ニャ~・・・97
「ニャンパラリン・・・・・・ルセルティフィキャ(診断書)」
思い出した、今知っている魔法の呪文の語源では、僕が魔法を使える様になる可能性は殆どないんだ、イブリンさんの友達のエルフさんがその生き物独自の語源、言葉で唱えないと駄目だと言っていた。猫語に魔法の呪文があるようには思えなけど。
メグちゃんの魔法の練習の前に杖を借りて呪文を唱えてみたが・・・・・・・。
ミヤちゃんが持ってくれている杖から僕は手を放した、イブリンさんから聞いた光の魔法の呪文が全て唱え終わった。杖が光る事がなかった。
「駄目だったニャン」
「レイ、残念だったわね・・・メグの番だよ」
ミヤちゃんは僕の頭を軽く撫でてメグちゃんに杖を渡した。
「は~い」
「メグちゃんニャン、頑張るニャン」
落ち込んでいても仕方ない、メグちゃんの応援だ。
何故か無性にシャドウボクシングで応援したくなった僕は、ボクサーが吊るされているボールをリズムカルに打っているつもりになる。両手を交互にボールに当ててる様に回せば・・・・・糸巻き巻き糸巻き巻きだなこれは。他に思い付かないからこれでいいや。糸巻き糸巻きパンチ。
「・・・・・・何から唱えた方がいいのかな?」
「手当たり次第よ、どんどん唱えるのよ」
「何がいいかな・・・・・・」
「忘れたニャン?」
「うん、忘れた、昨日話した美味しいお菓子の話で、覚えたはずの呪文が・・・・・・忘れました、お姉ちゃん教えて」
昨日の夜はローラさんが話していた、温かいお菓子? まあ、ホットケーキの事だと思うんだけど、それが食べたい『温かいお菓子なんて食べた事が無いよ、ああ、食べたい』と食べる事ばかり考えてしまっていた。お菓子の話の前にはちゃんと呪文の勉強をしていたのだが。
「そうね、私も温かい美味しいお菓子が食べたい、だから覚えていないのよ。毒が治るとか、傷が治るとかは覚えているけど・・・・・・肝心の呪文は全然、思い出せないのよ」
流石お菓子姉妹だ、僕も串焼きの事を考えると・・・・・・忘れないか、忘れないだろうな。まあ、忘れる事あるんだろう。
「レイちゃん、一番簡単の呪文から教えて下さい」
「ニャン、ニャン、ニャン・・・」
簡単な呪文とはなんだろう、メグちゃんの事をよく考えれば。
「・・・???」
「レイ、呪文は?」
「考え中ニャン」
簡単な呪文・・・・・・二つの呪文を続けるのが回復魔法だ、並べた状態で文字数が少ないのは。
「そう」
ソワン(治療)は後に付けるとして・・・・・・コリール(目薬)は4文字で、リューム(風邪)も4文字か、この2つ以外は5文字以上だな、先ずはこれでいいか。
「コリール・ソワンニャン、リューム・ソワンニャン」
「ありがとう、唱えるよ。・・・コリール・ソワンニャン、出なかったね、次は・・・リューム・ソワンニャン、駄目だ、やっぱり出ない。次をお願いします」
「メグ、レイの言葉のニャンが最後に付いているわよ。もう一度、唱えるのよ」
「レイちゃん、お願いします」
そうかニャンは禁止だニャン。
「コリール・ソワン、リューム・ソワン」
「メグ、頑張れ」
「・・・コリール・ソワン、次は・・・リューム・ソワン、駄目だ。レイちゃん次を」
駄目だったか・・・・・・昨日書いた板を持ってくれば僕が言わなくても良かったんだな。
プワゾン(毒)も4文字だった・・・僕も板が見たいよ。
「プワゾン・ソワン」
「・・・プワゾン・ソワン、駄目だ、次・・・・・・」
「ドマージュ・ソワン」
「・・・ドマージュ・ソワン、次・・・・・・」
「メグ、杖は毎回光っているわよ」
「おお、いつか使えそうだ、レイちゃん、次は?」
そうか、毎回光っているのか、頭を上げないと見えないんだよな、期待して海の方を見ているからね。
次からは文字の数が増えていきそうだ、回復魔法の中に1個だけ違うのがある。ルセルティフィキャ(診断書)はこのままで唱えるば良いんだな。
「ルセルティフィキャ」
「・・・レイちゃん、長いのでもう一度お願いします」
そうだな、長いから一度で覚えるのは難しいな。
「ルセルティフィキャ・・・」
