ニャ~・・・62
「なんだ、そんな面白い事があったのか」
「販売の許可はいいのよね」
「僕に権利があっても仕方ないよ」
「ランディさんは1個売れたらいくらか支払うと言ってくれたのよ」
「へ~、でも、それはお断りしないとな」
「断ったわよ、レイちゃんが」
「レイちゃんが断ったのか、何で?」
「さあ、何でかしら」
「レイちゃん、教えてくれ」
仕入れから帰って来たハリーさん、早く帰るようにしたんだな。
暖炉の前で寛いでいたのに呼ばれたよ。
「ニャ~≪お帰りなさい≫」
「何でだ、教えてくれ」
「ちょっと待ってね」
シンシアさんは何処に行ったんだ。
「シンシア~」
「直ぐよ~」
ハリーさんの呼んだ声に答えたシンシアさんは台所だ。夕食は終わったから、お酒か? ・・・・・・飲んでいるのを見た事ないな。食事中は水の代りに飲んでいるけどね。
「お待たせ・・・・・・はい」
「ああ、レイちゃんが文字を叩く板か」
なるほどね、ミヤちゃん達の板よりも随分小さいんだな。
「レイちゃん、叩いて」
何だっけな・・・・・・・ああ、売れた時に支払う代金の事か。では、トントンとリズムよく叩きましょう。
「のんびりでお願いね」
シンシアさんに先に言われてしまった。
≪代金は時間を掛けて幾らがいいか決めないとダメ、知り合いだからと最初に決めるとランディさんが苦労する。適正な金額がいくらなのか出しずらい、それなら、ミヤちゃん達が好きな時に食べれる方が嬉しい。双方にとって、一番いい事はお金の事を気にしない関係でいる事、友達は大事にです≫
「シンシア、レイちゃんは悪い魔法使いに猫にされたんじゃないのか、凄いぞ、友達は大事にだぞ」
「いじゃない、レイちゃんは家族よ、私達も大事にされているのよ」
「はいニャン、ニャ~≪夜も遅いので寝ます、おやすみ≫」
寒いから挟まれて寝よう、ジャンも一緒かな。
「レイちゃん、おやすみ」
「おやすみ」
「ニャ~≪早く寝なよ、ハリーさん≫」
急ごう、間がなくなってしまったら、お布団になってしまう。
中学の時に思った、家庭訪問は嫌だと。
猫学生の家に先生が来た、家庭訪問だ。授業料を払っていないので、無断で授業を受けている、なので、家庭訪問を受ける資格はない筈だけど、目の前ではなく・・・・・・足の上で撫でられている。
「お構いなく、レイちゃんと話がしたいだけです」
「そうですか、お店があるので、失礼します」
ドラマとかで見た事があるのが、食べ物屋さんの家に家庭訪問に来て、お店の料理を先生に出しているシーンと、忙しお店のお皿を片してあげる先生のシーン、どちらも、問題児の家に行った時シーンだ。
僕の場合はミヤちゃん達が目の前に座って何か期待している表情をして、先生が何を言うのか待っている。先生の足の上で撫でられている僕が生徒役だ。
「ミヤちゃん、メグちゃん、お菓子を下さい」
「1個だけだよ」
「うん、1個だけだよ」
「ニャ~《これは、同士の集いなのか》」
同士は素直に大箱から1個のお菓子を取り出す。
成長したなぁ、まだお菓子の在庫が有るよ。
「ありがとう、嬉しいです・・・・・・・いただきます」
子供が大好きなお菓子を貰って喜んでいる感じだけど、大人の学校の先生なんだよね。
「美味しいでしょう」
「大人の味はあげません」
「美味しい、ありがとう。大人の味ですか?」
「それは、在庫切れなのでお教え出来ません」
「そうなの、残念ですね」
「メグ、先生にはもうあげたよ」
「そうか、チョコの事ね、大人の味だったわ」
「そう、大人の味」
猫学生は家庭訪問から開放されたのだろうか、それとも、お菓子の人達は何か僕に言いたい事でもあるのかな。
「ライラ先生は何しに来たの、レイのマッサージ?」
「今日のライラ先生はお客さんなの?」
「違います、ミヤちゃん達がレイちゃんに相談すると何でも解決すると言っていたでしょう、それで来たんです」
僕に話すと何でも解決? ・・・・・・何か解決した事があったかな。
二人ともお菓子を食べ始めたぞ、ライラ先生が美味しそうに食べているからだな。
「ああ、リーネちゃんの事ですか?」
「先生の娘さんか」
「違います、レイちゃん、聞いてくれてますか?」
「ニャ~《はいニャン》」
危うくはいニャンと返事するところだった。先生の前では話した事がなかったな。
「聞いてあげると言っています」
「二人とも秘密にして下さいね」
「秘密、それは秘密」
「秘密、それは・・・・・・秘密」
メグちゃんはひねりたかったんだな、でも、無理だった。
「ありがとう、では、話します」
「美味しかったです」
先頭を歩くミヤちゃんに、遅れて階段を上るライラ先生が昼食が美味しかったと言っている。
「そうかな、何が違うのかな」
「そうだね、毎日同じのを食べているけど、そんなに美味しい物があったかな」
「ニャ~≪食べなれたんだな≫」
美味しいのに食べ慣れるとそれが普通に、それよりも味の落ちる物を不味いと思ってしまう、贅沢病だ。
おじいちゃんのラーメンと餃子は美味しかった、でも、他のお店のは不味いと感じる様になってしまった。そのお店は美味しいと言われているお店だ、贅沢病になる前は、僕も美味しいと思っていた。
お昼を食べ終わったので部屋に戻るところだ。
先生が話し出した時にお昼だとシンシアさんが迎えに来てくれた。先生も御呼ばれした。
