ニャ~・・・106
上りきった僕とモモがのんびりしていると何かが起き始めた。
「ニャ~≪レイちゃん、傾いて来たよ≫」
「ニャ~≪ああ、どうなるんだ、モモ、頑張るんだ≫」
「ニャ~≪何を・・・・・・もう飛んでるよ、怖いよ≫」
「ニャ~≪ああ~、カニさん達が倒れているよ≫」
見たくない下に視線を向けると、カニさん達は傾いているのに誰も下の人から分離していなかった、凄いな誰も離さないんだな、そのカニさんの階段が倒れかけているように見える。
「ニャ~≪モモ、ニャンパラリンでカニさんの上に乗るんだ≫」
「ニャ~≪出来るかな≫」
「ニャ~≪急げ、今しかないよ≫」
ゆっくり傾いているので今なら下のカニさんか、もしかしたら頂上のカニさんの上に降りれそうだ。上空の風でモモは横に流されている。
「ニャ~≪ニャンパラリン、怖いよ≫」
「ニャ~≪ニャンパラリン、頑張れ≫」
「ニャ~≪ニャンパラリン、怖いよ≫」
「ニャ~≪ニャンパラリン・・・・・乗れてるよ、モモ。今度は離すなよ≫」
モモは2回転したら何とか乗れた、僕も足元にカニさんの甲羅が来た、着地だ。
何とか甲羅の上に降りれた僕はカニさんのお尻の方に手を掛けて外れない様にした。安心したのも束の間、傾く速度は速くなって来た。今の状態だと頭から海に向かうような姿勢でカニさんにしがみ付いている。どうしたら、いいんだ。この高さから落ちたらどうなるんだ。
確か人間だと30メートル以上だとコンクリートに衝突するのと同じだと聞いた事がある。まだ、30メートル以上あるよ。
モモが気になって視線を向けると、僕とは反対向きにカニさんの甲羅にしがみ付いている。モモはお尻から海に向かっているんだな。
「ニャ~≪凄く速くなったよ、手が離れるよ。レイちゃん助けて≫」
「ニャ~≪モモ、僕を助けて、頭から落ちてるよ≫」
僕とモモはカニさんが倒れる前に手が離れてしまった、大きい音を立てて海面に叩きつけられた。あ、痛くない、低くなってから落ちたのかな。
僕は驚いたけど、溺れない様にその場で立ち泳ぎをして、ジャンとの特訓でマスターした、人間の様な立ち泳ぎ。
「ニャ~≪モモ、大丈夫か?≫」
モモの事を忘れていた、モモも海に落ちた筈だ。
「ニャ~≪痛くなかったよ、見て見て、私も出来るよ≫」
声の聞こえた方に立ち泳ぎで回転する、少し離れた所でモモも立ち泳ぎをしていた。ジャンによる特訓をモモも受けていたけど、僕よりも下手だったのに、今はちゃんと立ち泳ぎが出来ている。
海の方に倒れてくれて良かったな、砂浜に戻る為に泳ぎだそうとしたら、カニさんの手の爪が目の前に出された。
「ニャ~≪危ないよ、僕とモモは砂浜まで泳いで戻るね≫」
「ブクブク」
目の前のカニさんがブクブクと言っている、僕に向けた手をどかしてくれる気がない様だ。
「ニャ~≪レイちゃん、泳いだら駄目なのかな≫」
立ち泳ぎをしたまま、モモに視線を向けると僕と同じ様にされていた。攻撃されないけど、砂浜に行かせてくれない。
「ニャ~≪レイちゃん、カニさん達が泳いでくるよ≫」
モモの言葉に目の前の手から少しだけずらして砂浜の方を見ると・・・・・・沢山のカニさん達が泳いで来ている。縦に並んだ状態でこちらに泳いで来る。モモの方も同じで順序良く泳いで来ている様だ。
「ニャ~≪囲まれたよ≫」
「ニャ~≪何かいけない事をしたのかな、すいません≫」
ついつい、元の日本人の時に何もしていないのに謝ってしまう雰囲気をここでも感じて謝った。
何で僕とモモは囲まれたんだ。今の状態は、目の前にカニさん、モモの前にもカニさん、その僕とモモを中心にカニさん達の大きい円で囲まれている。
「ブクブク」
「ブクブク」
話し掛けられているのか、カニさん達で話しているのか分からないけど、ここにいる全員のカニさんがブクブクと言っている。それは凄いブクブクの嵐だ。
ブクブクの嵐がやむと海は静かになった。少しすると大きい円の囲いはそのままだけど、目の前のカニさんが僕の前からどいてくれた。もう、砂浜に戻っていいのかな。
「ニャ~≪砂浜に・・・・・・・?≫」
カニさん達に戻っていいのか聞こうとしたら、僕の目の前にいたカニさんが退くと何メートルか先にカニさんがいた、囲いの中に目の前にいたカニさん以外のカニさんが1匹いた。もしかしたら、茹で上がっていない生きた状態なら数え方は匹でもいいような気がする。
ああ、今はそんな事どうでもいいか。
離れた所にいるカニさんは手を上げている、ああ、モモの方にも同じ事をしているカニさんがいた。
