ!」
「「「ごぶ!」」」
続いて指示を出していると敵が視認できる距離にまで現れたのだが、ここで飛び出し門から距離を空け過ぎると敵が村内へと侵入してくる確率が高くなるので、俺はぐっとこらえ敵を待った。
「ふぅ~・・・」
その代わりと言ってはなんだが、魔法で一網打尽を狙い俺は魔力を練り始める。・・・時間はたっぷりあるので、これで8割方は殲滅出来る筈だ。
(来やがれ・・・地獄を見せてやる・・・)
そして襲撃者をそのまま待っていると・・・
(ん?仲間割れか?)
何故かその後方から現れた新手と仲間割れを始めた。しかしそれはそれでチャンスだと思い、俺はそこへ魔法をぶち込もうとする。
(喰ら・・・いや、まてよ?あれは・・・)
だが、直前で思いとどまる。というのも、新手が知っている者達だったからだ。
「ポポト村の村長にシート村の村長、それに両村の人達・・・」
「あ、ほんとだねー」
「来たのかルキ!」
魔法攻撃を一時中止し観察していると、ニコパパの知らせを聞いたのかルキがやって来て声を掛けて来た。彼女もポポト村の人達とシート村の人達認めていたので、確かにあの人達は両村の人達なのだろう。
「援軍に来てくれたのかもね!」
「成程・・・比較的近くの村の人達だから、上った煙でも見て来てくれたのか」
「多分ねー。それより、ボク達も参戦しようか」
「っ!そうだな!ボーっと見ている場合じゃない!」
知り合いの援軍だと確定したのなら俺達も参戦すべきだろう。
俺はゴブリン達にはそのままここで守ってもらう様に言い、ルキと2人で飛び出していった。
「ポポト村の子達にシート村の子達、ありがとねー!ボク達も参戦するよー!」
「ルキソンチョウ!」
「無事だったのニャス!」
「うん!でも話は後々ー!先ずは殲滅だー!」
俺達が戦闘に加わると、状況は一気に傾く。ルキや俺が強いと言うのもあるのだが、丁度敵を挟撃する形になったので敵が勝手に焦って自滅し始めたからだ。
「こうなると作業だなっと・・・氷の礫よ!」
なので10分もすると敵は全滅し、戦いは終わりを迎える事となった。
すると戦いが終わるなり、ポポト村の村長トッポとシートの村の村長ニニャスがルキの元へと駆けて来た。
「ダイジョウブダッタノカルキソンチョウ!ムラモモンダイナイノカ!?」
「ニャスニャス!ルマオ村の方面から煙が立ち上ってるのが見えたから、てっきりにゃにかあって倒れてるのかと思ったニャス!」
「あ、そうなんだ。えっと、それはねぇ・・・・」
彼らは心配した様子でルキや村の事を聞いてきたので、ルキは彼らに事の経緯を話し始めた。
それらを聞き終わると彼らは納得し、安堵の息を吐き出し地面へと腰を下ろし始めた。
「あー、トッポ、ニニャス、それに他の皆も、ここでのんびりしているとまた新手が来るかもしれないから、取りあえず村の中へ入ったらどうだ?」
しかしここでのんびりされても困るので、俺は一旦全員をルキの村・・・ルマオ村の中へと入るよう案内する。
すると皆はそれに頷き立ち上がったので、俺とルキは彼らを村の中へと案内した。
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援軍の皆を村の中へと入れ、俺達は彼らを余り荒れていなさそうな場所へと誘導するとそこに布を敷きくつろいでもらった。更に自分達の村からルマオ村まで来て戦闘まで行ったので疲れているだろうと思い、軽い食べ物と飲み物を取り出し全員へと振る舞っておいた。
「これでほぼ全員に行き渡ったか?後は・・・トッポ、ニニャス、アンタらの分だ。ほら」
「オオ、アリガタイ」
「ありがとニャス!」
「一狼、ボクのは?」
「はいはい、これな。で、チラッとは聞いたけど、どうしてここへ来たんだ?」
そして最後に2人の村長へと飲み物を渡すついでに、何故彼らがここに来たのかを再度尋ねてみた。
すると答えとしては先程聞いたモノと大して変わらず、『煙が上がってるのを見て緊急事態だと思い、救援に来た』との事だった。
