結婚・・・!
あたし・・・凜咲は有名俳優、沖田 剣哉と元パリコレモデルの織 紗英香の娘として生まれた。
だから生まれてからずっといつも側にお手伝いさんがいて、広いお城のような家に住み、有名ブランドの服で着飾った。
小学生の時の1ヶ月の小遣いは15万。
中学生の時は24万。
高校生の時は30万。
全て銀行口座に振り込まれてて、買い物は常にカードで済ましていたけれど。
現金で持ってたら、きっと友達なんてできなかっただろうな。
公立の学校に通っていたおかげで、多少はまともな金銭感覚を持てた。
そんな感じでお金には困らなかった。
だけど・・・いつも寂しかった。
忙しい両親は、一年に一度、1日一緒に過ごすくらいで、いつもすれ違い。
お手伝いさんはいてくれたけど、それじゃ心は埋まらなかった。
・・・あたしは愛に飢えていた。
親の愛情を感じることができなかった。
だから・・・初めて彼氏ができたときもただ何となく一緒にいるだけだった。
好きだって言われても、よくわからなかった。
――それはあたしが高校3年に上がってすぐだった。
娘には興味がないと言わんばかりに何事にも無関心でいたはずの親が「別れろ」と言った。
そこまで相手のことを思ってた訳でもないし、親には逆らえなかったから別れた。
でも・・・話には続きがあった。
高校卒業後、あたしに結婚しろと言った。
いつも大人しく言うことを聞いてきたけど、それだけは嫌だった。
「お父様、勝手すぎます!そんな・・・。」
「逆らうことは許さん!!」
「結婚の相手まで指図されたくありませんっ!!」
「もう決まったことだ。」
そう冷たく言い放つとさっさと仕事に向かった。
机に広げられた写真の男は・・・あたしより少し上ぐらいで世間で言うイケメンだった。
あたしはそんなことよりも悔しかった。
今まであたしを見てもくれなかったくせに勝手に結婚話を進めて、相手まで決めて。
逆らえきれない自分にも悔しくて、腹が立った。
――こうして・・・あたしは高校を卒業して5日後。
3度しか顔を合わせたことのない人と結婚式を挙げた。
ちゃんと話したこともない。
お互いよく知らない。
なのに・・・あたしは結婚した。
18になって、2ヶ月と少しのこと。
相手は・・・美波 優悟。
あたしより3つ上の21歳。
これからどうなっちゃうんだろうって。
不安だらけだった―――。