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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
88/521

ニャ~・・・88

「これメギだよね」


「レイ、どうなの?」


どうなのと聞かれても、ロージさんが教えてくれた特徴と同じ様だけど・・・・・・僕達の周りにはこの植物が沢山生えている。沢山生えているから分かり易いわよと言っていた。


「似てるニャン、メギかもニャン」


「レイを信じてこの植物の枝の部分を持って帰ろう」


屈み込んで、どうするか考えたミヤちゃんが決断した。この草を集めると。


「この辺に在るのはみんな同じだから、直ぐに一杯になるね」


「アカリ、枝にするの大変だよ」


「お姉ちゃん、一杯集めたよ」


「メグは偉い」


「えへへへ」


褒められて嬉しいメグちゃんの後ろには、アサガの葉っぱが山済みになっている。


ギルドで薬の材料の納品依頼をミヤちゃん達は受けて来た。


リロイ君達とは冬休みになって4回の討伐依頼を一緒にした。今回の納品依頼はミヤちゃん達とアカリちゃんの三人で、一人一種類の依頼を受けて来た、三種類を三人で集める、勿論、僕とモモも一緒に付いて来た。


納品依頼の材料の名前はメギ・アサガ・ユキノシタだ。


全員が素人、それも、植物の名前も形も何も知らなかった・・・・・・知らなくて当たり前だけど、初めての薬の材料の依頼を受けた時に、ギルマスのロージさんに材料の特徴の説明をして貰った。




『レイちゃんは聞いていてね』


『そうだよ、レイちゃん、頑張ってね』


『その~、一応、私も覚える様にするからね』


『頑張るニャン』


『レイちゃん、皆の為に覚えてよ』




最初に一種類の薬の材料の草を皆で決めた、その草の葉っぱをメグちゃんが一人で取って集めてくれた。


「ニャ~≪メグちゃんは偉いね≫」


モモは西の森まで珍しく走って来た。森に着いた後は毛づくろいをしたり寝ているだけ。


「アカリとメグはメギの枝を沢山切ってね、その後は葉っぱを全て取る、レイと私は次の薬の材料を探しに行くわ」


僕達が来ている森はジャックラビットがいた森と同じ森だけど街道から近い場所なので、ジャックラビットがいないだろうと思って、森の入口近くで薬の材料を探している。


「うん、分かった・・・・・・ミヤ、気を付けてよ」


「ええ~、まだ働くの、少し休憩する」


「お疲れニャン、大人の味食べるニャン、疲れ取れるニャン」


「おお~・・・・・・そんな凄い効果が、なら食べる・・・・・・まだ働いていないよね、お姉ちゃん達は」


「先に頂戴」


「私も食べてから頑張る、メグちゃんは少し休んでていいよ」


大人の味を食べているメグちゃんの前に二人の手が出された。


「頑張って下さい」


「「はい」」




メグちゃん達のいた場所からそう離れていない南の方向に探しながら歩いている僕とミヤちゃん。


「レイ、この草がそうなの?」


「はいニャン、ユキノシタニャン」


目の前にある白い小さな花を咲かせたお花の葉っぱが、ロージさんが教えてくれた葉っぱのようだ、葉の周りに産毛の様になっていて、葉っぱの筋が白色、枝の部分が赤紫か白の混じった赤色だと聞いた、全ての特徴が合致したのでこの花の名前はユキノシタだ。


