ニャ~・・・52
ニャンパラリン海。ニャンパラリン海。
「ニャ~≪夏だ海だ~≫」
「西側の端の方にあると聞いたんだけど、まだ着かないのね」
「お姉ちゃん、おじいちゃんはここにあるて言ったんだよね」
「ニャ~≪ダグラスさんか≫」
「お祭りの時にね。海沿いを歩いて来たんだから、合っている筈よ」
僕の知っている西側の造船所は、だいぶ前に過ぎた。
お財布さんの大きい船の造船は進んでいるようには見えなかった。骨組みが2.3ヵ所増えても僕には分からないだろうな。
向かっているのは、西側の街の南ある砂浜だ。ダグラスさんがミヤちゃん達に話したらしいけど、僕がいない時だ。
「レイ、先に行って確認してよ、砂浜が在ったらその場でニャンパラリンしてよ」
「それがいいよ、目標が分かれば頑張れるよ」
「はいニャン」
夏の暑さは、東京の暑さよりも気温が低いかもしれない、地面を走る僕がばてないのは、気温が低いからだ。地面の近くは反射で高温になるらしいのにそうでもない。
キラキラ光る海面が少しだけ見える、ミヤちゃん達の所から1k位走ったのかな、岸壁の横は、まだ海の水で、砂浜じゃない。
ああ、少し先に浜辺だ砂浜だ。よし、ミヤちゃん達に教えよう。
「ニャンパラリン、ミヤ、ニャンパラリン、メグ、ニャンパラリン、ミヤ」
その場でジャンプと回転をしてミヤちゃん達の名前を呼んだ。
僕の動きが見えたのか、微かに『そこなのね』『レイちゃん、今行くね』と聞こえてきた。
「サラサラだ」
「面白い」
「ニャ~≪涼しいな≫」
波のある海を泳ぐのは初めてだ。どうして波が起きているのかわ分からないけど、気持ちいい。
岸壁に階段があった、とても親切だ。ミヤちゃん達は砂浜の砂で遊んでいる。
「レイ、気持ちいいよ」
「向こうに何かある」
「どれ・・・・・・これは何だろう」
「小さい石?」
「平らな石」
何を見付けたのかな、平らな石か・・・・・・ここからだと何を持っているのか見えないな。
「レイ、見に来てよ、平らな石よ」
「ニャ~≪見よ、進化した猫カキを≫」
ジタバタしても前に進まない、この技を編み出したは、その場に止まる為だ。丁度波が有るので試す事が出来た。
「レイ、今行くわ」
「はいニャン」
何でミヤちゃんが来るんだ、僕に来いと行っていたのに。
「ミヤ、ニャ~≪泳ぐの上手くなったね≫」
「よし、私も行くよ」
「はいニャン」
メグちゃんもか・・・・・・メグちゃんが泳いでいるのを見た事ないけど、大丈夫なのか。
「お姉ちゃん、助けて前に進まないよ」
「メグ、落ち着くのよ、体は自然に浮くからのんびりと手を動かすの」
「おお、足が届く、もう安全だ」
メグちゃんは泳ぐのを諦めたようだな。
「レイも、暴れると溺れるわよ・・・・・・レイ、こっちに泳いで来て」
「はいニャン」
波に乗るように泳げば、いつもよりも早く進む、サーフィンも同じなんだろうな。
ミヤちゃんとメグちゃんがいる所はもう直ぐだ。
「ニャ~≪いい波が来た、これに乗って更に加速だ≫」
「レイ、反省はしてますか?」
「はいニャン」
シンシアさんがハリーさんを怒っている時みたいだな、瓜二つだな。
「レイちゃん、溺れたふりは駄目だよ、私は溺れた」
メグちゃんも二人に瓜二つだ・・・・・・瓜三つ?。
「メグの足が付いたからいいけど、もっと、深かったらどうするのよ」
「ニャ~≪泳ぐ≫」
「反省が感じられないわね」
反省を感じて貰えなかった僕は、砂に埋められた。この後僕は、どうなるんだ、上げ潮で海の中かな、それとも引き潮で長時間放置。
「ニャ~≪温かいよ、この状態を砂・・・・・砂風呂だ、気持ちいいな≫」
「お姉ちゃん、レイちゃんの顔が幸せそうだよ」
「そうね、埋められて嬉しいのかいら、レイ、嬉しいの?」
「はいニャン」
嬉しいのは気持ちいいからだ。この状態に自分では出来ないから、このまま少し過ごしたいな。
体全体がポカポカだ。
「いいな」
「いいよね」
「お姉ちゃん、埋めて」
「うん、先ずは二人分の穴を掘ろう、メグが入ったら埋めるからね」
「お姉ちゃんは?」
「何とか自分で埋めるよ」
砂浜の遊びを分かったようだ。
「横でも気持ちいいのね」
「うん、縦に掘るのは難しいね」
「ニャ~≪縦に掘らなくて良かったんだよ、自力で出てこれないからね≫」
自力で出れない僕は、視線を隣の二人に向ける。
深く掘った方を足にして二人は砂の中に埋まっている、あの状態でも二人は出にくいだろうな。
