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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
20/521

ニャ~・・・20

「ニャンニャンニャン」


寒さのが大っ嫌いな僕は、ある作戦を実行する事にした。


ハリーさんはまだ帰って来ていない、もうどうでもいい存在になってしまった、1年が何日か分からないけど、僕がこの家に住む様になってまだ1年経っていないけど、1年の4分の1以上は仕入れの為に何処かの街に行っていると思う。


ハリーさんはいつもいない、シンシアさんはお店で仕事中、ミヤちゃん達は何処で遊んでいる、この家の中にいるのは僕だけ、お店にいるシンシアさんは上の階に上がって来る事がないだろう。


「ニャ~≪寒いの嫌いニャン、それなら猫用の洋服を作って貰う為にお願いしよう≫」


ミヤちゃんの机に飛び乗れば、そこには紙とペンがある・・・・・・お願いを紙に書くのだ。


僕も字が読めるんだから書く事だって出来る、それに洋服を作って貰わないと外に遊びに行けない。


暖炉の前は大好きだけど、体力作りに海に行く事を続けたい・・・・・一旦止めてしまうともう行かなくなってしまうだろう。


習慣を変えるのは苦手、特に運動を止める言い訳や理由をなくす努力をしないと運動は続かない。それに暖炉の前の幸せに対抗するには暖かい洋服しかない、なので、何としても洋服が欲しい。


何て書けばいいかな、僕からだと分からないようにしないと駄目だな、僕が文字も読めると知られるのはよくない。


先ずはペンを・・・・・・「ニャ~≪持てないよ~≫」、あ、両手なら持てる、でも、文字を書けそうもないな、ペンがプルプルしているよ。どうすれば文字が書けるようになるかな。


「ニャ~≪インクも付けないといけないんだ。無理だ、文字を書くのは無理だ、他の方法を考えよう≫」


そうだ、もしかしたらこの方法しかないな。




≪レイちゃんは寒がりなので洋服を作ってあげようね≫




短い文しか出来なかったけどこれでいいな、この紙は何処に置けばいいかな。


ミヤちゃんの机の上だと誰も見てくれなそうだな、シンシアさんのベッドの上に載せとけば気が付いてくれる、それに僕の洋服を作れそうなのはシンシアさんしかいない、よしベッドに載せて置けば寝る時に読んで貰える。


