第19話 覇を纏うゴブリンとわんちゃん
ありのまま今起こったことを話すぜ・・・!俺はごぶ助に特殊進化について聞いていたと思ったらいつの間にか進化していた。何を言っているかわからねえと思うが俺もわからねえ。相談だとかすこし考えてだとかそんなちゃちなもんは断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗をあじわったぜ!
ノーシンキング!ノータイム進化だったぜ!
ハッ!?ごぶ助があんまりにも即進化したものだから、心の準備ができずに取り乱してしまった。おちつけーおちつけー。ひっひっふー、ひっひっふー。
よし、もちついた。いや落ち着いた。
「どうしたごぶ?」
「(お・・・おう、なんでもない。それより調子はどうだ?何か体が変とかあるか?)」
「ごぶ・・・。《《我》》の体には特にない変な事はないごぶ」
「(そうか、うん。それはよかった。ところで俺にもどこか変わったところってある?)」
「ごぶごぶ、大きくなったごぶ。顔も少しかっこよくなったごぶ?」
ごぶ助の体の変化について聞いてみるついでに、俺も進化したのでどんな感じで変わったのか聞いてみるとそんな答えが返ってきた。いつもみたいにすごく変わってるって感じでもないみたいだ。
まあいかにも神社に置いてある感じの姿よりかは、進化前の犬って感じのがかわいくていいんだけどな!ゴブリン村のウルフさん達にも「かっこいいじゃねえか坊主」とか「かわいいわねボクちゃん」って評判よかったしな!
それにしても、ごぶ助に自分の変なところはないか聞いてみて、それに「ない。」とか言うが・・・
俺からしたら大分変だと思うんですが!?
進化する前はまさに、『ゴブリン』って感じだったんだが?なんか今は雰囲気が『覇王』って感じなんですが!?顔は無駄に中性的なイケメンだし!そこは劇画調のゴブメンであれよ!
「ごぶ、力がたぎるごぶ・・・」
「(ひぇっ)」
マジで世紀末覇者みたいなオーラが見える気が・・・、なんか声も渋く、そして体がすごく巨大に感じるぅ。
・・・。
いや、声は別に普通だったわ。体も少し大きくなったくらいなんだが、不思議と巨大に感じてしまったわ。
ふぅ・・・ちょっと落ち着いた。どれどれ、ステータスはどうなったんだ・・・?
名前:
種族:ホブゴブリン・覇種
年齢:3
レベル:1
str:183(126↑)
vit:176(132↑)
agi:180(131↑)
dex:153(112↑)
int:85(73↑)
luk:205(164↑)
スキル:パワーアタック 剣術
ユニークスキル:覇王
称号:ダンジョン1階層突破 特殊進化体
あ・・・ありのまま(ry
強すぎん?俺の進化もかすむほどのやばさなんだが?しかもユニークスキル覚えてるじゃねぇか!・・・やっぱりごぶ助主人公説なのかあああああ!
俺はあまりの強化具合に再び激しく動揺する。同じ特殊進化なのだがごぶ助の強化度が半端なさすぎるのだ。俺はあまりの動揺に少し呆けていた。
その間にごぶ助が体の具合を確かめる為か棒で素振りを始める。その素振りの音に俺の意識が戻ってきた。
素振りの音も半端ねえな。ブンブンとかじゃなくブオンブオンって感じだ・・・。剣術の効果もあるんかね?スキルの説明見てみるかな。
『スキル:剣術
・剣の扱いが良くなる。剣の扱いに補正(Lv2)
ユニークスキル:覇王
・すべてに補正がのる。その者覇王が如く。』
ワースゴイナーアコガレルナー。
ハッ!剣術のついでにユニークスキルも見てみたんだが、あまりの事に語彙力がすごいことになったわ。しかし・・・だ、チートや!こんなんチートや!こんなチートなユニークスキルに比べたらわいのスキルは豆鉄砲やで!
