ニャ~・・・12
「重大な発表がある、食べながらでいいので聞いてくれ」
重大な発表、なんだろう。洋服が全然売れない、借金を作ってしまった、これは悪い方で、いい方なら、洋服がよく売れる、お金を拾った、この世界でいい事・・・・・・他に思い付かない。
「母さんに赤ちゃんが出来たぞ」
そうか、赤ちゃんが産まれる。
「ニャ~≪凄いぞ、赤やんが産まれるんだ。男の子かな女の子かな、さあ、どちらか発表を≫」
「わぁ~、今度は弟」
「弟が産まれるの?」
「産まれないと分からないわよ」
そうか、この世界だと性別が分かるのは産まれてからだよね。
人間だった時の僕の妹の時には『妹が産まれるのよ』と発表されたんだよね。何で分かるのか質問した覚えがあるな。
ミヤちゃんは弟がいいと言って、メグちゃんは弟が産まれるのかとシンシアさんに聞いる。
シンシアさんの子供か、美人ちゃんかイケメン君が生まれるんだな。二人は弟がいいんだな、そうだ、お祝いの言葉を言わないと。
「ニャ~《おめでとう、性別はどちらかな。佐藤充稀の時は妹がいたんだよ》」
妹の弥生は元気にしているかな、小学三年生だったのに幼稚園の女の子みたいに幼かったな。
「いつ産まれるの?」
メグちゃんが何かを考えている表情をしているな、弟と遊んでいる事を想像しているのかな。
「冬を過ぎて少し暖かくなった頃かな、ずっと先だよ」
四季があるとしたら、今は夏位で春には生れるのか、楽しみだ。
「そんなに先なの?」
「直ぐに産まれないの? 速く遊びたい」
「直ぐには産まれないのよ、分かってから1年より短い位で産まれるのよ」
この異世界でも妊娠が分かってから1年以内に産まれる、10ヵ月位で同じなのかも。
「のんびりと待とう、可愛い子が産まれる筈さ。メグ、いっぱい遊んであげるんだぞ」
「は~い、早く産まれるといいな」
これから大変だな、家事とかどうするんだろう。
「ニャ~≪ニャンパラリン、ニャンパラリン、ニャンパラリン≫」
難しいな、アニメの猫の真似をしているけど、落ちる速度を落とす為には回転が速すぎるのかな。
夏らしく暑くなってきた。外に出れるので、日課の運動は港の岸壁でしている。走るのが終わって、高い所から飛び降りた時の練習をしている。もう10回以上は海に飛び込んでいる。
波の無い海で泳ぐのには慣れた、体の力を抜いて手をのんびりと水の中で動かして、水をかくようにする、後ろ脚は蹴るようすれば泳げる。関節の関係でこれ以上は速く泳ぐ事が出来ないけど。
「ニャ~≪バタ足がしてみたいな≫」
海面近くまである船着き場兼踊り場はもう直ぐだ、水温が温かいのは沖に在る堤防のお陰だ。
階段を上がって助走分離れれば、海に向かって走って飛ぶ。
「ニャ~≪ニャンパラリン、ニャンパラリン、ニャンパラリン≫」
海面に落ちるまでに3回転、最初は1回転しか出来たいなかった。回転している時に何かすればいいのかな、このままだと回転数が増えるだけで、落下速度が落ちるどころか更に速くなっている感じがする。
「ニャンニャンニャン、ニャ~≪泳ぐの楽しいな≫」
「レイ、見つけた」
「レイちゃんいたね」
ミヤちゃんとメグちゃんだ、僕の日課の場所がここに変更してから初めて来たな・・・・・・変更したのを知っているのか分からないけど。
「ニャ~≪暑ければ、一緒に泳ぐ?≫」
「直ぐに上がって来て、ある作戦を実行するのよ」
「そうなの、レイちゃんがいないと出来ない事なの」
ミヤちゃんの言っている作戦とはどんな事かな、僕がいないと出来ない事て何だろう。
「ニャ~≪あそれ、ブールブル、ブールブル≫」
それにしても全然水が飛ばないんだよな、でも、しないよりはいいか。
「レイ、ブルブルしてから階段を上るのよ」
「ニャ~≪分かっているニャン、あそ~れ、ブールブル、ブールブル≫」
この位でいいかな、これ以上ブルブルしても水は落ちそうもないな。
階段を上がって行くとミヤちゃんが木の板を持っていた、何に使うんだ。サーフィンか、一度してみたいと思っていたんだよ。
「さあ、帰ろう」
「レイちゃん、抱っこしてあげる」
