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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
30/521

ニャ~・・・30

「ニャ~≪洋服を作って貰うぞ≫」


まだ夏頃だろうけど、早めに洋服を頼もうと思って、脅迫状の様な手紙を作っている。


教科書の文章から必要な文字を切ってるのはとても大変だ、何度も何度も爪を立てて切りたい場所をなぞる、僕の小さい手は何かを持つには小さいし、猫の手はもともと握れないので何もつかめない。


それでも洋服の為に頑張っいる、冬は寒くて雪も降る、人間の時は雪が好きだったけど、今の僕は少し嫌い、でも寒くないと暖炉の前でポカポカ出来ないので、外が寒いのはいい事だ。


去年の冬に洋服を作って貰ったけど、予備が無いと着替えて洗濯が出来ない、今年も洋服をお願いすれば洗濯する回数は増えるけど綺麗な服を着れる。


「ニャ~≪真っ直ぐ張るのが難しいんだよな。それに唾液だとはがれるんだよ、何かいい方法はないかな≫」


取り敢えず、必要な文字を切ろう、はがれない様にするのは後で考えよう。




≪レイちゃんは寒がりです、冬の服を少し多めに作ってあげて下さい≫




はがれるのを心配した僕は、シンシアさんの部屋のテーブルの上で作業をした。ミヤちゃん達の部屋から、出来た手紙を持って行くより、テーブルの上で作れば、もし文字が紙に付かなくてもちゃんと読めると思ったからだ。


楽しみだ、何着作ってくれるかな、温かい服が多いと嬉しいな。






「ニャ~、パン、ニャ~、パン、ニャ~≪ジャンのお陰で、≪は≫が言えるようになったので≪パ≫は簡単に言えた≫」


昨日の夕方に頼まれた招き猫、夜に洋服のお願いの手紙を作ってルンルン気分だったけど、お客さんがパン屋さんに入ってくれる事がない。


熱々のパンが沢山並んでいるのに僕の呼び込みの効果はあまりない、パンを買いに来ている人達がちらほら入っているだけど、僕の呼び込みで入ってくれているようには見えない。


「可愛いわね、サキさんの知り合いの猫ちゃん、また来るわね」


僕を優しく撫でてくれたおばさんは常連さんだ、僕は撫でてくれたお礼とパンを買ってくれたお礼にお辞儀と手を振った。


「まあ、礼儀正しいのね、さようなら」


シンシアさんとサキさんの知り合いだと驚く人がいない、驚くのを見るのが少し楽しみなのに残念だ。


「パン、ニャ~≪お買い上げありがとう、またのお越しをお待ちしております≫」


本日の招き猫の成果は多分ゼロ、可愛い&撫でてくれた人は多数、もう夕方なので本日の招き猫は終わりにしよう。


「レイ、どうだった?」


「レイちゃん、ありがとう、成果は?」


「レイちゃん、ダメだったの?」


僕は遊びから帰って来た三人に残念だった表情作り頷いた。


「そう、まだ初日だけどレイの沈み具合からすると、作戦は上手くいかなかったのね?」


「ニャ~≪流石、ミヤちゃんだ、よく分かったね。そうなんだ、パン屋さんには招き猫ではお客さんが入ってくれないと、今日1日で分かったんだ、だって・・・・・この世界の人達が珍しいからとお店に入ってくれないよ、それもパン屋さんはこの街に沢山あるんだから≫」


「レイちゃんが一杯喋っていたけど、なんて言っているかな?」


「作戦がある、我に続け」


「疲れたニャン、パンは売れないニャン」


「お菓子が食べたい」


メグちゃんの質問に皆は答えてくれた、ミヤちゃんは作戦があると、呑気な答えのアカリちゃん、自分の要望をそのまま答えたメグちゃん、どれも不正解だが、どれも正解だ。


作戦は考えないといけない、招き猫の成果がなくて疲れたのは本当でパンも売れなかった、串焼きが食べたい・・・・塩漬けのお肉は塩っぱい。


「ニャ~≪僕は先に帰るよ≫」


「レイの作戦を知る為にお泊り会を開きます、アカリは泊りに来るように」


「面白そうね、お母さんに言って来るね」


「おお~、お泊り会、それには美味しいお菓子が出るんだよね」


お泊り会・・・それは女子しかしない集まり会の事、パジャマを持ち寄ってお菓子を食べて、クラスの男子の悪口を言う会の事だ。


中学の時に聞いた・・・まあ中学までの人生だったけど。何でも、嫌な事があるとストレス解消の為に泊まり込んで、夜通し話すんだそうだ、男子にその様な集まりはない、女子は男子よりも世の中を上手く生きているように感じたな。