そのあまりにもやばそうで字面が恰好いいユニークスキルにまたまた動揺する。しかし今回はすぐに動揺がおさまり、あることに気付いたので素振りをしていたごぶ助に聞いてみる。
「(なあごぶ助、ステータスのスキルってところ、使える技のところな?そこを集中して見ると何か選んでくださいみたいのってある?)」
ごぶ助は素振りをいったん止めて、ステータスを確認しているのか眉間にしわを寄せて宙を見つめている。
「ごぶ、ごぶごぶ・・・。特に何もなさそうごぶ」
「(そっか、ありがとな)」
「ごぶごぶ」
俺が礼を言うとごぶ助はまた素振りを始めた。俺はその横で自分のステータスを見ながら考える。
俺のステータスにある進化特典の選択って、もしかして転生者特典?やったぜ!これで勝つるゥ!
俺は冷静に、何に勝つんだっての!と心の中で一人で自分に突っ込みを入れながら、まだ選択していなかったスキルの取得をしようと再び見てみる。
≪進化特典・選択≫
・3つ のスキルの中から一つ選択して取得できます。
『火魔法』『収納』『ノリ突っ込み』
ふむふむ、やっぱりここは芸人的にノリ突っ込みですねー。って取らんわっ!っていうか何変化しとんねん!自分大概にせえよ!
何故か変化していたスキルに、まさにノリ突っ込みを入れる。一瞬本当に取ってやろうかと考えてしまうが、自棄になってはいけないと心を落ち着かせる。
そして一つ選んでスキルを習得した。
「(おーいごぶ助ー、ちょいとこっちきてー)」
素振りをしていたごぶ助に声をかけて呼び寄せる。
「ごぶ?何ごぶ?」
「(ちょっとその棒でウサギからでた肉を突き刺してみて)」
俺に声をかけられて、素振りをやめて近寄ってきたごぶ助にそう指示をだす。ごぶ助は首を傾げながらも俺の指示通りに、ウサギの肉を棒で無理やりぶっ刺した。
「(そいや!火魔法発動!おいしく焼けろー!お肉ちゃん!)」
「ごぶ!?お肉が焼けていくごぶ!」
そう、俺は火魔法を取ったのだ!そしてごぶ助に肉を棒で刺して持ち上げてもらい、その火魔法で肉を焼き始めた。
進化特典で得られるスキルで収納を取る方がよかったのかもしれない。だが・・・
ッヒャー!ガマンデキネー!バーベキューニシテヤルゼー!
ハッ!いかんいかん。思考が世紀末に侵される・・・。いや、ちゃんと考えたんだがね?頑張れば確かに火魔法は覚えられたかもしれない。しかし、覚えられた《《かも》》だし、《《いつ》》覚えられるかもわからない。そんな中で覚えられる選択肢があるっていうなら、それを取ってもいいんじゃないか?と思ったんだ。それに正直今は収納する物ないしな・・・。
「ごっぶごっぶ!こんがり焼けたお肉ごぶ!」
それにだ、ご覧の通りだがごぶ助が超喜んでいる。せっかく二人して特殊な進化ができたんだ。お祝いで焼肉したっていいじゃない!まぁ塩もなけりゃハーブ等の味付けもないんだが・・・。いや!それでも生肉かじるよりかは美味いし文化的だ!
「ごっぶごっぶ、焼けたかなーごぶ」
「(落ち着け落ち着け、じっくり焼いておいしく食べようじゃないか)」
「ごぶごぶ!そうごぶな!」
フフフ、覇王的なオーラを出していて、ごぶ助も変わってしまったんかと思っていたが、やっぱりごぶ助だな。火が入りうまそうになっている肉を見てはしゃぐ姿は変わんねえわ。
「ごぶ!焼けたごぶ!食べるごぶ!」
「(おう、食べよう!進化記念の宴じゃー!)」
「ごぶ!宴ごぶ!」
そんな、野性度が抜けて文化的になった覇王様とわんちゃんは・・・
め っ ち ゃ B B Q し た !
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人気が出ると作者が覇王になり覇権をとります。