ああ、これは回復魔法じゃないな。
「・・・ルセルティフィキャ・・・・・・出た出た、何か出たよ」
「メグ、飛んでるよ、おめでとう。凄いわね」
「おめでとうニャン、飛んで行っているニャン」
「やった~、魔法が使えたよ~」
メグちゃんの手から出た魔法は海面と平行に飛んで行った。光の魔法の色は薄い黄色か白色、見づらいので直ぐに見えなくなってしまった、まだ飛んでいるだろう魔法はどこまで行くのかな。
「レイちゃん、ありがとう。次の魔法をお願いします」
「メグ、やる気ね」
「うん、全部試したみたい」
「はいニャン・・・ドマージュ・ソワン」
「よし、頑張るぞ・・・ドマージュ・ソワン、次・・・」
この後も僕が言った呪文をメグちゃんは唱えた、全部終わって使えたのは1種類だけだった。
それでも、全ての魔法で杖のクリスタルは光っていたようだ。
どうなのこの状態は・・・・・・分からない、同じ属性だと光るのか、使える様になるから光るのか、光らなくても使える様になったとイブリンさんが言っていた。
「ニャンニャンニャン、浮かれてニャンニャンニャン」
「楽しいニャン、良かったニャン」
「ニャンニャンニャン、どんな効果なのニャンニャン」
メグちゃんが魔法を使えたので、浮かれている僕達。まだメグちゃんしか魔法を使えないけど、僕達は頑張ってきた、学校に通う様になって2年、楽しいんでいたかもしれないど、頑張っていた。そして、三人の中の一人でも魔法が使える様になれば凄く嬉しい。おそらく次に使える様になるのはミヤちゃんだ、僕には言語の壁がある。
言語の壁は直ぐには突破出来そうもない。なら、ミヤちゃんが使える様になる為に何か考えよう・・・・・・何も思い付かない、生活魔法の火魔法は焚火の火を起こす事だけの様な感じだ、攻撃魔法は沢山有りそうだけど、カテゴリーが違うと考えると効率よく練習していた授業の様なやり方では駄目だ、ミヤちゃんは火魔法のどちらかが使える筈・・・・・・イブリンさんに聞いてみたい事が出来た。
「ミヤ~、メグちゃん~、レイちゃん~」
僕達の名前を呼んで大きく手を振るアカリちゃんはホウキを持っていた。
「ニャ~≪皆~、もう直ぐ夕食だよ≫」
「ニャ~≪こんばんは≫」
「アカリちゃん、私、魔法が使えたよ」
お店の前を掃除していたアカリちゃん、モモはドアの前で毛づくろいをしているようだ。
「ええ~、そうなの、凄いね、メグちゃん、おめでとう。ねえねえ、それで何の魔法なの?」
「えへへ、光の魔法だよ、ありがとう」
「凄いのよ、手のひらから薄い黄色の魔法が飛んで行ったのよ、ゆっくりと移動していたの、まだまだ練習が足りない様だけど、使えたんだよね、アカリにも見せてあげたかったな」
「ね~、見せたかったな」
「凄い、光の魔法か、今度見せてね。次はミヤとレイちゃんどちらかな」
「勿論、私よ。レイよりも先に使える様になるんだから」
その通りだろうな、でも、メグちゃんも頑張らないと、あの魔法だけだと・・・・・・少し寂しな。
「そうだ、ライト、レイナを見てい行く? 大きくなったよ」
「見て行く、どの位成長したのかな」
「おいちいでちゅか」
「おいちいでちゅか」
「バブー」
「キャキャー」
ご機嫌な二人が、双子ちゃんに昼食を食べさせてあげている。
「二人共、気を付けてよ」
「は~い」
「分かってます~」
夏の半ば頃だろう日のお昼時、魔法が使えた事でテンションがアゲアゲになっている二人。
イレーヌさんは、皆が協力すればやっていけると思ったのか、30日位滞在してからブランシールに帰って行った。
イブリンさんに生活魔法と攻撃魔法の違いを判別する方法は無いのかと聞いたみたが、分からないとの事だった。杖で何か出来ないかと期待したけど、駄目だった。
「ハリー、仕入れに行かなくていいの?」
「行くよ、リードさんが少し待ってくれと言って来たんだ、街の中で運搬の作業に数日掛かるらしいんだ。それが終わったら、直ぐに出発するよ」
「ポリシアに行くのよね、凄く遠いいのよね」
「夏が終わる頃には帰って来れるかな」
