ニャ~・・・71
「シンシア、少し変だよね」
「何が?」
「洋服屋さんの倉庫で、子供達が積み木を木箱に詰めているよ、それも洋服より在庫が多いよ」
そうだな、沢山有るな、同じ形の積み木は同じ箱に入っている、何個有るのかは・・・・・・分からない。工房の親方には端材の量を聞いて、作れそうな数の依頼をしている、端材が沢山有れば出来そうな数を依頼する。加工が終わった積み木は工房で邪魔にならない様なら数日置いて貰っている。ある程度数がまとまると工房で運んでくれるのでとても助かっている。
「沢山売れるからいいでしょう」
「レイちゃん、説明してくれるかな?」
ああ・・・・・・ミヤちゃん達とアカリちゃんが木箱に積み木を詰めてくれているんだな。
「はいニャン、作戦ニャン、家計辛いニャン、役に立つニャン、ニャンニャニャン」
「そうか、家計の為か」
この状態がいつまでも続く筈がない、積み木が売れなくなる時が来る、でも、先行逃げ切りの作戦だニャン、真似をされる前に沢山売るニャン、僕は少し頭を使った、それはミヤちゃん達に話した。その時にメグちゃんには、す・ご~いと言って貰う事が出来た。
倉庫で頑張っている皆の為に僕に出来る事は、ぐちゃぐちゃと訳が分からない事は僕が考えるだ。頭はそんなに良くないけど、猫なので・・・・・・考える時間が人よりも沢山ある・・・・・・やれる事が少ないとも言える。
お金の流れとこの家の状況を良くする為に寝ながら考えた、猫は考えながら寝れる、深く寝ると夢も見れる。
「アカリちゃん、今日は泊まっていくの?」
「は~い、お世話になります」
「アカリちゃん、お風呂に頭がぶつかる様になったんだよ」
「そうなの、メグちゃんに抜かれたかな」
「アカリの方が大きいよ」
「そうか、良かった」
「少し私の方が小さいのか、お姉ちゃん、アカリちゃん、私の順だ」
三人の身長の差はそんなにない、ほぼ同じだ・・・・・・メグちゃんの成長が早いのかな。
「レイちゃん、そのだな他に秘密は無いのかな?」
秘密か、お店の事で秘密にしている事は何もない、メグちゃんがメモしてくれるけど、訂正が面倒なので詳しい事をハリーさんに教えていない事が多いけど・・・・・・何の説明が足りてないのか忘れちゃうんだよね。
「・・・・・・無いニャン」
「ああ、考えている時間が長かったぞ」
「あのねハリー、何でもすぐに答えられないでしょう、レイちゃんだって深く考えているのよ、私達の為に」
「トントンニャン、トントントン」
「シンシア、板の用意だ」
「は~い」
カウンターの真ん中で寛いでいた僕は、場所を空けて板が置かれるのを待つ。
そうだ、説明してない事が合った。
「レイちゃんトントンしていいわよ」
「はいニャン」
≪忘れていました、ジェシカさん達二人は今日はお店に来ません、休む様に僕が伝えました≫
「ええ、無断で休みだと思っていたよ」
「・・・・・・私もどうしたのかなと思っていたけど、無断だとは思っていなかったわよ」
「お姉ちゃん、四角いの持って来たよ」
「ジャン、ありがとう」
「は~い」
倉庫ではジャンも仕事をしている、たまにミヤちゃん達がジャンに何かを頼んでいるんだな、ジャンは仕事をしているんだな、嬉しそうな声が聞こえてくる。
「レイちゃん、続きよ」
≪実は、ジェシカさん達は明日仕事に来ます≫
「明日は休みだぞ」
「そうね、休みよね」
≪明日はお店を開けます・・・・・・この店の休みを変更しました、なので明日は営業日です、頑張って働きましょう≫
「ねえ、レイちゃん、説明が足りない」
「そうだぞ、何でお店を開けるんだ、ジェシカ達は明日本当に来るのか?」
≪説明それは、2日後に話します、もうダメです眠いので≫
「レイちゃんは、今まで寝ていたでしょう」
「ジャンとあの囲いの中でさっきも寝ていただろ」
≪ニャ~、猫は寝る時間が皆より長いんです、2倍は寝ないと疲れるんです、おやすみ~≫
「ああ、レちゃんが寝たわよ」
「疲れたのか、2倍寝ないといけないのか、そうか・・・・・・苦労させていたんだな」
