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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
80/521

ニャ~・・・80

ロイ先生が静かに語りだした。


「7年前に近所のお年寄りが亡くなったんじゃ、それは寒い冬の朝の事だった。そのお年寄りは奥さんを数年前に亡くして一人暮らしをしていたんだが、暖炉の火を起こせなかった様じゃ。暖炉の前で布団を掛けて倒れていた、手には薪を持っていた。寒い中、布団を羽織って火を起こそうとしたんだろうと私は思う。キャシーはその家に何度も遊びに行っていた、もし自分がいつもの様に遊びに行っていれば、どうにか出来たと思ったんだろう。学校に通う年になってから、真剣に魔法の練習をしていた、いつか生活魔法の火魔法で大変な思いをして火を起こしている年寄りの家に火を起こしてあげる為にじゃ。今のあの子は14歳だ、この学校に通えるのは後1年じゃ、あの子が火魔法を使える様になった時、とても嬉しかった。その魔法が今日、生活魔法だと分かった時のあの子の笑顔に涙が出たんじゃ、よう分からんがレイちゃんの練習方法で魔法が使える様になったのかも知れん、他の生徒が使える様になってきているが・・・・・・使える様になった生徒が多すぎる、こんな事は初めてだ、レイちゃん、ありがとう」


「はいニャン、僕も嬉しいニャン」


「ニャ~≪凄い話だね、お肉のお姉さんは優しいお姉さんなんだね≫」


僕は疑問に思った事を聞いてみた。


松明を持って火を起こせばいいのではと聞いてみたら、冬の街で火を持ち歩くのは危険だと、木の生えている場所が多い事と海風で松明の火の勢いが増す事、何かあったら凄い火事になる可能性があると言われた。火は使い方を間違えるととんでもない事になる。


