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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
56/521

ニャ~・・・56

「レイ、洗って」


「はいニャン」


ミヤちゃんとメグちゃんは浴槽で浮いている、身長が伸びて来たので、浴槽の両脇にぶつかる日が来るのかもしれない。


ジャンに先に洗ってもらったので、今度は僕の番だ。


「ジャン、そこで寝るのよ、レイが洗ってくれるわよ」


「は~い」


そうだな、僕の身長だと座ったジャンの背中の真ん中より少し上まで届けばいい方だ。


「ナデナデ、ナデナデ、ゴシゴシ、ゴシゴシ」


小さい手を頑張って動かす、マッサージと違うけど、似た様な感じだな。今は小さいジャンもミヤちゃん達に追い付いて追い越すのかな。大きくなっても、シンシアさん達に似た顔のジャンは女の子に間違われるのかな、それともカッコいいハリーさんに似て来て中世的な美男子になるのか。


「気持ちいい、レイ、ありがとう」


「ジャン、ありがとう」


「ジャン、お湯を掛けるわね」


「は~い」


ジャンの石鹸をお湯を掛けて落としていくミヤちゃんは楽しそうだ。


「レイちゃんの貰って来た石鹸、いい匂いだね。甘そうだよ」


「高級ね、お母さんが喜ぶよ」


「もう直ぐだね、誕生日」


「レイは何もないんでしょう」


「はいニャン」


そうなのだ、僕は誕生日のプレゼントを諦めたのだ、色々と考えてみたけど、お金の問題よりもあげたい物が思い浮かばないのだ、人間なら、料理のお手伝い等の家事を代わりにしてあげるとかが出来るけど、無理なので、マッサージをお願いされたら喜んですればいいと思う。


「贈り物を見つけたんだよ」


「お母さんが喜びそうだよね」


「お姉ちゃんと頑張ったんだ」


「みんな出て~、お母さんも入りたいわ」


壁の柱からシンシアさんのお風呂から出てが聞こえた。


子供には面白く思えるだろう仕掛けだ。ジャンは聞こえてきたシンシアさんと会話して喜んでいたんだよね。


「「「は~い」」」


「はいニャン」


シンシアさんの誕生日は数日後だ、当日にプレゼントを買いに行くんだな。串焼きが食べれるかな、久しぶりだよな。





「僕からのプレゼントはお花です」


「ありがとう」


シンシアさんは満面の笑みでお花の匂いを嗅いでいる。ミヤちゃん達は1回あげているので、選ばない様だけど、ハリーさんは初めてだからいいのだろう。ミヤちゃん達の真似をしている様にも感じるけど仕方ない。


「次は私達よ、メグお願い」


「お母さん誕生日おめでとう、今回は2個用意しました」


「おめでとう、お母さん」


シンシアさんの前に置かれた木箱は2個、大きい方はお菓子の木箱、小さい方の木箱は手の平に乗る大きさだ。


「小さい方が気になるわね、開けていい?」


「いいよ」


「開けて」


「開けて」


ジャンはメグちゃんの返事を真似たんだな。


期待を込めて手に取った小箱の上ぶたをシンシアさんが開けた。


「あら、見な事のない、革製品ね、綺麗な赤い」


と言って中から出して手の上に乗せった。


「綺麗な赤色の革製品だ、綺麗に染めてあるな、なんだろう」


「ミヤ、この革製品は何に使うものなの?」


「お財布だよ、王都で流行っているんだって」


「そうなんだよ、この街で販売しているのが3個だけだったんだよ」


「お財布なの・・・・・・このベルトを外して中にお金を入れるのね」


硬貨を入れる財布、オシャレなベルトを留めれば入れた硬貨が出る事はない。綺麗な赤色の財布のベルトは茶色で留める金具は金色だ。


シンシアさんは去年と同じ表情をして「もう、どうしてこんなに素敵な物をくれるのよ」と言って、テーブルを回り込んで、座っているミヤちゃんの後ろから抱きしめて「ありがとう、ミヤ」、メグちゃんにも抱きついて「メグ、ありがとう」と言って目を拭った。