普通、手を上げていたら・・・・・質問がある、横断歩道、タクシーを止める、ヒーローが変身、今の状態だとカニさんはどれに当てはまるのかな、それ以外の可能性が高いけど。
「ニャ~≪動き出したよ≫」
「ブクブク、ブクブク」
「ブクブク、ブクブク」
おお、カニさん達が楽しそうに歌い出したぞ。
「ブクブク」
「ブクブク」
僕達を囲んでいたカニさん達が動き出して、離れているところにいたカニさんと僕の距離を測りだした、おそらく。次にモモとモモから離れたところのカニさんとの距離を測った、おそらく。ブクブクさんチームの皆さんから僕は怒られているようだ。
おそらく、モモの方がカニさんとの距離が離れていたんだろう。距離を測るために同じ大きさのカニさん5匹が順繰りに前を目指すように並んで距離を測ったようだ。カニさんは頭がいいんだな。
僕よりもモモの方が1匹分、遠かった。なんで1匹分、違うと分かったのか、それは3回も距離を測ったから、3回目の前に距離を測定している事に気が付いた、僕とカニさんの間には13匹分のカニさんが並べて、モモは14匹分だった。
「ニャ~≪ごめんなさい、落ちる時に遠くに飛べば良かったんだよね≫」
「ブクブク」
「ニャ~≪私のカニさんが勝ったんだ、やった、次は何をして遊ぶの?≫」
「ブクブク」
「ブクブク」
モモがとんでもない事を言い出したぞ、あの高さから海以外の方向に倒れたら僕達は・・・・・・どうなっていたんだ。
それに、重なっていたカニさん達も無事ではすまないだろう。
「ブクブク」
「ニャ~《やめて、水が顔にかかるよ》」
僕の目の前の海面の水を手で叩いて僕の顔に水が掛かる様にしているみたいだ。叩いたカニさんから砂浜の方に向かって行った。
モモの方のカニさんは万歳をしてから砂浜に向かっているようだ。
負けた事を怒っているんだな、最初からカニ倒しの最後に距離を測ると教えてくれていれば、遠くに飛んだのに。僕の責任じゃないよ、説明不足だよ。
もしかして、ブクブクと言っていたから説明していたのかも。
「ブクブク」
「ニャ~《おお、ブクブクさんか、乗せてくれるんだね》」
「ニャ~《レイちゃん達に負けるな》」
「ニャ~《競争なのか、ブクブクさん、頑張れ》」
モモと僕の友達のブクブクさんとカニさんが、他のカニさんが砂浜の方に向かって行った後に僕達の下に回り込んで乗せてくれた。その後は砂浜の方に向かって競争している。
ブクブクさんとカニさんの二人の目が互いを意識しているので、目が砂浜の方に動いたり、相手を見る為に動いたりしている。
凄いぞ、今日は戦いの日なのか。
「ニャ~≪凄い≫」
「ニャ~≪何をしているんだ≫」
砂浜に帰って来た僕とモモ、砂の上に降ろして貰った。今までに起きた事を考えていたら、右にいるモモとカニさん、左にいる僕とブクブクさん、そのどちらかの方に向かって移動するその他のカニさん達。これは、カニ倒しの時のチームかも、数が沢山いるし、大きさも違うカニさん達を見分けれないけど、チーム分けのだろう、同じだけモモの方にもその他のカニさん達がいそうだ。
ブクブクさんチームとカニさんチームのカニさん達全員が砂浜で散って行った。
カニさん達が集まっていた時は砂浜の砂が見えない状態だったけど、カニさん達が散って行った事で砂浜全体にカニさん達がいる様になった、その散ったカニさん達が砂を掘っている? 何をしているのかな。
「ニャ~≪レイちゃん、ハマグリだよ、ハマグリを掘っているんだよ≫」
モモが言った事を僕も確認する事が出来た・・・・・・視界にいるカニさん達がハマグリを掘って、こちらに向かって来る、僕の前とモモの前に置くと、また堀に向かったようだ。
これはもしかしたら、今までのお礼をする為にハマグリを持って来てくれている。ここに戻った時にも勝負していたようで、ブクブクさんが勝った。ブクブクさんとチームのみなさんが喜んでいたから間違いない。万歳を何回かしていた。
「ニャ~≪皆ありがとう、沢山持って来てね≫」
「ニャ~≪そうなんだ、貰えるんだね、美味しいんだよね、ハマグリ。甘くて美味しいよね≫」
モモが食べるのを想像して口元を手で拭いている、ヨダレでも出ているのか、串焼きの時の僕みたいだ。
「ブクブク、ブクブク」
「ブクブク、ブクブク」
「ニャ~≪頑張れ、カニさん≫」
一番大きいカニさんが僕とモモの友達のカニさん、2人は大きな声を出して凄い速さで砂を掘っている、2人は何か競争している様な感じだ・・・・・・まだ、勝負をしているのか、今度は・・・・・・あのハマグリの数を競うやつか、沢山見つけた方が勝ちの。
