ニャ~・・・5
「猫ちゃんの名前を決めるわよ」
暖炉向かってミヤちゃんとメグちゃんが座っている、対面するように座った僕は背中が暖かくて幸せだ。
遂に僕の名前が決まるんだな、母さんはキャロットだったよな。僕は強くてカッコいい名前がいいな、ソード、アレク、シードなんていいと思うよ。異世界の剣士にいそうな名前がいいな。
「メグは、どんな名前がいい?」
「猫ちゃんがいい」
「それは名前じゃないのよ」
メグちゃんは考えている、小さい子なのに難しい顔をしている。
「ニャ~がいい」
何も考えてないんだな、メグちゃんは。
「それも駄目ね、私がいい名前を考えるわ」
だんだん眠くなってきた、暖炉の前で温かいからだな、頭が重たいぞ。
「そうね、レイなんていいと思うのよね、カッコいいでしょう」
「お姉ちゃん、凄くいい名前だね」
「そう、今日から猫ちゃんの名前はレイよ、分かった」
「お姉ちゃん、レイちゃん寝てるよ」
「起きなさい~、レイ」
揺すっても駄目だよ、もうまぶたが重くて起きていられないよ。
「ニャ~《起きてます、僕の名前はレイだよ≫」
お昼寝の時間です、おやすみ。
ニャンニャンニャン、僕の名前はレイ、男女兼用の名前なのでいい名前だ。やっぱり、中学3年生の男子だった僕からすると、可愛い名前より男の子にも付ける名前で良かったと思う。
抵抗なく受け入れられたよ。
僕がこの家に来てから3日目のお昼過ぎだ。
僕のご飯が置かれる場所が変わった、食べたくなった時に猫が? 僕が食べるのが分かったみたいで、暖炉の横にご飯を置いてくれるようになった。
みんなのお昼は終わったけど僕はまだなので、これから食べるつもりだ。
僕の為に家の中のドアが少し開いているようになったので、2階と3階の部屋には自由に入れる。
いい人たちで良かったな、快適な暮らしが出来るよ。
「レイ、行くよ」
お皿の前に座って、お昼を食べようとしていたら、僕の一番の飼い主のミヤちゃんに抱っこされた。
「ニャ~≪これから、お昼なんだよ≫」
「レイちゃん、お外に行くよ」
メグちゃんもいたようだ、お外に行くのか、外はまだ寒いから嫌なんだけど。
リビングから廊下に出ると階段を上って行く?・・・あれ、外に行くんだよね、それなら下に降りないと外に出れないよ。
「ニャ~≪下に行かないと外に出れないよ≫」
2階から4階まで上がって来たけど、4階も3階と同じ作りのようだ・・・・あれ、まだ階段がある。
4階からの階段を上りきると左に短い通路、その先にドアがある。
「ギィ~」
ミヤちゃんの手によってあけられたドアの向こうは外だった。学校の屋上に似ているが、金網の柵がない。ミヤちゃんの身長より高い石垣だ、やっぱり地震がないんだな。
石垣の石と石の間には、やっぱり強度を強くする何かが入っている、ヒビが入っている所が何処にもないので安心だ。
近付いたら石垣が高いから景色が見えない、この高さなら飛び乗れるけど、反対側に落ちたら大変だから止めとこう。
「あっちが海で、後ろが山だよ」
「山しか見えなけどね」
山の斜面の街なので木々が多いけど、建物が沢山建っているから山に見えない。
屋上の地面に下ろしてもった僕の横で、2人はゴロゴロと転がりだした、この屋上での遊び方は、ゴロゴロなんだ、ならば僕も同じ事をしないといけないな。
「ニャ~《ゴロゴロ、ゴロゴロ》」
「ゴロゴロゴロ」
「ゴロゴロゴロ」
ゴロゴロは楽しいのだけど、2人とはゴロゴロの移動距離が違うので、離れていないと潰されそうだ。
「みんな何しているの?」
「ゴロゴロだよ」
「ゴロゴロ」
僕達がゴロゴロしていると、シンシアさんが来た。
「ゴロゴロはいいのだけど、勉強の時間よ」
「ええ、今日はのんびりしてようよ、レイにも色々と見せてあげたいから」
