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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
32/521

ニャ~・・・32

「アカリ、何しているの?」


「お店の手伝いだよ、お客さんが連れて来た猫を預かっているの」


家から坂を下りて来た僕達は、お店の前でリードを持ったアカリちゃんに会った。


「大変だね、アカリちゃん」


「メグちゃん、ありがとう」


お金の発生しないお手伝いだ、この異世界だとお手伝いが当たり前なんだろうな。


「お手伝いか、お金貰えないんだね」


「そうか、交渉してお金を貰えばいいんだ。流石、ミヤね、行って来る」


「いいけど、早くね」


アカリちゃんは交渉する為にリードをミヤちゃんに預けて行った。


「ニャ~≪君が教えてくれたパンは美味しいよ、ありがとう≫」


「ニャ~≪もっと早く知りたかったよ≫」


「ニャ~≪良かったです、これからも、よろしくね≫」


「ニャ~≪勿論さ、ご主人様も気に入ったようだ≫」


「やった~、手伝えばお金くれるって言われた」


「良かったね、それで何を買うの?」


「先ずは貯める、そして形に残る物を買いたいな」


「ええ、お菓子を買おうよ、そうすれば皆で食べれるよ」


「メグ、アカリが可哀そうよ、自分の分は自分で稼がないと駄目よ」


「そうか、じゃレイちゃんと一緒に頑張るよ」


「ニャ~≪それは僕だけが頑張る話になるよね≫」


「ミヤ達は何処に行くの?」


「これを見て木刀よ、剣の修行に海岸よ」


剣を構えて見せるミヤちゃん、どこかぎこちないよ。


「へ~、剣の練習か、気を付けてよ」


「大丈夫、こう見えても少しだけ経験があるのよ、それじゃあ行くね。仕事頑張って」


その経験はへぼ剣士のニルスさんとの練習の事だね。


「頑張ってね」


「ありがとう」


「ニャ~≪皆さんさようなら、食べ過ぎに気を付けてね≫」


「ニャ~≪ありがとう≫」


ミヤちゃん達の会話も終わり、港に向かって坂を下りて行く。


振り返った僕は、小さい猫はいないんだと確信した。どこかはいるけど、この街にはいない。


昨日木刀をミヤちゃん達は買って来た、何のつもりなのか木刀で剣の練習をするそうだ。僕はのんびりと見学をさせて貰おう。







「お姉ちゃん、頭が痛いよ」


「手加減しているのに何で痛いのよ」


「私にも叩かせてよ」


「いいけど、手加減してよね」


「は~い、とりゃ~」


「痛い~、何で強く叩くのよ」


「手加減したよ」


剣の修行ではなかった、最初は剣を滅茶苦茶に降っていたので素振りだろう。その後は二人は対峙して手加減して頭に当てる練習を始めた・・・・・頭を鍛えているのかと思う行動をしている二人はお互いの頭を痛くない位で叩く練習? をしだした。


