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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
113/540

ニャ~・・・113

「どうかしら?」


ジェシカさんは完成した洋服を、僕の前でクルクルと回転させている、出来栄えの感想を聞きたいらしい。


僕のお気に入りのブラックドラゴンの洋服がレッドドラゴンにこれだと色違いかで終わるんだろうけど、レッドドラゴンの背中にはブラックドラゴンがいる? 刺繍とは違って、立体的で口から何かを入れらそうな作りになっている。でも、ブラックドラゴンは小さいので口から入る物は限られる。


「凄いニャン、子供が付いているニャン」


「そうでしょう、口にはお金が入るんだよ」


「どれ、口の中は、お金が有りません。レイちゃん着てみようよ」


ナタリーさんはお腹の部分のバンドを外しいて僕に着せようとしている。まあ、いいか、ジェシカさんも早く着て欲しいだろうから。


「レイ、僕はどう?」


「カッコいいニャン、怪獣ニャン」


「えへへへ、面白い洋服だね」


カウンター横で着ていた洋服を脱ぐと新しい洋服? ・・・・・・恐竜の着ぐるみを着てピョンピョン跳ねるジャン。


全体が白色で、帽子の顔と背中のギザギザした部分は灰色だ。ジャンの体よりも少し大きく作ってあるので、より恐竜の体に見える。


「恐竜? ドラゴンだよ。小さいドラゴンの洋服、レイちゃんは、凄く大きいドラゴンの親子なのよ」


着せて貰ったドラゴンを見るのに立って、確認してみた。


手から体の部分に三角のヒラヒラが付いている、広げてバサバサすると空に飛ぶんだな。そうか、ジャンのは地面を歩いているドラゴンで、僕のは空を飛ぶドラゴンだ。


「私が作ったのは、ウサギさんのぬいぐるみです」


「新しいウサギだ、僕のもあるの?」


「ジャンのも有るよ、メイちゃんとマヤちゃんのも」


ナタリーさんにはぬいぐるみを頼んだ、パーカーは沢山あるし、同じ物ばかり作るよりは気分転換になる。


「この黒いのが僕のだ、他の色はメイとマヤの。ありがとう、僕、渡してくる」


ナタリーさんからぬいぐるみを受け取るとおもちゃの家に走って行った。


「ウサちゃんだ」「ウサちゃん」


「僕のと色違いだよ」


「あら、新しい洋服を貰ったのね」


「はいニャン」


「ジェシカ、ナタリー、いつもありがとう、大変だったでしょう」


「いえ、サキさんの家の分も作れて嬉しかったです」


「はい、ウサギのぬいぐるみを6個も作りました、初めてで上手くいったの分かりませんけど、楽しかったです」


2人に聞かれた今回の洋服の製作は、お任せとウサギのぬいぐるみ6個だった・・・・・・1個はモモので、一番壊すのが早い。


「おお、レイちゃんの新しい服か、ジェシカは作るのが上手だな」


「もしよかったら、ハリーさんにも作りましょうか、ドラゴンの洋服?」


「あはは、僕の分か、遠慮しとくよ。さあ、お店の準備をしよう、今日はお客さんが沢山来る日だよ、みんな頑張ろう」


「はい」


「今日も頑張るぞ」


そうか、開店前に洋服をくれたのは、今日が忙しい日だからだ。


「いた、レイ、作戦会議よ」


「新しい洋服だ、可愛いねレイちゃん」


数日前に学校は終わった、今は冬休みだ。作戦会議か、今回はどんな事をするのかな楽しみだな。


あの最後の日の、健康診断では赤ちゃんの出来たマイヤ先生以外は正常と空腹だけだった。


「はいニャン」


「温かそうね、私もドラゴンを着て歩こうかしら」






「お姉ちゃん、石ころが落ちているよ」


「そうね、沢山落ちているわね」


ミヤちゃんとメグちゃんが並んでシーラスの北の街を目指している。その後ろをレッドドラゴンの僕が付いて行く。


シーラスの東門から進んで北に向かっている街道を更に西に向かっている。山の麓を回り込む街道は僕達の街の城壁の景色を見続けさせた。メグちゃんは変わらない景色に飽きたのだろう、街の外には何処にでも小石も石も大岩も落ちている。