「レイが幸せな顔をしているのが良く分かったわ」
「ポカポカで温かいね」
そんなに広くない砂浜に三人しか、二人しかいないのはどうしてなんだろう。泳ぐ人がいないのかな、夏の砂浜は楽しいのに。
「ニャ~≪気持ちいでしょう、これもマッサージのような効果があるんだよ≫」
低温すぎるかな、でも、汗をかいているから、効果はあるよ。
「平らな石を持って帰るんだ」
ミヤちゃん達が見つけた平たい石は、貝だった。シジミ、アサリ、ハマグリ、この3種類しかしらないけど、違う形の貝ならホタテにカキ、スーパーに売っていそうな物なら見た事がある。
「レイが集めているんだから、頑張ろう」
「ニャ~≪そんなに頑張らなくていいよ≫」
貝取りを初めてした、元の世界でもした事が無かったけど、猫になってからするなんて。
「似たような形をしているのが沢山落ちてるよね、誰かの落し物?」
「さあね、沢山落ちているから、自然にある物なのかもよ」
「ニャ~≪貝を見た事も食べる事も無いのかな≫」
「レイちゃん、この位でいいの?」
「はいニャン」
メグちゃんの前には沢山の貝が、手の違いだろうけど、沢山浜辺にいるんだな。
「私の勝ち」
「お姉ちゃんに負けた、レイちゃんには勝った」
「ニャ~≪いつから、貝拾いの数を競っていたんだ≫」
「メグ、バッグに入れよう」
「うん」
「ニャ~≪帰ったら塩抜きだ≫」
「レイちゃん、これでいいの?」
「はいニャン」
シンシアさんが用意してくれた木の桶には、貝と薄く張らた水が入っている。
「レイちゃんは水も言えるようになったのか」
「パパ、水」
「ジャンは良い子だな、水は飲めなんだぞ」
ハリーさんは、ジャンに頼られて嬉しい表情をする。ミヤちゃん達が頼ってくれないからだ。
魚介類だとサンマ、サケ、マグロ、アサリ、サザエ、ホタテ、カキ、カニ、これが僕が食べてきた海の幸だ、この中でよく食べたのか、サンマ、カニ、カキの3種類、カニはネットの取り寄せをしていたけど『もう駄目だ・・・・・・継いでくれるもんもいない、船も老朽化で買い替えてまで出来ねえ、ごめんな』と電話が掛かってきた。
おじいさんからは年に10杯を5回位取っていた。親戚のおばさんが大好きなので、泊りに来る時は、おじいさんに電話して送って貰っていた。
僕がカニ好きかと聞かれれば、味は美味しくて大好きだと答える、けど、そんなにカニを食べたいと思った事はない。例えるなら、蕎麦は美味しくて大好きだけど、たまに立ち食いで食べるぐらいだ、美味しい味が大好きだけどその食材にこだわっていない。だから、カキフライも美味しいくて大好きな味だけど、大好きな食べ物ではない。
貝が水を吹いてきた、塩を入れるともっといいらしいけど、この世界の調味料は貴重なので砂抜きに塩を使うのは勿体ない。
「ぷくぷく」
食後に寛いでいた僕の横にジャンが来た、砂抜きの観察を一緒にするようだ。
貝から水が出るのを見るのが楽しいのか、視線が水が出た貝に移動する。
「ジャン、寝る時間よ」
「はい、寝んね」
「パパも寝んねだ」
僕も寝よう、砂抜きには少し時間を掛けた方がいい。
「レイ、どうやって食べるの?」
「ニャ~≪お鍋で茹でるのがいいかも、生焼けだと危険かも≫」
「お母さん、レイちゃんが食べるから、何かして」
桶の中の貝は元気だ、目が出ているように見える・・・・・・謎の、この何とかは何だろう。勉強不足なのか、それとも、貝について何も知らないのが普通の子か。貝から出ている触角? らしき部分の名称が分からない。貝に目はあるのか? どうなんだ。
「どうやって食べるのかしら、それよりも食べて平気なの」
「大丈夫よ、レイが食べる為に拾って来たんだから」
「そうだよ、簡単に集められたけど、レイちゃんじゃ持てないんだよ」
「ニャ~≪その通りだ、1個挟んで持ってこれればいい方だ、どうせ食べるなら沢山食べたい≫」
「レイちゃんに聞けばいいのか、焼くのがいいかな?」
焼くのは嫌だな、僕の手だと焼いたのは食べづらい、後熱いかも。茹でた方が無難だよな。
「焼くは駄目なのね、茹ででいいかしら?」
「はいニャン、はいニャン」
「2回返事したよ」
「焼くのは絶対に嫌だと言っているんだね」
「そうね、茹でましょう、レイちゃんも来て、何かあったら言ってね」
「はいニャン」
「これを食べるのか、レイちゃんは勇気があるな」
台所の鍋で茹でて貰った、水は少なめに、塩は無。シンシアさんが塩を何度も入れようとしたのを止めるのに苦労した。
