ニャ~・・・60
「お金が貯まったね」
「うん、レイちゃんのお陰だね」
「お母さんに没収されるか心配だったよ」
「そうだね、お母さんは何も言わないね」
「ニャ~≪良かったね≫」
そうだな、お客さんと4階に一緒に上がて来てくれたけど、置いてあるお金を気にしてなかったな、お金が無いとかふさぎ込んでいたのに・・・・・・でも、ハリーさんがお金をいつもの所に置いて行ったんだと聞いた時は驚いたな。
『シンシアの寝ているベッドの横のキャビネットの引き出しに入れといたよ、いつもいれているところだよ』
『そうよね、いつもいていたわね』
『何かあったのかい、何か高い買い物でもしたとか』
『いいのよ、ちょっと忘れていたのよ』
シンシアさんは僕に説明した。
『あんなに在庫を仕入れたんだから、お金が無くなって洋服しかないと思ったのよ』
この時僕は思ったんだ、去年だよね仕入れたのはと。でも、家にあるお金を全部持って行けばシンシアさんの言っている状況になったんだな。
「まだだいぶ先なのに目標の金額に届きそう」
「お姉ちゃん、お菓子を早く食べよう」
「そうね、レイが頑張ってくれいるから、串焼きも買おうね」
「串焼き美味しいニャン、お菓子美味しいニャン」
「そうよ、ニャンニャンよ」
「ニャンニャンね」
「ニャ~≪ニャンニャンにどんな意味が?≫」
僕は首を傾けてよく考える、ニャンニャン、猫だ・・・・・・それは、女の子が猫を呼ぶ時か。
「レイにも分からないのね」
「ニャンニャンは繰り返しだよ、お菓子を何回も食べれるんだよ」
「レイが頑張れば、ニャンニャンニャンになるのよ、串焼きも同じ数なのよ」
よく分からないけど、ニャンが1回ならニャンニャンニャンで3回串焼きが食べれるのか、幸せな鳴き声に聞こえて来なた、4回もいいな。鳴いた回数だけ食べれるのか、幸せだろうな。
おお~、目標金額以上になれば何回でも食べれるんだよ、食べ放題・・・・・・違う、毎日だよ、毎食か。
「レイ、よだれ」
「レイちゃん、楽しみだね」
「はいニャン」
「レイちゃん、久しぶり」
「ニャ~≪誰だ≫」
ミヤちゃん達の誕生日が数日後になった日の夕方、アカリちゃんの家を過ぎた所で後ろから声を掛けられた。
「お風呂に入りに来たぞ」
「はいニャン、ニャ~≪ライナーさん、こんばんは≫」
「おお、前よりも話せるんだな、それにお辞儀か、ニルスにもレイちゃん位しっかりして貰いたいな」
ライナーさんは野菜を持って来たようで大きいリュックを背負っている。野菜が無いのに遊びに来たら理由が無くなってしまう、≪新鮮な野菜を持って遊ぶに来たよ≫がお風呂に入りに来たよに。
「ニャ~≪トマトはメグちゃんが喜ぶよ≫」
「レイちゃん、先に行って、お風呂の準備をしてくれとシンシアに言ってくれ」
「はいニャン」
ライナーさんが来た・・・・・・あの野菜は僕とジャンが食べるんだな。まあいいか、お風呂の用意を伝えよう。やっぱり、お風呂だよね。
「いい湯だ、いい湯だ」
「ニャンニャンニャン」
「いい湯だ、いい湯だ」
「ニャンニャンニャン」
「そうか、お風呂は好きか、俺も好きだ」
よっぽど嬉しいのだろう、いい湯だの歌を何回も聞かされている。
「はいニャン」
他の皆は先に入った、ライナーさんは長風呂だ。冷えても気にしない、出る時は寒そうだけど。
どうだ、僕の泳ぎはその場で立ち泳ぎだ。
「波が来たぞレイちゃん、逃げるんだ」
「ニャ~≪人工的な波だ、犯人はお前か≫」
