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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
26/521

ニャ~・・・26

「こんばんは、リードです」


「ご苦労さま、待っていたよ」


「オギャ~、オギャ~」


「ジャンちゃんが泣いてますね」


玄関でハリーさんの足元も並んで来客者のリードさんを迎えた。2階からはジャンの泣き声が聞こえてきた。赤ちゃんは泣くのがお仕事なので、おしめが汚れていないか、お腹が空いていないか、何で機嫌が悪いのか確認しないといけない。ジャンはあまり泣かないので助かるとシンシアさんが言っているけどそれは、僕の努力が少し役にたっているからだ。


「お腹でも空いたんだろう、赤ちゃんは数時間おきに食べるからね、さあ中に入って下さい」


「失礼します。レイちゃん、こんばんは」


「ニャ~≪こんばんは、もう、迎えに来たんだね≫」


30日経ったんだな、そんなに長く泊っていた感覚はないんだけどな。


「レイちゃん、来て頂戴、ジャンが遊びたいって言っているのよ」


「ニャ~≪呼ばれたので、行きます≫」


「悪いね、行ってくれ」


2階からシンシアさんに呼ばれたので向かう。


明日は、僕の街・・・・・シーラスに帰るのか、街の名前を忘れるところだった。


「ほらジャン、レイちゃんが来たわよ」


「ニャ~≪遊びに来たよ≫」


「バブー、バブー」


少し怒り気味だな、でも泣き止んだ様なのでこれからご機嫌になるのかな。


「ニャ~≪先ずはくすぐり攻撃だ≫」


「バブー、キャッキャ、キャッキャ、バブー」


機嫌が直ったぞ、そお~れ、こちょこちょこ。


「キャッキャ、キャッキャ」


「レイちゃん、よろしくね。夕食の用意に行くわね」


「シンシア、ジャン、ニャ~≪任せるのだ、どうせ、抱き付かれて動けない≫」


よだれが出ているぞ、近くに拭く布があるけど、手が届かない。


「ニャ~≪少し放してくれ、よだれが拭けないよ、ああ、顔を近づかないでよ、ヨダレがヨダレが付いたよ~≫」


ヨダレ拭きを近くに置いとこう、毛づくろいが大変だよ。





「ニャ~≪よく寝たな?≫」


あれ、僕は皆に置いて行かれたのかな、朝起こされなかったよ・・・・・・あれ?、横にジャンが寝ているぞ。


ベビーベッドの柵に手を掛けて周りを見ると、ミヤちゃん達が寝ている、奥のベッドにはシンシアさんが寝ている。


どうしたんだ、リードさんが来たから、今日帰るんだと思ったんだけど、明日なのかな。


「レイちゃん、起きたのね。皆は夜遅くまで遊んでいたのよ、ハリーさんは出発したのよ」


僕が周りを確認していると、後ろからイレーヌさんが話し掛けてきた、視線はジョンに注がれている。


リードさんはハリーさんを迎えに来たんだ、僕達はどうするんだ。


「ニャ~≪おはようございます≫」


先ずは、朝の挨拶とお辞儀だ。


「今のお辞儀はおはようかな、おはようレイちゃん、食事ならテーブルの上に置い有るわよ」


ジョンの様子を見に来たイレーヌさんは僕に話し掛けながら、優しい笑顔をジョンに向けている。


おばあちゃんに見えないけど、もしかしたら30代かも、世界的に30代だと未婚や出産する人が沢山いる年代だよね、異世界だとおばあちゃんなのかな。


イレーヌさんはジャンを見ていたいようなので、ご飯を食べにリビングに行こう。


ハリーさんだけが出発したのは、リードさんと夏の洋服を仕入れに行ったんだな。


「ニャ~《いただきます》」


美味しい朝ごはんだな、しかし、テーブルの上で食べていいのかな、異世界は寛容? 気にしない? そもそもどうでもいい? マナーが無い? どれなんだ。それともシンシアさんの家族はみんなが優しいのかな。






