ニャ~・・・82
「どうして皆がここにいるんじゃ」
ロイ先生が驚いている様だ、僕の後ろには皆がいる。
「レイが秘密の話がると言っていたから」
「レイちゃんがいるところに、いたいから」
「レイちゃんがモモも一緒に行こうと言ったから」
「ニャ~≪美味しい物が食べれると、レイちゃんが教えてくれたから≫」
「うむ・・・・・・まあ、関係者だからいいかのう」
ロイ先生からの呼び出しで、ドアが付いている教室の向かいの教室に授業が終わってから向かった。
事前に今日の事を成り行きで話して聞かせたので、まあ、付いて来た。
「ごめんニャン、口が滑ったニャン、ついヨダレが出たニャン」
そう、串焼きの事を考えていた時にヨダレが出たのだ。
最近、よく美味しいお肉を食べる機会が多いけど、串焼きを思い浮かべるとヨダレが出る事があるんだ、拭けばそれでいいんだけど、ミヤちゃん達に気付かれてしまったのだ。そんな訳で話すしかなかった。
「ニャ~≪難しい話は分からないので、寝てますね≫」
流石我が妹、猫らしく口を出さないで、食事の時間まで寝るんだな。
「この問題は秘密じゃ・・・・・・いや、問題は秘密ではない。その対処法をレイちゃんにお願いした事、みんな守れるかな?」
「難しすぎて、話す事が出来ません」
「うん、秘密にしたいけど何を話したらいけないのか分かりません」
「あの・・・・・・話が終わった後に何を秘密にすればいいのか教えて貰えれば、秘密に出来るかと」
「おお・・・・・・アカリちゃん、偉い・・・・・・そう、それがいいよ」
「アカリの案に賛成です」
「うむ、そうだな、分かり辛かったようじゃな、先ずは話そう・・・・・・この街の住民が増えている、それは旅人とか他の街から来る者達の事ではなく、赤ちゃんが多く産まれている事だ、それは良い事でめでたい」
「お母さんがもう直ぐ赤ちゃんを産みます、冬頃だと」
「うちの母さんも冬の終わり頃が予定日です」
「うむ、他の街の事は分からないが、来年か再来年以降には学校に通って来れる年齢になる者が今の2倍以上だと街の役所の者が言っておった。この学校の教室が足りなくなるかもしれないのだが、それは大きな問題ではない、全ての子供が8歳になったからと学校に通って来るわけではあるまい、学校に来る子供が年々増える事は事実のようじゃ。そこで、基本の言葉の勉強と計算などの勉強に個人差が起きると思う、今でもマイヤ先生の授業に付いて来れない者達が多い、マイヤ先生だけの努力で何とか出来る事ではなくなってきているのじゃ」
「言葉の勉強は大変だった、レイちゃんが教えてくれなければ、大変だったよ」
「それじゃ、メグちゃんは最年少なのに・・・・・・最年少のうちに文字が分かっていたとマイヤ先生が褒めていた、1年前の8歳で文字が書けるのは凄い事だ、ミヤちゃんとアカリちゃんは8歳の時文字は書けたのか?」
「・・・・・・レイが来る少し前の位に少し書ける様になったと思います」
「私もミヤと同じ位かな、ミヤとメグちゃんが勉強していると聞いて私も勉強を始めました」
「うむ、勉強熱心でいい事じゃ、ミヤちゃん達のお母さんのシンシアさんがレイちゃんに言葉と文字を教えたのは私だと言っていたけど、本当なのかレイちゃん?」
「本当ニャン、勉強熱心ニャン」
うむ、詳しく説明するのはやめよう、シンシアさんの勘違いが多々あるけど、勉強を教わったのは本当の事だ。
ところで、僕に相談したい事は何だろう、今の流れだと学校に通って来る子供達が多くなる、文字の勉強はとても大変だ・・・・・・猫学生は猫の教師に、何か変だな・・・・・・猫の先生・・・・・・生徒さんに勉強を教えるのが猫の僕、先生猫・・・・・・これが一番分かり易い単語かな、先生は猫だった。
「うむ、それでじゃ、去年の冬に・・・・・・210回分の魔法の練習を永遠としてくれた根性と分析、その分析能力を文字の勉強にも生かす方法を考えて欲しい」
ロイ先生の頼み事は密かに考えていた作戦、文字の勉強の教材を作ろうと被ってしまっている。
ミヤちゃん達の使ったお金を取り戻そうと考えた僕は、勉強の教材を販売しようと考えていた、ジャンも使えるし一石二鳥だと思っていたけど一石にしかならない様だ。
「はいニャン、簡単ニャン、もう出来ているニャン」
「・・・・・・なに~~~~~、簡単でもう出来ているとは、説明をお願いします」
「流石ねレイ、問題は解決ね」
「うん、難しい問題だった」
「その、問題が早く解決して良かったです」
「はいニャン、説明は後日ニャン、用意がいるニャン、串焼きを食べるニャン」
