ニャ~・・・37
「ああ~・・・・あ・・あ・・ああ~・・・あ~あ・・・ああ・・・ええ~ん・・・あ・・・」
「泣いても許さないからね」
「ええ~ん・・・ああ~あ・・・ええ~ん」
「何でいつも誕生日にくれたお菓子を食べちゃうのよ」
「ええ~ん、食べたいからだよ・・・・・・お母さんだってわかるでしょう、ええ~ん・・・・・・もっと食べたいよ」
「全部食べたでしょう? もう無いのよ」
「ええ~ん、お姉ちゃんの方が一杯食べたのに・・・・・・ええ~ん」
「ミヤの方が一杯食べたのね、何処にいるのよミヤは?」
「グスン、お腹が一杯になったから寝るて言ってたよ」
マッサージから帰って来た僕は、2階のリビングの入口で事の成り行き見守っている。誕生日にあげた高級なお菓子をメグちゃん達はいつもの様にシンシアさんよりも沢山食べしまったようだ。珍しく怒っているシンシアさんに言い訳を言っているメグちゃん、泣いているようだけど、反省はしないだろう。
「どうしたんだ、お店まで泣き声が聞こえてきたぞ」
ハリーさんが泣き声に気づいて2階に上がって来たようだ。
「ママ~、レイ、アブ~」
リビングの入り口にいた僕をハリーさんが追い抜いて行った。抱っこ紐で背負われているジャン、抱っこ紐は誕生日のプレゼントだったけど、毎日ハリーさんが使ってジョンの面倒を見ている。自分の為に買った抱っこ紐だったんだな。
「メグ達がまた私のお菓子を食べたのよ、それも珍しい高級で上品な味だったのに、まだ、3枚しか食べてないのよ」
焼き菓子はいつまでに食べないといけないんだ、シンシアさんの誕生日からだいぶ経ったよな? それでも美味しいかな。
「いいじゃないか、それよりもジャンがお腹を空かしているよ、僕は店番に戻るよ」
「ジャン、お腹は空きまちゅたか?」
「バブブ、マンマ」
ジャンも話し掛けられている内容が少しだけ分かるようになってきた、赤ちゃんの成長は早いな。
そうだ、ローラさんからのお土産があるんだった。
「メグ、めし、ニャ~≪お土産だよ≫」
「レイちゃんが呼んでいる、何かな・・・・・・お腹でも空いたのかな」
「メグ、ミヤ、ニャ~≪ミヤちゃんの所に行こう≫」
「レイちゃん、待って~」
3階に続く階段を駆け上がる、その後をメグちゃんが追いかけて来る。
「メグ、話は終わってないわよ~」
シンシアさんはまだ怒っている、夜までに機嫌が直らないと、次に怒られるのはミヤちゃんだな。
「レイ、そのリュックはどうしたの?」
「似合っているよ、レイちゃん」
「ニャ~《ローラさんからのお土産だよ》」
「誰に貰ったのよ、後ろを向きなさい」
「はいニャン」
起きたばかりのミヤちゃんに背負っているリュックが見えるようにその場で後ろを向く。
「凄いわね、レイ用に作ってあるのね。中に何か入っているのかしら?」
「どれどれ、何が入っているかな・・・・何これ、紙に何か包まれている」
リュックに何か入っていのは知っていいるけど、ローラさんからは渡してねと言われただけなので、何が入っているのか知らない。それに、僕にリュックを外したり、中身を取り出したり出来ると思えない。
メグちゃんがリュックの口の布を持ち上げて取り出したの紙に包まれた何かだった。
「あら、メグの持っている物以外に手紙が入っているわ、何て書いてあるのかしら。≪ミヤちゃん、メグちゃん、ローラです、南の大陸でとても珍しい甘い食べ物を、お土産に買って来ました。シンシアさんの誕生日のお菓子よりも高価なので、皆で食べて下さい。そうそう、お菓子の名前はチョコよ≫・・・・・・ローラさんからのお土産だ、レイ、マッサージをして来たのね」
「はいニャン、ニャ~≪港で会って、マッサージを頼まれたんだよ≫」
「ローラさんから甘いお土産、やった~。どれどれ・・・・・・これがチョコ・・・・・・硬いけど食べれるのかな?」
メグやんは包んであった紙からチョコを出して、上にかざして下から見た。握っている手の感触で硬いと分かったのだろう。
「手紙には贈り物のお菓子より高価な甘い食べ物て書いてあるんだから、食べてみたら」
「おお、一番に食べていいんだ、嬉しいな」
ミヤちゃんは優しい、自分も甘いお菓子が大好きだけど妹にいつも先を譲る。
「どうなの、美味しいの?」
「ニャ~≪どんな味なんだ、この世界のチョコは≫」
「むむむ、このお菓子はとても難しい味だよ、お姉ちゃんも食べてみてよ」
小さく付いた歯形のチョコレートの板がミヤちゃんに渡された。珍しい事に遠慮したのか、食べた面積が凄く狭い。
「難しい味ね・・・・・・そうね、とても難しい味ね。甘くて苦い味がする、少し甘さが強い感じかしら、大人の味よ」
「そうか、大人の味か・・・・・・」
食べた2人の感想は大人の味か。チョコは少し苦みがあって、それに砂糖とかミルクを混ぜて美味しいチョコにしてるんだ。材料をそのまま食べても甘くないと聞いた事がある。
「メグ、いい事を思い付いたわ」
「どんな事?」
「お母さんにも少しあげるのよ、そうすれば、お菓子を食べた事を許してくれるはずよ」