「ニャン、ニャン、ニャン、ニャ~≪天気が良くて、楽しいな、大草原は楽園だ≫」


大草原を軽やかに走って楽しいニャン、何処までも続く大草原、ジャンプしても草しか見えない大草原。


「ニャン、ニャン、ニャン、ニャ~≪全然楽しくないぞ大草原、危険が一杯大草原≫」


「ブヒ、ブヒー」


「ニャ~≪遂に発見された? いや、遂に発見しただ。追って来い、イノシシ≫」


草原だと走りずらいな、道に出ないと追いつかれる。


「ミヤ、イノシシ」


ここから叫んでも聞こえないだろうけど、一応叫んでおこう。


「メグ、イノシシ」


「ブヒ、ブヒー」


近くから聞こえるけど、まだ大丈夫なようだ。道は見えないけどそんなに道から外れていない筈だ。


「ニャン、ニャン、ニャン、ニャ~≪どうだ、付いて来ているかイノシシ≫」


突進して来たら避けれるように、後ろを気にしながら走っているけど、やっぱり草の背丈が高いので僕には何も見えない。その代わり、草の下の方の茎の部分が見えるので草にぶつからないで走れる。


よし、道が見えてきた、あそこを左に行けばみんなのいる所に行けるぞ。


「ブヒ、ブヒ」


「ニャ~《もう道だよ、付いて来て・・・・・何で前にいるの、ええと、斜めに走れば大丈夫かな》」


先回りされたのかそれとも・・・・・僕が声を出しているからだ、スピードも体力もあるんだから、先に道に着いたんだ。


「ミヤ、イノシシ、メグ、イノシシ」


なんとか攻撃を受けないで逃げよう、このフットワークを見ろ、僕は方向転換がいつでも出来るんだぞ。


道に出るまでジグザクに走るぞ、これなら突進しか出来ないイノシシに追いつかれる事はない。


「ミヤ、メグ、イノシシ」


「レイちゃんの声が聞こえたよ」


「レイ、頑張るのよ」


二人の声が聞こえたぞ、木の上に登っている筈だから、道に出て木を確認しよう。


「ブヒ、ブヒー」


近くから聞こえるけど、道に出た方が避けやす。道に出たぞ。


「ニャ~《付いて来い、イノシシを待っている人がいるんだから》ニャン、ニャン、ニャン」


「レイちゃんが見えた」


「レイ、直ぐ後ろよ」


急カーブだ、これでイノシシは僕に攻撃が出来ない。


「ブヒー」


「ニャ~《ミヤちゃんのお陰で避けれた、後ろを確認するのを忘れてたよ》」


「ニルスおじさん、イノシシが行ったよ」


「頑張ってね、おじさん」


「俺はおじさんじゃない、お兄さんと呼べ」


作戦は成功したみたいだな、ニルスさんは前回のイノシシ退治を実力ではないとミヤちゃん達に言われて、『それなら、疲れていないイノシシを倒してみせる』と言った。ミヤちゃん達はそれならと、僕が囮になってイノシシを誘い出そうとなった。ミヤちゃん達は木の上で、ニルスさんは草むらに隠れていた。