『入れた方がいいわよ』『少し少しだけ入れようね』『もう、無味でも知らないわよ』と最後は怒られている様だった。
塩を入れられない様に見張って、茹ですぎも嫌だったので『ハイニャン、ハイニャン』と合図をだしたら『そんなに食べたいの、慌てないでよ』と言われてしまった。
「あれ、石のように見えたのに開いている?」
「おお、別の物体に変化したよ」
「白くて小さいのは何?、茹でたから動かないのよね」
「ニャ~≪普通の貝だ、見た目は普通の貝だ≫」
お皿に盛られた貝は30個位か、もしかしたら40個位有るかもしれないな。
茹で汁も入れられた皿から何とか1個の貝をテーブルに落とす事が出来、開いた貝が上手く取れる向きに落ちてくれたので身に爪を立てて取り出す。
「レイちゃんが食べるぞ」
「ついに謎の物体が口の中に」
興味津々なんだな、僕の手に有る貝に視線が集中している。茹でてあるんだ、大丈夫だよね。
「ニャ~≪いただきます、あ、美味しい、アサリはよく食べたけど、この味はハマグリだ≫」
美味しいな、ハマグリはスーパーに並んでいない事が多い。久しぶりに食べる味だな、醬油を垂らして焼いたのが最高の味なんだよね。この貝は小さいので、少し物足りないな。
「どうなの、美味しいの?」
「レイ、感想は?」
「レイちゃん、さあ、どうなの?」
「そのだな、危なくないのか?」
「美味しいニャン、美味しいニャン、美味しいニャン」
味は最高だった、小さいせいで物足けど、凄く美味しい、お汁も美味しいだろうとお皿に手を伸ばした手が空振りした、置いてあったお皿が持っていかれた。
「私は食べる」
「お姉ちゃん、私も」
「マンマ、食べる」
「ニャ~≪ジャンもいたんだな≫」
ミヤちゃんの前に持って行かれたお皿にみんなの手が伸びる。皆は食べる気になったんだな。
「ジャン、直ぐに取るからな、白い部分しか食べれないようなんだ」
「はい、パパ」
「私も食べてみようかしら、美味しいかもしれないわね」
シンシアさんは既に貝から身を取って手に持っている、食べると言った時には行動に出ていたんだな。
「美味しいよ」
「甘く感じる」
「美味しい」
「凄いな、こんなに美味しいのに落ちていたのか」
ハリーさんの呟きにみんなが頷いた。
「ジャン、美味しいわね、沢山食べるのよ」
何とか3個目を食べる事は出来たけど、その間に貝は無くなった。
「さあ、朝食にしましょうね」
「マンマ」
「美味しかった」
テーブルの真ん中に残されたお皿にはお汁が、誰も気が付いていない、もしかしたら美味しいかも、水分はあまりとらなくてもいいけど、飲みたい。一度、アサリを買い過ぎた時に、味噌を入れる前のアサリ汁の美味しさは最高だった。あの味は沢山ないと出ない味だった。
「直ぐに用意するわね」
「シンシア、シンシア」
ジャンがシンシアさんを連呼しいるけど、今はそれどころじゃない。
シャン、美味しい朝食を食べるんだぞ、僕はこのお汁を美味しいく頂くよ。
「レイちゃん、お汁飲むの?」
「はいニャン」
「そう、暖炉の横に置くわね」
危ない、片付けられるところだった。返事も大袈裟にしなかったので、今度は独り占め出来るよ、のんびり飲もう。
「無いよ、平たい石」
「アカリ、そっちは」
「こちにも無いよ」
「何で無いのよ」
「ニャ~≪昨日も来たんだから、無くなるよ≫」
美味しい事に気が付いたシンシアさんは、次の日も取りに行くようにとミヤちゃんとメグちゃんにお願いした。
アカリちゃんも誘ってきた昨日は、夕方まで狭い砂浜で拾いまわった。お昼持参のかい合ってか、バッグ3個分の貝を拾う事が出来た。調理法? をサキさんに教えて、次の日も来る約束をしたのだが。
「全部取ったからいないのかな」
「ええ、お母さんが楽しみにしているのに」
「甘い変な食べ物がもういない」
「ニャ~≪ミヤちゃん達は昨日で全部拾ったんだな、当分、貝は取れないのか≫」
「仕方ない、埋まって遊ぼう」
「埋まって?」
「埋まるとね、暖かくて気持ちいいんだよ」
「アカリから埋めてあげるね」
「うん、お願い」
「えい~」
「とりゃ~」
「ニャ~≪少しだけお手伝い≫」
今日は泳ぐかな、涼しいのと気持ちいのどちらにするかな。夏なんだから泳ごう、先ずはみんなを埋めるお手伝いだ。
「レイ、トイレならあっちでしてね」
「はいニャン」
あれ、トイレに見えたのか。




