ニャ~・・・47
「お主もうまく避けるな」
「ニャンパラリン、メグ、ニャンパラリン、ミヤ、ニャンパラリン、ミヤ」
「ふっふ、何故名前を呼ぶ」
「ミヤ、ミヤ、ミヤ」
「レイ、何よ?」
剣の練習中に剣を避けながら、怪しい人を発見。ニャンパラリンと避けながら、怪しい人を指しているんだけど、二人が気が付いてくれない。
「レイちゃん、何を伝えたいの?」
「ニャンパラリン、メグ、ニャンパラリン、メグ」
ミヤちゃん達を起こして、僕は直ぐに港に来た。
春なので温かい、ならば、発声練習と体力作りを頑張る為に入り口の石を押していると、怪しい人は、上の階から覗き込むように僕の行動を見張っていた。
先ずは発声練習をしていると、怪しい人が港の倉庫の前の積み上げられた木箱に隠れてこちらを見ていた。
岸壁で走っていると『猫が走っている・・・・・・当たり前か、でも、練習をしているのは変だぞ』と呟いていた。
怪しい人は、猫の耳がいいのを知らないのか、聞こえているとも知らずに、色々と呟いていた。
楽しそうに木刀を持って歩いてくる姉妹に気が付いて、2人に見えない様に木箱の反対に隠れたけど、僕からは丸見え。
ミヤちゃん達が木箱を過ぎると、元の場所に戻りこちらに視線を向けて『もしかして、見られたかな』と呟いた。
「さては、大人の喧嘩がしたいんだな、何とかの舞をすればお主の誘いに乗ってやろう」
「駄目よメグ、誘いに乗ってわ、精神がやられてしまうのよ」
もう遅い、ならばやってあげよう。
「メグ、しめ、メグ、しめ、メグ、しめ、ニャ~≪どうだ≫」
何とかの構えで猫パンチを何回も打つ、弱点は手が短いのでどこにも届かない。
「うう、レイちゃんに虐められた、辛い、凄く辛い。お姉ちゃん代わりにお願い」
「もう、だから言ったのに。いいわ、敵を取ってあげる」
「レイのバカ、レイのバカ、レイのバカ」
「ミヤ、しめ、ミヤ、しめ、ミヤ、しめ」
ミヤちゃんと対峙して言葉の戦いになると、怪しい人が出て来た。
「そのだな、喧嘩はよくないよ。それに剣がレイちゃんに当たると大変だよ」
怪しい人は、少しまともの人だった。
「あれ、ランドンさんどうしてここに?」
「散歩だよ、港の潮風に当たりに来たんだ」
「レイちゃんは剣を避けるのが上手いんだよ、当たったことが無いんだから」
そう、当たると痛いから、避けないとね。それに、動体視力がいいから剣筋がよく見えるんだよ。
「やってみますか?」
「いや、当たったら可哀そうだよ」
「ランン、しめ、ランン、しめ、ランン、しめ」
シャドウボクシングをして舞おう。
「何、当たっても知らないぞ」
「ランン、しめ、ランン、しめ、ランン、しめ、ニャ~≪真面目に避ける練習だ≫」
ランドンさんを挑発して、剣を避けてやる。ミヤちゃん達の剣よりも早い筈だから、僕の練習になるな。
「よし、当ててやる」
「レイ、頑張るのよ」
「レイちゃん、いつも通りだよ」
「はいニャン」
木刀を両手で持ったランドンさんは、直ぐに横切りの攻撃をして来た。
「ニャンパラリン、しめ」
「しめしめ言うな~、しめとは?」
今更か。
「ランドンさんに死ねと、言っているんだよ」
「そうなのか、死ねが言えなくてしめなおか・・・・・・当たっても知らないからな」
「ニャンパラリン、ニャンパラリン」
僕が小さいから、当てるのは大変だ。それにしても振り回すだけの大振りだから、縄跳びをしているようで、簡単に避けれる。
「もうだめだ、動けない」
「当たらなかったね」
「レイは避けるのが上手い、見ていると良く分かるのね」
「はいニャン」
「お姉ちゃん、お昼を食べたらアカリちゃんの家に行かないと」
「そうね、練習は終わり。レイはお昼の後は予約よね」
「はいニャン」
「ランドンさん、先に行きます」
「のんびりした方がいいよ」
「ああ、少し休んでから行くよ」
闘いは終わった。1回も当たる事無く終わる事が出来た。崩れるように地面に膝を付いているランドンさんから木刀を返してもらったミヤちゃん達と家に向かう。
ランドンさんは僕の何を見たかったのだろうか、疲れて動けないのは仕方ない、あんなに振り回していたんだから。
振り返ってランドンさんを見ると、青春アニメの様に大の字になって地面に寝ていた。
「今日も来たな、お菓子姉妹」
「おじさんは甘い、とても甘い」
「美味しくなるまで、試食は続く」
「えっと、お父さん頑張って」
「よく飽きないわね」
「ニャ~≪毎日来ていたのか≫」
お昼を急いで食べたのはここに来るためか。
「レイちゃんも来てくれたか」
僕を見付けると撫でに来る。ランディさんはよっぽど動物が好きなんだな。
「はいニャン」
予約の時間まで少しあるので、ミヤちゃん達に付いて来た。
「頑張るぞ~」
作業台に乗せて貰ったので、ランディさんが調理するところが見れる。最初の日に頑張ってかき混ぜた時以来だ。
「先ずは、温めてかき混ぜる。レイちゃん、もう、慣れてきたんだぞ」
頑張っているランディさんの為に応援をしよう。
「ニャンニャンニャン、ニャンニャンニャン」
「ありがとう~」
「ニャンニャンニャン、ニャンニャンニャン」