「ルセルティフィキャ(診断書)ニャン、唱えるニャン」


「そうか、面白いよね・・・ルセルティフィキャ。正常だけだ、お姉ちゃんはお腹を空かしていない、・・・ルセルティフィキャ、私は私は」


「メグも正常だけよ」


「そうか、正常か」


二人だけだと、直ぐに終わるな、気分転換にもならなかったな。


僕に当てないのはフキダシが出ないからだ。動物は生態が違うからなのか、生態を人間が分かっていないからなのか、僕はそのどちらかだと思っている。


馬車が来た、後ろから抜かれる事もあったけど、今は前から馬車が来た。


「どうどうどう~、・・・お客さん止めましたよ」


あれ、今横を通った馬車が止まった。マイヤ先生のお姉さんの家に向かう時に乗った乗合馬車だ。


「ありがとう、ミヤ、メグ、おじいちゃんだぞ」


「おじいちゃん、どうして馬車に乗っているの」


「メグ、おじいちゃんはお風呂に入りに来たんだよ」


「そうだ、お風呂だ。何処に行くんだ」


「おじいちゃんの家だよ」


「またね、おじいちゃん」


「トマトを待っていけ」


ライナーさんは荷物からトマトを出してメグちゃんに手渡した。


「わぁ~、ありがとう。じゃね」


「ああ、すまん、出してくれ」


「え、もう良いんですか?」


「他のお客も乗っている、孫達も迷惑かけないようにしてくれたんだ」


「はぁ、では、出します」


事の成り行きを見ていた僕は、ミヤちゃん達が歩き出しても馬車を見ていた。


「レイちゃんもいたのか、お風呂の勝負はお預けだな」


「はいニャン」


窓から顔を出して僕に手を振っているライナーさんは僕達の家に向かった。僕も手を振り返した。


「トマト、美味しい」


「おじいちゃんの家に行けばもっと食べれるわよ」


「そうだね」


二人に追い付くと、メグちゃんに視線を向けた。どうやら飽きていたのを忘れたようだ。


「お姉ちゃん、夜は何処で寝るの?」


「そうね、道の横の空いている場所がいいわね。それか、他の冒険者が夜を過ごした場所かな、その形跡が有るといいんだけどね」


なるほど、他の冒険者が野営したところか・・・・・・シーラスとブランシールだと馬車で半日ぐらいだった筈、う~ん、馬車の移動の方が良かったような気がするな。ライナーさんは夕方前にはシーラスに着く、僕達は? 何は何故あるいているんだ、馬車に乗れば当日に着く距離なに。