「ええ~、秋物の洋服の販売が遅れるわよ、どうするのよ?」
「夏の洋服の仕入れの時に秋物を少し仕入れてきただろ、少ないかもしれないけど、それで何とかしてくれ、ポリシアには行った事が無いけど、サシンベラの次に織物の盛んな街なんだ。どうしても仕入れに行きたいんだよ」
昔から仕入れなら頑張るハリーさん、新しい街に仕入れに行くようだ。
こんなに違う街の話を聞くのに、シーラス以外だと北の街にしか行った事がないんだよな。
「分かっわ、気を付けてよ」
「おぉ~、お土産を沢山よろしくお願いします」
「お父さん、珍しいお菓子を沢山だよ」
「パパ、沢山お菓子を買って来てね」
静かに食事をしていたジャンも新しい街のお菓子を沢山買って来てと注文している。ジャンはミヤちゃん達の本当の弟だな、食べ物の趣味が一緒だ。
街の名前はポリシア、遠いらしいけど、何処に在るんだ。そうだ、忘れていた、学校の先生の中の誰かに地理を教えてと頼もうと思っていたのが・・・・・・1年以上前だな、ハリーさん達の会話からこのシーラスから近い所の街は知る事が出来たけど、遠く離れている街の名前とどの辺に位置しているのかは会話からでは知る事が出来ない。
ハリーさんの様に他の街に行かない僕には必要のない情報かも知れないけど知りたいな。
「レイちゃんにも何か買ってくるぞ」
「串焼きニャン、美味しいニャン」
「・・・・・・お土産だから、串焼き以外だ」
「気を付けてニャン」
「ありがとう」
この世界のお土産に期待できる物はなさそうだな、やっぱり、食べ物だよな、串焼きが食べたいな、夏になってからは食べていないな。
「沢山食べるのでちゅよ」
「お土産も・・・・・お父さん、メイちゃんとマヤちゃんのお土産もお菓子でお願いします」
「・・・・・・まあ、食べれそうなお菓子を探してみるよ」
おそらく、妹達の分も食べる気で頼んだんだな。
ポリシアはシーラスから南西西ある事がこの教室の壁に掛けた地図で分かった。
僕の申し出にハッとした顔をして。
『そうか、簡単な地図を作りましょう、それを教室に置けばみんなの目に触れる事が多くなります』
マイヤ先生は、教室の中に文字の勉強の板の様に置けばいいと気が付いた様だ。
授業中に街の話を聞けると楽しみにしていたけど残念だった。場所も知りたかったけど、街の規模とか特産品とか色々な事を教えて貰えると期待していたけど・・・・・教室に地図が置かれただけで終わりそうだ。
「ニャ~≪川の先がサーシャルトで、その南西がポリシア≫」
地図が正確なら、ハリーさんが行ったポリシアは随分と遠いとこらになる、凄く遠い所に行ったんだな。
なるほど、何でハリーさんに聞かなかったんだろう。ハリーさんの方が情報が多いし、実際に行っているのに。
「レイちゃん、触らしてくれ」
「ニャ~≪はいニャン≫」
僕が地図を見て街の事を考えているとレイモンド君に話し掛けられた、いつもと同じ触らしてくれだったけど。
その後ろにはルーカス君も僕にお願いしたいみたいな感じで佇んでいた。床の高さが目の位置の様な僕から二人を見上げると、この差は凄いなと思う。昔、生前はあっち側だったのにやけに大きく見える人間を下から見上げる状況になるとは。
二人は学校に来ると必ず僕とモモのところに現れて、僕達を撫でる感触を楽しんでいる。
ここにモモがいないので、ルーカス君は順番待ちをしている。
「僕も撫でるからね」
「ニャ~≪はいニャン≫」
「学校では話さなくなったんだな、ここに来る子が多くなったからなんだな」
「ニャ~≪そうだニャン≫」
僕は頷いて答えた、この街の人全員に僕が話す事の出来る猫だと広めるつもりはない、珍しい猫だと知られ過ぎるのも良くないと考えたのだ。
知られたとしても、話さなければいい。話す猫だと証明できないだろう。
「いいなこのふかふかとすべすべが、大きい猫は毛が太いからこの感触にはならないんだな」
「いた~、質問があります」
教室の入口から顔だけを出した質問少女のグランカさんは・・・・・・僕に質問があるようだ。
「俺達は行くよ、またな」
「まだ、撫で出ないのに・・・・・・」