ランディさんがかき混ぜている手元に視線を向けると、ヘラの大きさと形は変わっていないけど、かき混ぜる部分に4つの長方形の穴が空いている。もしかして、穴が空いている事でハンドミキサーのような効果があって、かき混ぜ易いのかな。
凄いな、調理をし易い道具を考えた事になる。
「どりゃ~、どりゃ~」
「ニャンニャンニャン、ニャンニャンニャン」
かき混ぜる手が早いのか、道具のお陰なのか、ソフトクリーム状になってきた、この間の時より凄く早く状態が変化している。
「もう少しだ、これが終われば、粉を混ぜるだけだ」
「レイ、そろそろ行った方がいいわよ」
「最後まで見れないのか、今度見てくれよ」
僕の情報は筒抜けなんだな。
「はいニャン」
「早く焼けないかな」
僕がサキさんに抱かれて厨房から出た時のミヤちゃん達は、カステラが焼けるのを心待ちにしている女の子、石焼き芋の車が来るのを待っている、妹の弥生のようだった。両手を組んでお祈りしているようだ。
「レイちゃん、この串焼きを食べなさい」
よく分からないけど、夕食はテーブルの上で串焼きだ。
「はいニャン、串焼き美味しい」
冷めていて食べ頃の串焼きのお肉だな、とても幸せだ。
「そうか美味しいか」
何故、ダグラスさんはご機嫌なんだ。何故、僕が串焼きが好きで、3本までしか食べれないのを知っているんだ。そして、丁寧に串からお肉を外してくれたんだ。
でも、どんな理由なのかよりも、目の前のお肉の方が大事だ。
「ニャ~《美味しいな、この味は西側の露店のだ》」
「お願いがある、話を聞きたい」
あ、もう1本分のお肉を食べちゃったよ、食べる前に『これを食べたければ、話せ』と言ってくれなかったのかな、反則だよ。
「ニャ~《どんな事かな、僕の分かる事かな》」
「ダグラス、それでは、レイちゃんが困るわよ」
「そうだよ、父さん、先ずはレイちゃんの好きな串焼きを食べてもらう、兄さんがいなくてレイちゃんが暇な時に質問すればいいんだよ」
「そうか、そうだな、今はお肉を食べるのに忙しそうだ、暇な時に質問に答えて貰うか」
良かった、何か話せばいいだけか、とんでもない事をお願いされるのかと・・・・・・僕に出来る事はたいしてないから、気にしなくていいな。
「みんな、もう夕食を食べているんで・・・レイちゃんだけだね、食べているのは」
「はいニャン」
あれ、嬉しくて僕の分だけしか用意されていないのに気が付かなかったよ。
「直ぐに用意します」
シンシアんさんが食事の用意をしに台所に向かった。
言わなくても僕の食事は用意されないだろうな。
暖炉の前にみじん切りの干し肉が載ったお皿が有るからね。
「それで、何でミヤちゃんとメグちゃんがいるのかな?」
「レイがいるところに私あり」
「レイちゃんがいるところに私もいたい」
4階の奥の部屋にハリーさんとシンシアさんを除いたみんながいる。
「レイ、なでなで」
「ジャン、なでなで」
孫が可愛いのでエレナさんがジャンを連れて来た。ジャンもみんなが構ってくれるので嬉しいようだ。
「ミヤ、なでなで」
「エレナ、ジャンと抜こうに行って遊んでくれ」
「はいはい、ジャン、向こうで遊びましょうね、おじいさんは内緒の話がしたいそうなのよ」
「は~い」
人見知りをしないジャンは付いて行った、エレナさんが遊んでくれるようで嬉しそうだ。
「それでだ、秘密を知りたいんだ、勿論、内緒にする」
「ニャ~《秘密? そんなのあったかな、考えても思い付かないよ》」
「秘密、いい響き」
「秘密、知りたいけど、秘密」
「ランドン、ミヤちゃん達と向こうで遊んでくれ」
「無理だよ、二人は動きそうもないよ」
そうだな、文字の書いた板はミヤちゃん達のだし、面白そうな事があれば一緒に居たい筈だ。
「仕方ない、では、始めよう、洋服が売れるようになった秘密を教えて欲しい」
「はいニャン」
僕は置かれている板の文字を叩ことう動き出したら『秘密のままでいいです』と言ってミヤちゃん達はジャンのところに遊び向かった。
「ランドン、ちゃんと書いているか?」
「うん、書いているよ」
「しかし、そんな考え方があるんだな。参考になるな」
「そうだね、順調だけど、色々と参考になるよ、それに工夫や対策なんて考えた事がないよ」
「教えて貰った事を少し変えて見たりするのもいい、勉強になるな、レイちゃん先生」
「メグちゃんが、レイちゃんは先生だと言った事が分かりました」
いいのだろうか、思いつきや僕の知っている中途半端な知識で、経験はほぼゼロ。買う方の意見はネットの口コミを鵜呑みにした同調だ。
政治家の人が先生と呼ばれて嬉しいのが分かったよ、未熟なのに先生と呼ばれるからだ。本当の先生なら気にしないか、まだ未熟なのでと謙虚なんだろう。
「どうだ、ハリーに見せていいだろうか、少しはしっかりして欲しいんだ」
「そうだよね、兄さんには家族がいるんだから、のほほんとしている場合じゃないよ」
「はいニャン、ニャ~《そう言えば、ハリーさんもどうして売れるようになったのか聞きたいと言った時がありましたよ》」
「沢山話し掛けてくれている様だが・・・・・・叩いてくれないか、分からないので」
ダグラスさんが指摘してくれなければ、質問が終わったので、叩かなくてもいいと思っていたよ。リズムに乗って叩きます。
「ニャ~≪あそ~れ、ニャンニャンニャン、ニャンニャンニャン≫」