「ママ~」


「ジャン、ありがとう」


「はい」


「レイちゃんは、マッサージをしてくれるのよね?」


「シンシア、おめ~、はいニャン」


「レイちゃんありがとう、さあ、食事にしましょうね。今夜はごちそうよ」


「「「いただきます」」」


みんながプレゼントを渡し終わったので、少し豪華な夕食だ。


僕の夕食はいつもと同じ、でも、お昼には串焼きを3本食べた、西側の美味しい串焼きだ。






「ミヤちゃん、メグちゃん、この綺麗なお財布を私に?」


「うん、お母さんとお揃い」


「違う色の財布がなかっんだ」


「お母さんの財布を買いに行くのに私も一緒に行ったんだよ、凄いお店なの。その中で一番良かったのがミヤ達が選んだ財布だったんだよ」


「みんな、ありがとう、嬉しいわ。でもいいのかしら」


「ニャ~《ミヤちゃん達は、お祭の時の事を感謝してプレゼントを贈る事にしたんだよ》」


サキさんもシンシアさんのように満面の笑みを浮かべて両手を広げて三人を抱きしめた。


「ありがとう、みんな。大事に使うね」


「みんな、サキにありがとう。お礼にお祭りの時のお菓子を焼くよ、明日の朝には作っておくよ」


「やった~、お菓子よ、メグ」


「うん、この日をどんなに待ったか」


「そうだね、もう秋だよね、メグちゃん」


「ニャ~《頼めば作ってくれたんじゃないのかな》」


「レイちゃんの分も作るからな」


「はいニャン」


僕の分は誰かが食べてくれるだろう、それよりも、ここに来てからランディさんの撫でる手が止まらないのだけど疲れないのかな、お祭りの時のカステラ作りに比べれば大した事ないか。






「美味しいね」


「おじさんは偉いよ、ひとり1個だよ」


「おじさんは偉いよ、レイちゃんの分を私にくれるなんて」


今日の授業は終わった。生徒さんの中にはお昼ご飯? を持って来て食べて帰る人もいる。皆が帰るのを待っていた猫学生は、ひっそりと机の下に隠れている。


待つ間に人の話を盗み聞きをしていると、授業の終わった教室に残ってお昼を食べている人がいた。


お昼なので当たり前だけど、お昼を持って来るのは面倒な筈なのに毎回持って来ているのかもしれない。だとすると、お昼を用意している人は大変だ・・・・・・違うか、パンと干し肉だけなので持って来るだけだ。持って来るのを面倒と思ってないんだな、その女の子はこの教室にはいない、違う教室で食べているんだろう。


この教室にいるのはミヤちゃん達三人と僕だけだ。


ランディさんは約束通りにカステラを焼いてくれた『レイちゃんの分だ、誰に渡す』『は~い』とメグちゃんに僕の分を預けた。


猫学生はアカリちゃんの家のドアに耳を当てて聞いていた。家を出るのが早い時と遅い時があって、今日はミヤちゃん達の後だった。歩いているのを発見されるわけにはいかないのだ、猫学生は授業料を払っていないから。