「そうか、後日分かるならそれでいい、約束のお肉を奢ろう」
モモを起こそう、直ぐに食べれて嬉しいだろう。
「ニャ~《レイちゃん、お菓子美味しいね》」
「ニャ~《モモ、良かったな》」
お昼をロイ先生に奢って貰った、いつもの串焼き屋さんだ。
串焼きを食べ終わると、お菓子も奢ろうと言ってくれた言葉に甘えてみんなは焼き菓子を食べた。
食べ終わるとロイ先生に頼まれた勉強の方法を書く為の板を買って貰った、その板を持っているのはミヤちゃんだ。僕とモモには持てないからね。
「アカリ、今日はうちに来る日だよね」
「お世話になります」
「みんなでお風呂で遊ぼう、モモちゃんと勝負だ」
「ニャ~《負けないよ、連勝中だよ》」
「ニャ~《モモも海で泳ごう、気持ちいいよ、泳ぐ練習にもなる》」
「ニャ~《いいの? 今まで駄目だと言っていたのに》」
「ニャ~《いいよ、もう海でも大丈夫だよ》」
「ニャ~《嬉しい、明日行こうね》」
「ニャ~《アカリちゃんが許してくれたらね》」
「レイ、この板に書けばいいなよね?」
「ニャ~《そうだよ》」
「レイちゃんが歩きながらの会話は禁止だと言っている」
「モモ、抱くから来て、疲れたでしょう」
「ニャ~《わぁ~い、抱っこだ》」
そんなに歩いていないけど、モモは甘えたいんだな・・・・・・アカリちゃんもだ。
アカリちゃんの家が見えてきた、二人は夕食後にお風呂に入りに来る。それは約束だから、モモが入りたい時にはアカリちゃんが連れてくる、お風呂に入れるとアカリちゃんも喜んでいた。
「これでいの?」
「はいニャン」
「レイちゃん、私の方は?」
「良く書けてるニャン」
「終わった~」
「ご苦労さま二人共」
勉強用の言葉の語順表が書き終わった。
完成したのは、夕食を食べた後の少しの時間だ、床に置かれた2枚の板に、ミヤちゃんは覚えやす様に並べた単語をメグちゃんは一文字ずつを覚える順番で書いて貰った。
二人が作業をしている途中にアカリちゃん達がお風呂に入りに部屋にやって来た。
「お待たせ、アカリ、モモちゃん、お風呂に行こう」
「ニャ~≪お風呂だ≫」
「ジャンも連れて行かないと、お母さんに頼まれているんだ・・・・・・ジャン、起きて、お風呂だよ」
「お風呂・・・・・・お風呂、僕も入る」
少し寝ぼけているジャンの手を引いてメグちゃんが出て行く。
「お風呂ニャン、キレイに洗うニャン」
「レイちゃんの風呂好きがモモにも移ったんだね」
「ニャ~≪そうだよ≫」
そうだったかな、最近の事なのに忘れたよ。
「レイ、ほら、行くよ」
ミヤちゃんに抱かれてお風呂に向かう。
ミヤちゃん達のお陰で完成したな、簡単だと思っていたけど、シンシアさんと勉強した時に思った事をちゃんと憶えとけばよかった。簡単だと思った作業は、整理できていなくて、勉強の進め方通りになっていなくて何度も書き直して貰った。
ロイ先生に奢って貰ったけど、実際に働いて大変だったのはミヤちゃん達だ。結果的には全員が奢って貰って良かった。
「ニャ~≪何か忘れているよな、ああ・・・・・・ミヤちゃん達の誕生日だ≫」
「レイ、なんて言ったの?」
独り言を呟いてしまった様だ。
「ミヤちゃんの誕生日ニャン、プレゼントニャン、見に行かないニャン」
「・・・・・・忘れてた、プレゼントを探しに行かないと、レイ、ありがとう」
忘れる事があるのか、年に一度の・・・・・・・沢山のお菓子が貰える日を。
「気持ちいいニャン」
「そうか・・・・・・撫でると気持ちいいのよね・・・・・・うん、そうだね。そうか、撫でると気持ちいいのか、会話出来ると喜んでいるのか分かるんだね」
「はいニャン」
そうだな、猫が気持ちいい表情をしていると人間は気持ちいいだろうと思うけど、実際の気持ちを聞ける事はないんだよな。ミヤちゃんは、全ての世界初・・・・・・ペットの気持ちを聞いた人間だな。
あれ、動物で人間の言葉を話すのも初だな、初が無ければ初もなし・・・・・・なんだ、当たり前の事だな。
「家の中に家、意外と馴染んでしまいました」
「そうよね、ナタリーと私は、シンシアさんの誕生日に貰った物があの家だと知りませんでしたけど、見られない様にするのは大変でした。まさか家の中に家を建てているとは誰も思いませんよね、お客さんにもよく質問されるんですよね、あそこに住んで居るのと、外・・・・・・おもちゃの家の外から中が見えるのに住んで居るのと聞かれるとは・・・シンシアさん聞いています?」
「・・・・・・聞いていたわよ、でもね、二人の給料を・・・・・・」