「駄目よ、明日もあるでしょう。それにあんまりゴロゴロしていると洋服が汚れるわよ。あら、名前はレイちゃんなの、いい名前を付けたわね」
「えへへ、いい名前でしょう。2人で考えたんだよ」
「メグも考えたんだよ、凄いでしょう」
そうだな、メグちゃんも考えていてくれたな。子供が考えそうな名前だったよな。
汚れる、ゴロゴロしてたら洋服が汚れるよな・・・・僕は洋服を着てないから、どうしたらいいんだ。キレイにするのに水浴びをしないといけないのか、こんなに寒いのに。
「みんな勉強だって」
「お姉ちゃんだけ、勉強して」
「お姉ちゃんは勉強するけど、メグも一緒に下に行こうね」
「ほら、レイちゃんは先に行っているわよ」
あまり汚れると、冷たい水で綺麗にしないといけなくなる、それはとてもで、風邪ひいちゃうよ。それなら勉強の見物でもしていた方がいいよ。
「レイちゃん、待って」
「メグ、危ないから走らない」
「手を繋いで下りよう、メグ」
振り返るとミヤちゃんがメグちゃんに手を差し出していた、仲の良い姉妹だな。
それにしても、3人とも同じ顔だ。髪が白銀色なのが凄くカッコいいな。
日本のテレビ界の人が見たら、スカウトされるんだろうな。
「1+1=いくつでしょう?」
「2」
ミヤちゃんの勉強は初日なのかな。
「1+3=いくつでしょ?」
「4」
ところで、ミヤちゃんは何歳なんだ、足し算を勉強するのは小学1年生だとすると、6歳か7歳だよな。ミヤちゃんは5歳位に見えるから、まだ足し算の簡単なのでいいんだよな。二桁の足し算も一年生だった筈だ。
「5+3=いくつでしょう?」
「8」
ミヤちゃんとシンシアさんが座っている椅子が横に長いのは、二人で座る為だったんだな。
僕とメグちゃんは2人が勉強している机の横から離れて暖炉の前にいる。
暖炉の前は暖かくて、のんびりとするのには快適な場所だ、毛づくろいをしよう。つい猫の習慣を忘れてしまう、先ずは右手をペロペロしてキレイにする。
面白いな、まさか僕が猫の可愛いい仕草をするはめになるとは、どうだろう、キレイになったかな。今度は左手だ。
ミヤちゃんは、まだ足し算を続けている、毎日勉強はするのかな。
メグちゃんが僕の喉を撫でるので。
「ニャ~、ゴロゴロ、ニャ~、ゴロゴロ」
こんな感じでいのかな。
「面白い、ゴロゴロだ」
喜んで貰えた、なら、今のでいいんだな。
「ニャ~、ゴロゴロ、ニャ~、ゴロゴロ」
喉を撫でてくれたお礼に、メグちゃんの太ももをマッサージしてあげよう、力はあんまりないから、リズムカルにトントントン、あそれ、トントントン。これ僕も猫にして欲しかったな。
「ニャ~≪あそれ、トントントン、トントントン、トントントン≫」
「わあ~、とんとんが気持ちいい」
やっぱり嬉しいよね。
「ニャ~≪トントントン、トントントン、トントントン≫」
「ああ、いいな、私もしてよ」
「ミアは勉強よ、後でして貰いないさい」
「今がいいの」
僕がいるとミヤちゃんが集中できないようだ。そうだ、僕はお昼を食べてないんだ、2階の暖炉に行こう。
「どこ行くのレイちゃん。私も行く」
「メグ、階段は危ないから気を付けるのよ」
「は~い」
メグちゃんも来るのか、それなら先に2階に下りよう、僕を抱えて下りるより安全だ。
「レイ、背中をモミモミして」
「ニャ~≪しょうがないな、勉強お疲れ様です。トントントン、トントントン、トントントン≫」
トントンすれば気持ちいいのだろう、お尻の辺りに乗って背中をトントンだ。
このリズムが大事だ、右手でトンとしたら頭を右に少し傾ける、左手にトンとしたら頭を左に少し傾ける。だいぶコツがつかめてきたぞ。次はその逆だ、右手のトンの時に頭を左に左手のトンの時に右に頭を傾ける、よし、連続でトントントン、トントントン、トントントン。
