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第17話 野性的ゴブリンとわんちゃん

 俺が通路の先でとらえた影の正体はこいつだった。




 名前:


 種族:グリーンキャタピラー


 年齢:-


 レベル:1


 str:4


 vit:15


 agi:3


 dex:3


 int:1


 luk:5


 スキル:


 ユニークスキル:


 称号:




 村でよく食べてられていた、あのでかい芋虫である。その芋虫が3匹通路を這っていた。


 こいつもダンジョンに出るのか。でも10階層何だぞ・・・?


 疑問に思いつつも狩れそう、というか狩れる獲物なのでごぶ助を呼びに行ってサクッと倒した。やはりダンジョン内だからか、森で倒していたときは倒してもそのまま体が残っていたのに、今倒した芋虫は消えてしまった。そして消えた場所には芋虫の肉と思わしき物と魔石が3個ずつ残っていた。


 やっぱりごぶ助呼んできて正解だったな。俺じゃ全部持ちきれない。


 俺たちはやばい奴が寄ってくる前に肉と魔石を回収して、素早くセーフティーエリアに戻った。


 セーフティーエリアに帰ると今日も火が使えない食事が始まった。昨日は火魔法を練習したが、さすがに昨日の今日では使うことができなかったのだ。




「ごぶ・・・ごぶごぶ・・・」




「ばう・・・」


(なにもいうな・・・)




 文化的な俺たち(文化があるとはいっていない)はモソモソと芋虫の肉を食べていた。やはり芋虫の肉も焼いた方が美味いのは確実だった。少しクリーミーでマイルドな分ウサギ肉よりかはましだったが・・・。




「ばう・・・ばうばうわう・・・」


(ごちそうさま・・・さあ、今日もスキルの練習でもしようぜ・・・)




「ごぶ・・・」




 微妙な食事にテンションもやや下がり気味だが、やることもないし腹ごなし的な感じでスキルの取得練習に取り掛かる。


 俺が頑張って火魔法覚えるから、もう少し待っててくれごぶ助。


 横で棒をブンブン振っているごぶ助に心の中で誓い、火魔法と念話の取得にいそしんだ。だがそうやすやすとはいかず、この日も覚えられずに終わりを迎えた。




 ・


 ・


 ・




 10階層に飛ばされてから4日目が始まった。




「ごぶ、おはようごぶ」




「ばうわう・・・」


(おはようごぶ助・・・)




 昨晩の事だ。ご飯も食べれて少し先が見えるようになったので、寝る前に少し考えてしまった事がある。ごぶ助は今のこの状況をどう思っているのか、と。


 元はと言えば俺がダンジョンに行くように誘ってしまい、そして罠を踏んでこんなところに飛ばされてしまった。ごぶ助は家族と仲が良かった。その家族とも会えなくなってしまって、その元凶となった俺を恨んではいないだろうか。そんな事を考えてしまったのだ。


 俺はジッとごぶ助の顔を見る。するとごぶ助も見返してきた。




「ごぶ?どうしたごぶ?」




 ごぶ助はそう言って、のほほんとした顔で俺の頭を撫でてくれた。俺はそんなごぶ助の行動に心が軽くなった。


 そうだよな。ごぶ助がそんなことを思うはずがないよな。


 俺たちが出会ってからまだ1年もたってはいないが、そんな奴じゃないってのはわかっていたのだ。だが弱気な考えが出てしまった。




「ばう!ばうばう!」


(何でもない!行こうぜごぶ助!」




「ごぶ?ごぶごぶ」




 俺は何でもないと言い、ユニークスキルを発動させ出発する。ごぶ助はいつも通りに頷いて俺について歩いてきた。


 絶対無事に帰ろうな!ごぶ助!




 ・


 ・


 ・




「ごぶうううううう!おにくごぶうううう!」




「ばうっ!?ばうばう!」


(ちょ!?待てって言っただろおお!)




 いい話風に締めようと思ったんだがだめだった。ハハハ!コヤツメ!


 今日も通路を進んでいたら、また四つ葉ウサギがいた。こいつレアモンスターじゃないの?と思いつつ、また前の作戦で行こうとごぶ助に提案して、ごぶ助もわかったみたいな感じで頷いていたのに!


 本当に仕方のない奴だ!ヤレヤレダゼ!と余裕ぶりたいがそうもいかずに焦って魔法を発動。




「きゅ!?きゅきゅ!」




「ばう・・・ばうばう・・・」


(ふう・・・間に合った・・・)




 何とか間に合った。本当にごぶ助は・・・。




「ごぶ?やるごぶ!」




「ばうばう」


(はいはい)




 まあそれでこそごぶ助だよな。とため息をもらしながらも攻撃を開始した。


 作戦は前回と同じ作戦を取ったのだが、これまたうまくハマり余裕を持って撃破。レベルアップはまたしなかった。だがまた1つだけ葉っぱが付いたクローバーがドロップしていて、それは光の球となり俺とごぶ助に吸収された。


 レアドロップがある代わりに経験値がもらえないタイプなのか?そんな事をおもいつつも、残りのドロップアイテムを回収して直ぐにセーフティーエリアに帰った。


 そして始まるイマイチ盛り上がらない食事だ。




「ごぶ・・・」




「ばう・・・」




 特に盛り上がることなく、それぞれが一言ずつ漏らしながら食べた。


 楽しくない食事タイムが終わるとスキル取得練習のお時間だ。ごぶ助は食事のが楽しめないので、その代わりかの様に棒を嬉々と振っている。俺の方も同じくで、食事の事を頭から追い出すかのように集中してスキル取得のための練習をした。俺の方は一見すると目を瞑って唸っているだけに見えるんだがね?