「ルキソンチョウガイテアノヨウナコトニナルノハナイトオモッタカラナ」
「ニャスニャス。ルッキーが居たなら火の手も直ぐ治めれるだろうし、そもそも敵がワンパンニャス。にゃのにニャス達の村から見えるほどモクモクしてたら、緊急事態だと思うのも当然ニャス!」
「信頼されてるなぁルキ・・・」
「まーね?うへへへへー」
戦争があると言って救援に向かった村々で歓迎されているのは見ていたが、これほどまでに信頼されているのだなと、俺は改めてルキの人望を知る事になった。
そして、そんなルキの人望っぷりは止まる所を知らないのか、援軍に来た者達はなんと・・・村の復興も手伝うと申し出てくれた。
(結構な数の家がボロボロになっていたし、これは中々助かるだろうな。俺達も手伝う気ではいたが、建築技術とかは微妙な感じだからなぁ)
援軍で各村20名、計40名程にもなるので、これは助かるだろうなと思っていると・・・
「あ、じゃあ家とか村の防護柵を壊すの、手伝ってもらおうかなぁ」
「「「え?」」」
何故かルキは妙な事を言い出した。
俺達はこれに驚きポカーンとしてしまったが、ルキの次の言葉を聞き『そういう事か』と納得、そして『え?本当に!?』と驚愕する事になった。
「あ、いやね?どうせならこの際、一狼のダンジョンにお引越ししてしまおうかとねー。元の構想していた方はまだ未完成だけど、レモン空間?の方には未だ空きがあるっていったたし、一旦そっちにいってもいいよね?いいでしょ?ね?」
なんとルキは移住計画をもう発動させると言って来たのだ。
だがよくよく考えると、そっちの方が確かにいいかもしれないと思い俺は賛同する事にした。
「確かにそっちの方がいいかもな。ダンジョンなら家も数分でポンと立つし、近々引っ越す予定ではあったもんな。あ、ルキの村の人達には全員許可貰ったのか?」
しかしだ、そんな俺達とは逆に、援軍に来た者達の反応はイマイチだった。
「ソ・・・ソウカ」
「みゃぁ・・・ルッキーやルマオ村の人達がいいのにゃらいいニャスが・・・」
だが反対もしていない様で、彼らは作業を手伝ってくれるのだと言う。まぁ彼らも『ダンジョンに移住するか?』と尋ねた時『否』と返した者達だ、気持ちは解らなくはないので、今は笑顔で礼を返しておくだけにした。
そう・・・今はだ。
(ククク・・・作業には数日かかるだろうから、その間にダンジョンステマをしてやろうではないか。お前達も堕ちるがいいさ!)
俺はトッポやニニャス達をリョシン同様ダンジョンの魅力に堕とそうと考えていたのだ。最初はリョシンも彼らと同様『ダンジョンなんて・・・私は行かないんだからネッ!』と言っていたのが、『ダンジョン・・・いいじゃない』と意見を変わったので、彼らも十分に変わる余地はあるだろうからな。
(ククククク・・・美味しいご飯と快適な住居でもてなしてやるからなぁ・・・覚悟するがいい・・・イヒヒヒヒ・・・)
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と、『悪役かな?』と言いたくなるようなセリフの通り、ルマオ村の人達の移住の最中にもてなした結果・・・
「ウム・・・ダンジョンモイイカモシレナイナ・・・」
「にゃ~ん・・・にゃすにゃす・・・」
この様になりましたとさ。
作者より:読んでいただきありがとうございます。誤字報告上げてくれている方、感謝です!
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☆をもらえて、この小説が人気になると、ルキが 語尾ににゃんをつけてくれます。
こちらもよろしくお願いします↓恋愛ではなくファンタジー作品となっております。
『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』 https://ncode.syosetu.com/n2129hm/