消防車でも火を消すのが大変だ、あのオーと唱えて火事を消せたのも火が付いてから発見が早かったからかもしれない。


「マイヤ先生、またね」


「お気を付けてお帰り下さい」


僕達がいる教室の前があのドアのある部屋だ、マイヤ先生に挨拶した声は男の子だった。いつもの質問少女以外にもあの小さい教室を利用している人がいるんだな。


「レイちゃん、学校のドアが閉まる、我々も帰るとするか、ありがとう」


「ニャ~≪ありがとう、ロイ先生、妹は元気になりました、お礼を言うのを忘れてました≫」


「ニャ~≪ありがとう、お魚さん、また食べたいよ≫」


前の部屋の男の子の声を聞いた少し後に、ロイ先生と別れて校舎から出た。校庭を見回したけど男の子はもう学校を出た後の様だ。


「ニャ~≪さあ帰ろう、今日のお昼は何かな≫」


「ニャ~≪干し肉とパンだよ≫」


妹はパンが好きなので干し肉とパン、僕は干し肉と野菜だ。干し肉だといいけど、塩漬けのお肉かも。






僕がローラさんの家から帰って来たら、リードさんの馬車が家の前に止まっていた。


「ハリーさん、ありがとうございました」


「いつもありがとう、今年は1回多くなったよ。次は秋の始め頃だ、またよろしく」


「こちらこそ、お疲れ様です」


「お疲れ様です」


「リードさんニャン、お帰りニャン、お疲れニャン」


もう荷物は運び入れたんだな、馬車に乗るリードさんに手を振って旅のお礼を言った、ハリーさんの仕入れに毎回付いて行ってくれる、病気とかしないのかな。


「レイちゃん、ありがとう」


「レイちゃん、ただいま、どうだ、レイちゃんの妹は元気にしているかい?」


「はいニャン」


リードさんとの挨拶が終わるとハリーさんは、倉庫からお店の方に向かって行った。


「もう開けてます、いいんですよね」


「二人共、仕事が早いね」


「お客さんがいませんから、今のうちです」


凄いな、仕入れて来た商品を直ぐに出しているんだ。


部屋に戻ってリュックを外して貰おう、ミヤちゃん達が喜ぶぞ。






「ニャ~≪レイちゃん、ハリーさんは何の話をしているの?≫」


「ニャ~≪ハリーさんは洋服を販売しているんだけど、その仕入れの話だよ≫」


「ニャ~≪難しい話だね≫」


暖炉の前の布団に2人で挟まれている、首だけ出して夕食後のひと時を過ごしている、ハリーさんは僕にも聞こえる様に少し声を上げて話している様だ。


「高価な洋服が少し安かった、沢山仕入れるよりも値段の差がある方がいいと思って、3段階の値段の洋服を仕入れて来たよ」


「洋服の種類と違う価格の商品があるのね、お客さんも喜ぶわ、前と違ってお店の中で洋服を選んでいるのが長いのよ」


「価格が手頃なのは多めに仕入れて来たよ」


「パパ、お土産を食べに行って来るね」


「階段に気を付けろよ」


「は~い」


先に部屋に戻ったミヤちゃん達はジャンの分も持って行っている、まだ荷物を持って階段を上がるのはジャンには危険だ。


「シンシア、体の調子は?」


「大丈夫よ、サキも調子が良いと言っていたわよ」


「そうか、サキさんが先だ、元気な赤ちゃんが産まれるといいな。その後はうちだな、男の子かな女の子かな」


「ハリーさんニャン、名前を今から考えるニャン」


「・・・・・・そうか、今から考えとくか、シンシアも考えてくれよ」


「そうね、ジャンの名前はレイちゃんが付けてくれたけど、今度こそいい名前を考えるわ」


「僕は部屋に戻るよ、流石に疲れた」


「ご苦労さま、ゆっくり休んでね」


「レイちゃん達、おやすみ」


「お休みニャン」


「ニャ~≪おやすみ≫」


ハリーさんがいなくなるとシンシアさんは後片付けを始めた、僕達の近くを通るシンシアさんはとても楽しそうだ。


「男の子だったら、マック・・・・・どこにでも居そうで嫌ね。女の子だったら、カサンドラ・・・・・可愛い感じがしない、しっかりした子みたいで嫌だわ、ミヤとメグみたいにいい名前は無いのかしら」


名前を考えているから嬉しいのか・・・・・・僕の妹の名前は誰が考えるんだ。そうだな、近いうちにお願いしてみよう。


その前にシンシアさんの誕生日だ、今年はミヤちゃん達は美味しいお菓子を買って来るだけだな。


「ニャ~≪レイちゃん、眠くなって来たよ、部屋に戻ろうよ≫」


「ニャ~≪挟まれに行くぞ、競争だ≫」


「ニャ~≪負けないよ≫」


「シンシアさんニャン、お休みニャン」


「レイちゃん、後で来てね」


「はいニャン」


マッサージを頼まれたぞ、お腹が大きくなったら出来ないから、今のうちにして欲しいんだな。


感謝を込めて丁寧にマッサージをするか。


「ニャ~≪私の勝ち≫」


「ニャ~≪負けた≫」


「レイ、真ん中あいてるよ」


「私の方には子猫ちゃん来てね」


ベッドの上でお菓子を食べていた二人の間にジャンプして飛び込む。


「親方が、用意は出来た、予定日からお店に来ると言っていたわよ」


「楽しみだな、ジャンが喜びそうだよ」


「楽しみニャン」


「ニャ~《おやすみ》」


子猫の妹は早く寝る、僕はシンシアさんに呼べれるまでのんびりしていよう。





「ほら、うちのパンだよ、美味しいだろ」


「ニャ~《美味しい、ふわふわの柔らかいのが好きだけど、硬いのも美味しい》」


「レイちゃんは、パンを食べないんだよな、姉妹でも好みは違うんだな」


「ニャ~《パンは美味しいよ、でも、喉が渇くからあまり食べたくないんだよ》」


「猫って、人間の言葉がわかるんだな、話せたら面白いのにな」


僕を手に乗せて撫でているのは、西側に住むレイモンド君だ、家は鍛冶屋さんで高級な剣を扱っていると自慢していた。


我が妹にパンをあげる為に屈んでいるのはルーカス君だ、二人は猫好きで、最初に会った時からいちゃもんを付けている様な感じで近づいて来て、普通に僕を撫でる。


確かツンデレか、まあ、そんな感じの2人だな。


「レイちゃんは、魔法の練習をしているだろ、使える様になりたいんだな。しかし男は剣だ、俺の家は高級な剣を販売しているんだ。誰もがうらやむ位の切れ味なんだ」


「どうして真っ白な毛なんだろう、他の猫は2種類以上の色をしているのに」


「そんなのいいさ、気持ちの良い毛を撫でれるんだ、色は関係ないだろ」


「そうなんだけど、白色だけの猫を見た事がないからさ」


「そこの四人、もうずぐ授業だぞ」


「は~い」


「は~い」


「ニャ~≪もうそんな時間か≫」


「ニャ~≪美味しかった、何の授業かな≫」


茶色の髪の毛のベントン先生は40歳、冒険の話と危険な体験談を話すのが好きで、天気を予想して当てるのが大好きだ。この世界で天気の予想は大変だろうな、情報が少なそうだ。


まあ、同じ雨雲レーダーを見ても予想が違うようだから、ベントン先生の方が凄いんだな。


急ごう、ベントン先生に注意されたのに、校舎の入口をのんびり歩いていたら授業に遅れるよ。


あれ、遠くの方で手招きしているのが見えた。


質問少女が呼んでいる、ああすれば僕が行くと思っているんだな、残念だが僕は行かない、授業に出ないといけないので。





「魔法が使える人が増えているのは知っていますか?」


「ニャ~≪恐ろしい罠にはまったよ≫」


「ニャ~≪キャシーさんがお肉を焼いてくれたの、特上なんだって≫」


手招きに釣られたのは我が妹だ、僕が無視をしてそのまま教室に向かおうとしたら、妹が走り出したんだ、ドアから出ている手の動きに釣られて、今度教えよう、危険があるかも知れないから、考えてから行動する様にと。あれ・・・・・・前にも同じ事が起きたよな? 確かにあった筈だ