「まだ沈まんのか、ならこうだ」
「ニャ~≪台風か、大波が来たぞ≫」
地面を蹴って体を浮上させて波を回避だ。
「甘い~、連続だ」
「ニャ~≪連続浮上だ≫」
負けないぞ・・・・・・この戦いに勝ちはないのか。
「お父さん、風邪ひくわよ、明日も入るんだからいいでしょう」
「そうだ、風邪をひいたら入れない。出るぞ、レイちゃん」
「はいニャン」
風呂場でブルブルして、拭いてもらう為にミヤちゃんのところに向かう。
「レイちゃん、明日も勝負だ」
「ニャ~≪負けません≫」
しかし、風邪をひいたら入れないとお風呂から出る人がいるとは、不思議な人だよ、シンシアさんのお父さんは。
「レイちゃん、洋服を替えないといけないのは何でなんだ?」
「トントントン、トントン、トン、トントントントン」
「なるほど、なるほど」
「ハリー、早過ぎたのね」
いい加減なハリーさんは誤魔化して分かった風に返事をしていただけだったのか、動体視力が凄いのかと思ってしまったぞ。
「うん。レイちゃん、楽しそうなところ悪いんだけど、ゆっくりもう一度叩いて下さい」
「はいニャン」
テーブルの上に置かれた文字の書かれ板を読める位の速さで叩こう。
≪秋物の洋服が少なくなって来たので、高級な冬の洋服だけになりそうです、もっと前から仕入れて来た値段がお手頃の洋服も並べるべきでした。今からでも並べましょう、お客さんに高級な洋服と手頃な洋服を選ぶ機会を提供するんです、このままだと値段の高い洋服しか置いていないお店だと認識されてしまいます≫
「シンシア、レイちゃんは、猫商人なのか?」
「お父さん、今はそれどころじゃないのよ」
「ああ~、急いで替えないと、ジェシカ~、ナタリー~」
ハリーさんとシンシアさんが急いでお店に向かった。ハリーさんは叫びながら走っているようだ。
「ジャン、おじいちゃんと遊ぼう、何がしたい?」
「ゴロゴロ」
「ゴロゴロ?」
今まで静かにしてたジャンは、遊び相手ができたので、暖炉の横に走って・・・・・・走れるようになった、トコトコと走る姿は昔のメグちゃんを思い出す。もう走れるのはジャンが男の子だからかな、成長がとても早いな。
「棒を立ててゴロゴロで倒すの」
「面白そうだな」
「ニャ~≪大人も喜ぶ、ボウリングだからね≫」
「棒を立てるのか、おじいちゃんに教えてれ」
「は~い」
ジャンがライナーさんに立て方を教えている、凄いな。
「レイちゃん、お客さんよ」
「はいニャン」
色々な問題が少し解決したけど、僕のマッサージは続くんだ、頑張らないと。
僕がリビングを出ると、お客さんが階段を上がっていた。
「レイちゃん、お願いします」
常連の男性のお客さんだ、なんでも足が少し痛かったのが治ったと喜んでいた。マッサージでは治らないと伝えたのだが『いいんだよ、マッサージをして散歩をするようにしたんだ。疲れを貯めないで頑張っているよ』と言われた、少し嬉しい。役に立っているかは分からないけど、きっかけになつているんだ。
「・・・・・・オー」
「おお、魔法だ」
「水魔法よ、おじいちゃん、魔法が使えるの?」
「その昔、学校で習ったんだ、当時を思い出すと泣けてくる。剣の練習を頑張っていたら先生が何て言ったか分かるか?」
のんびりと暖炉の前で寝ていると『オー』と大声が聞こえてきた。オーは水魔法だな。
「分からないよ」
「うん、分かりません」