僕も剣道の竹刀を振った事はあるけれど、あそこまで変な事は考えなかったし、もっと理屈ぽい事を友達と言いながら体育の授業をした。


僕は見るのに飽きていたけど、二人が何をするのか気になって目が離せない。


「今度は私の番よ」


「手加減してね」


「了解、とりゃ~」


掛け声が本気だから、手加減を本気でしているんだな、この練習は何かの上達に繋がるのだろうか、それとも無駄に終わるのだろうか、後者だろうな。


「レイちゃんで練習しようよ、痛くしないならレイちゃんでも同じでしょう」


頭が痛いのだろう、両手で頭を擦っているメグちゃんは交代したいんだな。


「いい案なんだけど、レイは小さすぎるのよ、地面を叩くような感じになるわ。練習には向かないのよレイの高さは」


「ニャ~≪それならお手伝いをしましょう、これでどうだ≫」


「おお、レイちゃんが立っているよ。お姉ちゃんの練習相手になってくれるんだよ」


「ミヤ、しめ、ミヤ、しめ」


どうだ、これで僕の挑発に乗って挑戦を受けるだろう。


ミヤちゃんの前まで2足歩行だ、かつて猫は2本足で走ったと都市伝説になっている、練習するつもりはないけれど、少しは歩けるんだ。


「レイ、しめて何?」


まだ分からないようだな、それならボクシングの何とかポーズを見せてやる。


「ニャ~≪ワン、トゥ、ワン、トゥ、ワンツゥ、最後はジャブだ、合っている筈だ≫しめ、しめ」


軽快に動けば、ボクシングの出来る猫だ。ジャブって何だけ? うん、知らないてもいいか、どうせ技の名前だ。


「ああ、お姉ちゃんに死ねと言っているんだよ、あれは挑発の舞だ。大人が喧嘩する時の何とかだよ」


「そう、少し高くなっても当てにくいけど、レイがその気なら、とりゃ~」


「しめ、しめ、しめ」


「とりゃ~、とりゃ~、ちょっと避けないでよ、当たらないでしょう」


「ニャ~≪当たったら痛いでしょう、それに当てる努力をしようね≫」


猫の動体視力はとてもいいようだ、ミヤちゃんの木刀がよく見える。簡単に避けれるので当たる事はないな。


「レイちゃん、串焼き奢るよ、お母さんがレイちゃんにまだお礼をしてないって、お金をくれたよ」


「ニャ~≪串焼きが食べれるぞ、アカリちゃんが天使に見えるよ。何本・・・・・・痛い~よ≫」


「ごめん、避けると思ったから、手加減はしたから大丈夫よ」


「メグ、メグ」


「痛いの? ほらおいで」


取り敢えず、痛い頭をメグちゃんに撫でて貰おう、少しは痛みが和らぐので。あれ、アカリちゃんがいるぞ何でだ。


「アカリ、レイの串焼きだけ?」


「皆のお菓子のお金も貰えたよ、市場に買いに行こうよ」


そうか、お手伝いが終わったんだな、ご主人様と猫の皆は帰って行ったんだな。


「おお、お菓子がだべれる、急ごう売り切れたら困るよ」


「売り切れないけど、急ごう、混んでいる筈よ」


「そうだね、もう直ぐお昼だからね」


「ニャ~≪もうそんな時間なのか、今日は日課はお休みだ。串焼きが食べたい≫」


こないだのお礼では僕の串焼きは買えなかった、三人のお菓子に飲み物が皆で1杯分だった。飲み物1杯分では僕の串焼きは買えなかった。


「レイ、落ちないでよ」


「ニャ~≪久しぶりにこの場所か≫」


「お姉ちゃん、早く」


「二人とも急ぎ過ぎだよ」


走り出した2人を僕を首に巻いたミヤちゃんが追いかける、もう直ぐ美味しい串焼きが食べれるぞ。







「そろそろ、お母さんの誕生日だね」


「そうね」


「ニャ~≪今年もプレゼントを買うの?≫」


「贈り物は何にするの?」


「思い当たる物が無いのよ、メグはあげたい物があるの?」


「思い浮かばないよ」


シンシアさんの誕生日が近いのか、去年はネックレスだったよな、今年は何をあげるのかな。


「明日は剣の練習を休んでお店を見て回ろうね、それで良い物を探そう、レイはいつも通りでいいわよ」


「色々なお店か、どんなのがあるのかな楽しみだね」


ベッドの上で川の字のようにして作戦会議をしたけど直ぐに結論が出たようだ。何をあげたらいいのか分からないので、良い物を探しに行く。


やはりプレゼントは難しい、それもこの世界だと更に難しい、僕も何か考えよう、何がいいかな。


「す~」


「す~」


二人は寝たようだ、僕も寝よう、明日も日課を頑張ろう。






「ニャンパラリン・ニャンパラリン、ニャンパラリン」


回転が速いのも楽しいな、運動神経がいいとカッコよくなった感じだ。


「ニャ~≪暖かい夏はいいな、海に入れば涼しいし、泳ぐ事も出来る≫」


朝の日課の体力作りは終わったので、落下速度を落とす練習をしている。


ミヤちゃん達はプレゼントを探しにお店を回っている筈だ、今年はどんな物を選ぶのかな。


港から海に助走を付けて高く飛ぶ、落下の速度を利用して回転、頭が上に来たら速度を落とす為の動きをする、ここで、速度を遅くする為に沢山動くと、ぎこちない回転になって後に続かない。一連の動作をスムーズにする事で全体の速度が落ちるようだ。こんなに練習すればコツもつかめるな。


ふう~、速度を落とす練習は3回転がいい、それ以上だとバランスが崩れそうだ。岸壁から海までの高さがちょうど練習に合っていて良かった、安全に練習が出来る。


「ドボーン」


「ハリー、シンシア、ミヤ、メグ、ジャン」


猫かきで泳ぎながら、呼べるようになった名前を読んでみる、時間は掛ったけど少しずつ単語が言えるようになってきた、そのうちに会話ができるようになる日が来るのくるのかな、何の不自由もなく生活出来ているのには感謝だ。


日本の猫よりものんびり出来ていないけど寝てばかりいるよりも、少しだけ忙しい方が楽しい、それに海に飛ぶ猫はここでしか出来ない。


シンシアさんの誕生日が終われば、ミヤちゃん達の誕生日、ハリーさんの誕生日と続いていく、毎年違うのをあげるのは大変だな・・・・・・毎年同じ物をあげていたハリーさんは凄いな。