二人は逃げる様にグランカさんが入って来た入口とは反対に向かって出て行った。学校の生徒さん達に嫌われてはいないけど、質問されるのが苦手な人達は逃げて行くのだ。僕は気にならない、むしろ好きだ。
その理由は簡単だ、分からない事や一つの事を質問しても答えが沢山有るからだ、正解が1個しかないのは勉強の世界だけで、感性や好きな事の情報の捉え方には沢山の考え方が有る、グランカさんの質問は本質を捉える為の物が多い、それに質問される事でよく考えるのも大事だと思う事が多々あった。
好奇心は人を成長させるのだ、体は成長しないようなので内面? 考え方? 適した言葉が思い付かないけど、人として・・・・・・猫だけど、人として成長したいと思う。僕の師匠はキャシーさんだ、人の事を思い努力する、その努力の先に人助がある。
キャシーさんは、知り合いの家に毎日の様に行っているんだと、想像しなくても分かる。僕もでっかい猫になってやるんだ・・・・・・出来る猫、なんて例えればいいのか分からないけど、内面が大人だな、見た目は可愛いままがいい、大好きな子猫のままだ。
「ねえ、何を考えているの?」
いきなり難しい質問をされてしまった。答えやすい・・・・・・話さないけど、答えれない質問か、もっとお題を簡単にして欲しいな。
「ニャ~≪人の役に立つ猫、でっかい猫になりたいと考えています≫」
「ねえねえ、地図があるのはレイちゃんのお願いを聞いたからなんだよね、他の街を知ってどうするの?」
でっかい猫の話ではなかったようだ、どうして地図をお願いしたかを知りたいんだな。
「ニャ~≪そうですね、皆の話の中に出て来る街がどこに在るのか、どんな雰囲気の街なのかを知りたいと思っています≫」
「私の質問の答えを言ってくれているんだよね・・・・・・頷いてくれたからそうなのね。どうして私の前では話さないの? 皆から聞いているよ、レイちゃんが話せる猫だと、質問の答えを長く話してくれているけど分からないよ。声に出してくれないと」
「ニャ~≪すいません、今年から子供達が多く来る様になったのと、やっぱり・・・・・・僕が話す事は極秘・・・・・・少しカッコいいな、極秘にしたいからです≫」
喋れる猫として見世物になるのは嫌だからこれ以上は、知っている人を増やしたくないのが今の気持ちだ。それに他の飼い主の猫の通訳でも頼まれたら大変だ。
ある意味、通訳をしてお金を稼ぐことも出来るだろう、詐欺みたいで嫌だけど。通訳はアカリちゃんとモモの為だけでいいな。
「まあいいわ、今日はご招待します。お父様がレイちゃんに会いたいと言っているんです、お母様もマッサージをして欲しいとお願いしたいと言っていました、さあ、行きましょう」
グランカさんの両親か、とてもお金持ちなんだろうな、今日の洋服は、ワンピースかな、洋服の分類はよく分からないや、お腹近くまで有る4個のボタン、首のところで結んだリボン、肩の部分が丸くふわっとなっている袖、ボタンの下のところにはエプロン? 焼き肉屋さんのお腹部分から載せる布巾位の大きさの布が付いている。
そうか、何個かのパーツを縫い合わせた洋服だ、街の人達の多くが1枚の布から出来ている様に見えるのに、グランカさんの洋服は手間を掛けて可愛く見えるデザインにしてあるんだ。落ち着きのある様に見える若草色の濃い色、濃い緑色の草よりは薄い色かな。デザインもそうだけど、洋服の色とかも高級なんだろうな、染め職人が何処かに居るんだろう。
この街にはいなそうだな、水が沢山必要だとニュースで見たな、昔ながらの染め方だとかの紹介だ。
「ニャ~≪行かないと駄目ですか、お金持ちの家には礼儀の知らない猫は招かない方がいいですよ≫」
「そう、一緒に行ってくれるのね、お父様達が喜ぶわ」
先に歩き出したグランカさんを追いかける様に付いて行くと・・・・・・教室の入口で捕獲された。
「皆にも抱かせてあげてるんだから、私も抱いていいでしょう」
「ニャ~≪はい、落とさない様にして下さい≫」
猫の体になってからは・・・・・・猫に産まれたからは、これが普通なんだろうな。




