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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
3/521

ニャ~・・・3

僕達の部屋からでも聞こえた、来客が玄関のドアをノックする音。


「こんにちは」


「こんにちは」


お客さんが来たようだ、そう言えば、おじいさんの家に来た人で、ノックをした人はこの人が初めてだ。お兄さん達を迎えに来た人達はノックをしなかった、近所の人かこの村の人なんだろう。


「遅くなってすいません、雪が溶けるのを待ってから街を出たもので」


「馬車では、雪道は危険です、それに遠くからお越しいただいてありがとうございます」


凄いぞ、お母さんとの勉強で分からないところがないぞ、頑張ってよかったな。


「どうぞ、こちらです」


この家の廊下を会話をしながら歩いて来るおじいさんとお客さんは、この部屋に来るようだ。足音がどんどんと近づいて来る。


「ニャ~《母さん、お客さんだよ》」


「ニャ~《そうみたいね》」


おじいさんの開けたドアから続いて入って来た男性は、薄茶色の髪をした、25前後の男性だ。この世界の見た目と年齢は僕には分からないけど、日本人なら25歳前後だろう。


洋服が田舎の農村の服とは違うようで、おしゃれだ。おじいさん達の服はデザインがシンプルで、誰でも着れそうな、ゆったりとしたサイズの服、男性の着ている服はロングコートに刺繍がしてあって、おしゃれを意識しているのが分かる。おしゃれな男性は街から来たと言ったいたので、おじいさんの服が田舎の服装で、男性の服が街の服装なのかもしれない。


「こちらの仔猫しか残っていませんが宜しいですか?」


「構いませんよ、娘が喜びます。凄く可愛いじゃないですか、当たりを引いたのかな。そうだ、お手紙ありがとうございます、生まれたのが私の空いている時期で助かりましたよ」


「こちらこそ、こんな遠い所まで来ていただいて、ありがとうございます」


なんと、お客さんは仔猫を貰いに来たんだ、それ僕の事だよね。遂に貰われるイベントだ、母さんと別れるのは寂しいど仕方ないんだよね、2匹も猫を飼うのは大変だからね。


「こちらがお礼です、少し多めに入っています。来て早々で悪いのですが、娘達が首を長くして待っています、また機会がありました宜しお願いします」


「ありがとうございます、こちらこそ、家計の足しにできます、お帰りはお気を付けてお帰り下さい」


街から来た男性は、僕を優しく抱き上げて、この家のドアに向かって歩き出した。


おじいさんも後ろから着いてくる。


「ニャ~≪母さん、ありがとう。楽しかったよ、元気でね≫」


「ニャ~≪元気でね、小さくて可愛い私の娘≫」


「ニャ~≪僕は娘なの、もっと早く教えてよ~≫」


なんで、メス猫なの、それになんでお別れの時まで黙っていたんだよ、母さん。神様、オス猫にして下さい、猫生が変な事になります。


「急ぎですいませんね、娘が待っているので」


「何もお出し出来なくてすみません、お気を付けてお帰り下さい」


「ありがとうございます、また機会がありましたら、宜しくおねがいします」


「はい、こちらこそ、よろしくおねがいします」


家のドアの所でお礼を言い合う2人。僕は抱かれた状態で、メス猫だった事に驚いて、初めて外に出る事に感動できない。


「ニャ~《寒いよ~、母さん、この男性に夏に向かいに来てと言ってよ~》」


「ニャ~《我慢しなさい、暖かくなるわよ、もう少ししたら》」


「ニャ~《今寒いんだよ》」


家の外に出たので、母さんの声は聞こえなくなった。微かに聞こえたのが『街の方が・・・』だった。


目の前にあるのは、荷馬車だよね。


男性に抱かれて、周りを見たけど車はない、そんな雰囲気はおじいさんの家で感じていた。


僕の知っている世界とだいぶ違うと思っていた。おじいさんとおばあさんの服は毎日、同じデザインで、娯楽とかがなさそうで、毎日の夕食後の読書がご楽なんだと思った、おばあさんは裁縫が趣味のようだった。ほろ馬車は1頭の馬が引くのだろう、他に馬はいない。


「ニャ~《寒いよ、早く乗せてよ》」


「おまたせ、直ぐに街に向かってくれ」


「はい、どうぞ、乗って下さい」


御者台のおじさんは男性よりも年上で雇われているのだろう、若い男性に隣の御者台の座席を勧めた。


ほろ馬車の中が見えたけど、荷物は少ないようだ。


「では、出発します」


走り出したほろ馬車はそんなに速くないけれど寒い。


「ニャ~《寒いよ~、僕はほろ馬車の中がいいよ。僕は服を着てないんだよ》」


僕のお願いを聞いてくれない、着く前に風邪をひいちゃうよ。





僕が『ニャ~、ニャ~』鳴くので、出発してから直ぐに木箱に入れてくれた。木箱には布が敷いてあった、掛ける布も有ったので、寒さを何とか我慢する事が出来た。


ほろ馬車の布は前が開いているので、冷たい風がどんどんと入ってくる。木箱にいれば快適だと思っていたけど、とても寒い。


食事を食べるより木箱から出ないで過ごしたかったけど、食事を食べるように勧めてくれるので、急いで食べて木箱に戻る。


「ニャ~≪ごちそうさま、寒いので木箱に戻ります≫」


僕が考えていたよりも長旅のようで、食べた食事の回数は、おそらく10回位。食事の回数は数えていないけど、10回位にだとすると・・・・・2食だとして、5日は馬車で移動している。


