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初夜・・・?

無事?結婚式が終わった。


あたしと優悟はホテルに宿泊。


普段使わない神経の酷使であたしはヘトヘトだった。


ホテルの部屋に案内されてすぐ、あたしはベッドにダイブした。


優悟はソファに腰掛け、テーブルの上の婚姻届にサインしていた。


あたしのサインはまだない。


ギリギリまで折れたくなかった。


結婚式挙げといてって思うかもしれないけど、それがあたしのプライド。


たぶん今日はサインしない。


なによりあたしは疲れ果ててた。


もう一歩も動けない。


動きたくないのが本心。


そして気まずかった。


何を話していいかわからないし、心を許したという隙を見せたくなかったから。


寝たふりしてると、優悟も話しかけてこない。


・・・まぁ、サインしてるからだけど。


こうやってれば、寝付けるとも思った。


・・・最初は。


一向に眠りに落ちる気配もなく、刻々と時は流れていき、時刻は午前2時を指していた。


サインを終えた優悟は・・・あたしに話しかけてきた。


「凜咲、もう寝た?」


「・・・・・・。」


あたしは寝たふりを続ける。


「なんだ、寝ちゃったのか・・・。」


優悟は残念そうにつぶやいた。


優悟はあたしは寝たと思いこんだ。


そう安心したときだった。


ガバッと何かがあたしを包んだ。


「きゃぁっ!」


あたしは寝たふりを忘れ、飛び起きた。


「やっぱりな。寝たふりしやがってさ。」


ベッドの端に優悟が座っていた。


「バレてた?」


「当ったり前だろ?慣れねぇことすんなよ。」


「もういいじゃない。あたしは疲れてんの!」


ただでさえ疲れてるってのに、一晩優悟と一緒って・・・。


「じゃあもっと疲れることしよう♪」


「はあ?このエロじじい!!ふざけんなッ。」


変態め。


ついに本性現したか。


「凜咲こそ何言ってんの?枕投げしようって言ったのに。エロいねぇ。」


ピキ。


ピキピキ。


あたしの中の何かが切れた。


「・・・死ね。」


あたしは横にあった目覚まし時計を優悟に向かって思いっきり投げた。


あたし、コントロールはある方だと思ってる。


目覚まし時計は見事・・・優悟の大事な所にヒットした。


「う゛っ」


鈍い声とともに、優悟は床に倒れ込んだ。


「ばぁか。」


そう言い残して、あたしはバスルームに入った。


なんとなく入りたくなって。


・・・いや、一言で簡潔に言うと、逃げた。


さすがにヤバいよね。


優悟、怒っただろうし。


あたし、何後悔してるんだろう。


してやったりじゃない。


・・・・あたし。


優悟のこと・・・。


好きになっちゃったのかな。


今もドキドキが止まらない。


―お風呂から出てバスローブに着替えて戻ってくると、優悟の姿がなかった。


「優悟?」


呼んでも返事がない。


何不安になってんの、あたし。


いなくなったんだからラッキーじゃない。


あぁもお!!


あたしはイライラしながらベッドに座った。


「はぁ・・・。」


ため息をつく。


あたし・・・優悟が好きなんだね。


今よくわかった。


じゃなきゃこんなに不安で淋しいなんて思わない。


優悟・・・。


―その時。


いきなり部屋中の電気が消えた。


「嘘・・・停電?」


あたしは暗い所が苦手。


一気に恐怖がきた。


「どうしよう・・・優悟。助けて。」


「はぁい、お姫様。呼びましたか?」


暗闇の中から優悟の声が聞こえた。


「優悟!どこ?」


「ここだよ、凜咲の後ろにいるよ。」


そういうと後ろから抱きつかれた。


「きゃあ・・!」


「凜咲、お前のことが大好きだよ。」


「優悟・・・苦しい・・・。」


「凜咲の気持ち、聞かせてよ。」


「あ・・たしの気持ち?」


「そう、凜咲の気持ち。教えて?」


「あたし・・・。」


「10秒以内に言わないとキスします。10・・・9・・・8・・・。」


「わからない・・・でも・・・嫌いじゃない。」


あたしは曖昧な返事をした。


「ふ〜ん。じゃあキスしよ。」


宣言して優悟はあたしの顔をグイっと後ろに向かせてキスをした。


「ん・・・。」


苦し・・・。


その時パッと電気がついて、お互い顔を背けた。


「・・・凜咲、顔真っ赤。」


「優悟こそ。」


言い合ってさっきのキスの感触がリアルに蘇ってくる。


「・・・・寝るか。」


ぼそっと優悟が言った。


「なにほざいてんのよ!!」


体まで許してたまるか。


「だから・・・エロ凜咲(笑)俺だってねぇ、疲れてんの!・・・まあ、したいって言うんならいいけどさ♪」


―2秒後、バキッという鈍い音がして、優悟の左頬が真っ赤になったのは言うまでもない。


ちなみにあたしは空手をやっていたりする・・・。


――こうして一日が終わっていった。


ラブのらの字もなにもない、新婚とは思えない、不安要素だけがいっぱいの夫婦。


一体どうなることやら・・・・・。

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