「ああ、あそこがいいよ、大きい岩の上。この辺に魔物は出ないけど、イノシシが出て危ないもん」


「いい案なんだけど、まだ、寝る場所を決めるには早いわよ、ほら、太陽があの位置よ」


ミヤちゃんの指した太陽は真上よりは西に見える。


「そうか、まだ歩かないと駄目なんだ」


ライナーさんに会う少し前にお昼にしたので、もっと歩かないとね。いつ着くのか分からなくなるよね。


「そうだよ、歩くのに飽きたんだから、走ればいいんだよ」


「大丈夫なの、疲れていないの?」


「うん、疲れてないよ。疲れたら休もう」


「分かったわ、レイ、走るわよ」


「はいニャン」


ミヤちゃんを先頭にブランシールに続く街道を走る僕達。いいのだろうか、こんなに無謀で。






「疲れた、眠い」


「眠いよ、ああ、大岩が有るよ、それも凄く大きい」


「よしあそこ迄、走ろう。上に乗ったら寝よう」


「うん、よく頑張ったよね」


2人を追う僕は思った、もうライナーさんの家が近いんじゃないのかと、日が暮れても走る二人、最初は速かったけど、今はジョギング位の速度にそれでも凄く速い。


2人は武器を片手にリュックを背負い、真夜中だと思う時間まで頑張った。寝るのにいい場所がないから。


見付けた大岩に最初に着いて登ったのはメグちゃん、ミヤちゃんは僕を放り投げてから登った。


「ニャンパラリン、着地ニャン」


「ああ、疲れた。レイは見張りね、私とメグは寝るから、何か出たら・・・・・・危ないと思ったら起こして」


僕の呼びかけでミヤちゃんが起きるのだろうか、起きないだろうな。


「見張りニャン、僕がするのニャン?」


「レイちゃん、僕は寝ながら警戒が出来るんだニャン、凄く得意ニャン、猫は警戒心が強いニャンと自慢してたよね」


「そうね、言ってた。レイ、ありがとう、おやすみ」


「お休み、レイちゃん」


会話をしながら出していた毛布、皮の敷物の上に横になると毛布を掛けて寝た二人。寝つきがいいな。


そうか、自慢していたのか。しかし、野宿は・・・・・・バキバキが聞こえるんだよな、耳がいいから遠くの音も聞こえるんだよね。





「バキバキニャン、聞こえるニャン」


ミヤちゃんの頬を撫でて、見張り役の僕は何かが近くにいる事を報告した。


「バキバキはいいのよ、お食事中なんでしょう」


気にならない様で、すぐに寝てしまった。沢山走ったから疲れているんだな。




「メグちゃんニャン、草を踏む音ニャン、何かいるニャン」


メグちゃんの頬を撫でて、この大岩の近くで草を踏んで進んでいる生き物の報告をした。


「美味しいお菓子が食べたい」


お菓子が食べたいそうです、報告には興味がない様だ。


仕方ないな、見張りを続けよう。




「レイ、頑張るのよ」


「頑張れ、疲れたら私の勝ちだよ」


「はいニャン」


メグちゃんの勝ちか、僕達皆の勝ちだよな。


「ニャンパラリン、回避」


「ニャンパラリン、垂直避け」


「レイ、もっと走らせないと疲れないわよ」


イノシシの突進を避ける僕、疲れさせるためには走れとミヤちゃんが言う。その場で避けていてイノシシは疲れるのかな。


「レイちゃん、木の上は安全だからね」


教えてくれるのは嬉しいのだけれども、僕も木の上に乗ってらイノシシは疲れないんだよね。


「ブヒー」


「ニャ~≪・・・光、・・・火、・・・水、・・・風、・・・氷、何も出ないな≫」


「ニャンラリン、回避」


僕の得意なチョロチョロ走りで、突進を回避しているけど、避けれそうもない時はニャンパラリンで避けている。魔法の練習も出来るのが嬉しい。


「ニャ~≪実戦の練習になっているけど、魔法が撃てたらどうなるのかな≫」


もし魔法が使えたら、イノシシにダメージを与えられるのかな。


突進して行ったイノシシがターンしてこちらに来る、少しは疲れているのかな、僕は今でも体力作りをしているから疲れた気がしない。


「ニャ~≪ニャンパラリン、・・・雷、・・・回復・・・風邪薬・・・のどの痛み止め≫」


モモのお陰で、猫も魔法が使えそうだけど、回復魔法の呪文は・・・・・・杖で試さないと駄目なんだ。回復系の練習は止めよう、唱える呪文が分かるまでは、光だけにしとこう。


「レイ、イノシシが疲れてきているわよ」


そうなのかな、僕には判断できないんだよね。


「おお~、私の勝ちだ」





「ええ、アイシャさんいないの」


「ハァ、ハァ、うん、冒険者になって旅に出たんだよ。夏頃かな」


「とりゃ~、止めだ」


「ミヤちゃんニャン、死んでいるニャンよ」


「いいのよ、練習だから」


「おじさん、疲れたの?」


「何でおじさんなんだ、お兄さんだ」


ミヤちゃんとメグちゃんはイレーヌさんにお礼だと言い出して、イノシシを探した。


作戦は疲れたイノシシを家の前まで追いかけさせてアイシャさんに倒して貰おうだったけど、家に居なかった。


ミヤちゃん達とシンシアさんの弟のニルスさんでイノシシを仕留めた。


「まあ、倒せたのね。ライナーはお風呂に入りに行ったのよ・・・どうしようかしら、ニルス、解体してね。さあ、皆はお茶にしましょうね」


「は~い」


「は~い、とりゃ~」


「はいニャン」


「ええ、僕一人でなの、こんなに大きいに。姉さんがいてくれたらいいのに」


探して見つけたイノシシはとても大きい、僕より小さい生き物を見付ける方が大変だな。僕の感覚だだと前に襲われた時よりも大きい、解体するのは大変だろう。


家の入口の所で振り返ると、イノシシの横に座るニルスさんが、途方に暮れている様だった。





旅の疲れを取るのに、のんびりしていたけど、ニルスさんが戻って来ないので、ミヤちゃんとメグちゃんが手伝いに行った。


恐ろしい事に、3人で解体をしている様だ。見たくない僕はイレーヌさんに抱かれてのんびりとお昼寝だ。


「本当に滑らかで触り心地がいいわね、どうしたらこんなにサラサラなのかしら」


そうだな、キレイ好きなのと、ローラさんの石鹸のお陰だな。


≪あら、お客さんね・・・・・・レイちゃんは何しに来たの?≫


いない時もあるけど、殆どいるんだよな。僕の家に来た時は、ほぼイレーヌさんを追いかけていたな。


≪さあ、何しに来たんでしょうか、僕にも分かりません≫


≪そうなの、魔法は使えたの?≫


≪はい、イブリンさんに教えて貰って、使える様になった人が沢山います。イレーヌさんの孫のメグちゃんは回復魔法が使える様になりました≫


≪まあ、それは嬉しいわね、イレーヌに似て可愛いのよね》


イブリンさんは、イブリンさんに似た人が好きだよね、家族愛なのかな。


「聞いていましたか、レイちゃん?」


「すいませんニャン、考え事ニャン」


「まあ、猫のでも考え事をするのね、どんな事を考えるのかしら。好きな食べ物の事かしら、それとものんびりするには何処がいいとか、それともミヤちゃん達の事を考えているのかしら、どうなの?」


「食べ物の事ニャン、イノシシの事にニャン」


まさか、イブリンさんと話しているとは言えないし、イノシシの事でいいな。イノシシは美味しいんだよ、外では解体しているから、今夜は焼き肉かな、それとも・・・・・・他の食べ方は無いのかな。


「母さん、何処に置くの?」


あれ、イブリンさんが消えたぞ。何処に行ったんだろう。


「おばあちゃん、今夜は焼肉だよね」


「焼き肉にしますよ。釜戸の所に置いて下さいね」


「レイ、ヨダレを拭きなさいよ」


ええ、イノシシの焼肉の事は少ししか考えてないのにヨダレが。


≪レイちゃん、後でお話があるのよ。思い出したのよ≫


≪何をですか?≫


ああ、もういないよ、どうして消えたんだ。



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