寒いし、暇なのがとても辛い、でも、寒いのに慣れないとこの世界では生活できなそうだ。寒いのに慣れる事は出来るのだろうか、とても心配だ。


「ニャ~《馬車が揺れてないけど、どうしたんだ》」


木箱から顔を出して周りを見ると、荷馬車の中で2人の男性は寝ていた。


「ニャ~≪揺れてないのは、夜だからか≫」


寝てばっかりの僕は、寒いのでこのまま寝るのと、寒いけど外の様子を見るのとどちらがいいか考える。


ホロが閉まっていた、僕には開ける事が出来ないので、もう一度寝よう。明日の昼間には外の様子を見よう、おやすみなない。






「ニャ~≪凄い揺れだ、馬車の旅は大変なんだな≫」


馬車が凄く揺れている、揺れで起きた僕は外を見る為に木箱から出た。


馬車の前と後ろのホロが開いているのは、風の抵抗を少なくする為なのかな、どうなんだ。猫だと人間の世界の事を教えてくれる人? がいないな、知らない事はどうしたら分かるようになるんだろう。


忘れていた、今は外の景色を見るんだ、この世界の街と外がどんな風なのか気になるぞ。


木箱から出た僕は、御者台の二人の所には行かないで、後ろから景色を見る事にした。前はとても寒そうだ、後ろで外を見るぞ。


「ニャ~≪別に普通の景色?自然の中を走る馬車だな、珍しい物が何もないよ≫」


期待していた景色ではなかった。そうだよね、アニメじゃないんだから、驚くような植物とか生えていないよな。人間を丸飲みする植物とか、移動する生えた木とか。


遠くの方に見える山も普通だ、見上げた空にも変わった物が見えない。


まあ、東京育ちの僕からしたら大自然の大森林にいるだけでも凄い事だな。


「ニャ~≪異世界は異世界なのかもしれないけど、過去に来たような感じだなぁ≫」


仕方ないな、猫だけど猫の仕草の練習でもするかな、先ずは毛づくろいを木箱に戻ってからしてみよう。


「起きたんだな、どうだ、前に席に来てみないかな?」


若い男性が僕を抱き上げて、御者台に座った。


毛づくろいの練習をしようと思ったのに、見晴らしはいいけど寒いよ。


後ろの景色は森の中を馬車が走っているのが分かったけど、進行方向の景色は森の中の右カーブを進んでいた。山の麓だったのか。


山の高さはそんなにないようだけど、猫から見た感じと、人間の見た感じだとどれ位の違いがあるのかな。猫の僕から見て1メートルは、人間から見ても1メートルに見えるのかな。


でも、あの山が僕から見て高い山に見えないなら、人から見てもそんなに高くないはずだ。


この際なので、御者台に座ってみよう。抱かれた状態から、2人の間の台に移動する。


「おい、大丈夫か、落ちないでくれよ」


「ニャ~≪心配してくれてありがとう、でも大丈夫だよ≫」


男性が心配してくれたので、お礼を言ってお辞儀をした。


「へ~、なんか返事をしているように聞こえますね」


「猫が人間の言葉が分かると聞いた事だあるよ、付けた名前で呼ぶと来てくれるらしい」


「そうなんだすか、この仔猫が利口だといいですね」


「娘の遊び相手になれる位には利口であってほしいね」


利口だよ少しだけ、もう人間の言葉は覚えたからね。どんな事をして遊ぶんだろうな。


「道の横が崖だと緊張しますね」


「何かあっても誰も通りそうもないな、すれ違う馬車がいなかったな、気を付けてくれ」


「はい、少し速度を落とします」


よそ見をしたらダメだよ、崖から落ちたら大変だぞ。


僕が荷台から落ちるより、馬車が崖から落ちるか心配だ。初めて乗った馬車だけど、意外と速度が出るんだな、のんびりと進んでいた時は遅い乗り物だと思ったけど、この道では何でか速度が出ている。


中世だと狼とかが沢山生息していたのか?ここでも狼とか熊とかに襲われると大変だから急いでいるのかな、猫も狼に襲われるのかな、逃げ足を鍛えないと食べられちゃう。そうか木登りはどうなんだ、降りれなくなるエピソードを聞くけど、あれ本当なのかな、身近で聞いた事ないけどどうなんだ。そうか自分で試せばいいのか、木登りの練習もしよう。


猫の事が好きだったけど、何にも知らなかったんだ、でも、誰でも知っているのは猫がよく寝る事だ。街に着くまで寝ていよう、馬車の上で景色を眺めているのも飽きてきた、それにとても寒い。