「そうだね、少しだけ、本当に少しだけだよ」
2人は反省しているんだな、お菓子をあげるなんて珍しいぞ。
「これは何かしら?」
まだ怒り気味なんだなシンシアさんは。
「お菓子を食べたお詫びにお母さんにあげるお菓子だよ」
「そうよ、メグと2人でお菓子を食べた事を反省しました、それでとても高価で珍しいお菓子をお母さんにも食べて貰おうと思ったの」
「そう反省しているのね・・・・・・次は食べないでよ」
3枚しか食べれなかったのにもう許してあげるんだな、心が広いよね。
「はい、頑張ります」
「頑張ってね・・・・・・・それにしても凄く小さいわね」
メグちゃんがおシンシアさんに怒られた日の夕食に、シンシアさんの前に置いたチョコは風邪薬とかの粒よりも小さい。硬いチョコを頑張って小さくしたのだけど、それをあげるのと言いたい位の豆粒よりも小さい欠片を選んだ2人、その大きさに驚くのは当たり前だ。
「この大陸の人は誰も食べた事が無い貴重なチョコだから、少ししかないんだよ」
「私も一杯食べたいけど、少ししかないから我慢しているんだよ」
「貴重なのは分かったけど、一杯食べられない人の口の周りに付いているのはなぜかしらね、まあいいわ、ありがたく食べさせて貰うわね」
「ママ~、ママ~」
「ジャンが食べたいみたいなんだけど、他には無いのかしら?」
「「ありません」」
「アカリ、待った?」
「全然、掃除の手伝いしていたからね、ほうきを片してくるね」
「お姉ちゃん、そろそろ交代する?」
「メグは帰りでしょう、お昼を食べたら交代ね」
「わかった、疲れたら交代するからね」
「はいはい」
「お待たせ、街の反対側に行くのよね」
「うん、こちら側のお店にはいいのがないのよ」
「腕のいい職人さんが居るんだって、教えて貰ったんだよ」
「それで、向こう側のお店に行くのか」
「アカリ、これ食べてみて、とても美味しいのよ」
「大人の味なんだよ」
「この小さいのが・・・お菓子なの? いただきます」
「どう、大人の味?」
「少し苦味があるけど、甘くて美味しい~」
「アカリ、メグに大人の味って言ってあげて、何回も聞かれるから面倒だよ」
「メグちゃん、大人の味だったよ、それでもう無いの?」
「ありません、大人の味は少しだからいいのです」
「ごめんねアカリ、メグが少しずつしかくれないのよ、お母さんなんか、1個しか貰えなかったんだよ、それもアカリの半分位の大きさだったんだよ」
「そか、貴重なお菓子をありがとう、メグちゃん」
「えへへへ、いい子のアカリちゃんにはもう1個あげます」
「なんでよ、私にも頂戴」
「交代してくれたらあげる」
「交代する、今すぐ交代する」
「ねえミヤ、いつも首に巻いているレイちゃんがいないわよ」
「ここに居るのよ」
「バックの中にいるんだ」
「ニャ~《早く締めて寒いよ》」
ミヤちゃんのショルダーバックの中にいる僕をアカリちゃんが撫でているけど、外気が入ってきてとても寒い。今年の冬は寒くなりそうだ、秋の終わりぐらいなのにこんなに寒い。
「レイちゃん、こっちのバックに入ろうね、ちゃんと毛布もあるんだよ」
「メグ、あり、ニャ~《ミヤちゃんのにもあったよ。でも、嬉しな。早く締めて》」
交代とは僕のいる場所のようだな、メグちゃんもショルダーバックが使いたいようだ・・・・1年前に買ったものだけど。
「お姉ちゃん、はい、1個あげる」
「ありがとう、帰りは私の番だよ」
「うん、わかった」
「それは衝撃を吸収する効果がある素材を使っている」
「衝撃・・・・・・それならこれは?」
「これはブラックジャガーに嚙まれても大丈夫なリストバンドだ」
「噛まれても大丈夫? ・・・・・・本当に大丈夫なのかな・・・・・・」
「ああ、大丈夫だ、だからとても高いんだよ、お嬢ちゃんじゃ買えないな」
「そうなんだ」
防具屋の主人とメグちゃんの会話が聞こえてくる、ブラックジャガーの噛む力がどれだけ凄いのか知らないけど、本当に大丈夫なのか、誰か試したのかな。
「アカリ、これなんかどうよ」
「立派過ぎないかな」
「外の世界は危ないのよ、アカリにもしもの事があったら嫌だな」
「でもさ、値札がどこにもないよ」
赤茶色の防具はとても防御力とかが有りそうに見える、女性用のトレンチコートかな。この服は女性用だと分かる位のデザインで、もう少しゆったりしていたら男女兼用でもいい位だ。ポケットが両サイドに付いている。普通の洋服に見えるけど、防具なんだよな。
「着てみなよ、アカリに似合いそうだよ」
「そうかな、ちょっと着てみるね」
嬉しそうに着ている服の上から羽織るアカリちゃんは、冒険者よりは、おしゃれな女の子に見える。その場で回転すると、付いている帽子がひらひらした。
「凄いよアカリ、凄く可愛いよ」
「ありがとう、これにするかな」
「ニャ~≪女優さんの出来上がりだ≫」
「アカリちゃん、カッコいいよ」
「ありがとう、ほら、二人も選ばないと」
「もう、決まっているのよ」
「そうだよ、前に見に来たんだよ」
いつものように、自分へのプレゼントを探して歩いていたな。どんなのを選んだのかな。