あれ、その板はサーフィンに使うんじゃないのか、何に使うんだ。
メグちゃんに抱き上げられて向かったのは、家の方向だった。
「メグ、いいのあった?」
「これ綺麗だよ」
メグちゃんの持っているペンダントは宝石の色が赤色で首に掛ける部分は鎖だ。
凄く高そうなのを手も持っているけど大丈夫なのか、落としたら大変な事になりそうだぞ。
「凄く綺麗ね。私が選んだのはこれだよ」
ミヤちゃんが選んだのは、三角を重ねたデザインだ、星は5個の尖がりが有るけど、重ねたずらした三角形で、首に掛ける部分は革紐のようだ。
「お姉ちゃんのもいいね」
「問題は値段だよね」
街の中にある装飾品を販売している商店に来ている、それも、高価な物を扱っている。
僕がニャンパラリンと落ちる速度を遅くする練習をしていた日、まあ昨日だけど、ミャちゃんとメグちゃんに打ち明けられた。
『もう直ぐ、お母さんの誕生日なの』
『メグ、もう直ぐじゃないわ。でも、お母さんの誕生日にメグと何かプレゼントをあげる事にしたの』
そうか、シンシアさんの誕生日か、小さいのにお母さんにプレゼントをするのか偉いな。僕があげたのは、猫の母さんに干し肉。人間のお母さんにあげたのはマッサージの1時間無料券だ・・・1時間のマッサージは長かった。
『ニャ~≪2人は何をあげるのかな≫』
『レイ、毛づくろいをしないで真剣に聞いてよ』
『真剣に聞いて、レイちゃん』
こんな感じで、決定していた事を打ち明けられて、お金の事は後にしてプレゼントを探しに来た。
プレゼントの用意の仕方には2種類ある、プレゼントを決めてからお金を工面する方法と、決まった予算からプレゼントを選ぶ方法で、ミヤちゃん達はプレゼントを決めてからお金を工面する事にした。
なので、二人はお母さんのプレゼントを選んでいるんだ。
ミヤちゃんの問題は値段だよねと言ったけど、メグちゃんの持っているネックレスは小金貨1枚と台に置かれている木の値札に書いてある。
店員さん~、傷が付くと怖いので台に戻して下さい。
「まあ、メグちゃん、それは高価なのよ、買ってくれるの?」
知り合いなのは良いけど、先ずは危なっかしい女の子の手から高価なネックレスを返して貰おうよ。
「どうかな、買えるかな」
「買えるかも知れないけど、お母さんにはこちの方がいいよ」
ミヤちゃんの持っているネックレスの代金は小銀貨1枚と木の値札に書いてある。
ミヤちゃんの首に掛けられている僕は、色々と商品を見たけど、どれがいいのか分からない。シンシアさんに合いそうなのはミヤちゃんの持っている方だろう、仕事中とか日常で着けていられそうだ。メグちゃんの選んだのは、何かの集まりとかで、ドレスを着た時ならとても似合うと思う。
「おばさん、どちらがいい」
メグちゃんは、このお店の30代位の黒髪のおばさんに聞いた。黒髪を見ると安心するな、日本人を見てるようで。
「買って欲しいのなら、メグちゃんの方なんだけどね、でも、シンシアが着けるならミヤちゃんの方だね。いつも着けてくれていた方がミヤちゃんもメグちゃんも嬉しいわよね。選ぶならいつも着けれネックレスか、特別の時に着けるネックレスかの違いなんだよ」
「そうだね、お姉ちゃんの選んだのにしようよ、お母さんにはいつも着けていて貰いたい」
「そうね、私の選んだ方がお母さんがいつも着けてくれそうね」
「ニャ~≪それより、メグちゃんの握っているネックレスを元の場所に戻そうよ、いつ落とすかと心配になるよ≫」
「今日買ってくれるのかい?」
早く買って欲しいだろうな、商売とはそう言うものだ。売り上げたくてしょうがないだろうな・・・・・・こんな女の子達から出もね。
「お金を用意するのに時間が掛かるの、だから、次に来た時に買います」
「おばさん、売っちゃだめだよ」
「そんなに簡単に売れないよ、取っておくよ。必ず買いに来ておくれよ」
「「は~い」」
「ニャ~≪買いに来るらしいので、取っておいてね≫」
プレゼントが決まった、後はお金を稼ぐだけ。僕も頑張るぞ~。
「さあ、仕事だ」
「在庫が沢山あるんだから、売れてくれないかしら」
「そのうち売れるさ」