「ニャ~≪寒いので木箱に戻ります≫」


次に起きる時は、街に着いていると良いな。


「凄いですね、自分から木箱に戻りましたよ」


「そうだな、落ちると危ない事が分かってくれているといいな」


「ニャ~≪僕は猫だよ、落ちても平気だよ、人間の方が危険だよ≫」


2人の会話が少し聞こえるけど、気にならないくらいなので直ぐにウトウトしてきた。街はどんな所だろう、楽しみだな。






寝てばかりの僕が起きて御者台にいどうして前方を見ると、左側に海が見えた。


海の横の道は海面より凄く高い所にあるようだ。また崖かな、落ちないうよう気を付けているのか、馬車の速度が遅い。


御者台から馬車の後ろに視線を向けると山が見えた、あの山の麓を通って来たのか。山と山の間の道、右右の山の横にはキラキラ光る海。後ろを向いた右側に海が見えて、進行方向の左側に続いている海の向こう側は何も見えない・・・・・・どちらも、水は見えるけど陸らしき物が見えない、湖の可能性もあるのか。

何も見えないから海でいいのか、それとも、向こう側の見えない大きな湖か・・・・・・海だよね。


「ニャ~≪海に気を取られていたけど、街が見えるじゃないか。街は遠くて、畑はすぐそこだ≫」


御者台から見える街は城壁に囲まれた海に面した街で、その街は山の斜面にある。港町の様な景色だ。


海の向こうにも街が見える、陸がL型なのか、海の角近くが街になっている、その街がゆるい傾斜の山にあるんだな、海に面した街?港街?。港がなければ海に面した街でいいんだよな。


斜面に在る街なので城壁の中に建物が沢山あるのがここから見える。


「起きたのか、もう直ぐ街に着くぞ。山の斜面にある、港街だぞ」


男性が振り返って、もう直ぐ港街に着くと教えてくれた。


「ニャ~≪楽しみです≫」


港街なら船があるんだろうな、僕は大きい船には乗った事がないんだよな。前世の時に父さんとハゼ釣りに行った時に乗ったボートが、乗った船で一番大きくて、大きい船は近くで見た事がないんだよな。


この街に僕が住めるのか、凄く楽しみだ。





街の中に入るの時間が掛かった、街の中に入るのに許可がいるのかもしれない。僕達の前に入った人は冒険者の様な格好をしていた、マントの下に剣を下げていて、大きいショルダーバッグをタスキ掛けのようにしていた。


剣は何に使うのかな、護身用で、何かと戦うから持ち歩いているんだよな。街の外は危険なのかな。


そう言えば、馬車で一緒だったおじさんが何処かに行った、2人の会話を聞いていたので大体の事情が分かった。


どうやら、僕を迎えに行くのに馬車とそのお供をお願いしたようだ、別れる時にお礼の言葉とお礼のお金を渡していたので間違いないだろう。田舎あるあるではなく、異世界あるあるを体験したんだな。僕が頼んだわけじゃないけど『済まない、田舎の村まで行って貰えないどろうか?料金をはずむからさ』をして、僕を迎えに来てくれたんだな・・・・どうしてあんなに遠い村まで来たんだ?どうして、生まれたのが分かったんだ?どうして、この街で猫を譲って貰わなかったんだ。


僕は凄く高い猫だぞ、子猫の代金に移動の経費を入れると、とんでもない金額になるよね。


「ニャ~≪少しでもお役に立てるように頑張ります≫」


男性にはニャ~、ニャ~としか聞こえないけど、今の気持ちを伝えておいた。


この街の建物は石造りで、おじいさんの家も同じ様な建物だけど、この街の建物は2階建て以上で、おじいさんの家は平屋だった。


緩い坂を上っている男性の両手に抱かれて見た道の両脇の建物は4階だてで、ゆがんだような状態の建物がない。石造の建築物の多い地域では地震が無いと聞いた事がある、地震の多い日本からすると耐震強度とか心配になる。


そんな心配になりそうな建築物しかここにない。


街には人が一杯いる、おじいさん達の様な簡単に着れる服を着ている人もいるけど、それは少人数のようだ。僕を抱いて歩いている男性はお金持ちなのかもしれない、洋服のデザインが凝っているし、もしかしたら生地も高価なのかもしれない。


この街の雰囲気は、外国の大きい港町で、今も昔の文化を大事にしている国? て、感じかな。


建物の入り口の上に木の看板が付いている、周りを見てもぶら下がっている看板は無いようだ。その看板の文字は英語に似ているけど、丸びを帯びているところがなくて、棒とかの直線を何個も組み合わせた文字になっている。LとかTは同じだな、そうか、昔の計算機の表示みたいな感じだ。


ゲームとかだと、分かり易いように絵が描いて有るけど、僕の見える範囲には絵の描かれた看板はないな。


「ほら、着いたぞ。ここが私の家だ」


「ニャ~≪親切にどうも≫」


この人は良い人なんだな、猫の僕に話し掛けてくれる。


男性の家は4階建ての家で、ドアの上に看板を掲げて有るので、何かのお店をしているんだな。


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