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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
6/521

ニャ~・・・6

子供は早く寝る、僕はまだ赤ちゃん? ミヤちゃんとメグちゃんに挟まれて寝る日々が続いている。


「レイちゃん、ママですよ」


僕のキョロット母さんは田舎の村でのんびり過ごしているだろう。


今、ママですよと呼んでいるのは、ミヤちゃん達のお母さんだ。この頃は、ミヤちゃん達に合わせて過ごしているので、夜になれば眠いのにシンシアさんが呼んでいる。


僕は2人の間からほふく前進で進んで行く、布団から顔だけだして、呼び声のした方向に視線を向けると、シンシアさんが手招きしていた。


「ニャ~《大人も寝る時間ですよ》」


「いいから、来てよ」


会話が成立しているような感じだけど、僕は人間の言葉が分かるけど、シンシアさんは僕が何を話しているのか分からないだろうな。


眠いけど、僕の食事の用意をしてくれるのはシンシアさんなので無下にできない。


「ニャ~《今、行きますよ》」


僕は大きいベットから飛び降りて、ドアの隙間から廊下に出た。


「いい子ね、それじゃ行きましょうね」


シンシアさんは僕を抱き上げて、ミヤちゃん達の向かいの部屋に入った。この部屋はシンシアさん達夫婦の部屋で僕は入った事がない。僕の為に2階と3階の部屋のドアが少しだけ空いている状態になっているけど、用がないので入らない。


この大きい家で、入った事があるのは、1階は倉庫とお風呂、2階はリビング、3階はミヤちゃん達の部、同じ階の他の三部屋にはドアが開いているのに中の様子を見た事もない。4階も3階と同じ間取りになっていそうだけど、ドアが開いているのを見た事がない。


屋上は閉まっている、ドアが開いていると外気が入って来て寒くなるからだろう。


「本当に連れて来たんだな」


「だって、ミヤがレイちゃんはマッサージが上手いて言うし、疲れが取れると2人が言っていたのよ」


「ミヤ達が言っているのは、遊びでトントンされて嬉しいからじゃないのか?」


「そうかも知れないけど、うちのレイちゃんならもしかしてと思うじゃない」


「行儀が良くて、手が掛からないから助かっているけど、まさか、猫がマッサージする筈がないよ」


すいません、僕の話は本人のいない所でして下さい。


「ニャ~《早く寝たいです、帰っていいですか?》」


「ほら、レイちゃんがいつでもいいぞと言っているわよ」


僕はそんな事を言っていないけど、シンシアさんは僕をベットに下ろして、自分はベットにうつ伏せになった。準備ができたのか、僕に視線を向けて微笑んだ。やっぱり、あの女優さんに似ているよな。


「ニャ~《眠いけど、頑張ります》」


ハリーさんの言う通りだ、猫はマッサージをしない。でも、僕は普通の猫ではない、マッサージの事をよく知っている猫だ。


僕が初めてマッサージしたのは、小学3年生の時だ。残業で忙しい両親にお願いされて、うつ伏せの状態の足の土踏まずを体重を少し載せてかかとで踏み踏みしたのが、最初のマッサージだった。


それからも両親に頼まれるとマッサージをした。両親のご要望を聞いているうちに揉む、撫でる、押すマッサージを覚え、強弱つけたり、リズム付ける事で更に気持ちのいいマッサージに進化した。


勿論、初めの頃は疲れている両親の為で無料だったけど、いつの間にか、家庭内バイトのマッサージになっていた。


マッサージの料金とか詳しい事は知らなかったので、自己流のマッサージの料金は30分で500円。丁寧にマッサージをするので凄く疲れるから、一日に1時間位しかできない。


