ニャ~・・・83
「ニャ~≪アカリちゃん、泳げたよ≫」
砂浜では平たい石・・・・・・ハマグリを拾うのにみんな忙しそうだ。
「モモ、溺れないでよ」
「ニャ~≪溺れないよ≫」
ああ、気持ちいな、まだ泳げて良かったな、モモも1年待たないですんだ。
もっと早く東側の海で泳いでいいと許可すればよかったな、ここの波で泳げるなら、波の無い東側の岸壁のところなら大丈夫だったな。
「ミヤ、メグ・・・・・・砂掛けてよ、埋まれないでしょう」
「ママ、僕がする」
「ジャン、ありがとう」
シンシアさんはお腹に赤ちゃんがいるから? ・・・・・・いつもの様に砂風呂で寛ぐつもりだな。
「アカリちゃん、あっちに大きい平たい石があるよ」
「本当だ、大きいね」
「そこの二人頑張りなさい、お土産を持って帰れないわよ」
「分かったよ、頑張ります」
「ミヤ、競争よ」
僕は正座して砂浜の砂に頭を付けてお詫びの申し上げる。
「ニャ~≪すいません、二度と食べたいと申しません≫」
ブクブクさんよりも小さいな、このカニさんは・・・ブクブクさんの次の年に岸壁にいたんだろうな。
「ブクブク」
ブクブクさんの時の教訓を活かして無抵抗降伏だ、視線をあげるとまだ怒っている様に見える。
「ニャ~≪謝ったニャン、許してくれるニャン?≫」
「ブクブク」
カニ語が分からないので許して貰えたのか分からないな、どうなんだろう、正座しているで平謝りをしていた僕は、視線を少しあげてカニさんの様子を再度見たら、カニさんの手が死神の鎌の様に僕に向かって来た、とっさに避け様とジャンプをしようとしたけど正座していたので前に倒れこんだだけ、首を差し出す様な姿勢で倒れこんだ。
「・・・・・・ニャ~≪僕の首が、危険だったニャン≫」
僕の首の近くに振り下ろされたカニさんの手が止まっていた、クロスする様にして違うカニさんの手が見えた。
「ブクブクブク」
「ニャ~≪ブクブクさんだ≫」
僕を助けてくれた手はブクブクさんだった、助けてくれた時の姿勢が前のめりで、甲羅の月のマークが僕に見えた。
「ブクブク」
「ブクブク」
「すいませんニャン、もう二度としませんニャン」
「ニャ~≪レイちゃん、何しているの?≫」
「ニャ~≪悪い事をして謝っているんだよ≫」
「ニャ~≪悪い事をしてはいけませんよ≫」
「ニャ~≪は~い≫」
モモにも怒られてしまった、ブクブクさん達はブクブクしている。
「ブクブク」
「ブクブク」
ブクブク会話をしているけど二人の目は絶えず周りを見ている、カニさんは時折僕に視線を向けて来るけど、最初の頃の睨め付ける様な視線から普通の目? に見える様になった。
「ニャ~≪負けないぞ~≫」
「ニャ~≪カニさんをやっけろ≫」
「ブクブク」
「ブクブク」
「ブクブク」
「ブクブク」
ミヤちゃん達はハマグリを拾い終わって、砂の中に埋まって寛いでいる様だ。シンシアさんは埋まったままで、顔の部分に帽子を載せている、起きているのか寝ているのか分からない。
砂浜の水内際でブクブクさんとカニさんが対決している。
「ニャ~≪落ちちゃうよ≫」
「ニャ~≪ブクブクさん、連続攻撃だ≫」
今は足を止めて、長い手を交互に攻撃を繰り出すブクブクさん、カニさんも同じ攻撃をしてきて、攻撃がぶつかると口の方を上にしてのけ反る。僕とモモはのけ反ったブクブクさん達から落ちない様にしている。
どうなったら勝ちなのか分からない勝負が続いている。
「ニャ~≪横移動は速いんだぞ≫」
「ニャ~≪負けないよ、カニさん頑張って≫」
「カニさん、僕も載せてよ~」
横移動を続けていたら、砂まみれのジャンの近くに来てしまった様だ、カニさん達の上に楽しそうに乗っている猫を見たら子供は乗りたくなるだろう。
ジャンの出現で横移動しているブクブクさん達は止まった。