ああ、楽しみだな、どんな洋服が出来るかな。





「レイちゃん、ミヤ達を起こして来て」


「ニャ~≪分かったニャン、行って来るニャン≫」


僕は素直ないい子です、洋服が出来るまで何でもするニャン、洋服を着れば寒い冬も暖かくて幸せになるニャン、浮かれているニャン。


シンシアさんも朝食の後片付けを一遍にしたいだろう、起こしに行くぞ。




「ミヤ、メグ」


「ミヤ、メグ」


「ミミミヤヤヤ、メメメグググ」


起きないな、それなら仕方ない、耳元で呼ぶしかないな。


ベッドに乗ってミヤちゃんの耳に手おかけて準備が出来た、さあ叫ぶぞ。


「ミ~ヤ~、ミ~~ヤ~~、メ~グ~、、メ~~グ~~」


「うるさいな、メグはそっちだよ」


「ニャ~≪すいません・・・・じゃなくて起きてよ≫ミヤ、ミヤ、ミヤ」


「何よレイ、どうしたの?」


あ、起きた、次はメグちゃんを起こそう。


「メグ、メグ、メグ」


「レイちゃんおはよう」


メグちゃんの耳元で呼ぶと直ぐに起きた、今度からはメグちゃんを先に起こそう、そうすればミヤちゃんを起こすのが楽かもしれない。


僕はベッドから飛び降りるとドアの前で振り返って叫んだ。


「ミヤ、メグ、めし」


「お姉ちゃん、めしてなあに?」


「さあ、知らない」


二人は体を起こしたけどまだベッドの上から降りて来ない。まあ、一応起こしたからこれでいいよね、さあ、朝食の続きを食べに行こう。


「ニャ~≪起こしたよ、早く来ないとシンシアさんに怒られるよ≫」


「よく分からないけど、レイに続け~」


「おう~、お腹が空いたね」


おお、呼ぶ事に成功したぞ。





今日はアスベルさんのマッサージの日だ。


腰痛が酷いので、7日に1回ソードさんの屋敷に行ってマッサージをする約束になっている、今日は2回目になる。ミヤちゃん達は一緒に行かないようだ。


石の壁を押せば、僕が出れる位の大きさの穴が開く、ドアに穴を開けてパカっと開く出入り口の方が便利だけど、流石にこの世界にはそんな事を考える人はいないよな、それに小さい猫が珍しいから、出入り口を考える事もないだろう、ジョンさんとかは体が大きいからリードも付いているし、飼い主が一緒じゃないと何処にも行けない。僕の方が自由度が多いな。


「ニャ~《外に出た、後は石を押せば終わりだ》」


とりゃ~。


「捕獲~、レイちゃん、お店に行こうね」


声の主はナタリーさんだった、抱かれた僕はなんで捕獲されたんどろうと考える。何も思い付かない。


「レイちゃんの洋服を作るわよ」


もう忘れていた。誰もあの手紙の事を話さないので、誰も読んでいないか、悪戯だと思われて捨てられたと思っていた。


お店に入ると何故か興奮気味の美女のジェシカさんが急ぎ足で僕の所に来た。


「ニャ~《それはとても嬉しいです、でも、何でそんなに興奮しているの?》」


「もう、ジェシカ、慌てないでよ。洋服を作るのが好きだからって、レイちゃんの洋服なのよ」


「シンシアさん、こんな機会はありませんよ。生地が無料、形に色に模様とかも自分で考えていい、こんな素晴らしい事がありますか、ありません・・・あれ、あるんだ、そう、素晴らしいです」


こんな女子が同級生にいたな、漫画やアニメの衣装を作る話と完成した衣装の出来栄えを興奮して友達に話していた。今の時代だと大勢の人に喜んで貰えるんだと嬉しそうに会話をしていたな。


裁縫が好きで、全てを任されるデザイナーは幸せなんだろう、ジェシカさんが興奮するのが分かるな、それに材料が無料だからね。


「ジェシカさん、私も作りたいので共同作品にしませんか?」


「それは嫌、教えるから別々に作りましょう、いいですよね、シンシアさん?」


興奮したジェシカさんが受付カウンターに両手を付いてシンシアさんの返事を待っている。


「いいわよ、一つ条件があるのとても暖かい洋服にしてね」


シンシアさんは条件を言ってあの手紙をカウンターに広げた。


「何ですかこれ?」


「これは、呪いですね」


「呪いじゃないと思うけど、レイちゃんはとても寒がりなのよ、だから洋服は作ってあげた方がいいのよ、暖炉の前から離れなくなるとミヤ達もつまんないだろうしね」


呪いの手紙を見ると≪レイちゃんは寒がりなので洋服を作ってあげようね≫と新聞の切り取りを貼り付けた誘拐犯の脅迫状に見える、呪いではなくて切り貼りのお願い状なのだ。手にインクを付けて書こうかと思ったけど、インクが付くのが嫌だ、インクが落ちないような気がした、ミヤちゃん達が勉強をしなくなったので、本の中の文字を切って貼る事を考えついた。ただ、脅迫状のように不規則に貼ってしまったし・・・・・・切るのが下手だったんだ。


僕の唾液でよく剥がれなかったと今更思うが、シンシアさんは呼んでくれていたんだな。


「凄いのを作ります、自信作です」


「私も頑張ります」


「よろしくね、材料は好きなだけ使っていいわよ、レイちゃんも自分の服なんだから協力するのよ」


「ニャ~《分かりました、何でもします》」


「レイちゃんが頷いてますよ」


「期待していてね、レイちゃん」


シンシアさんは二人に任せたようで、開店前の掃除を始めた。


二人は僕の体に布を巻いて印を付けて、足の場所と体の大きさ、体の形を確認していた。その作業が終わると僕は開放されたので、今度こそアスベルさんのマッサージに向かった。





「ニャ~《近道近道、大回り、近道近道、大回り》」


ハリーさんの知り合いの石切工場の裏を突き抜けて進む事にした、ミヤちゃん達もいないので自分の考えで、近道を探している。ソードさんの屋敷が緩い斜面の上法だったので、海の方から回り込むよりも家の前の馬車の道を進む事にして、更に道がなくても進んでいる。