「おじさんのお菓子、美味しくなったね」


「うん、美味しくなった」


「たまに、作っているんだよ。もっと美味しく作って、レイちゃんにあげるんだと頑張っているのよ」


「レイは甘いの食べないよ、おじさんに言ってあげてないの?」


「言ったよ、食べない人も食べたくなるのを作るんだだって」


「凄いよ、おじさんは、どんどん美味しくなれば・・・・・・アカリちゃん」


「なあに?」


「どんどん出来ているお菓子は誰が食べているの?」


「お母さんと私だよ、ほぼ私かな」


メグちゃんは気が付いてしまった、試作品の時の様に毎回くれればいいのにと。


「アカリちゃん、おじさんに味見するから、余分に作ってと言っといてね」


「そうだね、言っとく」


「お願いします」


流石だ、どこまでも沢山食べる事に努力する姿は・・・・・・食いしん坊と呼べばいいのかな。


「あら、皆さん、お昼を食べているのね」


「はい」


「ライラ先生、お昼は?」


「これからです、教室のお片付けしていたのよ・・・・・・それ、それ、それは何ですか?」


「それ・・・・・・今食べているお菓子の事ですか?」


「今食べているのは、やっぱりお菓子なんですね」


切る道具を持っていないので、パンの様に千切って食べるか、そのままかぶり付いて食べるしかない。三人は両手で持って、カステラを端からかぶり付いて食べている。


ここから見えるライラ先生の表情が真剣だ。


「美味しいですよ」


「その、少し見せてくれませんか?」


何か気になるのか、ライラ先生の声が低くなった。


「どうですか?」


半分以上食べられた口の形が付いたカステラを先生の目線の前にミヤちゃんは突き出した。面白そうなので、もう少しよく見える様に後ろに下がる、気が付かれないよな。


「これは、お祭の時に完売したお菓子に似ていますね」


「はい、完売しましたね」


「うん、沢山売れたと喜んでいたよね」


「ええ~、完売しなければ貰えたかもしれないのに」


メグちゃん達は、間違えて作ったカステラを貰っていた筈だ、それも凄い量を。


「どうして・・・・・・このお菓子を作ったのは誰ですか?」


ミヤちゃんとメグちゃんはライラ先生の質問の答えをカステラで指した、アカリちゃんを。


「うちの家でお父さんが作りました」


「何で授業の時に教えてくれなかったんですか、あんなに食べれなくて残念と話していたのに、それに買えなかった事をメグちゃんに話しましたよね」


「うん、聞いたけど、このお菓子の事だと思わなかった」


「それで、アカリちゃんの家に行けば買えるのね、どこですか?」


「販売してませんよ、たまに作ってくれるだけです」


「お祭にならないと販売しないのね、ああ~あ、お祭は3年以上先ですね、ハァ~」


「そうか、これあげるよ」


メグちゃんが、僕のらしいカステラの食べかけをあげるなんてどうしたんだ、悪い物でも食べたのか・・・・・・。


面白い事は起きないみたいだ、急いで帰ろう、いつもよりお昼が遅くなってしまった。


「嬉しいです、ありがとう、メグちゃん。ふかふかです、美味しい。お祭の時に珍しいお菓子だと話していた3人組の女の子の話は本当でした」


「先生、チョコを知っていますか?」


「メグちゃん、それは何ですか?」


「大人の味です」


「メグ、持って来てたの?」


「うん、家に置いとくと心配なんだ、先生に少しあげます」


「いいの、ありがとう」


「私も」


「私にも」


「仕方ないな、少しだよ」


「美味しい、大人の味なのね」


「そうです、大人の味です」


メグちゃんは食いしん坊、でも、ケチではない。


お昼ニャン、急いで帰るニャン、食後は布団で寝るニャン。






今日は学校が無いので、のんびりとしていたらシンシアさんとジャンに捕まって、お店に来る事になった。


「ミヤちゃん達はちゃんと学校に行っているんですね」


「そうなのよ、最初はどうなるかと思ったんだけど、真面目に行っているのよ」


「ジェシカさんも行きました?」


「行ったわよ、文字の勉強に計算を学んだの、家で勉強するのもいいけど、学校だと家のお手伝いを頼まれなくていいのよ」


「それありますね、懐かしいな、先生元気かな」


「ニャ~≪元気だよ、それにマイペースだ≫」


「レイちゃん、動いちゃだめよ」


「はいニャン」


ベビーベッドでジャンはお昼寝中、僕はジャンに抱かれて身動きが取れない。


シンシアさんは寝たばかりのジャンが起きないようにしたい。これからの時間はお客さんの来る時間だからだ。


「レイちゃんだ、久しぶりにお店にいるのね」


「いらしゃいませ」


「ニャ~≪お待ちしておりました≫」


女性の常連さんは僕を見付けて首の所を撫でてくれる。


「ゴロゴロ」


「可愛いわね、レイちゃんがいるだけで来たくなるわね」


猫カフェがあるんだから、猫販売員のいる洋服屋さんがあってもいいな。僕ならやれるね。


「ジャン~・・・・・・行ってくるぞ、仕入れだ」


「パパ、行ってら~・・・・・・・」


ジャンは、薄目を開けてハリーさんに話したけど、眠くて最後まで言えなかった様だ。


「ハリー、静かにして寝てるんだから」


「すまん、行ってくる・・・・・お客さんごゆっくり見て下さい」


「ありがとう」


ハリーさんは出かけた。常連さんと他のお客さんは洋服を・・・・・・ハリーさんを止めてよ。ジャンには捕まっているし、話す事が出来ない。僕が話せる事を知っている人意外とは会話が禁止されている、僕もその方がいいと思う。


常連さん・・・・・・はいニャンとニャンパラリンは聞かれた事があるかも知れないけど、ここでハリーさんを呼ぶ事は出来ない。


シンシアさん達は気が付いていない、忘れていると言った方がいいだろう。


ああ~、今、仕入れに行ったら、ミヤちゃん達の誕生日に帰って来れるか分からないじゃないか。


そして、もっと大事な事が、去年仕入れた冬物の在庫が1箱も開封されていないのに、ハリーさんは仕入れに行ってしまった。少し売れるようになった事で、ハリーさんの仕入れる量が増えてしまったのは僕のせいなのか、今日の夜は緊急会議だ。



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