「ブクブク」
「ブクブク」
ジャンの横で戦闘を始めたブクブクさん達、僕は様子を見る為にブクブクさんから離れて戦闘を見る事にした、反対側のモモもカニさんから離れて事の成り行きを見ている様だ。
どちらも、攻撃を続けていたのに突然止まって、低くなった・・・・・・あれは乗れだな。
「わぁ~い、乗るよ」
「ブクブク」
「ブクブク」
ジャンがブクブクさんの上に乗った、カニさんはモモの前に行って体勢を低くした。モモが直ぐに乗ると、先ほどの戦いが始まった。
「ニャ~≪この戦いはいつまで続くんだ≫」
仲間外れになったので遠くから見守る為にミヤちゃん達の所に行こう。
ミヤちゃんの横で砂浜を見まわしてみると、見える範囲にハマグリがない。ミヤちゃんの横で穴を掘ってみよう、もしかしたら掘れば出て来るかも。
「ここ掘れニャンニャン、ここ掘れニャンニャン」
何もないな、少し頑張ってみるかな。
「ここ掘れニャンニャン、ここ掘れニャンニャン」
何もないな、波打ち際の方に来ちゃたな。ドラマだとこの辺でカップルが海の波を避けて遊ぶんだよな。
「ニャ~≪ブクブクさんに負けるな≫」
「ブクブク」
「ブクブク」
異世界では大きいカニさんが波打ち際で戦っているんだな。それにしても大きいな・・・・・・ジャンは怖くないのか、シンシアさんは気が付いていないから平気か、ミヤちゃん達からは闘いが見えているな、ブクブクさん達が移動すると顔が動いている。
「ここ掘れニャンニャン、ここ掘れニャンニャン」
今大事なのは1個でもハマグリを見つける事、僕の掘れるのは5㎝位だ、それ以上は体の小さい僕には掘り辛い。
確か、掘って取るのがひよし狩りだよな、普通だとどの位掘るんだ・・・・・・あ、貝がいた。大きいぞ、ミヤちゃん達が取っていたハマグリの2倍はあるよ・・・・・・小さい方は僕の手より小さくて、今見つけたハマグリは僕の手の横の長さの2倍位ある。
「焼いて食べれるニャン、大きいニャン」
「ブクブク」
「ブクブク」
「レイ~、何しているの?」
「ニャ~≪レイちゃん、それなあに?≫」
みんなの声が聞こえたので振り向くと、ブクブクさん達2匹が横に並んで僕を見下ろしていた、モモとジャンはまだ甲羅の上に乗っている。
「大きいハマグリニャン、見付けたニャン」
「ブクブク」
「ニャ~≪ああ、僕のハマグリが・・・・・・カニさんに食べられたよ≫」
後ろにいたカニさんが回り込んで来て、僕の前に有ったハマグリを起用に開いて食べちゃった。
「美味しいのカニさん?」
「ブクブク」
「どうしてくれるニャン、酷いニャン、掘るの大変ニャン」
食べ終わったハマグリの貝が僕の前に落とされた、大変ニャン、見付けるの大変ニャン、大きいの食べてみたかった。
「ブクブク、ブクブク、ブクブク」
「ブクブク、ブクブク、ブクブク」
ブクブクさんとカニさんが顔を合わせてないか会話している。ブクブクは言葉なんだ、蟹が話す言葉なんだな。
ああ・・・・・・今までで一番大きい生き物を捕まえたのに? ・・・・・・今まで一回も獲物を捕まえた事がない、猫は狩をすると聞いた事が合ったけど・・・・・・内猫だからいいのか。だいたい、僕みたいな小さい猫に勝てる相手がいる筈もないよ、あの小さかったブクブクさんは乗用車よりも大きく成長したんだから、僕より弱い者はいないよ。
「ブクブク」
「ブクブク」
僕の目の前でブクブクさん達が砂を掘り始めた。
蟹が砂を掘るのは何でなんだろう、落とし穴? 卵を産む? 砂風呂? ・・・・・・・砂の中に卵を産むのは亀だったな。勝負が付かなかったから深い穴を掘った方が勝ちなんだな。
「ニャ~≪どちらが深く掘れたか、勝負なんだね≫」
「ブクブク」
「ブクブク」
「何かあるよ」