眠いのは本当、でも、説明は後の方がいい。先に説明をした方がいい時と後の方がいい時がある、今の状況を説明するのは明日以降がいい。
お休みニャン、いい夢を久しぶりに見るニャン。
「親切なお店ね、助かるわ」
「珍しいお店だな、やっていのか」
「何でこんなにお客さんが?」
「は~い」
「ニャンニャンニャン」
おお~、凄い、お店の中に人が大勢いる。あの囲いの中で遊んでいる子供も大勢いるな、お母さんとお父さんは買い物中だ。そして、あの囲いは一時預かり所みないだ、大人はいない。
「ありがとうございます」
「直ぐにバッグにお詰めします」
「これ下さい」
「直ぐに行きます」
「ニャンニャンニャン」
みんな頑張っているな、洋服屋さんもこんなに混むんだな。僕が応援していても気にならない程、人が多い。
「わぁ~可愛い、撫でているので後でいいです」
「ニャ~≪いい人だね、ふみふみ、気持ちいいかな?≫」
「ふかふかね、ふみふみして~」
僕を撫でる事で、少し忙しいのを緩和で来ているようだ、積極的に可愛い仕草をしよう。カウンターに来た人には、ふみふみとスリスリのサービスだ。
「ナタリー、お会計して~」
「は~い、値札は1000ロージと700ロージなので、合計1700ロージです」
「ありがとう」
日曜日のデパートはこんな感じなのか、凄く大変そうだ。失礼のない様に手早く仕事をするのが難しそうだな、慣れるのに時間が掛かりそうだ。
連携とサポートが必要だ。
「ハリーはお客さんのバッグに詰めてあげて~」
「了解」
「積み木を2個下さい」
「はい、400ロージです」
「ニャ~≪このお客さんの洋服をバッグに詰めて~≫」
「ああ、混んでる。メグ、積み木の販売を手伝おう」
「うん、お金を貰うだけだから手伝えるね」
ミヤちゃん達が様子を見に来て、手伝ってくれる様だ。
「幾らですか?」
「1個200ロージです」
「ニャ~≪お買い上げありがとうございます≫」
「すいません、私にもその積み木と言うのを売って下さい」
「は~い、この木箱に積み木が入っています、取って下さい」
「ここに置いて有るのが在庫なのか。よし、2個貰おう、そこのお嬢ちゃん、銅貨4枚だ」
「はい、丁度です、ありがとうございます」
ドンドン売れろ、在庫は沢山有りますよ。
「ハァ~・・・・・・何で一日中混んでいたの?」
シンシアさんは大きいため息を付いて本日の混みようを僕に聞いてきた。
「ニャ~≪お客さんが一杯来てくれた≫」
「今日は休みだった筈なのに、どうなっているんだ」
「あの、昼る食べれませんでした」
「ああ・・・・・・皆食べていないのね」
「何なんだ、今日は何の日なんだ」
ハリーさんは、忙し過ぎて今も混乱しているのかな、お客さんが店内に居なくなっているのに店内をキョロキョロと見回している。
「在庫が減ったね、アカリちゃんに手伝って貰って良かったね」
おもちゃの家の周りに置いて有った在庫が全て売れて、何回も倉庫に取りに行っていたミヤちゃん達、二人の手伝いで積み木が沢山売れた。
「みんな店を閉めるぞ、夕食を食べて行ってくれ」
一日忙しかったので、ハリーさんがみんな一緒に食べようと言った。
お店の営業中は、交代で食べているので一緒に食べる事はないけど、お店の終わった後なら皆で食べれる。でも、これが初めてだな。
「やっと食べれる」
「お腹空いた~」
「ミヤちゃん、看板ニャン」
「は~い、行って来る」
「「「「看板?」」」」
「レイが、みんなの休みの日にお店を開けるとお客さんが沢山来ると言ったんだよ」
「うん、それで看板は私が書いたんだよ」
≪本日、営業中≫
「休みに買いに来るニャン」
リビングで夕ご飯を食べた後に今日の出来事の説明をしている。最初に説明しなかったのは信じて貰えないと思ったからだ。それに成功しなかったら、凄く落胆させる事になる、失敗したら謝るつもりだった。
ジェシカさん達の休みをずらして、この街の人達の休みの日・・・・・・日曜日の様にみんなが同じ日が休日で、開いているお店は少ない。それならと、デパートの真似をしてみた。
