ニャ~・・・41
「お姉ちゃん、お魚が見えるよ」
「本当だ、大きなお魚ね」
「ニャ~≪ああ~、お魚さんじゃないよ、サメだよ。落ちたら丸飲みにされちゃうよ≫」
「あの尖がっているの何かな?」
「さあ、不思議ね、何の為に付いているのかしら」
1メートル以上あるよな、獲物がいないのにグルグルしているんだな。サメ料理はフカヒレのスープしかしらない、おじいちゃんがフカヒレのラーメンは美味しいぞと言っていたけど食べた事がない、サメは刺身でも美味しいと冗談のように言っていた。
「ニャ~≪あそこを掴んで乗る為だ、プールで見かけるよ≫」
「ああ~、行っちゃた」
「いいのよ、ブラックタイガーが釣れないわ」
「そうだね、邪魔だよね」
「ニャ~≪そうだな、ブラックタイガーが食べられちゃうよ≫」
ところで、ブラックタイガーはお魚なのかな、タイガーと聞くと動物を思い浮かべちゃうんだよな。あの強いタイガーが僕のように泳いでいるはずないよな。
「お姉ちゃん、つまらないね」
「うん、つまらない」
「ニャ~≪そうかな、僕は寒いけど日課の体力作りと発声練習が出来るから、そんなではないよ。むしろ、のんびりとした休憩になっているよ≫」
「レイ、もっと話せるようになろうね、ニャ~ニャ~が長いよ」
「レイちゃんがニャ~ニャ~言っているのは、私達に話し掛けているからなの?」
「そうでしょう、静かにしてと言えば鳴かないんだから」
「そうか、なんて言っているのかな、レイちゃん頑張ってね」
「はいニャン」
鋭い飼いしミヤ、既に会話が成立している様に僕の事が分かる、なので少し静かにしよう。会話が出来ないのに鳴いてばかりではうるさいかも。
『その~、私にも分からないのよ』
『ええ、ギルマスだよね』
『依頼の内容は、依頼主からちゃんと聞いたんですか?』
『聞いたわよ、ブラックタイガーは釣れば分かると』
『全然聞いてないよ』
『それで、港で本当に釣れるんですか?』
『それがね、雪の降るような寒い時期に港で釣れる、この時にしか釣れない。この道具と餌は提供しよう、後は我慢だと依頼主が』
『それだですか、他に情報はないの?』
『我慢はしたよね、2日も』
『ごめんね、他にないのよ・・・・・・諦める?』
『それだけは嫌』
『嫌』
昨日の夜は作戦会議がなかった。シンシアさんに今夜もお願いと頼まれるのが嫌で早く寝た。二人はジャンが何回も夜中に起きる事に疲れたのだ。僕は薄目を開けて寝ていたけど、二人には真似が出来ないようだ。
作戦会議は出来なかったけど、ロージーさんに依頼の精細な情報を聞いて来た。情報は少なかった。
「レイ、暇なら代わりに持ってみる?」
「イヤニャン」
「おお、新しい。でも、元々言えた言葉だね」
凄いぞ、メグちゃんが進化している。イヤはだいぶ前から言えたんだな、今気が付いたよ。
「レイ、イヤニャンは禁止よ、はいニャンだけよ」
「はいニャン」
「そう、釣りがしたいのね、ほら、両手を出して挟むの・・・・・・そうそう、良い感じね」
「凄い、レイちゃんが釣りをしている」
「ニャ~≪意外と重くないんだね、持てた≫」
今日で3日目だけど、いつ釣れるかな。岸壁だと少しだけ寒いな、ジェシカさんの着ぐるみ洋服は地肌が出ていないところは凄く暖かい、今日は水玉模様だ。
「餌が減らないのはいいんだけど、元気よね」
「何で生きているのかな、普通は死ぬんだよね」
「メグ、誰に聞いたの?」
「ここで釣りをしている人が、生きた餌の方がいいけど、直ぐに死んじゃうんだと言ってたよ」
「あの虫が死んだら、もっと釣り辛いのかも」
「ええ、困るよ」
「ニャ~≪あのミミズみたいなのは、実は魔物ミミズだったりして≫」
有り得るかも、3日も生きているなんて凄い、鉄の針に刺さっているのに生きている。魔物でもいいのか、今のところ危害を受けていない、それに海の中にいるから何も出来ない、少し心配だけど大丈夫だろう。
「レイ、頑張るのよ」
「はいニャン」
釣れないニャン、餌も減らないニャン、本当にいるのか分からないニャン、手が疲れてきたニャン。
二人は日課の剣の練習を始めたニャン、謎の練習が進化しているニャン、避ける練習になっているニャン。