「ニャ~《戦闘に集中しないと危ないよ、頑張れ》」


「走って行っちゃったね」


「そうね、仕留めるところを見せると言っていたけど、もう見えないわ」


「ニャ~《大丈夫かな、イノシシから逃げながら戦えるのかな》」


僕もミヤちゃん達のいる木に登って、走っていった方向を見たけど、ニルスさんの姿は何処にも無かった。


あのイノシシはニルスさんの身長よりは低かったけど大きいイノシシだった、何か比較できる物がないと大きさを確認する事が出来ないのが不便だな。





「レイ、良かったね、イノシシの肉が食べれて」


「串焼きのお肉と同じだから嬉しいんだね」


「ニャ~《串焼きのお肉はイノシシだったのか、良かった、ネズミとかの肉じゃなくてイノシシの肉か》」


「どうだ、僕が倒したんだぞ、見直したか?」


そうなんだ、ニルスさんが迎えに来るまで木の上にいたので、戦っているところと仕留めたところを見れなかったんだよね。


「見てないよ」


「そうよ。見せると言ったのに走って逃げて行ったわ」


「ニャ~≪信じてあげようよ、ニコルさんは頑張ったよ、イノシシ、美味しいよ≫」


「まあまあ、ニルスも頑張ったみたいだから、信じてあげてね」


二人の批判は当たり前だけど、イレーヌさんに信じてと言われたし、ニコルさんが言いだした事だしね、仕留めたんだろうな。


「美味しそうに焼けたな、アイシャが倒したイノシシか、最近はイノシシが多いのか、それとも我が家だけが幸運なのか、ニルス、トマトを取ってくれ」


「はい」


「ニャ~≪まあ、そんな事もあるよね≫」


ミヤちゃん達とイレーヌさんの視線にニルスさんは静かになった。アイシャさんが倒したのか、アマゾネスアイシャ、今日も果敢にイノシシと戦闘。


「もう焼けたのね、沢山食べよう、イノシシを仕留めるのに苦労したわね」


「姉さん、この焼けている肉を食べて」


「ありがとう」


「もっと焼かないと足りないな」


ニルスさんはイノシシのお肉を焼きに行った、居心地が悪くなったのだえろう、アイシャさんが来たから。








「ジャン、ニャ~《どうだ、捕まえてごらん》」


「バブー」


ジャンが動く物に興味をしだした。目で追うようになってきた、寝たままだけど顔を動かして僕の手を見ている。


「ジャン、ママ、ジャン、ママ」


手を動かして、ジャンの名前とママ・・・お母さんを教えている。そのうち覚えるだろう作戦で話し掛けている、全て名前なので単語を教えているかな。


「バブー」


僕の手を追いかけるように視線と手が動いていたけど、僕の手がない方向に視線を向けて止まった。


「ニャ~《何を見ているんだ・・・ひ・ひ・人が浮いている、オバケだ・・・・・》」


「バブー、キャハ、キャ」






あれ、まだ夜だな。


「ニャ~《オバケ、幽霊、見たんだ僕、凄い・・・・気絶したのかな》」


ああ、幽霊を見る事が出来たのに消える瞬間まで意識を保っていられなかった、動画とかだと現れた瞬間と消える瞬間が映っていないんだよね。見るチャンスだったのに気絶するなんて。


ジャンにも見えていたのかどうなんだろう。


《小さい動物ね》


「ニャ~《空耳だな》」


《私の家に遊びに来たのね》


「ニャ~《何も聞こえません》」


《お願いがあるのよね》


「ミヤ、メグ、シンシア、ジャン」


《あら、私のやしゃ孫の名前ね》


「ニャ~《どの名前かな》ミヤ」


《いい名前ね》


「メグ」


《可愛いい名前ね》


「シンシア」


《やしゃ孫と同じ名前ね》


「ジャン」


《男の子ね》


「ニャ~《シンシアさんのご先祖さんなのかな》」


《お願いは・・・・・》


声が小さくなったぞ、ああ~、幽霊さんを確認すればよかった、心の準備が出来ているから見ても気絶しないで見れたはずなのに。


「ニャ~《何処にもいないな、出てきて~、顔を見せてよ》」


しばらく待ってみたけど、幽霊さんは出て来なかった。あれ、怖いから見なくて良かったのか、でも、見たい。





「さあ、何処からでも打ってきていいよ」


ニルスさんのは木刀を右手に持って構えている、対峙したミヤちゃんは両手に持って構えている。


「当たったらごめんね、とりゃ~」


「お姉ちゃん、頑張れ~」


「そんな遅い剣が、当たるか~」


駄目剣士から初心者のミヤちゃんは剣を習うそうだ、暇つぶしなのか、本気なのか分からないけど、ミヤちゃんの動きはまあまあいいが、ニルスさんの動きが変だ。


動きが雑? 避ける時に体制が崩れるし、バカにして避けているような、体だけで避けている。剣を持っているんだからもっと背筋を伸ばして足さばきで避けてほしい。今もお腹を引っ込めて避けたので顔が無防備だ。


「とりゃ~、えい」


「当たらないな」


適当に攻撃をしているミヤちゃん、それをひょいひょいと体をクネらせて避けているニルスさん、もう剣の練習じゃない、当たるか避けるかの戦いだ。


もっと異世界風な展開になるのかと思ったけど、これなら子供のチャンバラの方が面白い。


寝よう、メグちゃんに抱かれているので温かいので幸せだニャン。




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