「この花で最後、草の部分を集めるわよ・・・・・・レイは手伝えないか」


手伝えないな、葉っぱ1枚を引き千切るのも大変そうだ。それに猫の僕が手伝うと材料として使えない状態になってしまう。


「寝てるニャン」


ジェシカさんの洋服は暖かい、だんだん眠くなって来た。





「レイ、起きなさい~・・・・レイ、捕まっているわよ、起きろ~レイ」


ミヤちゃんが呼んでいる、ユキノシタの葉っぱは、沢山取れたのかな。


「ブゥ~ブゥ~」


ブゥ~ブゥ~か、豚さんと同じ鳴き声だな。あれ、僕が揺れてる? 痛い? あれ・・・・・・森の中の地面で寝ていたのに地面に落ちた? どうなっているんだ。


「ハァ~、レイ、直ぐに逃げるのよ」


逃げる? ミヤちゃんの声に後ろを振り向くと・・・・・・ジャックラビットが山の様に立っていた、鳴いたのはこいつか。


「はいニャン、逃げるニャン」


「ブゥ~ブゥ~」


「私が相手よ、掛かって来なさい、よくもレイを誘拐したわね」


僕は誘拐されていたのか、もしかして・・・・・・首をつかまれるあれか、よく食べられなかったな。


「頑張れニャン、ミヤちゃんニャン」


どのぐらい運ばれたのか分からないけど、周りの景色が変わっている。


ジャックラビットは1体だ、ミヤちゃんの木刀の攻撃を上手く避けたぞ。


「とりゃ~」


「ブゥ~ブゥ~」


動きが速いジャックビットは屈んで避けたり、飛び退いたりして全て回避している。


「頑張るれニャン、ミヤちゃんニャン」


「レイ、気が散る静かにして」


応援は無用の様だ、狙っていた僕を気にする様子もなくジャックラビットはミヤちゃんに攻撃をした。


無言で応援しよう、あそ~れ、ニャンニャンニャン、あそ~れ、ニャンニャンニャン。猫パンチでシャドウボクシングだ、それ右ストレート・ジャブ・ジャブ・アッパー、ボディブロー・ねじりこむ様にコークスクリューパンチ、日頃の練習で身に付けたパンチだ、僕の筋力だと撫でている位かな、パンチのスピードは全世界一だと思う、リーチが短いから相当速い筈だ。


「ブゥ~」


「ニャ~≪誘拐犯め、ミヤちゃんにやられてしまえ≫」


「ニャ~ニャ~、うるさいわよ」


また怒られてしまった、猫の鳴き声も禁止なのか。困ったぞ、応援も鳴き声も禁止だと何もできない。


そう言えば、メグちゃんとアカリちゃんは何処にいるんだ、モモも近くにいないな。


森だと景色がそんなに変わらないんだよな、目印になる物が無いと迷子になるよ・・・・・・誘拐されたんだから、分かる場所にいる筈がないな。


「とりゃ~、えい」


「ブゥ~ブゥ~」


「レイ、行ったわよ、避けなさい」


「ニャンパラリン、・・・フー」


遂に新しい決めポーズが完成した。練習をしてなかったけど、ジャックラビットの突進を避けるのに横回転のニャンパラリンが出来た、空中で手を出して魔法を撃ったポーズは完璧だった。


「落ちているニャン、ニンジンニャン、レタスニャン、葉っぱニャン、落ちているニャン」


どうだ、ウサギが好きそうな食べ物だぞ。


「ブゥ~」


僕の前に立ったジャックラビットは残念な事に何にも反応してくれなかった。地面を指したのに見向きもしなかった。


「危ないニャン、ニャンパラリン、・・・オー」


おお、バク転のニャンパラリンが出来た。


「とりゃ~、遂に攻撃が当たったわ、レイ、囮ご苦労さま」


「倒れたニャン、もう襲われないニャン」


ジャックラビットは攻撃した時に隙が出来た様だ、走るのが速かったけど、足を止めて戦うとそんなに強くない魔物なんだな、噛まれたら危なそうだけど、ウサギは・・・・・・魔物のウサギも、野菜が好きなのかな? そうか、魔物の生態を知っていれば、戦闘に役立つぞ。


まあ、魔物に遭遇しない事が一番だな。


「レイ、戻るわよ、アカリ達が心配しているかも」





「へ~、そんな事があったんだ、よくジャックラビットを倒せたね」


「お姉ちゃんは、やる人だと思っていたよ、はい、大人の味」


「ありがとう・・・・・・まさか、レイが咥えられて連れて行かれるとはね」


「ニャ~≪駄目だよ、呑気に寝ていちゃ≫」


モモには言われたくないよな、皆と一緒に来てもアカリちゃんのバッグの中で寝ている、森に着いたら寝ている、食事の時だけ起きている、帰りは寝過ぎたので元気だ。


「私も戦いたかったな」


「私も囲い込んで追いかけるの楽しかったんだよね」


「私はもういいかな、そんなに強くないし、街に待ち帰るのが大変だからね」


ミヤちゃんに木刀で叩かれたジャックラビットはどうなったかな、あの位じゃ死ななそうだな。


「一杯取れたから、お菓子が買えるかな」


「買えるでしょう、冒険者がする依頼よ」


「安かったら誰も依頼を受けてくれないわよ」


皆のリュックには薬の材料がパンパンに詰まっている、草の部分と枝の部分だ。メギの枝の部分が薬の材料になるらしい、知識のない僕からすると草の部分が薬の材料に使われると思ってしまうだろう、でも、枝の部分が薬の材料だ、どうやって薬にするのかな思い付かないな。