工場の裏の林は向こうの街との境界のようになっている、林の幅は狭いけど海の方から山の上の方まであるようだ。


「ニャ~《作戦は成功だ、林を抜けたら反対側の西側の街に出たぞ》」


林の出口から山の上の方を見ると、街の真ん中位の場所にいるようだ。ちょうど馬車の道のカーブに出てたので緩やかな斜面をの上る事にした、路地であの屋敷を見付けてから曲がれば、だいぶ近道が出来た事になるだろう。






「ニャ~《こんにちは》」


「凄いな、1人で来たのか」


1人でと言われたけど猫だけで来たら何て言うんだろう、1匹で来たのか・・・・何か変だな。


門番さんに付いて行くと玄関を開けてくれた。


「えっと、猫様が来てます、マッサージの出来る」


門番の人がメイドさん? に伝えてくれたけど、なんともしまらない物言いになってしまう。


「はい、代わりに私がご案内しますので、お仕事に戻って下さい」


「はい、よろしくお願いします」


「ニャ~《ありがとう》」


門番さんが出ていった、領主様の屋敷の見張りは大変なのかな、賊が侵入してきたり、変な要望を持って来る人がいるのかな。


「さあこちらです、付いて来て下さい」


「ニャ~《は~い》」


メイドさんに付いて行くとアスベルさんが居る部屋に案内された。


ソードさんは居ないのか、屋敷の主に挨拶をしなくていいのかな、まあ、依頼主がここに居るからいいんだな。


「おお、待っていたぞ、レイちゃん、少し腰が楽になった、今日もマッサージをしてくれ」


「ニャ~《了解、服を脱いでうつ伏せになってね、痛すぎたら言って下さいね≫」


アスベルさんは直ぐに上着を脱いで横になった。


準備が出来たぞ、さあ、頑張ろう。






マッサージを終えて、お昼をごちそうになって帰って来た。


帰りには近道だと確信した所に僕の匂いを付けて来た、マーキングしなくても大丈夫だけど猫の習慣は大事なので、家の外に初めてマーキングをした。


「ニャ~《どうですか、洋服を見ていきませんか?》」


お腹が一杯の僕は、のんびりとしたいけど、招き猫をする事にした。あの恐ろしい在庫を減らすためには日々努力しないとダメだと思った。今の時間人通りが少なくて、お店に入ってくれる人があまりいない。


いつもなら首に下げている《冬物の洋服販売中~》の木の看板はドアに打ち付けてある、これなら僕がいない時でも看板を目にする事ができる。


朝にサイズを図ったばかりなので、洋服が完成するのは、まだだいぶ先だろうけど、洋服のお礼にお店の在庫が減るように頑張るつもりだ。あれ、ジェシカさん達のお礼になるのかな。


「レイ、マッサージは終わったの?」


「ニャ~《この通り、料金を貰ってきたよ》」


お財布を落としたお金持ちから貰った財布、小さい巾着の財布をミヤちゃんの前に出した。首に下げているので、顔を突き出しただけだけど。


「ちゃんとお金貰って来たのね、偉い」


「いくら入っているのかな、わぁ~、大銅貨2枚だよ」


「前の時の2倍だね」


メグちゃんが財布から料金を出した、大銅貨2枚なのはアスベルさんがマッサージの効果に喜んだからだ。


「メグ、お菓子買いに行こうか?」


「わぁ~い、美味しいお菓子が食べれるね」


「レイも一緒に行こうよ」


「ニャ~《行くのはいいのだけど、僕は串焼きがいいな》」


「決まりだね、レイちゃんは串焼きだよね」


「さあ、美味しいお菓子を探すぞ」


「は~い」


「ニャ~《謎のお肉だけど、美味しいのを食べるぞ》」


定位置のミヤちゃんの首に掛けられて、海の方の市場に向かった。


「アカリ、お菓子食べに行こう。おごりだよ」


「いいの、いつも悪いね。メグちゃん、こんちには、レイちゃんも」


「アカリちゃん、美味しいお菓子食べようね」


店の前にいたアカリちゃんもご一緒するようだ、同じ道にアカリちゃんの家も在るので、市場に向かう時に会う事がよくある。




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