シンシアさんの横の場所に移動して、腰から肩に向かってゆっくりと一定の速度で何回も力を入れずに撫でる。


猫の体だと広い範囲をさすることが出来ないな、両手を器用に使っても、人の手の半分の大きさにもならない。体の上に乗ってやらないと上手くマッサージをするのが難しいな。


「ニャ~《効果的にするのにお尻に乗ります、痛かったら言って下さい》」


「気持ちいいわね」


「本当にレイちゃんはマッサージをしているんだな。人間のマッサージ師だってこの街にいないのに、何でレイちゃんはマッサージが出来るんだ」


「もう、そんなのどうでもいいでしょう、こんなに気持ちいいんだから」


お尻から上に移動してマッサージをしているけど、気持ちいいしか言ってくれないので、指圧の強さを少し強くしてみた。


「いいわね、その位の強さがいいわ」


良かった、これ以上に強く指圧するのは今の僕の体重と体型では難しいみたいだ。背中から肩に向かって、力を入れて押す、肩から背中に戻る時は優しく撫でる様に、この動作をリズムカルに行えば、今できる最高のマッサージだ。


2人は僕のマッサージの事を話していたけど、それも長く続かなかった、シンシアさんがマッサージの最中に寝てしまったからだ。どの位の時間マッサージをしたのか分からないけど、僕の眠気が限界にきたのでミヤちゃん達の部屋に戻る事にした。


「レイちゃん、僕もお願いできるかな?」


「ニャ~《おやすみなさい》」


お願いされたけど、僕は逃げるように部屋を後にした。猫は気まぐれなんだな、それにもう起きてられない。


『ええ~、僕には』と聞こえてきたけど、2人の間に潜り込む。






「ニャンニャンニャン」


今日は猫らしく、僕の匂いを付けて縄張りを主張しよう。前回と同じ場所に向かう。


先ずはベットの脚にスリスリ、次は勉強机の脚にスリスリ。ふう、いい仕事をしたな、壁の柱に暖炉の外側にもスリスリ、簡単すぎて直ぐに終わってしまった。


それなら3階の他の部屋に行って、縄張りを広げよう。僕の部屋の前はハリーさん夫婦の部屋、マッサージの度に呼ばれた時以外は入室してないけど、匂いを付けるのに入ってみよう。


