ニャ~・・・19
「私がこのシーラスの領主、ソード・フォン・クライストだ」
長い名前だな・・・・・領主様なのかこの人が、髪は白髪に見える白色だけど金髪少し混じっているのでとても綺麗な髪だな、顔は丸顔を少し縦長にした形でおじさんなのにカッコよく見える。
「カッコいい」
「うん、カッコいい」
ミヤちゃんとメグちゃんの感想も僕と同じだ。
「ああ、ありがとう」
「すみません、ご依頼の猫の飼い主がこの二人でして、連れてまいりました」
「すまないね、ギルドマスター自ら連れて来てくれるとは助かるよ」
なに、この女性がギルドマスターなの、受付のお姉さんだと思っていたよ。
『まあまあ、マッサージの出来る猫の事ね』
『はい、実は知っているけど、ギルドに登録してないので依頼が受けれません』
『後2年経たないと、あの仕事は受けれないのか、残念だね、お姉ちゃん』
『ギルドに登録できるのは10歳から、でも、あの依頼は特別な依頼・・・・・報酬をあげるので教えてくれないかしら?』
『それは駄目です、登録してない者が依頼を受ける事は禁じられています。あそこに書いてあります』
『本当だ、書いてあるね』
受付の後ろの壁に注意事項が書いてある、登録は10歳からで依頼は登録してないと受けれない、同じ依頼を他の人が受ける事が出来ない、期限付きの依頼は期限を守る、ランク付きはランクと同じかそれ以上でないと受けれない‥‥基本の注意事項が書いてあるんだな。
『急ぎなのよ、ねえお願いだから猫の事を教えてよ』
受付のお姉さんが慌て出したぞ、別に依頼が遂行されない時もある筈なのに何で困った顔をしているんだ。
『登録してくれる、特別に?』
『おお、お姉ちゃん、す・ご~い』
メグちゃんのす・ご~いを聞くのは楽しいけど、お姉さんが考え込んだぞ。
『仕方ありません、特例で二人には登録を許可します。特別の特別で今回は無料です、この事は誰にも話してはいけませんよ。守れますか?』
『はい、私は登録が出来た事を話しません』
『秘密にするよ』
登録の事を考えれば偉い人だと考えるのが普通なのにその事に気が付かなかった。でも、冒険ギルドのギルドマスターが自ら受付をしていると思わないよな。
「えっと、二人の話だと自分達の猫がマッサージをするのは本当だと言っておりますが、お探しね猫なのかは分からないと言っています」
「そうですか、君達二人が飼っている猫がマッサージをするのは本当なのかな?」
「はい、レイはマッサージをします」
「レイちゃんはマッサージが上手いよね」
「ほお、それでその猫はどちらにいるのかな?」
ところで、マッサージをする猫を探している理由を聞いていませんが、ソードさん以外の3人は気にならないのかな。
「レイちゃんならここにいるよ」
メグちゃんは僕の足を持ってアピールした。
「ニャ~≪どうも、レイです、いい名前でしょう≫」
「その首に巻いているのが猫? どう見ても動物の置物でしょう、しかし、猫の鳴き声が」
「その、私も猫だと思いませんでしたが、珍しい猫のようで小さくて可愛いいんです」
「そのだな、小さくて可愛いな。それで、マッサージをその猫がするのかなお嬢さん?」
「するよ、上手だよ」
「私はミヤ、妹はメグです。メグの言う事は本当です、レイのマッサージを受けた人は沢山います」
「ミヤちゃんとメグちゃん、そのだな・・・どう話したらいいのか、マッサージで腰の痛みは取れるのかな?」
「さあ、分かりません」
この豪華な屋敷の部屋で話しているのは4人と猫の僕、メイドさんと男の人は何て呼ぶんだ・・・この会話に参加していない人はドアの前の警備の人を入れて六人いる、この部屋にいるの十人と僕だ。
会話している人達の話題がマッサージをする猫の事、とても変な話題だな。
そして、マッサージで腰の痛みを取れるのかと聞いてきたソードさん、それに素直に答えたミヤちゃん。
この屋敷の人達は会話に参加していないが、視線はソードさんに注がれている。
「レイちゃんに聞いてみたらどうかな」
「あのねメグちゃん、今は・・・・・・真面目な話をしているのよ」
「メグの言う通りです、レイに聞いてみましょう」
「ロージー、ちょっと待ってくれ。ミヤアちゃんとメグちゃん、猫のレイちゃんは君たちが話す事が分かるのかな?」
「はい、分かりますよ。お願いすれば何でもしてくれます」
