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結婚式

お見合いの後、お父様は映画の主演が決まり、長期ロケで不在。


優悟も、写真集の撮影で海外に行くことが多く、その合間に収録や雑誌のインタビューなんかで忙しかった。


その為に時間が作れず、やっと時間ができたのは、3ヶ月後。


もうその時は、あたしの気持ちも何も聞かず、拒否するまもなく、結婚式の日取りの話だった。


――あたしはもう・・・あきらめてた。


最初に結婚しろと言われたときから・・・ううん。


ずっとずっと前から、いつかこんな日が来るんじゃないかって思ってたのかも。


あきらめてしまったら、とても楽になった。


そして、これがあたしに与えられた、運命なんだって思った。


仕方ないで終わらせたくなかったよ、あたしの人生。


でも・・・そう思わなきゃ、やってけない。


自分に言い聞かせた。


―そして、あたしが一言も発することなく結婚式の日取りが、卒業式の5日後に決まった。


それからはあっという間だった。


式場はお父様が友人に聞いてきて、決めていた。


ウェディングドレスはお母様が知り合いのデザイナーに頼んで作ってくれた。


それに関しては、とっても綺麗で、あたしの好みのデザインだったから嬉しかった。


お色直し用のドレスもお母様が手に入れてきてくれた。


あたしはブライダルエステを受けたくらいで、結婚式に関して何も言わず、何もしていない。


招待客も全く聞かされてない。


――そんな状態で、あたしは結婚式を迎えた。


結婚する相手とはこれで会うのは4度目。


お見合いの時以来、言葉も交わしてはいない。


手際よく施されたブライダルメイクもキラキラと輝くウェディングドレスもあたしの心とは正反対。


鏡に映る自分の姿が、憎らしかった。


そして、全てを受け入れて、逃げることもしない自分が腹立たしかった。


「柳様、お式の時間です。」


式場のスタッフが無情にも告げた。


あたしは重い足を引きずるようにスタッフの後をついて行った。


大きな扉の前には、優悟が立っていた。


「何してるの?あなたはあっちじゃ・・・。」


「凜咲、式が始まる前に言いたいことがある。」


「は?」


優悟は深呼吸をして、


「・・・俺と結婚してください。絶対幸せにするから。後悔させないから、俺と結婚しよう。」


キリッとした表情をして言った。


いつものへらへらした男はそこにはいなった。


「順番が逆になったけど、言いたかったんだ。それだけ。」


―あたしはこの時、もう優悟に心を許していたのかもしれない。


とても輝いて見えたんだ、優悟が。


だから・・・少しだけ。


結婚してもいいかなって・・・思った。


優悟なら・・・って。


「あ、凜咲。めちゃくちゃかわいいな。ドレスも似合ってるよ。」


優悟は去り際、真顔で言って、自分で照れていた。


あたしはそんな優悟をみて、顔が真っ赤になりました(笑)。


前言撤回。


やっぱり不安だよ。


ほんとに結婚しちゃうのかぁ・・・って。


乙女の心は複雑なんです・・・。


――3月6日大安吉日。


あたしは・・・優悟と二人、永遠の愛を誓いました。


柳 凜咲18歳。


今日からは美波 凜咲。


人妻になってしまいました・・・・・。




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