釣りを始めて4日目ニャン、猫の僕でも何日も釣れないと、何日経っのか数えたくなるニャン。
「ニャ~≪あいつ元気だな、可愛そうに見えたけど、今日も元気だった≫」
「レイ~、竿が下がって来てるよ、落とさないでよ」
「そうだよ、落としても、もう1本有ると思っちゃダメだよ」
「はいニャン」
あれ、手が疲れて来て、手が下がって来た・・・・・・あああ~、僕には釣れないよ、引いて掛かっても竿を落としちゃうよ、ミヤちゃんに説明を・・・・・・会話が出来ないよ。
「ニャ~≪急げ、急げ、竿を置いて、紐を急いで岸壁まで、糸だったけ。ああ、名称は今はいいんだ、急げ急げ急げ、やった~、なんとか岸壁に乗せる事が出来た≫」
良かった、もし引いて落としてもミヤちゃんなら許してくれるけど、落とす前に気付いて良かった。
「ニャ~≪ミミズがまだ生きているよ、ちょっとツンツンしてみよう、どうだまだ元気なのか、元気だ、凄い生命力だ・・・・・・あああ~海に落ちた≫」
「レイ、何、話しているの?」
「ニャ~≪何でもないニャン≫」
「そう、釣れたら呼んで」
「はいニャン」
ミヤちゃんと会話している時も見ていたけど、ミミズは水の中を泳いでどっかに行っちゃったよ。どうすればいいんだ。
ミヤちゃん達の練習が終わったら謝ろう、それしかない、ミスは誰にでも有るんだから。
メグちゃんの竿は置き釣りだけど、大丈夫だよね。僕が持っているよりも安全だ。
「ニャ~≪釣りは大変だな。竿を無くす釣り師はいないよな、糸が切れるのは聞いた事が有るよ≫」
「レイは、竿、置いたのね」
「疲れたんだ」
ん、寝ちゃったのか、竿を持たなくていいから・・・・・・餌が無いから、海に垂らしとかなくていいようになっちゃったんだ。どれくらい寝てたのかな。
「ニャ~≪餌のミミズを落としたんだ、ごめんなさい≫」
「いいんだよ、持つのに疲れたんでしょう、メグ、頑張ろう」
「うん、頑張る、今日こそ釣る」
おお、頼もしいな・・・・・・餌がないのに大丈夫なのかな、ミヤちゃんは手に竿を持っていて、メグちゃんはまだ置き竿、ミヤちゃんは餌が付いてないのを垂らしているのかな、メグちゃんの竿には餌が付いているよな。餌が付いてないのに気が付いてないのかな、針は岸壁の上に乗っていたよね? どうなんだろな。
「レイ、何で頭を振っているの、何かいい事でもあったの?」
「ニャ~≪何にもないよ、いい事は≫」
「変なの、レイ、ここに来て・・・・・帽子ズレてるよ」
ミヤちゃんの横にトボトボと歩いて行く、寝ている時にズレたんだな。
「ミヤ、あり、ニャ≪直ったよ≫」
餌は付いているのかな、気になるな。ここからだと海の中だから見えないんだよな。引かないから一度も竿を上げた事がないんだよな、まあ、引いても紐、糸は手でたぐい寄せないといけないんだけどね。
「ミヤ~、メグ~」
ん、誰かがミヤちゃんとメグちゃんを呼んでいるぞ。
「ミヤ~、メグ~」
左に誰はいない、右に誰もいない、後ろ見えない。
「ミヤ~、メグ~」
「お父さんの声だ」
猫の僕には聞こえて来た時から、ハリーさんの声だと直ぐに分かっていた。
「何処から」
「ミヤ~、メグ~、ただいま」
「ニャ~≪ミヤちゃん達に聞こえるとこまで来たんだな≫」
「遅くなってごめん。色々有ってね」
「お父さん、お帰り」
「お父さん、お帰り、お菓子は」
「沢山買って来たよ」
「やった~」
「一杯あるかな」
岸壁で2人が立ってハリーさん来るのを待った、竿を持った手はそのままで、ハリーさんの後ろに小さくリードさんが見える。馬車も見えるから、家に着く前にミヤちゃん達に気が付いたんだな。流石親だ、遠くでも子供が分かるとは。
「ハァ~、あれ、レイちゃんもいたのか、へ~、面白い洋服だね。遠くからは毒キノコかと思ったよ、だから急いで来たんだ、ハァ~」
「ニャ~≪お帰り、遅かったね≫」
なるほど、一生懸命だと思ったら、そんな風に見えたのか、毒キノコか。
「ジェシカさんが作ってくれたんだよ」
「分かるよ、ジェシカは凄い才能だな」
「他にもあるんだよ。全部で5着だよ」
「そうか、後で見せてくれ、ところでこんな所で何しているんだい」
「釣りだよ、全然釣れないけどね」
「釣れないんだよ」