朝ご飯が終わって、ハリーさんとシンシアさんは会話をしながら、お店に向かった。
「さあ、私達も頑張ろう」
ミヤちゃんの顔はやる気に満ちていた、メグちゃんが頷いて、先を歩くミヤちゃんに付いて行く。
「外に看板を出そう」
「ニャ~《お客さんが本当に来るのかな》」
ミヤちゃんは看板を持って、メグちゃんは僕を抱いて階段を下りて行く。
「レイちゃん、頑張ろうね」
「ニャ~《お客さんが来たらね》」
玄関のドアを開けて外に出ると、ミヤちゃんは周りをキョロキョロと見まわした。
「どこがいいかな、道に出すと通っている人の邪魔になるから、うちの敷地内に置かないとね」
お店の方は通りとピッタリに建物が建っているけど、家のドアの方は道から少し引っ込んでいる。
ミヤちゃんは置いてみては確認して、どこがいいか探している。
「ニャ~≪ドアの横でいいんじゃないの、風で倒れたら困るし≫」
「ドアの横でいいか、あんまり離れていると、どこに向かえばいいのか分からないよね」
「うん、ドアの横がいい」
看板の設置が決まると皆で通りから看板を見た。
『マッサージ初めました、4階の受付に来て下さい。疲れ、コリ取れます』と書かれている。
ミヤちゃん、よく勉強したね、こんなに長文が書けるようになるなんて。
でも、聞いた事のある文面だな、ああ、そうか、夏になるとおじいちゃんのお店のドアに『冷やし中華、初めました』と看板のメニューに足されていたな。
「お姉ちゃん、お客さん来るかな」
「来るわよ、こんな看板があるんだから、さあ、部屋に戻って準備よ」
「は~い」
「ニャ~《は~い》」
4階の手前右の部屋がマッサージ室だ。
部屋の中に初めて入ったけど、ベッドに小物を入れるキャビネット、小さなテーブルと椅子が2脚有るだけなのでとても広い空間が空いている。勿論、暖炉は在るので冬でも大丈夫だ。
椅子に座る2人はドアの方に視線を向けている。
「お客さん、来ないね」
「すぐには来ないわよ」
看板を出してから30分位経っただろうか、飽きてきた僕を飽きてきたメグちゃんが撫でている。
ゴロゴロ転がされたりしていると、眠くなってきた。
「ミヤちゃん、メグちゃん、遊びましょう」
「アカリちゃんだ、どうしてここに?」
「お母さんがマッサージを受けるんだって、今上がってくるよ」
「わぁ~、お姉ちゃんお客さんだよ」
「そうね、ここは身内でもいいか、お母さんに話してくれたのアカリ?」
「うん、話したよ。お母さんもシンシアさんから聞いていたから興味があったみたいよ」
この時間だとパンを焼くのは終わっているんだな。
嬉しそうな2人の視線は廊下に向けられている
「お待たせ、ふ~、マッサージをお願いします。いいかしら?」
「はい、マッサージが3種類あります、短い、普通、長いです。どれにしますか?」
「そうね、普通でお願い出来る」
「お姉ちゃん普通だよ、いくらだっけ?」
メグちゃんはお金の単位の勉強がまだ苦手でよく分かっていない。
「銅貨2枚だけどいいですか?」
「銅貨2枚か、もう少し安くならないかな」
「お母さん、値切っちゃダメよ」
「はいはい、分かりました。はい、銅貨2枚」
「ありがとうございます、では、ベッドにうつ伏せになって下さい」
「すぐ始めるのね、よろしくね、レイちゃん」
「ニャ~≪まあ、知り合いじゃないとやってくれそうもないから、初めはアカリちゃんのお母さんになるよね≫」
値段が決まって支払いが済んだサキさんが、ミヤちゃんの指示に従い、ベットの上でうつ伏せになってくれた。
「サキさん、お母さんには内緒だよ」
「は~い、分かっているわ」
「ニャ~≪では、失礼します≫」
いつもの様にお尻に乗る、この位置からマッサージを始める。
先ずは、両手で体の中心を上に向かってさする。
「あら、洋服を着てると効果が少なそうね、脱ぐわね」
着ていた服を脱いでくれたのでやり易くなった。この方がマッサージにはいいんだけど、猫の僕が脱いでと言えないので、服の上から一生懸命にマッサージをする予定だった。
「ニャ~≪ありがとう、この方が効果があります≫」
直ぐに続きを始める、さすった後は少し力を入れて押す、力を抜いて戻ってくるを繰り返す。