 そんな風にダンジョン生活4日目が過ぎて行った。




 ・


 ・


 ・




 それからの日々は特に変わることなく過ぎていく。朝起きて、ユニークスキルを使い狩りに出る。なんとか今のところは倒せるモンスターばかりが出現し、それを倒してドロップアイテムを手に入れて、セーフティーエリアに戻る。ご飯をモソモソ食べて午後はスキル取得の為に特訓。


 これの繰り返しの日々が大体50日くらいは過ぎたであろうか。正直あまりハリがない生活なので感覚が曖昧になってきていた。


 ちょっとまずいな、ちょっとここらでテンション上げるか・・・!それじゃあテンションを上げてこの間にあったことを紹介しよう。


 さぁぁて!これまでの日々にあったことは!?




 ・犬とゴブリン、スキルが覚えられない!


 ・食ってやった奴はウサギ、虫、植物、ネズミ!


 ・ごぶ助、野性化をする!




 の3本です!面白く見てくださいね!




 ・・・なんか違うな。ジャンケンもしないからな!何のことだという人は気にしないでくれ。


 でも大まかにあったことと言えば本当にこの3つなのだ。一つ一つ見て行こうか。


 まず一つ目、スキルが覚えられないってことなんだが、まさにそのまんまだ。まぁそう簡単に覚えれるわけはないと思っていたが、全然だめだね・・・。


 そして二つ目、食ってやった奴。あれからさらに四つ葉ウサギを1匹と芋虫を多数。後は今まで見たことなかったんだが、食肉植物と大ネズミの2種類と出会って撃破。この2種類も食べた。まぁ葉っぱと臭みが強い肉だったね。感想はそれくらいしかない。


 最後に3つ目なんだが・・・。




「ごぶ、てき、なぐる、ごぶ、くう、ごぶ」




 ハリのない生活を続けた為か言語が片言、服も擦り切れてきて腰に布巻いているだけ状態。まさに野性のゴブリンといった風格漂わすごぶ助がそこにはいた。




「ば・・ばう、ばうばう」


(ご・・・ごぶ助、狩り行こうぜ)




「うっほごぶごぶ、うっほごぶごぶ」




 やばいごぶ助に声をかけて、ユニークスキルを発動させる。このままだとまずいがどうしたものかなーとか思いながら通路を進む。


 ちなみになんだが、ミノタウロスのいた方の通路。向こうも進んでみたことはあるんだが、ちょっと進むとドスンドスンと重い足音がすぐに聞こえ出したので速攻逃げた。それ以来あっちの方には行っていない。


 考え事をしつつも、最近ちょっと慣れてきた警戒をしつつ進んでいると獲物の気配がした。ごぶ助を留めて様子見をすると、四つ葉ウサギだった。


 直ぐにごぶ助の元へ戻り、四つ葉ウサギに襲撃をかける。なぜか野性化したはずのごぶ助はウサギに直ぐに襲い掛からずに、俺の氷魔法が発動してから突っ込んで行った。野性化じゃなくて理性化なのか・・・?そんな馬鹿なことを考えていたら、ごぶ助がソロでウサギを倒していた。




「ばう!?ばうばう・・・?」


(うそん!?野性の本能なのか・・・?)




「ごぶ、うそじゃないごぶ。ぼうのふりかたがうまくなったごぶ」




「ばうばう、ばうわうばう」


(そうなのか、もしかしたら剣術覚えてたりな)




「ごぶ?けんじゅつごぶ?」




「ばうばう、ば・・・」


(そうそう、え・・・)




 何で会話が成立して・・・まさか!




「プギイイイィイ!」




 ステータスを確認しようとしたところで叫び声がした。叫び声の方を見ると、氷の壁の向こうにオークらしき影が見えた。




「ばうばう!ばうばうわう!」


(やばい逃げるぞ!落ちてるもの回収して俺に乗れ!)




「ごぶ!わかったごぶ!」




 ステータスの確認をやめてごぶ助に支持を出して逃げるための準備をする。ごぶ助は急いでドロップアイテムを回収して俺に乗る。俺の方は時間稼ぎに氷の壁を厚くして、更に床を凍らせた。魔法が発動したらごぶ助を背に乗せて全速力で逃げ出した。




 そして無事セーフティーエリアに戻ることができた。

お読みいただきありがとうございます。「面白い」「続きが読みたい」「こいつ!心に直接っ!」等思いましたら、下にある☆をつけていただきブックマークをよろしくお願いします。


人気が出ると作者が心に直接語り掛けてきます。

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