妊娠!!
初夜を迎えてからは、毎日のように求め合った。
業界人の仕事は不規則。
優悟はそれに加えて人気急上昇中のタレント。
それでもあたし達は愛し合った。
高校を卒業してすぐに結婚し、現在無職のあたしには何の問題もなかった。
でも、一言も言わなかったけど、優悟にはかなりキツかったと思う。
それにあたしは知った温もりをずっと感じたかったから・・・。
――そんな生活も気付けば5ヶ月が過ぎていた。
結婚してから半年。
優悟と、喧嘩もして、イチャイチャもして、新婚さんを満喫していた。
そして、あたしは・・・体の異変に気付いた。
ここのところ、動くのが辛い。
どんなに睡眠をとっても眠い。
だるい。
・・・・そういえば、最後の生理からもう3ヶ月。
もしかして・・・!
あたしはすぐに近所の薬局に行って、ある物を買った。
少し恥ずかしかったけど、調べなきゃ、間違いってこともある。
「・・・あの、コレください。」
顔を真っ赤にして、レジに置いた。
会計を済ませ、あたしは家に帰って、トイレに駆け込んだ。
そして買ってきたそれ・・・妊娠検査薬を袋から出した。
―数分後、くっきりと線が現れた。
陽性の反応。
あたし・・・妊娠してる!?
・・・どうしよう。
どうしたらいい?
まず・・・病院だよね。
たまに間違いってこともあるし・・・。
ちゃんと調べないと。
もうすぐ美菜さんが来る時間だから、聞くしかない。
「おはよーございます、お嬢様。」
5分ぐらい経って美菜さんは来た。
毎日、家のことをしに来てくれてるの。
「美菜さん、来てくれてすぐで悪いけど、話があるの。いいかな?」
「?変なお嬢様・・・。いいですよ。」
「あのね・・・」
あたしは美菜さんに、相談した。
妊娠してるかもしれないこと・・・。
「・・・おめでとうございます!!じゃあ、すぐに病院行きましょう!」
美菜さんの行動は素早かった。
あたしの話を聞き終えて、即、横瀬さんを呼んだ。
そして数分後にはもう横瀬さんの運転する車がやってきた。
「横瀬さん、△△産婦人科までお願いします。」
「・・・?」
横瀬さんは美菜さんの言葉に不思議そうな顔をしたが、すぐに車を走らせた。
そこはマンションから20分程の場所にあった。
少し古そうな病院。
中にはいると、お腹の大きな人が数人いて、温かい顔をしていた。
旦那さんに付き添われている人もいた。
「美波さーん。美波 凜咲さんー。」
あたしの名前・・・。
ドキドキしながら診察室に入った。
医師は年配の女性。
「まず、聞かせてね。」
とっても優しそうな方。
「最終の生理からどの位たってるの?」
「あ、えーと、3ヶ月位です。元々不順で・・・。」
「そう・・・じゃあだるさとかない?」
「あ、はい。少し。ここのところなんかだるくて・・・。」
「じゃあ・・・尿をとってきてもらえるかな。妊娠してるか、確認するから。」
そういって紙コップを渡された。
あたしは案内されるままトイレに行った。
――「おめでとうございます、美波さん。確かに妊娠してます。3ヶ月ですよ。」
「うそ・・・。」
あたし・・・妊娠してる?
本当に・・・。
優悟の子・・・・。
「どうなさいますか?産みますか?」
「・・・・・・。」
「美波さん?」
あたしは自分の世界に入ってた。
信じられなくて・・・驚いた。
本当に、ここに、あたしと優悟の子が・・・・。
「・・・産みます。もちろん産みます!」
殺せるわけがない。
ううん。
だって好きな人の子だもん。
産みたいに決まってる。
「じゃあ、役所に行って母子手帳もらってきてくださいね。次の診察までに。」
「はい・・・。」
あたし・・・ママになるんだ・・・。
まだ信じられないよ・・・。
「お嬢様、どうだったんですか?」
「3ヶ月・・・だって。」
「おめでとうございます!お嬢様!!」
「うん・・・ありがとう。」
ぺったんこのこのお腹に・・・ちゃんといるんだ。
信じられないけど、ちゃんと生きてる・・・。
――優悟は・・・なんて言うだろう。
ビックリするかな。
喜ぶかな。
早く伝えたいな。
子どもができたって。
あたしたち、親になるんだよって。