「うん、レイちゃんはお利口だから勉強も出来るんだよ」
だんだん変な方向に向かいそうだぞ、マッサージの事だけでいいに。
「ニャ~≪腰が痛いのが治る事もあるけど、病気だとマッサージでは治らないよ≫」
僕はメグちゃんの首から飛び降りて、テーブルの上に飛び乗った。
「おお、どうしたんだ」
「レイが、説明を求めているんだと思います」
「そうか、信じられんが話してみよう。私の知人が腰が痛いと言って我が屋敷に来ているのだ、どうも、腰の病気ではないのだが治す事が出来ないらしいと医者が見立てた。知人は腰が痛いと言い出してから60日位経った時に、知り合いが過去に同じ様な症状でとても大変だったが、マッサージをしてもらう事でなんとか治ったと話してくれたらしい、それでマッサージが出来る者を探した、でも、街中を探してもマッサージが出来る者がいない事が分かった、見つける事が出来なかったんだ。腰の痛みが治った知り合いの話だと、自分を治してくれたマッサージ師は15年前なので亡くなっているかも知れない、その老女は自分のマッサージを継いでくれる者が現れなかったと嘆いていたそうだ。マッサージを知る者が多いが、マッサージが出来る者を知る人はいなかった。この街にマッサージの出来る猫がいると言う奇妙な話を知る事が出来たが、まあ、誰も猫がマッサージをするとは思わない・・・・・だか、痛い本人からしたら猫の手も借りたい思いでこの街に向かった、そして私の屋敷で療養中だ。依頼は私が頼まれて出したんだ、本当にマッサージが出来るんだな?」
最後の方は知人を『だが痛い本人』あたりから力説していたな、仲の良い知人なんだな。
「ニャ~≪事情は分かりました、腰痛に効くマッサージはネットで勉強しました、ただ、僕は中学生、知り合いに腰痛持ちがいなかった、初めての実践ですが、猫でいいのでしょうか?≫」
「レイが、簡単だいつもどうりすればいいと言っています」
「おお、そうか、有難い」
まあ、自信はないけどその腰痛を治す為に頑張りましょう。
「まあ、猫のレイちゃんが頷いていますよ」
「なんと、本当に人間の言葉が分かるのか」
「えへへ、レイちゃん、私の名前は?」
「メグ」
「レイ、私の名前は?」
「ミヤ」
「「ええ~、名前を呼んだ」」
ミヤちゃんとメグちゃんは自分の名前を呼ばせるのが好きで、他の人を驚かせるのが好きだよね、僕も好きだ。
「その~、お願いします。どうか私の知人にマッサージをして下さい」
驚きすぎたソードさんにお願いされた、それも、お辞儀付きた。
「このおじさん、誰?」
「ソードさんの知り合いでしょう」
まあそうだよね、今までの話だと知り合いだと言っていたんだから。
「無礼だぞ、この方は『良いのだ、このなりだ』・・・・・・しかし」
「あの、私は帰ってもいいでしょうか?」
ギルマスのロージーさんは居心地が悪そうにそわそわしている、ドアの近くらかベッドの近くに寄って来ない。
「そうんだな、ご苦労様。後で報酬の支払いに使いの者を向かわせるよ」
「ありがとうございます、では、失礼します」
ロージーさんはホッとして急いで部屋を後にした。ギルドマスターの後姿は、赤色の髪で強そうに見えたのに、今はは弱しく感じる。
「ニャ~≪初めまして、レイです≫」
「おお・・・・・・猫なのかこの小さい生き物は?」
「はい、この二人が飼い主でして、珍しい猫でマッサージも出来ると言っておりました」
あれ、ソードさんよりも寝ているおじさんの方が偉いのかな、年齢は上で領主様よりも偉いのか。
大きいベッドに寝ていると偉い人には見えないな、40代位の金髪のおじさんが腰痛なんだな。
「私の名前はアスベル・マクスターだ、よろしく」
「私の名前はミヤです」
「私はメグです」
「この街に来てから20日、この日をどんなに待ったか、腰が痛くて馬車の旅も大変だった。ああ、早くマッサージをしてくれ」
「アスベル様の為にマッサージを始めてくれ、けして乱暴にしてはいけないぞ、お偉い方なのだから」
「レイ、偉い人でもいつもと同じようにマッサージをするのよ」
「レイちゃん、頑張ってね」
「ニャ~≪はい、いつものように丁寧にマッサージをするよ≫」
僕はベッドの横で洋服を脱ぐような仕草をして、アスベルさんに洋服を脱いでもらった。
「ニャ~≪では始めます、少し痛くします、我慢はしないで下さい≫」
「二人とも、美味しいお菓子がある、別室で食べよう」
