ニャ~・・・57
「ミヤ、メグ、ニャ~≪緊急会議だ≫」
「レイ、ありがとう、緊急会議ね」
待ちきれない僕はミヤちゃんの足をふみふみしていた。
「おお、レイちゃんがやる気だよ」
「ニャ~≪大変な事になるんだよ≫」
「いつもより早いかもしれないけど、やろう、今年の誕生日の作戦を始めるわよ」
「そうだね、その分お菓子が食べれるよ」
「ニャ~≪違おうよ、違う議題なんだよ≫」
ミヤアちゃんのお礼の言葉は誕生日の事だったんだな、フミフミの事と勘違いしたよ。
「ん、首を振ってどうしたの?」
「レイちゃん、どうしたの?」
ベッドの真ん中に置かれている文字を叩く、緊急事態なのでリズムは禁止だ。
「メグ、レイの叩いた文字を書いて」
「は~い、待ってね」
急いでほしいニャン、誰も気が付かないと大変な事に。
「レイ、叩いていいわよ」
なんて叩こう、そうだな、分かり易い方がいいな。
「凄い在庫の数だよ」
「お父さんは、あれを見ていないの」
「ハリーは、買いに行っちゃったのね」
「パパはどこ?」
「仕入れだよ」
「ニャ~≪沢山有ったでしょう、洋服はもう要らないんだよ≫」
僕は冬服の在庫が多すぎて大変な事になるよ、見て来てと文字を叩いた。ミヤちゃん達は言われた通りに倉庫に行って在庫を確認すると、直ぐにシンシアさんにも報告してくれた。
「ああ、在庫があんなに有ったら・・・・・・もうダメ、破産するわ」
「破産」
「破産」
「はさん?」
「破産ニャン」
「レイちゃん、何でハリーを止めてくれなかったの?」
「ニャ~≪止めたかったけど、在庫があるのを思い出したのが、ハリーさんが店を出た後だから≫」
ハリーさんは仕入れの前に在庫を確認した事がない筈だ。ダグラスさんに話した時にこの事も伝えれば良かった。ハリーさんは、よく売れるから沢山仕入れて来た、安いから沢山仕入れて来た、沢山仕入れた時の理由をシンシアさんに話していた。でも、在庫が少ないから沢山仕入れて来たと話した事がないんだよ。
あれ、破産はしないか、借金はない筈だ。現金を確保するには洋服が売れればいいんだ。
「お母さん、洋服は売れないの?」
「そうよね、少しずつ現金になってくれると嬉しいわね」
「そうだよ、売れればいいんだよ?」
「そうよね、売れればいいのよね」
「ママ、眠い」
「ジャン、お母さんも眠くなってきたわ」
シンシアさんのテンションはダダ下がりだ、会話に覇気がない。
「お母さん、今日はゆっくり休もう」
「そうだね、休めばいい事があるよ」
「ニャ~≪疲れは悪い事を考えてしまう、のんびり休んだ方がいいよ≫」
「そうね、もう寝ねましょう、ジャン行くわよ」
「は~い」
「こんな時間ですが、緊急会議です」
「レイちゃん、寝てはダメ。私も眠い」
「私も眠い」
「ニャ~≪もう寝ようよ、シンシアさんも寝たよ≫」
二人はシンシアさんが寝付くまでそばにいてあげた。
優しいよね・
僕もご飯を食べさせてもらっているので何かしたいけど、既にやりつくしたんだよね。思いつく事は全部した、お客さんも来てくれるようになったし、洋服を売っているお店だと認知もバッチリの筈。
お店から離れたところでニャンパラリンをしても、おそらくお客さんは増えないだろう、僕だってそんなに遠くに買い物に行きたくない。自転車も電車も無いんだから、この街の中の移動も大変だ。学校も1時間位掛かって通っている。
「何かいい案はないの、全然思い付かない」
「思い付かないよ~」
「ニャ~《浅知恵も遂に尽きたよ》」
「そう、みんな駄目なのね」
「はいニャン」
「うん」
「寝よ、よく寝て、明日考えよう」
眠いミヤちゃんが揺れている・・・・・・僕の揺れているぞ。
「はいニャン」
「は~い、明日だね」
「雷は怖いだろ、突然にピカピカしてズドンだ。当たれば死んでしまう、木の下には絶対に行ってはいけない、逆に木から離れて頭を下げるんだ分かったかな」
「先生、僕の家の横に林があります、どうしたらいいんですか?」
「そだな、家から出ない事が一番安全だ、木に雷が落ちると周りに有る物が巻き込まれる、でも、家の中に居れば安全だ。だからもし、雷の音が聞こえたら家の中に避難した方が良い、これは、家の近くに木が有る無しに関係なく家に避難すればいい。出来れば、その木は切った方がいいが、難しい問題だ」
「そうなんだ」
「よし、雷の事はここまでだ、次は雨だ。雨の怖いのは特に無し、雨による他の被害が深刻だ。土砂崩れに、川の氾濫、海の水の上昇だな」
「雨が降り過ぎなければいいんですか?」