「ニャ~≪レイちゃんが見つけたのと同じのが沢山有るよ≫」
「ニャ~≪ハマグリを掘っていたの?≫」
「レイ、何しているの」
「勝負ニャン」
まだ何の勝負をしているのか分からないので説明が出来ない、でも、勝負をしている、目が真剣だ。
「カニさんが穴を掘っている」
「あれ・・・・・・平たい石の大きいのが落ちているよ」
「レイの友達のカニさんが、平たい石の大きいのを見付けてくれたのね」
手にシャベルが付いていかのようにドンドン掘られては移動するブクブクさん達、その後には散乱した大きいハマグリが。沢山焼いて食べれるかも。
凄いぞ、沢山取ったな。僅差だけど、どうなるんだ。
「223個」
「224個」
「224個」
凄いな、大きいハマグリの山が2ヵ所。
見た感じだと、どちらが多いのか分からない、同じ大きさの山が2個ある感じだ。残り少ないので、そろそろどちらかが多いのか分かりそうだ。
「225個」
「225個」
「226個」
「ニャ~≪大きいハマグリが沢山いたんだな≫」
「・・・・・もう無いよ、モモちゃんの乗っているカニさんの負けだよ」
「ジャンのカニさんの勝ちよ」
「勝ったね」
自分達が勝って嬉しいジャンはブクブクさんの甲羅を撫でる、ブクブクさんも撫でられて嬉しそうだ。
「ニャ~≪負けたね≫」
「モモ、残念だったね」
「ブクブクさんの勝ちニャン、勝者ブクブクさんニャン」
「ブクブク」
「ブクブク」
「もう帰るの、ありがとうね」
「美味しく食べるよ」
「モモと遊んでくれたありがとう」
「また乗せてね」
「さようならニャン、また遊ぶニャン」
二人のカニさんの戦いは終わった、沢山穴を掘った両者は、ハマグリを拾おうとしたミヤちゃん達を威嚇して1個づつ数える様にと頑張って伝えてきた、おそらく。10分位はブクブクさん達のブクブクの解析をしていた、ミヤちゃん達に今までの経緯を話したら、ミヤちゃんが『勝負をしているのよ、どちらが多いか数えろと言っているのよ』と的外れだと思う事を言ったけど、試しに、運動会の玉入れの入った玉の数を数える仕方をしてみたら、ブクブクさん達はうんうんと頷いたので・・・・・・ミヤちゃんが思った通りだと思った。それならと、ブクブクさん達の見付けたハマグリを2か所に集めて数えだした。
両者の頑張りは凄かった、ブクブクさんは226個、カニさんは225個のハマグリを見付ける事が出来た。集められたハマグリは僕の10倍位の体積は有りそうな山になった。二つの山を合わせれば20倍だ。
「皆は何をしているの?」
ブクブクさん達が綺麗な海に帰って行くのを見届けていたら、砂風呂から出て来たシンシアさんが大きいハマグリの近くまで来た。
「大きい平たい石を見付けていたんだよ」
「あら~、凄く大きいじゃない、美味しそうよね」
シンシアさんの発言で、みんなの視線は先に集めたハマグリを入れてあるバッグに注がれた。
「入れ替えよう、大きい方が食べたい」
「賛成」
「大きさが2倍なら、甘いのも2倍だよね」
「僕も入れる」
先に集めたハマグリはブクブクさん達が掘った穴に入れて埋めた、もっと大きくなれとお願いして。
「サキ達も喜ぶわね」
シンシアさんの一言が無かったら、気が付かなかったかも。凄い戦いに僕達は驚いていたから。
美味しいハマグリが食べれるんだな。
「レイちゃん、串焼きです」
「ニャ~≪串焼き美味しいニャン、沢山食べるニャン」
お皿の上に串から外されたお肉が載っている、今日のお昼の串焼きだ。
「マイヤ先生、お先です」
「ドア、お願いします」
「はい、ご苦労様です」
「ニャ~≪レイちゃん、美味しいよ≫」
マイヤ先生は授業の無い時に露店に串焼きを買いに行ってくれた。