「お待たせ、泊って来ていいって、後、頑張ってと言われた」


「よし、行こう」


「お風呂を皆で入る、そして、美味しいお菓子を食べる」


メグちゃんはお菓子が大好きだな、まだ夕食を食べてないのに。


「レイ、置いて行くわよ」


「ニャ~≪僕の方が速いのだ、3倍速で走れるのだよ≫」


「おお、競争ね、そりゃ~」


負けないのだ、僕は速い・・・・・・先に歩いていたメグちゃんに捕獲された、3倍速なのに捕まってしまった。


ミヤちゃんを先頭にアカリちゃんが続く、メグちゃんはのんびりと走って後に続いた。






「お母さん、お菓子頂戴」


「あれはお母さんのなのよ、メグは食べたでしょう」


「アカリちゃんが来てる、パンを売るための会議だよ」


「仕方ないわね、持って言っていいわよ、食べ過ぎないでよ」


「は~い」


ミヤちゃんとアカリちゃんはお風呂を出ると部屋に直ぐに戻ったけど、僕とメグちゃんはシンシアさんにお菓子を貰いに来た。


どうやら、シンシアさんとミヤちゃん達三人はお菓子をそれぞれ分けて持っていたようで、ミヤちゃんとメグちゃんは食べ終わっている、いつも通りだ。シンシアさんのお菓子が残っているのを知っている二人は、アカリちゃんがいる事を理由にお菓子を分けて貰おうと考えていたようだ、そして、作戦は成功した。


メグちゃんがお菓子の入った木箱を持って部屋に戻るのに付いて行く。


「レイちゃん、頑張ってね」


「ニャ~≪頑張りますけど、お客さんが来てくれるかは偶然、運のような気がしてきました≫」


シンシアさんに応援されたけど、今のところ上手くいく要素がない。






「美味しいね、このお菓子」


「新製品なんだって、大きい船で運んで来たらしいよ」


「大きい船が、菓子を沢山積んで来たんだね」


メグちゃんの頭の中では、大きい船の倉庫にはお菓子が山積みなんだろうな。


「それで、どうすればいいのかな、うちのパンが売れなくなったのはどうしてなんだろう」


「そこよ、私達がいない間に何があったの?」


「そうね、ミヤの家の注文が来なくなってお母さんが見に行ったら誰もいなかったの、最初はどっかに遊びに行っているんだろう、近いうちに帰って来るさとお父さんは呑気に言っていたのだけど、それから3日位経つと、他の常連さんからの注文も来なくなったのよ。ミヤの家みたいにどうしたのか確認出来ないし、そのうちに注文があるさとまだ呑気に考えていたの、でも、お店に買いに来る常連さんは減るし注文も減ったの、そして、本当に少しの常連さんしかパンを買ってくれなくなったのよ」


「ほほ、今の話だと原因が分からないわね」


「パンが不味くな・・・・・・痛いよお姉ちゃん」


「メグ、今は冗談はいいのよ、レイ、聞いてだでしょう、何か考えがある?」


「ニャ~≪ごめんなさい、寝てました、少しは聞こえていたけど、何の話か理解してません≫」


会議が始まって、3人はお菓子の話題とおじいさんの家に行った時の話をしていて暇だったので寝てしまった。でもそれは、アカリちゃんが僕を撫でてくれていたので気持ちが良くなったからで、決してお菓子の話がつまらなかったからではない、そう、会議まで静かに過ごしていただけだ。


「その寝むそうな顔は止めてよ、眠くなるでしょう」


「レちゃん、寝ないでよ、うちのパンを沢山売ってよ、お願い」


「ニャ~≪僕が出来る事は目立つ事、小さい猫だけど変わった動作でお客さんに注目して貰う位しか出来ない・・・・何かいいアイデアはないのだろうか、一番頼りないがメグちゃんに聞いてみよう≫メグ~」


「いくらレイちゃんでもお菓子はあげないよ」


「ニャ~≪メグちゃんからはお菓子の話しか聞けないのをよく理解しました・・・・パンだよ、パンの味はどうなの、美味しいの?≫アリ、パンめし」


「アリ、パンめし?」


「アリ、パンめし?」


どうやら、アカリちゃんの名前にパンを食べてみたいと言ってみたけど通じないみたいだ。


「す、ご~い、レイちゃんがアカリちゃんのパンが食べたいって言っている」


何故だ、お菓子の事しか考えていない筈なのに僕の言った事が分かったんだ、不思議だ、メグちゃんは僕の事が良く分かっている時がある・・・・ミヤちゃんもそうか、姉妹揃って動物の気持ちが分かる子なんだな。