「そうだ、この辺は雨があまり降らない、だから、大雨の時になりが起こるか分かっていない、先生も研究を続けているが何も分からない、もし大雨が降ったら海に行かない。海面が上昇して波にさらわれる事になるかもしれないから、堤防が有るので湾内では波が起こりにくいが、万が一だ絶対に行かない様に、分かったかな?」
「「「は~い」」」
「次は・・・・・・そろそろ終わりだな、天気による危険の授業の続きは次回だ、終わります」
机の下で授業を受けたいたけど、天気による危険の授業は、元の世界の災害の時の注意と同じだった。
ミヤちゃん達は、外で体育の授業を受けている。僕は体育の授業だと何も出来ないので、教室の中で行われる授業に出た。
「そうです、10歳になると証明書が貰えます、それは、この学校に通った人しか貰えません。8歳から15歳の間に1年間、国語と算数、街の中の事と外の事、基本的な知識を勉強した証です。勉強が進んでいる人は退屈かも知れませんが、色々な授業を聞いて将来に役立てて下さい」
だいぶ前の授業で、同じ数字を何回も足すより、回数を数えて掛け算にした方が便利だと教えていた先生だ。名前はマイヤ先生、年齢は25歳前後の赤髪の女性の先生、算数の先生かな。
「先生、大人の人は証明書を貰えなんですか?」
「この街の大人の人なら全員がここの生徒さんだったと思います、皆さん持っている筈です。違う街からの人、旅の人、冒険者の人はギルドカードか証明書を持っている筈です、発行条件は色々なのでここでは説明しません。もし、証明書を発行されても大人の人と一緒に街の外に出て下さい、街の外の事をよく知ってから、ご両親の許可のもと街の外に出るか判断してください。では、授業を始めましょう、今日は国語の文字の勉強です」
文字の勉強か、復習にはなるけど文字を書く事が出来ない僕は、読む事が出来ればいいので、授業を辞退する事にした。ミヤちゃん達はこの中にいるんだな。
授業に順番が無い、先生次第なので、授業の順番や説明が遅れる事がよくある。
教科書のような物が無いから、順番を間違えて授業が行われる、それにみんなの勉強の進み具合が違うので1回受けた後に復習のような授業が何回もある、魔法の授業は、使えない人達が何回も受けている。
そうだ、外に出れば魔法の授業をしているかもしれない、見にいってみよう。
「誰も出来ませんね、どうしてかしら、攻撃魔法が使えるようになった人はいますか?」
ライラ先生の魔法の授業だ、離れた木に登って様子を見ると15人の生徒がこの授業に参加しているが見てとれる。
「・・・・・・・」
誰も使えるようになっていない・・・・・・返事がないのなら、攻撃魔法を使えるようになった人はいない、ライラ先生の攻撃魔法以外の魔法を使えるようになった人もいない、魔法を使えるようになるのは大変なのかな。
「そうね、皆さん座って目を瞑って、足が速くなるのを想像して下さい」
僕も先生の言われた通りに目を瞑って、足が速くなるのを想像する、僕は足が速い・・・・・もっと速く・・・・・・・。
「ニャ~≪よく寝たな、木の上でも寝れるんだ≫」
授業は終わっていた。足の速くなる授業を受けたのは2回目、木の上で寝てしまった。校庭では次の授業が行われていた。
「剣をこのように連続で振ると相手は近づいて来れない、だが、連続攻撃は疲れる、疲れた時が危ない時だ。連続で剣を振るのは牽制にはなるが自分が疲れては意味がない。力を抜いて敵が攻撃を仕掛けた時に振る方がより効果的だ、やってみよう」
「は~い」
対峙した二人組が剣の勢いを抑えて練習している。ミヤちゃん達がいる、アカリちゃんとミヤちゃんが組んで練習をしているな。
メグちゃんは・・・・・・・先生に攻撃をしているぞ。
「いい振りだ、本気でいいぞ。当たらないな、先生は後ろに下がるだけで避ける、メグちゃんは本気で剣を振る。どうだ疲れないか?」
「大丈夫だよ、練習しているから」
「よし、どこまで続くか楽しみだ」
メグちゃんの体力と先生の避けるのがどこまで続くか楽しみだ。
「参ったよ、当たらないけど、避けるのに疲れた。このまま続けても当たらないだろうけど、もう無理だ」
「そうなの、もっと攻撃したかったな」
メグちゃんは剣を振っている回数が少ない、なるべく先生の近くに行って振っているからだ。先生は剣を避けるよりもメグちゃんとの間合いを取るのに疲れたようだ。
あれ、ミヤちゃんが倒れているぞ。
「ミヤ、ごめん、当たった?」
「アカリ、痛いよ、練習なんだからもう少し抑えないと、連続で練習できないよ」
「そうだね、アハハは」
「笑った、許さんぞ」
倒れていたミヤちゃんがアカリちゃんを追いる。周りでは二人一組の練習が続いている。
「お姉ちゃん、私と練習しよう」
「分かった~、少し待っていて~」
先生は他の生徒の指導に戻ったようだな。
授業に何回も出たけど、魔法の授業以外は出なくてよさそうだ。