「ニャ~≪ミヤちゃんの竿には餌が付いてないんだよ≫」
「釣りか一度もした事ないな、どうだ、一緒に帰るか?」
「そうだね、また明日、来ればいよ」
「お父さんと一緒に帰る」
「ニャ~≪それがいい、餌がないまま続けるよりもロージーさんに餌を貰おう≫」
「メグ、帰る準備」
「うん」
「重たくない、何も掛かってないな、メグのは?」
「同じ重さだよ、掛かってないよ」
もう直ぐミヤちゃんの糸が全部引き上がっちゃうよ。
「父さんも手伝うよ」
「はい、お願い」
「お願い、お父さん」
「しょうがないな、絡まないように二つ同時に・・・・・・何も付いていないと軽いんだな。ああ~絡まったよ」
「ええ~、借り物なんだよ」
「ああ、絡まってっる」
「ニャ~≪まつりだ。違った、自分だけで絡んだから勝手まつりだな≫」
ハゼ釣りの時に、他の人と糸と絡まったら『おまつり』で、目の前のボートの人が竿を何本も出しているのを見たお父さんが『あの人の糸が他の自分の糸に絡んだら、勝手まつりだ』と教えてくれた。
「ごめんよ、二つ同時は良くなかったな、んん、重たくなったぞ、糸が絡んだからか」
自分だけで上げてるんだから重くならないよ。
「ニャ~≪絡んでいる糸が、渦を巻くように回っているよ、何かいるんだよ≫」
「グルグルしている」
「グルグルしてる、お父さんが何かしているの?」
「何もしてないよ、それに重いよ」
「メグ、紐を引くのを手伝うのよ」
「分かった」
「ニャ~≪何か掛かっているのか、それとも海底で何か起きているのか。どちらなんだ≫」
「黒いのがいるよ」
「お姉ちゃん、黒いのが二つ見えるよ」
「そうだな、二つ見える」
「ブラック・・・・・・タイガーかも。おとうさん、逃がさないで」
「ブラックタイガー? 何だそれ」
ハリーさんも知らないのか、どんな生き物なんだ、ブラックタイガーは。
「おお、もう上がるよ」
「ミヤ、これがブラックタイガーなのか?」
2匹いる黒い生き物には、エサがる針とエサがない針・・・・・・どうしてどちらにも付いているんだ。
それに釣れたのにエサがそのままなのは何でだろう。
「そうじゃない、見た事のない動物でブラックなんだから」
「変だよタイガーに見えないよ」
「ニャ~≪タイガーに見えないけど、エビには見えるな≫」
「ハリーさん、これは何ですか?」
「ブラックタイガー? かな」
「かな?」
岸壁の上に引き上げられた、ブラックタイガー? を見ていると、ハリーさんがなかなか来ないのでリードさんは何をしているのか見に来たようだ。
「メグ、これをギルドに持って行こう。これがブラックタイガーだよ」
「そうだね、釣れたんだ」
「ニャ~≪おめでとう、依頼完了だよ≫」
「ブラックタイガーは陸の動物で、恐ろしい奴ですよね」
「そのはずなんだけど、ミヤ達はブラックタイガーを釣っていたらしいんだ。同じ名前の生き物がいるんだな」
「はぁ、そうなんですかね」
「お父さん、先に帰って」
「ああ、遅くなるなよ」
「レイちゃん、行くよ」
「はいニャン」
「毒キノコに見えましたけど、レイちゃんだったんですね」
「ニャ~≪リードさん、おかえり≫」
「リードさん、ご苦労様です」
「ご苦労です」
「ありがとう・・・・・・いい子達ですね」
「自慢の娘です」
先に行った二人を追いかける。ブラックタイガーは伊勢エビのように大きいエビのようだ、丸まっている状態で二人の手より大きい。
「竿を返します」
「ギルマスさん、ありがとう」
「ええ・・・・・これがブラックタイガー、動物のタイガーと全然違う」
「これでいいだよね」
「どうなのギルマスさん」
「私の聞いた説明だと見れば分かる、初めて見る黒い生き物だ・・・・・・初めて見たんだからこれがそうよ、形の説明は出来ないし、伝える事が出来ない形よ。依頼は完了です、ご苦労様でした」
「やった、遂行できた」
「遂行出来た」
「ギルマス、2匹いたら報酬も2倍なの?」
「お菓子が2倍か」
「ニャ~≪どうなんだ≫」
「そうね、依頼には数の制限は無いから、2倍の報酬になるわね、みんなカードを出して手続するから」
「は~い」
「何処に仕舞ったかな」
「ニャ~≪ミヤちゃんが持ってます・・・・・・僕のは出さなくてもいいのか≫」