「ええ、またですか」
「そんな~」
「え・・・・・・違うのよ、ちゃんと合っているか数えていたのよ」
「そうだったんですか、驚きましたよ」
「私もです、一瞬あそに住もうかと思っちゃいましたよ」
僕には聞こえていた、お金を数える呟きと硬貨が当たる音が、それとジャンの寝息の音が。
「ハリーさんは仕入れに行ったんですか?」
「はい、給料よ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「そうよ・・・・・・何でサシンベラに向かったのかしら、秋物の洋服もサシンベラに買いに行ったでしょう、冬物もサシンベラに仕入れに行ったのよね、何でかしら」
昨日の夜はいつもの雑談の時間になった。布団に挟まれて暖炉のぬくぬくはいつからかなと考えて寛いでいると、仕入れの話をしだした二人が視線を向けて確認してくる、もう自分達の考えた事に自信を持っていいのに『いいのよね』と最後に付けて僕を見るから、『はいニャン』と答えるしかなかった。
「・・・・・・また、冬の洋服が安くなると思ったから?」
「・・・・・・分かりません」
お客さんがいなくなると、集まって来て雑談の時間になる。カウンターの上で寝ている僕は撫でて貰えて気持ちいい、マッサージをされている気分だな。
ジェシカさんの答えは分かりません、前のハリーさんを知っている人だと分かりませんが正解だな。
「レイちゃんは何か分かる?」
何故寛いでいる猫の僕に聞くのだろうか、僕に分かる筈もない、思い当たるのは・・・・・・冬の洋服なら生地が厚い方が暖かい。それに、生地が厚いと動きづらいので、上質な生地の方が値が張るけど長く着るなら高くても買う? 庶民の考えだな。
コスパで洋服を選ぶだな。
「冬の洋服ニャン、暖かいニャン、いい生地がいいニャン、高くても買うニャン」
「・・・・・・冬の洋服は暖かいから高くても買う」
「サシンベラは高い洋服よね」
「サシンベラの暖かい冬の洋服は生地が良くて高いけど買いたくなる?」
「はいニャン」
僕が思うのは今の理由だな、本当の理由はハリーさんに聞かない分からないけど、冬は色々と買い物すると聞いた事がある・・・・・・ボーナスが出るから? この機会に普段買えない物を買うそうだ。
佐藤家ではそんな事はなかったな、原価近くになるようにと考える我が母と妹、そのせいでお菓子の材料から調理方法まで・・・・・・なるべく安くなるようにと色々させられた。
「いい推理ですね、ハリーさんはレイちゃんの言った事と同じ事を考えたんですよ」
ハリーさん達は帳簿を付ける様になった、しかし、僕がシンシアさんにへそくりの話をしたのでどこかに隠している様だ。いいのかしらと言うので儲かっている時にはどんどんすると楽しいよと言っといた、どうせ生活費にしか使わないんだから、隠し財産はあってもいい。ミヤちゃん達の隠し財産のお陰で今があるんだから。
「レイ、海に行くよ」
「アカリちゃんが迎えに来たよ」
倉庫から入って来たミヤちゃん達の後ろには、大き目のバッグを持ったアカリちゃんと足元に居るモモが手を振っている。
「シンシアさん、こんにちは」
「ニャ~≪こんにちは≫」
「こんにちは、アカリちゃん、モモちゃん」
足元に来たモモをシンシアさんは抱いて撫でてあげた。
「僕も行く、海に」
「お母さん、どうする?」
「・・・・・・海よね、危ないのよね、子供達だけだと危険よね」
3回語尾がよねは、行きたいけどどうしようか考えているよねだ。
「シンシアさん、店番は任せて下さい」
「そうですね・・・・・・ナタリーだけだと心配ですけど、私がいますから大丈夫ですよ、行って来て下さい」
「ええ~、私だけでも大丈夫ですよ、完璧ですよ、今では」
「・・・・・・二人のお言葉に甘えて行って来るわね、今日のお昼は奢るから、後で代金を教えてね」
「やった~」
「何を食べようかな」
店番を二人に任せてシンシアさんも行く事が決定した、お昼が奢りになった二人は手お取り合って喜んでいる。奢りは凄く嬉しい、僕も奢りは大好きだ。
「ジャン、いってらしゃ~い」
「は~い、行って来ます」
「シンシアさんがいるけど、気を付けてね」
「ありがとう、行って来ます」
「ニャ~≪レイちゃん、今日こそ泳ぎたい≫」
「ニャ~≪波が有るけど大丈夫かな≫」
「さあ、行くわよ・・・・・・平たい石・・・・・・貝だったかしらを取りに行くんだから、もっとバッグが必要よ」
そんなに取って来たいのか。
ミヤちゃんがバッグを取りに行った、ハマグリが沢山落ちているといいな。