「パンよ、ふかふかで少し甘くてとても美味しかったわ、うちの近所のパン屋さんでは売っていません」
「パンか、美味しいよね、アカリの家のパンだよ」
「アカリちゃんの家のパンは・・・・・・先生」
「なあに、メグちゃん」
「アカリちゃんの家にはあの美味しいお菓子が売っていますよ」
「そうなの、でも、お祭りの時しか作らないと言っていませんでしたか?」
「違います、お祭りの時に作ったけど、次のお祭りに作る予定はなかったんです」
「ああ・・・・・・それでは、ミヤちゃん達に会わなければ食べれなかったお菓子なんですね」
「はい、今日も販売しているかな」
「どうかな、アカリはよく売れていると言っていたけど、完売するとは言っていなかった様な」
「まあ、買いに行かないと」
「ニャ~≪二人は先生の奢りで食べたいんだな≫」
ライラ先生とミヤちゃん達が知り合いにならなければ、カステラが販売されているのも知らないままだったかも・・・・・・ライラ先生はミヤちゃん達の同士だし、そのうち発見したな。
上っていた階段を下りる、目的地の変更だ。
「本当に美味しいですね」
ライラ先生は、お昼が終わってミヤちゃんの部屋に戻る途中で、アカリちゃんの家にカステラを買いに行った。
「先生、私も貰っていいですか?」
「どうぞ、沢山買いましたから遠慮しないで下さい」
「ありがとうございます」
アカリちゃんは、カステラを買いに行った僕達に付いて来た。
学校で食べたカステラと違い、美味しさも形も違い、一本のカステラは食べやすい大きさに切られている。
みんなは黙々とカステラを食べている、いつまで続くんだろう。皆の前に置かれた大皿には4本分の切られたカステラが有る、ライラ先生は来た目的を忘れているんじゃないのかな。幸せそうな顔には悩みはありませんと書いてあるようだ。
「レイ、先生が相談があるって」
寝てしまった様だ、みんなが食べるのに夢中なので布団で横にならせて貰った。
「ニャ~≪はいニャン≫」
またしても、返事をしてしまうところだった。
「そうです、相談がありました。お昼とおやつは食べました、話は長くなりますがいいでしょうか?」
「ニャ~≪短くお願いします≫」
「レイが、短くと言っていると思います」
「では、なるべく短く話します」
真面目な表情のライラ先生を皆が見つめている。
「誰も魔法を覚えません」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「先生、流石に短すぎてレイの顔が分からいと訴えてます」
そうだな、誰も魔法が使えていない。
「そうですか、長くなりますが聞いて下さい。新しく学校に来た生徒さんが誰も魔法を使う事が出来ません、毎年、使える様になる人が少ないのですが、今年は例年よりも使える様になった人がいません。このままだともしかして誰も魔法を使えないままで、1年間が終わってしまわないかと、先生方が心配になってきたんです。勿論、私も心配で仕方ありません」
「先生方とは誰ですか?」
ミヤちゃんは知りたいのだ、他に誰が心配になってきたのか、校長先生がいないので授業をしてくれている先生の誰かだ。
「メイガン先生とロイ先生です・・・・・・どうしたら生徒さん達が魔法を使えるようになるのか、使える様にするには、どうしたらいいのかと、ミヤちゃんに勧められてレイちゃんに相談してみようと思い付いたんです」
メイガン先生は攻撃魔法の女の先生だな、ロイ先生は趣味の先生? ・・・・・・釣りの好きな先生で、何の授業を受け持っているのか分からないんだよな。
「先生、私は勧めてはいないと思います」
「勧めたのかな」
「私はどうだったか」
「ニャ~≪猫学生の僕は、その会話を聞いていません≫」
「勿論、ミヤちゃん達が相談した方が良いよと言ったわけではありません、先生にはこう聞こえたんです『レイちゃんに頼めば解決してくれる』と、それで相談に来たんです」
「ああ、私が言ったんだよそれ、先生が『難しい問題です、誰に聞けばいいのかしら』と言ったから」
「メグ、それの前後の会話は覚えているの?」
「えっと、ちょっと待って思い出すから・・・・・『あのお菓子は何処で作っているのかしら、難しい問題です、誰に聞けばいいのかしら、メグちゃんは分かりますか?』て、先生が言っていたよ」
もとはお菓子の話なのか、そんなにカステラが食べたかったんだ、問題は解決したんだ、良かったな。
「今の話だと、レイちゃんに相談してもダメな様な」
アカリちゃんもそう思うだろう、僕もそう思うよ。それに魔法の話だと何にも役に立たないよ。
「そうかもしれないけど、聞いてみたくなりました。何かありませんか?」
「ニャ~≪どうしろと、魔法だよ、魔法を見たのも数回だけだよ≫」
「レイ、協力してあげよう、そうすれば私も使えるかも」
「おお、す、ご~い、お姉ちゃん天才だよ、使える様になるかもねぇ~、レイちゃんは先生なんだから」
「そうだね、メグちゃんに文字を教えたのがレイちゃんだし、レイちゃんなら出来るよ」
「あの~・・・・・・メグちゃんはレイちゃんに文字を教えて貰ったんですか?」
「「「うん」」」
そんな事も昔にあったな、遠い昔だな。一緒に勉強していただけだったんだけどね。