「お店が市場の様だったわ」
「ああ、食品の材料の露店だな」
「7日後はどうなるんだろう?」
次の7日後を想像したのだろう、ナタリーさんは苦笑いの様な表情で呟いた。
「ナタリー、お客が来るのよ、シンシアさん達がその日を休みにする筈がないわ」
「・・・・・・そうか、7日後もその次の7日後もお客さんが来てくれるかもしれないんだわ」
「・・・・・・みんなの休みの日を変えないとな」
「お母さん、おやすみ」
「おやすみ」
途中からだけど、ミヤちゃん達は頑張った、お腹も一杯になっただろうから、眠くなるよな。
「ミヤ、ジャンも連れて行って、今日はありがとう」
「は~い・・・・・・ジャン、部屋に行こうね」
「うん、お姉ちゃんの部屋で寝る」
「ゆっくり休むんだぞ」
ソファーで寝ていたジャンも部屋に戻るようだ、僕も付いて行こう。
「そうじゃ、その時ホワイトダイガーは別の獲物を狙ってくれた。大岩に乗ってやり過ごす事が出来たのだ、それは、偶然だった。ウサギが出て来なければどうなっていた事やら」
なるほど、大蛇が出て大岩に避難する映画を見た事があるぞ。大岩に大蛇が登れないのは不思議だったけど、大岩の下から出て来れないんだったな。
「ロイ先生は魔法が使えますが、倒せないんだですか?」
「動く物に魔法を当てるのは難しいのじゃ、皆の魔法の練習は動かない的を狙っている、動いていたら的に当たる事すらないだろう」
あの遅い魔法なら誰でも避けれるな、最初に覚えたリロイ君の魔法は少し大きくなった、速さも少し速くなっているのかも。
「そこの者、頬をなでなでしないでよく聞く様に」
「ニャ~≪これは猫の習慣だよ、ちゃんと聞いているよ≫」
「続けよかのう・・・・・・動く的に当てる練習は攻撃魔法が使える様になってからだ、初心者の魔法は、攻撃魔法か、生活魔法か見分けるのが難しい、リロイの魔法は少し成長しているがのう、まだまだだ。どちらか分からない、引き続き練習を頑張る様に」
先生に名指しされたリロイ君は、授業に出ている生徒はこの中にいるのか? と探した。猫学生の僕は小さい頭を振ってリロイ君を探したけどいなかった。
「・・・・・・先生、リロイは校庭で体育の授業を受けてます」
「そうか・・・・・・この中で魔法が使える様になっている者は、引き続き頑張る様に、先生方は期待しているぞ」
「「「「「は~い」」」」」
学生さんの重なった声は5人だ、声の主は誰か分からないけど、教室に20人位の生徒さんがいるから四人に一人は魔法が使える様になったのか、いいな、僕も早く魔法が使える様になったら嬉しいのにな。
机に両手を乗せる姿勢は少し疲れるな、僕の横の魔法が使えるキャシーさんは真剣に授業を聞いている。
視線が合うと僕の頭を撫でて満足そうな顔をしているキャシーさんは直ぐに先生の方に顔を向けた。
キャシーさんの魔法の効果がどう変わったか分からないけど、飛んで行く速度が速くなっている。
「釣りの話はしたかな?」
「聞きました」
「は~い」
「何回か」
「そうか、話したか・・・・・・ブラックタイガーの話は聞いた事があるかな?」
「無いです」
「今度こそは戦った話か」
「ロイ先生だぞ、回避した話だよ」
「おほん・・・・・・戦った話じゃ」
「おお、凄い」
「本当か、あのブラックタイガーだぞ」
この後どうなるのかは想像出来た。ミヤちゃん達もブラックタイガーと3日間も戦った、ロイ先生もそうなんだろう。でも、あの依頼はロイ先生じゃない、釣り好きなら自分で釣る筈だし、ロイ先生は待つのとエサを食べているのか考えて楽しんでいる・・・・・・3日間、エサを食べた形跡はなかった・・・・・・元気だったし、釣れた1本の竿にはエサは付いていなかった。ロイ先生は、エサが食べられている想像が本当に出来るのかな、ブラックタイガーを釣る時に。
「海にもブラックタイガーがいるんだ?」
「どんな感じですか?」
「それは、秘密じゃ、一緒に釣りをしよう」
流石だ、興味を持たせて実体の説明はしない、ロイ先生と釣りに一緒に行ってくれる人が現れるといいな。