「そう、分かりませんだ、先生は私の練習を見て『君が何をしたいのか分かりません』と言ったんだ。数日後に友達が『田植えじゃないんだから地面を叩いてどうするんだ』と教えてくれたんだ。どうも、何かに剣をぶつけないと練習している気になれなかったんだ。構えを変えても『木にやつ当たりか』と言われた。ぶつけないと練習できないので、剣の授業は辞めたんだ。なら、魔法ならと2年間、頑張ったんだ。それで使える様になった」
地面を叩いたり、生えている木を叩いたのだろう、素振りを素直に出来ない子供だったんだな。
「2年も掛かったんだ」
「お姉ちゃん、私達も2年も掛かるのかな」
「メグ、それは分からないわ、今のところみんなも魔法を使えるようになっていない、頑張るしかないのよ」
「そうだよね、2年か、おじいちゃん、もう一度魔法を見せて」
「ああ、何度でも見せよう」
ライナーさんの魔法か見に行こう、みんなの所に行って、何処に飛んで行くのか分からないけど、手から出るのはみんな同じなので、手から目を離さないぞ。
「行くぞ・・・・・・オー」
「魔法だ」
「凄い」
「ニャ~≪す・・・・・・ごく、小さい水だね≫」
手から出た水は小さい梅干し位だ、それがゆっくりと壁に当たった。
室内だから魔法を抑えているんだな、いいな、僕もこの手から魔法が出たら面白いだろうな。
「どんな感じなの」
「そうだ、教えて」
「教えるのは無理だ、手から出ている感覚も言葉に出来ない、先生に教えて貰ってくれ」
「ニャ~《そうだよね、そのための魔法の先生だ》」
「ありがとう、おじいちゃん」
「ありがとう、学校で頑張るよ」
「頑張るんだぞ」
「「は~い」」
「はいニャン」
「何でレイちゃんも」
頑張ろう、何かを。
「お風呂はまだなのか」
「ニャ~《負けないぞ》」
「ニャ~《どんな授業に出るかな》」
今日はマッサージの予約がないんだよな、それで久しぶりに学校に来る事にしたんだよね。
猫学生は授業が選べないけど、何とか魔法の授業に出たい、教室の中の座学か、外で実践練習か、どちらかを受けたいな。
「少し寒くなってきたな」
「ああ、今年はどうなんだ、雪は降るのか」
「去年は降ったわね、確か前の年は降らなかった」
「俺は寒いの苦手なんだよ。雪が降ったら暖炉の前から離れたくない」
僕の仲間がいるぞ、でも、ジェシカさんのこの洋服を着ていれば寒くないんだ。今日の洋服は僕の色違いだ。犬の洋服と水玉は目立つ、学校には着てこれない。
「レイちゃん、おいたは駄目よ」
「ニャ~《ライラ先生、見なかった事にして下さい》」
職員室の近くで発見されてしまった。
ホールの右側の廊下が職員室がある方、左の廊下は教室しかない。
「悪い、少し待ってくれ」
男性の先生の声が・・・・・・廊下に出てくるぞ、どこかに隠れないと。
慌てた僕が向かったのは、職員室の前の廊下の奥だ、途中の部屋に入れば良かったのに一番奥まで来てしまった。
行き止まりの廊下の隅に隠れられていないけど、見つからないように張り付いていた僕は振り返ってみた。男性の先生の足音が遠ざかって行った。
「ニャ~《ふ~、大丈夫だった》」
あ、ドアが開いてる、初めてきた時には閉まっていて、中で話し声が聞こえたんだ。
部屋の中が見えるように少しだけ顔を出して、中を見よう。
「ニャ~《なんだ、狭い教室なんだ》」
個人授業か、数人の生徒が授業を受けれる教室だ。
そうだ、貴重な魔法の授業を探さないと、反対側の廊下に向かい教室の中の様子を聞いてみよう。
お目当ての授業がやっているといいな。