「ニャ~≪縄張りを広げても仕方ないけど、キャロット母さんに教えて貰ったように、家の色々な所に僕の匂いを付けよう≫」


簡単な作業だけど、全ての家具と柱に念入りにスリスリしよう。


猫の生活はのんびりで僕によく合っている、お腹が空いたら2階の暖炉の横の僕専用のお皿に食事をしに行けばいい、眠くなったら、何かの下に潜り込んで寝ればいい。


シンシアさん達の部屋の作業は終わったので、階段に近い方の二部屋の向かう。


「ニャ~≪ここには、ミヤちゃん達の洋服が沢山置いてあるんだ、吊るして洋服を保管する家具? ハンガーを何個も掛けれる簡単な家具が何個も並んでいるな≫」


洋服と雑貨用品を置く部屋なんだな、ここは僕の縄張りから外そう、もうここに用はないな。


僕は、この部屋の向かいの部屋に向かう。


「ニャ~≪ここはハリーさん達の洋服を置いとく部屋、ここも縄張り外だな≫」


猫らしい活動が終わったので、猫らしく2階の暖炉の前で寝よう。





「レイ、起きて」


「ニャ~≪起きてるよ、目は開けないけど≫」


「もう、勉強の時間なのよ」


「ニャ~≪その勉強は、ミヤちゃんだけでして下さい≫」


僕は行きたくないと言っているのに抱き上げられた、またこのパターンか。


ミヤちゃんは、最初の勉強の時から僕を目の届く所に居させたいようだ、おそらく、自分が勉強している時に僕が遊んでいたり寝ているのが嫌なのだろう。


2階の暖炉からミヤちゃんの部屋まで連れて来られて、机の上に降ろされた。


「レイちゃん、待っていたわよ」


シンシアさんも僕がいるのが当たり前になってきたようだ。机の横の暖炉の前では、メグちゃんが遊んでいる。


「ニャ~≪先ずは算数ですね≫」


「準備が出来たよ、お母さん」


僕の頭を撫でるのが終わった、ミヤちゃんの勉強が始まるようだ。


「今日は難しいわよ。ここに1ジーロあります、100枚有るといくらでしょうか?」


「は~い、100ジーロです」


うん、合っているな、でも、簡単すぎないか。


「そうです、100ジーロですが、硬貨だと大桐貨が1枚です。では、10ジーロは通貨だと小銅貨、銅貨、大桐貨のどれですか?」


「は~い、銅貨です」


「そうです、銅貨1枚が10ジーロです。1ジーロが小銅貨1枚だと分かるでしょう。では、178ジーロだと何枚の硬貨ですか?」


「178枚の小銅貨です」


「合っているけど、178枚の小銅貨を数えるのは大変よね、枚数を減らす為には、大桐貨と銅貨も混ぜたほうが、お母さんは嬉しいわね。それに大桐貨の上の小銀貨、銀貨、小金貨があるのよ、それも小銅貨を使うと大変な数になるわ。何かを購入した時になるべく少ない枚数の硬貨を使うルールがあるのよ、なので178ジーロを一番少ない枚数にするには、どんな硬貨の組み合わせになるでしょうか?」


ミヤちゃんは考えている、それも長く考えている。


「大桐貨2枚でお釣りを下さい」


考えるのをやめたようだ。


「ミヤ、それも合っているのだけれど、今は買い物の勉強ではないのよ、何枚かの硬貨で178ジーロを表してみようね」


「それじゃ、お金も用意してよ」


まあ、現物が有った方が勉強しやすいだろうな。


「そうね、取ってくるわね」


算数の勉強ではなかった、通貨の組み合わせの勉強だった。この後も通貨を使って、何ジーロを少ない枚数で表す事を学んだミヤちゃんは『何かお菓子を買いに行ってくるから銅貨1枚を頂戴、あ、メグの分もだ・・・銅貨2枚頂戴』とだだをこねた。






「メグ、分かった?」


「うん」


簡単な文字の勉強にはメグちゃんも参加するようになった。僕が思うにシンシアさんは、何年か後にメグちゃんに教えるのが嫌になったのだろう。それでなければ、ミヤちゃんと同じ勉強を一緒にさせる筈がない。


二人掛けの椅子にはミヤちゃん達が座っているので、シンシアさんは自分の部屋から一人掛けの椅子を持って来て座っている。僕は机に隅で丸くなっている。


直線の棒を何個か組み合わせた文字はアルファベットに似ている。


「お母さん、これでいいのかな?」


「ミヤ、良く出来ているわよ、文字のこの線は曲がって書いてはダメよ。他の字と間違える事はないけれど、真っ直ぐな線で書くのがルールなのよ」


「は~い、真っ直ぐに書くね」


ミヤちゃんの手元の板には小さく書かれた文字がある。シンシアさんはよく見ているんだな、少ししか曲がってないけどこれではダメなんだ。


「レイちゃんもよく見るのよ、文字は大事なのよ、分からないところが合ったら聞いてね」


「ニャ~≪何で僕にも文字を教えようとしているのかな、どうせ、使い道がないのに≫」


「そうね、ここはこうなるのよ、分かったレイちゃん」


「ニャ~≪分かるけど、何で僕も参加させられてるんですか?≫」


参加させられている理由は分からないけど、文字は簡単だった。アルファベットに似た文字をローマの様に規則性を持たせて単語になっているようだ。


規則性が分かる表などがあれば、覚えるのがもっと簡単になりそうだ。


「それでは、次は洋服を文字で書いてみようね」


「ニャ~≪ミアちゃん、そこは間違っているよ≫」


「ミヤ、そこの横線が一本多いわよ」


「ええ、そうなの」


ミヤちゃんの横のメグちゃんは洋服を文字で書いた後に絵の洋服を描いている、その洋服はシンシアさんが今着ているヒラヒラの付いたワンピースだ。この世界の女性の服はワンピースが多いようで、一番簡単に作れるのがワンピースなんだろう。


「メグ、ありがとうね。よく描けているわね」


「うん、お母さんの服を描いたの」


勉強に飽きてしまった僕は、毛づくろいをする。この頃は、意識しないでも猫らしく出来るようになってきた。つい最近覚えたのが、ゆったりとした姿勢で飼い主に視線を向けて見つめる、のんびりとした動作から見られるのが飼い主は喜ぶんだな。まあ、子供のミヤちゃん達には効かない、あくまで日々の生活が忙しい人には効くようだ。


「レイ、のんびりしすぎだよ。次は帽子だよ」


奇妙な勉強会はまだまだ続くんだな。



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