カウンターに載せられたブラックタイガーが動いている、その横にギルドのカードが置かれた。長方形のプレートの角は丸く、手のひらの横よりも長い鉄の板には上にS~Fと刻まれていて、Fに〇が刻まれいる、その下に数字が書かれている、数字が冒険者の区別に使われているようだ。上は冒険者のランクだな。
「はい、皆の分3枚預かりました、手続きをしてくるので、少し待ってね」
「「は~い」」
ロージーさんはブラックタイガーとカードを持って机の向かった。
「やったね」
「お姉ちゃん、大変だったね」
「うん、今日も釣れないのかと思っていたわ」
「どうなの、お父さんが釣った事になるのかな」
「そうね、どうなんだろ、お父さんは片してくれていただけよ、釣りをしていたのは私とメグよね、二人が釣ったのよ」
「そうだよね、あの感覚忘れられないな、何も釣れてないようなのに釣れたんだよね」
ところで、エビは竿で釣る物なのかな、ザリガニも割りばしに糸を結んで釣るけど、糸だけでも釣れるんだよね、ザリガニが餌を放せば釣れないんだよな。
確か、ザリガニは食用で食べた事がある人が少しだけいるそうだ。友達には誰も食べた事がある人はいないけど。
ブラックタイガーは針に引っ掛かっていたのかな、針の先は見えなかったんだよな、片方がエサ無しだった。少し気になるけど次回がある筈もないからどうでもいいか。
「お待たせ~、先ずはカードを返すね、依頼が終わると手続きをするけど、ミヤちゃん達がどんな依頼を受けたかちゃんと完了したかを記録してます。なので、手続きには少し時間が掛かります。手続きが終わればカードと報酬を渡します、今回の依頼はブラックタイガーを釣るてギルドに持って来る事でした。依頼では1匹大銅貨3枚だったので2匹で大銅貨6枚になります、よろしいですか?」
「はい」
「うん」
「では、大銅貨6枚をお受け取り下さい、この依頼書の下のこの部分にサイン、自分の名前ね。サインを書くと依頼の報酬を貰った事になります。必ず、報酬の金額と貰った事を確認してからサインをして下さい。ここの欄に書いてね」
「メグが書く?」
「うん、書く」
へ~、意外と手続きが有るんだな、便利アイテムの魔道具とかないんだ、ゲームの世界とは違うんだな。
「はい、手続きは完了しました。お仕事ご苦労様でした。またよろしくお願いします。どう、分かったかな、今のように手続きがされるのよ、慣れてくると、依頼を受けます、完了しました、報酬合ってます、の繰り返しで会話も短縮されます」
「すいません、この依頼受けます、急いで」
「手続き終わりました」
「ありがとう、皆、出発だ」
「聞こえてたよね、隣の冒険者は説明を聞かないで、急いで手続きをして出発したの、説明を聞きたい時はミヤちゃんとメグちゃんから言わないとうちの職員は説明してくれないのよ、分からない事が合ったら自分から聞くようにしてね」
「はい、そうします」
「大丈夫だよ、聞かないと分からないなら聞くよ」
「そうね。もう遅いから帰った方がいいわよ」
「はい、ありがとう」
「ありがとう」
「毒キノコも連れて帰ってね」
「レイ、のんびりしてないで帰るわよ」
「ニャ~≪話が長いんだよ、元の世界ではここのような話を小説にしている人がいるんだよ、少しは知識が有るんだ≫」
「レイちゃんが、毒キノコと言われて機嫌が悪いのかな・・・・・・お父さんが帰って来たんだよ、お菓子が、急いで帰らないと」
「ギルマス、さようなら、メグ、急ぐわよ、お菓子が待っている」
「お、おお~、お菓子がまっているよ」
「皆~、気を付けてね」
お菓子の大好きな二人は、急いでギルドを出た。
「メグ、木刀を忘れた、港に行くわよ」
「ええ~、お菓子が、でも木刀が」
木刀を忘れた二人は港に走る、メグちゃんはお菓子が気になって出だしが遅れた。
家に帰ってのんびりしよう、ハリーさん達は荷物を運び終わったかな。
「レイ~、一緒に来なさい」
「そうだよ、先に帰るなんてずるいよ」
「はいニャン、ニャ~≪先に帰っても僕がお菓子を食べる事がないのに≫」
この素晴らしい走りを、もうメグちゃんを追い抜いたぞ。
「レイ、負けないわよ、とりゃ~」
「もう無理、負けた」