「そこの小動物、降りて来い」
下には体育のロバート先生が、こちらを見上げている。
僕の事だと思うけど、降りて来いで降りて行く動物はいない、僕も降りて行かない。
「珍しい生き物だな、凄く可愛いい」
「ニャ~≪降りて行かないよ≫」
「ん、猫、猫の鳴き声だな」
「何しているんですか~ロバート先生~?」
まずいぞ、パール先生にも気づかれちゃうよ。
「小さい動物が木の上にいるんです~」
何で僕の事に気が付いたんだ、どこから来たんだろう。
「それはいるでしょう、どこにでも」
そうだよ、東京都と違って何処にでもいるよ動物は。
ああ~、授業をしていたみんながこっちに来るよ、ミヤちゃん達も一緒だ。
「本当だ、小さい動物が枝の上にいるな。ああ~、ロバート先生が怖くて逃げたんですね」
「何言っているんだ。俺が走っていたら物音が聞こえたんだよ、見上げたらこの小さい動物がいたんだ」
「可哀そうに小さくなって、降りれないのか」
「どうなのかな。鳴き声が猫だったんですが、降りて来ないので、降りれないのかもしれません」
「ああ、レイ、何しているの、木登り」
「レイちゃん、高いところから降りる練習」
「違うよ、ミヤ達が心配で見に来たんだよ」
「ミヤちゃんの家の子猫なのかな?」
「はい、レイは子猫で家で飼っているんです」
「レイちゃん、先生達は怖くないよ、降りて来て」
「そうだよ、先生は悪い人じゃないよ」
「ニャ~≪その~・・・・・・見つかちゃったね、ニャンパラリン4回転≫」
「おお、変な動きで回転していたな」
「ああ、落ちる速度が遅くなったぞ」
どうすればいいんだ、学校から出て行けばいいのかな。
「可愛い猫だな、それもふかふかで触り心地がいい、アレッタに見えせてあげたいな」
皆に見つかった後に話の分かる猫・・・・・・言葉の分かる猫なので悪さをしないとミヤちゃん達が言うので、無罪放免された。
授業が再開されて、僕は降りた木の近くでのんびりしてた。ロバート先生は校庭の端を走っていて僕を見付けたようだ。
発見されてしまったので、最後の授業には出れそうもないので、職員室のロバート先生の机の上で寛いでいる。連れて来られたが本当の事だけど。
「ニャ~≪奥さんの事、それとも娘さんかな≫」
「言葉が分かるなんて不思議な事を言うな、動物が名前を呼ばれると来るのは知っているけど、俺達の言っていることが分かるなんてあるのか」
そうだよね、猫が勉強して人間の言葉が分かるようになったと思う人はいないよな。シンシアさんは自分が教えたと思っているけどね。
そうか、シンシアさんの為に何か考えないといけないんだよな、昨日は眠くて考えられなかったけど、何か考えてあげないと可哀そうだな。
「俺が言っている事は分かるのか?」
「ニャ~≪分かりますよ≫」
「そうか、頷いて意思疎通が出来るのか、分からない時はどうするんだ?」
こうかな、顔を振ればいいよな、最近は話せるから、動作で相手に伝えるのはあまりしてないんだよな。マッサージのお客さんの時は仕草で伝えたりしているな。
「凄いな、何でも出来るんだな、よし、面白い事をしよう」
「疲れないのか、動物は体力があるな」
面白い事が体力作りだった、そんな気はしていたけどロバート先生は体力作りが大好きで、よく走っている様だ。
「ニャ~≪よく頑張るね、疲れないの≫」
「負けないぞ、生徒はたまにしか付き合ってくれないんだ」
そうだろうな、ここの生徒さんは1年間で基本の知識を身に付けて許可書を貰う、貰う為に授業を受けて基礎だけは学ぶ、1年後からは自由参加、基礎の勉強を続けたければ通う、魔法と剣をお覚えたければもっと長く通う。体力作りが必要なのは、剣を学ぶ人と魔法を学ぶ人達だけかも。
まあ、ロバート先生と一緒に体力作りをするのは大変だから、自分に合った体力作りをしているかもしれないな。
「ニャ~≪持続力だと先生にかなわないかもね≫」
僕も誰かと一緒の方が楽しいよ。
「レイ、帰るわよ~」
「レイちゃん、作戦会議だよ~」
「なかなか姉妹か、あの子達は体力がある。一緒に走ってくれないかな~、楽しいんだよ」
「先生、さようなら~」
「先生、暇な時に~」
「ああ、楽しみにしているぞ~」
「ニャ~≪さようなら≫」
ロバート先生に帰りの挨拶をしたので、ミヤちゃん達を追いかけよう。
先生は本当に走るのが好きなんだな、僕も走るのが楽しい。どうせなら、子猫が走っているのを見て、幸せの気分を味わいたいけど、小さい猫は僕だけ、お母さんと兄さん達は元気にしているのかな、みんなは近くに住んで居ていいよな。
みんな、僕は元気だよ。
「レイ~、早く」
「遅いぞ、レイちゃん」
「はいニャン」