「レイ~」


「レイちゃん~」


ミヤちゃん達の声が聞こえるな、こんなに早くプレゼントが決まったのかな。


「あれ~、レイちゃんがいない」


「そうね、日課の練習が終わったのかしら」


「ミヤ、メグ」


「海だ」


「泳いでいる最中ね」


「ニャ~≪久しぶりに泳いだら≫」


僕が階段を上がって行くと岸壁に二人は立っていて海の彼方を眺めていた。


「ミヤ、メグ」


「贈り物が決まったわよ」


「そうなんだよ、凄く奇麗なんだよ」


凄く奇麗・・・・・・僕には想像できません。


「レイにはマッサージをして欲しいのよ、いいでしょう」


「ニャ~≪いいですよ、久しぶりだな、お仕事≫」


「レイちゃんが頷いているから決まりだね」


「今日から私達はお母さんの贈り物のお金を稼ぐわよ、メグは看板に≪予約制マッサージ、訪問マッサージも受付中≫と書いてね」


「訪問もするんだ、凄いね」


「私は簡単な地図を書くわ、お客さんがどの家なのか、印を付けて貰うの。レイは地図が完成したら暗記よ、一緒に文字の勉強をしたんだから地図も覚えられるでしょう、それに地図が有れば分かり易いでしょう」


「お姉ちゃん、私も地図を覚えたい」


「そうね、自分の街を知るのもいいわね、なら、みんなで街を歩いてもっと何があるのか調べよう」


「探検の始まりだ」


「ニャ~≪毎日遊び歩いているのに、知らない場所があるんだな≫」


港から馬車の道を僕達は歩いた、知らない所を探すように、いろは坂の様な道を歩いて我が家に向かった。


「お姉ちゃん、知らない所が無かったよ」


「そうね、間違えないで地図が書けそうよ」


「ニャ~≪僕は家の前の道しか歩いた事がないので、知らない所ばかりだったよ≫」


馬車の道を上ると鍛冶屋さんのアレク君の家で反対に坂を下りるとハリーさんの知り合いの石工房だ。どちらの先にも歩いて行った事がなかった。


「看板書くね」


「地図を書くわ」


「ニャ~≪僕はのんびりジャンと遊んでいるよ≫」


二人は3階の部屋に、僕はリビングにいるジャンのベッドに飛び込んだ。


「ハリー、シンシア、ミヤ、メグ、ジャン」


「バブー、バブー」


ジャンと遊ぶ時には話し掛けるようにしている、知っている言葉は少ないけどジャンの役に立つといいな。


「ハリー、シンシア、ミヤ、メグ、ジャン」


「バブバブバブー」


ジャンはいい子だな、猫が赤ちゃんを撫でたりするのか分からないけど、僕は撫でてあげる。僕も頑張るから、名前を覚えるんだよ、皆が喜ぶからね。






「ニャ~≪パン、美味しかったぞ≫」


「ニャ~≪ありがとう≫」


どこにどんな建物があるか、街並みを覚える為に朝起きると散歩する事にした。


今のように飼い主と散歩をしている猫に会う、会話は短いけど、美味しいパンの話が多い。建物に沿って走ったり歩いたりを繰り返して、人目に付かないように歩くのは少し面白い。飼い犬に会う事もあるけどまだ、追いかけられた事はない、吠えられた事は3回かな。


マッサージの看板を出す前にお客としてサキさんが来てくれた。忙しくなったのでシンシアさんの所に遊びに行けないと言っていたけど、マッサージには来れるようだ。


看板を出して直ぐに来てくれたのが、お財布さんの娘さんだ。なんでもマッサージの看板が出るを確認しているそうだ、だから、出ているのが分かったので、直ぐに来る事が出来たと話していた。


僕に慣れてきたみんなは普通に猫の僕に話し掛ける、僕は頷いたり、お辞儀など仕草で話を理解していると伝えている。


毎朝、散歩するようになって犬を見かけるけど、ジョンさん達より少し小さいだけで、小さい仔犬など、小ぶりの犬を見かけない。この付近には、小さい動物はあまりいないのかもしれない。


「ニャ~≪毎日、ひとりね、大事にされているの?≫」


「ニャ~≪僕の飼い主は子供なんだよ、だからまだ寝ているよ≫」


「ニャ~≪そうなのね、子供はよく眠るのよね≫」


「ニャ~≪お姉さん、あそこのパン屋さんのパンが美味しいよ、今度行ってみてね≫」


「ニャ~≪いい情報をありがとう、今度行ってみるわ≫」


この街に来てから、メス猫に会わなかったけど、朝の散歩で知り合う事が出来た。オス猫とオス犬にはよく合うけど、メスは生まれる確率が低いのかな。


よし、あそこの角の家まで行ったら今日の散歩は終わりにしよう。そろそろ帰らないと、マッサージの時間までの予定が終わらない。

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