薬の材料がその辺に生えていると思うと、雑草と呼ぶのは変な感じだ。そもそも雑草の定義は何なんだろう。


皆の集めた薬の材料は・・・・・・販売するのと納品するのではどちらが高くなるのかな。


納品の方が良さそうだな、そんな気がするよ。





「まだ、産まれてなかったか・・・・・・間に合った様だ」


「ハリーさん、運んで下さい」


「ああ、すまんない、産まれてなかった」


「みんな、頑張ってね」


春物の洋服の仕入れからハリーさんが帰って来たようだ。


ミヤちゃん達は先日の薬の材料依頼の報酬でお菓子を食べに市場に向かった、報酬は意外と高くなったのだが、薬にするのには材料の量が少ないのと多いのがあって、同じ量でも安いのと高いの、それに貴重な材料だと少量でも高額だった。ミヤちゃん達の集めた材料には高額の物はなかったけど、薬の材料の価格の事をロージさんに聞く事が出来た。


ミヤちゃん達の取ってきた材料は一般的の材料で、随時納品依頼として募集しているので・・・・・・材料としては安い物だった。それでも、沢山取って来たのでお菓子を沢山買える位の報酬にはなった。


「レイ、この字はシンシアだよね」


「はいニャン、シンシアニャン、ママの名前ニャン」


「これは、ハリーだよね」


「はいニャン、ハリーニャン、パパの名前ニャン」


「・・・・・・シンシア、ジャンは文字の勉強をしているのか?」


「そうよ、レイちゃんにお願いしたのよ。ジャンに勉強したいとお願いされたのよ」


そうだったのか、やけにジャンが頑張っているのは自分からしたいと思ったからなのか・・・・・・シンシアさんが言いだしたんだと思っていたよ。


「ミヤニャン、書くニャン」


「は~い」


ハリーさん達は仕入れた洋服の運び込みをしている、僕とジャンはおもちゃの家で勉強だ。


おもちゃの家は遊び場でもあるけれど、お客さんの少ない時間帯は、ジャンのお昼寝と勉強をするのにも都合がいい、シンシアさんはお腹がでかくなって、あまり動き回るのはよくなさそうだ。


「大変~・・・・・・今日はサキ達が来る日だわ、ハリー、夜はお風呂のお湯を沸かしてね」


「そうか、双子ちゃんは元気かな、可愛いだろうな」


「元気よ、食事を沢山食べるとサキが喜んでいるわ」


「そうか、うちももう直ぐだな」


「そうね、もう直ぐね」


もう直ぐか、気になるな、皆の希望通り女の子が生まれるのか。日本は平均は一人っ子、三人以上は同じ家族の場合が多くて、一世帯当たりの一人っ子の確率が凄く高いとニュースで見たな、おじいちゃんは九人姉弟だ、父さんと母さんは一人っ子だ。


「ここにこう飾って、色は青色がいいわね」


「シンシアさん、ここはこの洋服で赤色でいいんですよね」


「うん、ありがとう」


お店の方は順調だ、季節前から洋服を飾る習慣がついたし、お客さんもそれを分かっているから、季節前に買いに来てくれる。ハリーさんはバーゲンの様に少し安くする事を季節の終わりにする様にした。あの値引きしている書いてある値札の効果で購入する人がいると思う。そもそも、値札が付いていなかったんだから、お客さんも商品を選びやすくなった筈だ。


僕は最近思った、積み木が売れる事で、製作と販売権があるとここまで利益が出るのかと、たまに来る得体の知れない男性達は・・・・・・商人さんで、大量注文をする人、馬車の空きスペースに積み込む為に少量だけど買いに来る人もいる。流石に商人さんで、洋服を買って行く人はいない、まあ。出発前に傷んだ洋服の代りに買う人はいそうだけど。


「メグニャン、書くニャン」


「メグお姉ちゃんの名前・・・・・・書けたよ、合っている」


しかし、ジャンは僕の短い言っている事をよく理解しているよ。


分かり易く喋れば『メグちゃん名前書くニャン』なんだけど、どうして僕が言っている事が理解出来るのかな。


「はいニャン、良く出来ているニャン、字も上手いニャン」


やる気のある子は、書く字が上手くなるんだな・・・・・・勉強のできる子は字がキレイなのかも。


「どれどれ、ああ・・・・・俺よりも字が上手いぞ、凄いぞジャン、いい子だな」


「えへへへ、凄いでしょう」


おもちゃの家の窓から覗き込むハリーさんは嬉しそうだ、ジャンは・・・・・・メグちゃんの笑い方に似てきたな。

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