背中のトントンの次は太ももも同じ様にトントンするかな。
「ミヤ、お風呂の時間よ。直ぐに入るのよ、お湯が冷めちゃうから」
「は~い」
ミヤちゃんにトントンしているとシンシアさんがお風呂に直ぐに入りなさいと伝えに来た。
「急がないと、お母さん達の時にはお湯が冷めちゃう」
昼間勉強して、夕食後にのんびりしていたらお風呂の時間になった。2人はお風呂か、行ってらっしゃい。
「お姉ちゃん、私にも洗わせて」
「だめよ、レイが逃げ出さないうちに洗わないといけないんだから」
トントンマッサージの途中で、お風呂に入らなくてはならなくなったミヤちゃんに連れてこられたのは、1階のお風呂場だ。
降りて来た階段の右のドアは、お店の中かと思ったら倉庫だった。入った右奥にドアがあって、そこが風呂場だった。脱衣室に着くとミヤちゃんは着ているものを全て脱いで木箱に入れて、浴槽がある隣の部屋に向かった。メグちゃんが先に来ていた。
「でも、レイちゃん、動かないみたいだよ」
猫だって、キレイになりたいのだ。それに変に動いて耳の中に水が入ったら大変だ。
「そうみたいね、じゃ交代しよう」
「は~い」
浴槽から出て来たメグちゃん、代わりに浴槽に入るミアちゃん。
メグちゃんが僕の事を洗ってくれる。
「ニャ~《ありがとう、耳の後ろも洗ってね》」
普段、キレイにしにくい所を洗って貰えれば、清潔な猫になれる。
「レイちゃん、お湯を掛けるよ」
「ニャ~《は~い。耳に手を当てれば、準備完了だ≫」
耳を押さえて、お湯を掛けて貰えば泡が綺麗に落ちて行く。
「お風呂に入ろうね」
抱き上げられた僕は浴槽を見た、浴槽は子供が3人位横に並べて、縦はミヤちゃんの身長よりも長い。ミアちゃんがお風呂で泳ぐような姿勢でいるので浴槽の大きさが分かった。
「ニャ~《お湯の量が少ないんだな、これなら溺れないな》」
お湯の量が座ったメグちゃんの胸より下位で、大人が座った時には、おへその上位が湯船の高さだな。あれ、どうやってお湯を沸かして入れたのかな、急がないと冷めちゃうんだから、追加のお湯を入れるのが大変で、追い焚きも出来ないんだよね。浴槽は石で出来ているから、沸かす何かは無いようだ。
メグちゃんが僕を放したので湯船で手を動かして沈まないように頑張る。そうか、プールでダイエットしている人達は、こんな風に頑張っているんだな。僕も運動不足だと困るので、泳ぎの練習をしよう。
ニャンニャンニャン、体の力を抜いて手と足をのんびりと水を掻くように動かせば泳げるはずだ。おお、泳げる、僕の手足から浴槽の底まで、そんなに離れていないので怖くわ無いぞ。
「お姉ちゃん、レイちゃんが泳いでるよ」
「わぁ~、本当だ、泳いでる」
ミヤちゃんは浴槽で泳いでいるような姿勢から座って、湯船の中に波を起こすために手を動かした。
「ニャ~《負けないぞ、水泳をする猫なのだ僕は》」
「レイちゃん、頑張れ」
「大きい波も大丈夫なのね、これならどう」
僕の方が大変だけど、ミヤちゃん、勝負だ。
どんな攻撃が来るかと思ったら、上からお湯を掛けてきた。
「ニャ~《反則だよ、うぉ~、体が沈む》」
「ミヤ、メグ、そろそろ出たかな?」
お湯攻撃で沈みそうになっていると、横からシンシアさんの声が聞こえた?
「直ぐに、出るよ」
ミヤちゃんが攻撃をやめて、浴槽の壁の石の柱に大声で話した。浴槽の縁の真ん中から天井まで続いている柱には、四角い穴が空いている。会話用の穴?なのか、変なものを作ったな。
「お姉ちゃん、体を洗ってないよ」
「忘れてた、レイを連れて先に出て」
「うん、レイちゃん、行くよ」
楽しかったお風呂の時間は終わりか、次も泳ぐ練習をしよう。そうだ、プールに行く時に事故にあったんだよな、みんなプールに行ったかな。