「ああ、アリはアカリの事なのか、≪カ≫がまだ言えないのね」


「そうなの、アリは私の事なの?」


「レイ、私の名前は?」


「ミヤ」


「レイちゃん、私の名前は?」


「アリ」


「メグの言ったのが合っていたみたいね」


「私の名前は?」


「メグ」


最後にメグちゃんが聞いてくるのは分かっていた、聞かれるのを待っていた。


「レイはアカリの家のパンが食べたいのね、取って来る、みんな待っていて」


ミャちゃんが急いでパンを取りに行った。


そう言えば、ミヤちゃんがパンを買い占めすると聞いた事があるけど、買ったパン運ばれて来た。台所に置かれた木箱が5箱で、スーパーのミカンの箱の2倍はあるのに、中にはパンしか入っていないのには驚いた。


買って持ってくればいいと思ったけど、食べる分を買って来るだけでも大変なんだと気が付いた、あんなに買うなら運んで貰った方がいい。


「持って来たわよ」


ベッドの上に置かれたパンを囲うように座っているけど、それは最初からだ。アカリちゃんが僕の前に押し出したパン、ミヤちゃん達がいつも食べているパンだ、見た目は前と変わらない、味はどうなのかな・・・・・・ニャンだよ、僕は千切れないし口もそんなに大きくないからかぶり付けないよ。


「ニャ~≪切ってよ、食べれる大きさに≫」


「レイちゃんが怒ってる、大きくて食べれないんだ」


「そうね、レイちゃんよりは小さいけど同じ位にも見えるね」


「もしかしたら、レイよりもパンの方が大きいかも」


「ニャ~≪パンと大いさで勝負してないよ、早く切ってよ≫」


最初にメグちゃんが僕が言った事の正解を言ったのにパンを切るそぶりがないぞ。


「レイ、そんなに暴れないでよ、今切るから、串焼き位の大きさでいいのね、はいパンよ」


やっと切ってくれたよ、どんな味なのかな、喉に詰まらないようによく噛まないとね。


「私も食べる」


アカリちゃんも食べるのか、自分の家のパンなのに、食べなれた味なんだろうな。


「私も」


「そう、なら私も」


メグちゃんとミヤちゃんも食べるのか、僕も食べよう。


「凄く不味い、家のパン」


「そうだよね、凄く不味い」


そうかな、とても美味しいと思うけど。


「ええ、私は冗談で言ったのに~」


「私も冗談よ、アカリが驚くのが見たくて」


「二人が驚くと思ったのに」


「いつも通り美味しよ、ほら、レイちゃんが喜んで食べているよ」


「ニャ~≪メグちゃんの言うとおりだ、美味しいよこのパン、スーパーの8枚切りとか10枚切りのパンは、パンの味がなかったんだな、バターの味で食べていたんだな≫」


スーパーのパンは不味くはないけど、アカリちゃんのパンは、しっとりしていて材料と少しの甘みのお陰でとても美味しい。パンが主食だから美味しくなったのかな、日本の米も主食で美味しいのを求めたからとても美味しいんだろうな。


「ミヤ、めし」


「はいはい、美味しかったのね」


美味しいこれなあ、塩漬けのお肉よりパンの方が美味しいな・・・でも、味はパンだけど肉が好きな僕はやっぱり肉が食べたい。


「ニャ~≪美味しいよ、でも、飲み物がないとこれ以上は食べれないよ≫」


そうか、猫にパンをあげないのは喉が渇くからだ、猫は水分をあまりとらなくても大丈夫だと聞いた事があるな、どの位水分を取らないのかは分からないけど、喉が渇いたり、水分が欲しくなる事があまりないな


「レイちゃん、パンが売れるアイデアはないの?」


アカリちゃんはパンを美味しそうに食べている僕に視線を向けて質問をして来た。


困ったぞ、僕が出来るのは招き猫だし、経営とか販売の事とか何も知らない、どうしたらいいんだ。


「そうだ、アカリ、レイは初めて食べて美味しいと喜んでいるのよ、それなら、食べた事のない人に食べて貰おう、美味しければ買ってくれるかもしれないよ」


「お姉ちゃん、凄い。いいアイデアだよ、食べて貰えれば何とかなるよ」


「でも、どうやって食べて貰うの?」


「市場のお客さんに食べて貰うとかはどうかな、美味しければ買いに来てと言えばいいのよ」


「そうね、それがいいかも・・・・・誰がパンを配るの?」


「アカリちゃん、みんなでやろう、パンが売れたら美味しいお菓子が買えるよ」


「メグ、お菓子は買えないのよ、パンが売れるようにするだけなのよ」


「ミヤ、パンが売れたらきっとお母さんがお菓子を買ってくれるわよ」


「おお、お菓子が食べれる」


メグちゃんはお菓子絡みだと頑張れるお菓子少女、いつかお菓子の家を食べるだろう。作るのは無理だ、完成まで我慢できない。


「どうやって配るか考えるわよ、決まったら寝よう」


「「は~い」」


「ニャ~≪僕は意見を言えませんので、考えながら寝たいと思います、おやすみ≫」


僕が寝るまで3人は話していた、最後に聞いたのはどんな格好で配ろうかだった。



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