「知っているのね・・・・・・理由は無理だから、攻撃魔法を覚えた人はいたかしら?」


「ニャ~≪いないな・・・・・・どうしてなんだ≫」


「頭を振ったのね、攻撃魔法の方が難しい? ・・・・・・おかしいわね、今までは生活魔法の方が難しいとお父様が言っていたのに、フレデリックが魔法を覚えるのは大変ね」


「ニャ~≪このお姉ちゃん、何もくれないよ≫」


我が妹は人間は誰でも食べ物を持ち歩いていると勘違いしている様だ。食べ物の匂いがするから何か持っているかもしれないが・・・・・・今、食べて来たばかりじゃないか・・・・・・食いしん坊な妹ちゃんだな。


「あら、レイちゃん、授業は出なくていいんですか? ロイ先生は釣りの話を始めているわよ、パール先生とロバート先生は冒険の話ね、ベントン先生は雪の時の遊び方と注意点を話すと言っていたわよ」


メイガン先生だ。授業の内容を教えてくれたぞ、選びやすくなったな。


「ニャ~≪どれもいまいちだけど洋服を着て雪で遊んでみたいな≫」


「ニャ~≪私も洋服が欲しい、暖かくて可愛い洋服がいい≫」


「ニャ~≪ベントン先生の授業に出よう、行こう≫」


「ニャ~≪は~い、雪て何かな?≫」


そうか、あのままキリト村にいれば見れたんだよな、この街でも振るけど今年はどうだろう。


「ああ・・・・・・質問が」


「はい、何ですか?」


やっぱり個人授業だ、落ちこぼれなんだな、頑張れ質問少女・・・・・・名前は忘れました。





「ニャ~≪お部屋の中の家具に体を擦り付けて自分の匂いを付けるんだ、自分の場所だと分かる様に≫」


「ニャ~≪は~い≫」


猫らしさを教えるのが親の務めだけど、直ぐに離れ離れになる事もあるだろう、勉強不足の野良猫が喧嘩をしているのは、縄張りがあるのを知らないからだ。妹には猫らしさとルールを僕なりに教えてあげる事だ、キャロット母さんが僕にしてくれた様に同じようにしてあげよう。


リビングの家具に体をスリスリする妹ちゃんはべっぴんさんだな、僕の見た目は可愛いだけど、妹は美人だ、見た瞬間にメス猫だと思う事が出来る顔立ちだ。


「ニャ~≪汚くなりそうなところはしなくていいよ、自分の体をキレイにするのは大変だからね≫」


「ニャ~≪早く言って、汚れちゃった。あ・・・・・・汚れればお風呂に入れる~≫」


お風呂好きになった妹ちゃんは、泳ぐのが上手くなった、ミヤちゃん達との戦いで勝つ時もある・・・・・・敵は成長中で手が大きくなっているので攻撃力が少しずつ上がっている、しかし、日頃から鍛えている僕は負ける事がない。


「もう、何で見せてくれないのよ」


「お母さんの為なんだよ」


「そうだよ、あそこは危険なんだよ」


「どうせ、完成したら見せてくれるんでしょう」


お店の終わる時間が親方達の作業が終わる時間でもあるが、気になるシンシアさんに見られないようにする為にミヤちゃん達が見張りをして完成まで見せないようにするんだよね。


昨日は学校から帰って来た後に材料が運ばれて来た、一旦は倉庫に置く事にして、朝から作業に取り掛かってくれた。


カーテンの様に引かれた布で中が見えない様にしてある、ナタリーさん達にも見せない様にしている。ハリーさんは『後のお楽しみか・・・・・・楽しみだな』と以外にも見たがらなかった。


「ニャ~≪終わったよ≫」


「ニャ~≪よし、次は・・・・・・のんびり過ごそう、これが一番大事だ≫」


「ニャ~≪は~い≫」


「メグ、お母さんを見張っていてね、着替えてくる」


「了解です、親方」


お店に来てくれる親方以外に2人の親方がいる、ミヤちゃん達だ。見張りの親方らしい、気に入っている様なので、完成するまで親方でいるんだろう・・・・・・2日間の親方だけど。


明日はシンシアさんの誕生日だ、夕方までに完成する予定。


「ジャン、夕食だぞ。父さんの上でいいか?」


「うん、ママの上は今は駄目だとお姉ちゃんに言われた」


「そうだな、いい子だなジャン」


「うん、レイ・・・・・・後でお風呂に入ろう」


「ジャン、はいニャン」


「ニャ~≪お風呂だ、キレイにしてから、ミヤちゃん達と勝負だ≫」


リロイ君のお陰で、水瓶の水が沢山ある、薪もミヤちゃん達が拾って来てくれるので、今のところは毎日お風呂に入っている。シンシアさんとハリーさんも好きな日に入れると喜んでいる。

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