授業が終わった時間に教室に向かいに来てくれて、猫学生とモモはマイヤ先生のお昼のお誘いに職員室の大きい机の上に来た。
何で串焼きをご馳走になっているか分からないけど、今は串焼きに専念しよう。
「私も食べるね」
「ニャ~≪どうぞ、モモと二人で食べるには多すぎると思いました≫」
「本当に大好きなのね」
「ニャ~≪この世界で一番美味しです≫」
「ニャ~≪お肉とお菓子は美味しいよね≫」
うんうん・・・・・・モモはパンも大好きだよな・・・・・・食べ物全てか? うん、食べ物全てだ。
今年は当たり年だな、串焼きを何回食べたか思い出せない位食べた、次はミヤちゃんの誕生日に食べれる。
「トントン、トントン・・・・・・・」
マイヤ先生の目的は国語の授業の板の説明だった、前に説明したけど、もっと詳しく教えて欲しいと言われた。
職員室に常備されているトントン板を机の上に載せてお願いと言われたので、説明を始めたところだ。
≪全く分からない時の勉強の進め方と、文字が少し分かってきた時の進め方をあの板に書きました・・・・・・≫
「なるほど、初めて勉強する子には簡単で日常的に使っている言葉からで、少し出来る子にはそれに合わせた言葉を教える。どうしてこの進め方がいいの?」
「トントン、トントン・・・・・・」
「やる気がなくならない様に徐々に難しくするのか・・・・・・そんな事考えた事ないよ。そうか、難しすぎるとやる気が無くなるよね」
机の上にまだいるモモはトントンと叩く音で寝てしまった様だ。
忙しい僕は猫らしくないな、冬休みになったら暖炉の前で沢山寝よう。
「だいぶ分かってきたは、3枚目の板はどんな役目なの?」
追加で3枚目をメグちゃんに書いて貰ったんだ。
「トントントン・・・・・・」
「レイちゃん、リズムカルにすると分かり辛いです」
「ニャ~≪すいません、飽きてきたので少し工夫をと≫」
「トントントン・・・・・・」
「ああ、よく使う単語なんだ、それで。はい、いいえ、分かりません、分かりました、お母さん、お父さん、日常的に使う単語の羅列なのね。この3枚が有ると授業が進め易い・・・・・この後は私が考えないといけないのよね、大変ね」
「ニャ~≪それは、他の人と協力・・・・・・トントンしないと≫」
「ん・・・・・まだ何かあるの? もう一度最初からお願い」
声に出してトントンだ。
「トントントン・・・・・・・」
≪同じ教科の人と、どう教えるか、どう進めるかを相談する事で、色々なやり方が分かると思います。良い例が、ロバート先生とパール先生の授業です、二人は協力して生徒さんの成長を効率よく伸ばす事を考えているます、終わり≫
「ニャ~≪モモ、帰るよ、アカリちゃんが待っているよ≫」
幸せな寝顔のモモを起こして帰ろう、アカリちゃんと別行動の時には一緒に行動すると約束しているからね。
「よく分かったわ、そうか、一人で考えるよりも沢山の人の考えが必要なのね・・・・・・ありがとう、レイちゃん。授業も進めやすくなったし、いつもよりも皆の吞み込みが早いような気がする、また相談に乗ってね」
「ニャ~≪レイちゃん、帰るの≫」
「ニャ~≪帰るよ、マイヤ先生さようなら≫」
「ニャ~≪マイヤ先生、ごちそうさまです≫」
串焼きのお礼とお辞儀をすると、校舎を出た。
校門の所で手招きする手が見える・・・・・・質問少女がいる様だ。モモと校門を出た所には質問少女はいなかった。手招きしているから、待っているのかと思ったけど、帰ったんだな。
「ニャ~≪モモ、アカリちゃんのところまで体力作りだ≫」
「ニャ~≪は~い、体力付けるよ≫」
いつもの通学路を全力で走る、全力は久しぶりだな。
「ニャ~≪追いつけないよ≫」
振り返ると、体力のないモモが一生懸命に走っていた・・・・・・早歩き位でいいか、その方が体力が付く。