「凄いわね、本当に気持ちいい、シンシアが言っていたとおりなのね」
「レイ、私達は遊びに行ってくるわね。終わったらのんびりしていていいわよ」
「レイちゃん、頑張ってね」
「ニャ~≪は~い≫」
「お母さん、行って来ます」
「お昼までに戻るのよ」
「は~い」
マッサージを始めて5分位でミヤちゃん達は遊びに行った。
「ニャ~≪どんどん力を入れていきます、痛かったら言って下さい≫」
「いいわね、この位がいいのかしら」
「ニャ~≪それなら、もう少し力を入れた方がいいと思います≫」
少ししか力を入れてないので、もう少し押す力を入れてみる。
「ああ、今の方が気持ちがいいわ」
この位がサキさんには合っているようだ。このまま背中をマッサージして、その後は、肩を叩いてこりをほぐす、最後に足のマッサージをすれば終わりだ。
「マッサージが分かってきたわ、腰、腰をお願いよ、立ちっぱなしだと腰が痛くなるのよ」
「ニャ~≪お客さん、分かってきましたね。では、腰の疲れが取れるマッサージに時間を掛けますね≫」
「もっと、早くやってもらえば良かったわ」
喜んで貰えて何よりだ、アカリちゃんのお母さんだから少し時間を多くしてあげよう。
「えっと、マッサージをしたいんだけど、誰もいないのね」
「ニャ~≪みんなは遊びに行っているんだよ、マッサージなら出来るけど、お金の事もあるから無理だよね≫」
ドアの所に立っている女性は20代の茶髪の奇麗なお姉さんだ。そのお姉さんは、部屋の中をキョロキョロと見て誰もいないので困ってしまっている。
「可愛い猫ね。マッサージをしてくれるのが猫だと聞いて来たんだけど、本当なのかしら」
「ニャ~≪本当だよ、ベッドに寝てくれればマッサージしますよ≫」
あれ~、猫がマッサージをするて誰も知らない筈なのに、どうして知っているんだ。
どうして知っているのか分からないけど、テーブルの上から降りてベッドに移動した。お姉さんに視線を向けてベッドを叩く。
「バンバンバババ~ン」
「えっと、ベッドに乗るのね、マッサージはベッドの上でしてくれるのね」
ベッドの上でうつ伏せに寝るように指示を出す、僕のようにうつ伏せになるんだ。
「ニャ~≪こんな感じに寝てね≫」
「小さくて可愛い子猫ちゃんね、真似をすればいいのかしら」
「ニャ~≪可愛い子猫です≫」
うつ伏せに寝てくれたので、お姉さんの洋服を少しあげる。
「ああ、洋服を脱ぐのね、少し待ってね」
僕は学習したのだ、マッサージに洋服は邪魔、プロは何も気にしません。お姉さんが洋服を脱いでうつ伏せになったので、マッサージの始まりだ。
「ニャ~《痛かったり、強く押して欲しかったら言って下さい》」
「凄い、猫がマッサージしてる。それに気持ちいい」
本日2人目のお客さんのマッサージを始めた、最初のお客さんのサキさんは、マッサージが終わると喜んで帰った、『また来るわね』と言っていた。
20代のお姉さんにもサキさんと同じ位の時間をマッサージした、お姉さんは寝てしまったので、頬を撫でて起きて貰った。
「えっと、いくらなのかな?」
そうか、値段交渉役のミヤちゃんがいないぞ、どうすればいいんだ。
ああ、テーブルにサキさんが払ってくれたお金がまだ載っている筈だ、あれを利用しよう。
「ニャ~《こっちに来て、これを見て》」
僕はベッドから降りるとジャンプしてテーブルに乗った。
銅貨が2枚置かれているので、叩いてこの値段だよと教える。
「銅貨2枚なの、安いのね、もっとするのかと思った。看板には値段が書いてないんだもん。ねえ、可愛猫ちゃん、撫でてもいいかしら?」
お姉さんは銅貨2枚を置いて、僕を撫でた、まあ、撫でて貰うと気持ちいいからいいんだけど、お金は払えません、猫なので。
「ニャ~《眠くなってきたよ、マッサージは疲れるな、僕を撫でるのに飽きたら何も言わずに帰って下さい、おやすみ》」
お昼はまだだけど眠いので寝る事にした、起きたらお昼を食べよう。
「眠いのね、ご苦労さま。さあ、お昼を食べに帰らないと、またね」
「ニャ~≪ありがとう≫」
お礼を言えた・・・・・・おやすみ。