「はい、頂きます」
「やった、お菓子だ」
「何かあったら呼んで下さい」
「ああ、分かった」
ミヤちゃん達は美味しいお菓子を食べに出て行った。
さあ、腰痛に効くマッサージを始めよう、初の実践だ。
うつ伏せの状態で背骨の横の筋肉をほぐした後は、横向きになってもらい、足と足の間に枕を挟んで腰とお尻を揉みほぐした、枕を挟む事でマッサージをし易くする為だ。患者の足の間に入り自分の足に足を載せてもらうと更に効果があるのだけど、僕には出来ないので、枕を挟んで丁寧にマッサージをした。反対側の左も同じようにマッサージをした際には、右よりもコリがあったので、指圧を少しだけ強めにして上に向かってマッサージをした。腰痛になると肩も凝るので、トントンマッサージをしてあげた。
「ニャ~≪お大事に≫」
マッサージが終わってアスベルさんに話し掛けたけど寝てしまっている。
僕はミヤちゃん達の所に向かうのにドアに歩いて行くと警備の人がドアを開けてくれた。
「お嬢様たちの居る部屋までご案内します、付いて来て下さい」
「ニャ~≪親切にどうも≫」
僕が頷くと驚いた男性は「凄いな」と言って歩き出した。
「レイ、私とメグが一緒に行けない時の為に周りを覚えて迷子にならないようにしてね」
「そうだね、お姉ちゃんは遊ぶのに忙しいから・・・・・・お姉ちゃん痛いよ」
「色々と忙しいけど、遊ぶのに忙しいわけじゃないのよ」
「うん、そうだね」
「ニャ~≪その辺はどおでもいいよ、僕だけで行く事になるなら、よく覚えておけばいいんだね≫」
ミヤちゃんが遊ぶのに忙しいのは、今更言わなくても分かっている。
「凄く美味しい焼き菓子だったね」
「そうね、何処で売っているのかな、今度探してみようね」
「うん」
ミヤちゃん達はお金が有れば、甘いお菓子を買うだろう、今まで稼いだお金は甘いお菓子か、いい匂いのする串焼きのお肉を買うのに使われた。
大豪邸から海の方に向かっているけど左に行けば斜面の急な方の街に行けるだろう、でも、今日は冒険ギルドに報酬を貰いに行かないといけないので、来た時と同じ道順を通っている。
「お姉ちゃん、こち側にも市場があるよ」
メグちゃんの視線は右の方に向いていた、その視線の先には大きい広場に凄い数の人が買い物に訪れているのが見えた。
この街は便利だな、斜面から見下ろせば街の様子が見て取れる。
凄い建物の数と広い広場などがここから見れば、この街の全体が分かる、海から離れた斜面の上の方に住んでいる人達は身分が高いのか、家や屋敷が大きい造りになっているんだな。
あの屋敷が一番大きくて豪華だったのは、領主様の屋敷だったからだな・・・・・・そうか、この街で一番偉くて、この街を統治しているのが、あのソードさんなんだな。
「こちの市場の方が大きそうね。今度来る時には見に行ってみようね」
「うん、美味しいお菓子が売っているといいね」
「楽しみね」
「ニャ~≪僕は串焼きのお肉が楽しみだ≫」
「ご苦労様、依頼の報酬です」
「ありがとう」
「ありがとう」
受付の反対側にいるロージーさんは報酬をミヤちゃんに手渡した。
「それで、ちゃんとマッサージは出来たの?」
「出来たよ」
「はい、お礼も貰いました」
「ニャ~≪頑張りました≫」
「美味しいお菓子が食べれたよ」
ロージーさんは真剣な表情をしているけど、ミヤちゃん達は楽しそうにしている。領主様より偉い人は何者だったんだ。
「そう、それならいいわ、今回の事は秘密なのよ、誰にも言わない、分かりましたか?」
「了解です、誰にも話しません」
「了解です・・・了解て何かな、秘密は秘密」
「ロージーさん、またね」
「またね」
「絶対に秘密よ」
「ニャ~≪そんなに気にしなくて大丈夫だよ、ミヤちゃん達はお菓子の方が大事だからね≫」
ギルドに来て色々とあったけど・・・・・・お店の展示替えの方が気になる、急いで帰るぞ。
帰った僕に待っていたのは、疲れたジェシカさん達の為にマッサージをする事だった。
マッサージが終わると二人は『幸せ、展示替えはどうせするんだから、得したわね』『そうですね、次が楽しみです』とは喜んで、仕事を終わらせて帰って行った。
のんびりするのが猫なのに何故か急がしい日々、無料でジェシカさん達にマッサージをして損をした気分だな。
まあ、我が家族の為、洋服が売れてくれるといいな。