何年か前にその戦いをした、いくつ取れたか覚えていないけど、ミヤちゃん達もいて皆で数えた、ブクブクさんの勝ちだった。
その戦いを今もしているのか、カニ倒しでモモのカニさんの勝ち、戻って来る時は僕のブクブクさんの勝ち、勝敗をこれで決めるんだな。
「ニャ~≪ブクブクさんとそのチームのみんな、頑張れ≫」
「ニャ~≪レイちゃん、何の事?≫」
モモは、ハマグリを見付けるのを頑張れと応援していた、それは食べる為、僕は勝負の為に応援した。
「ニャ~≪ブクブクさんとカニさんは勝負をしているんだよ、どっちが沢山取れるかで、前にもあっただろう、そんな事が≫」
あれ、あの時は、モモは・・・・・・生まれていたかな、どうなんだ、もうその辺は思い出せないな。
「ニャ~≪そうか、あの時だね・・・・・・うん、何かあったよね≫」
適当か、どちらでもいいか、今はブクブクさんを応援しよう。
「ニャ~≪ニャンパラリン、頑張れ、ニャンパラリン、負けるな、ニャンパラリン、僕達の勝ちだ≫」
「ニャ~≪ニャンパラリン、レイちゃんに負けるな、ニャンパラリン、カニさん何処にいるの、ニャンパラリン、もうハマグリが食べたいよ≫」
「ブクブク、ブクブク」
「ブクブク、ブクブク」
モモと僕が応援していると、いつの間にか、階段を上がって岸壁に立っているカニさん2匹が両手を上から下に動かして止めている・・・・・・取るのを止めろか、取る時間が終わったんだな、今のブクブクが止めろだろう。砂浜のカニさんの動きが止まっている。だるまさんが転んだ状態だ。
「ブクブク」
砂浜の僕とモモの横にはハマグリの山が出来ている、ここにいる大勢のカニさんが砂を掘って取って来たんだから、ハマグリの数は凄い事になっている。これを数えるのか、確か前の時はミヤちゃん達が数えてくれたよな、僕の前の岸壁から街の中心の方に視線を動かしてミヤちゃん達を探したけどいなかった。
ここに来る事を教えていないんだから当たり前だけど、現れそうな気がしたんだよな。誰が数えるんだ、カニさん達は人間の言葉を理解しているようだったけど、ここには人間の言葉を話せる人はいないよな。
僕が話せるよ、そうか、数える役目は僕なのか。
「ニャ~≪ごめんなさい≫、ごめんニャン、すいませんニャン」
どうやら、ハマグリを数えるのは間違いの様だ。
目の前でカニさん達がハマグリの何かを確認している、山の横に1個置かれたハマグリ、何かの確認が終わると山とは違う場所に置かれるハマグリ、モモの方も同じ事が行われている。
たまに、1個置かれているハマグリが・・・・・・交換、取り替え、別のハマグリに代えられている、何をしているんだ。
カニさん達とのコミニケションを少しは取れていると思うけど、言葉が通じないと想像とか感じ取るとか頑張ってしても間違えてしまう。今も数を数えるんだと思って横に移動したら怒られた、ここにいるカニさん全員からブクブクの嵐だ。
見守ろう、怒られるととても怖い、僕よりも小さいカニさんはいないんだから。
作業は続く、最初の山がだいぶ小さくなってきた。確認が終わったハマグリの山が段々と大きくなってきた。飽きたモモは寝ている、寝言も聞こえる。
僕も眠くなってきたな、少し位寝てもいいよね。
「ニャ~≪少し寝ていいですか?≫」
重たい瞼が段々と目を閉じて行った。
「ブクブク」
「ブクブク」
あれ、本当に寝てたみたいだ、僕を起こしたのはブクブクさんだ、目を開けるとブクブクさんの目が目の前にあった。
僕の顔の前からブクブクさんが離れて行くと、視界に有ったハマグリの山が別の場所に移動していた、作業は終わったんだ。
僕とモモの斜め前に2個のハマグリが置かれていた、ブクブクさんとカニさんが来いと手で呼んでいる。
「ニャ~≪終わったんだね、それで・・・・・・このハマグリが、どうしたの?≫」
「ブクブク」
「ブクブク」
よく分からないけど、置かれた2個のハマグリを比べてみた。どちらも、大きくて僕の口には入らないだろうな、みじん切りにしてくれないと食べれない。
おお、そうか、どちらが大きいのか、その勝負だな、今度こそ間違いなしだ。
「ニャ~≪モモ、起きるんだ、モモ≫」
「ニャ~≪もう食べれないよ、レイちゃん≫」
「ニャ~≪寝言はいいよ、起きて、どちらのハマグリが大きいか答えるんだよ≫」
まだ眠いモモは目を擦りながら、ハマグリの前に来た。
「ニャ~≪同じだよ、二つとも同じ大きさ≫」
「ブクブク」
「ブクブク」
「同じ大きさニャン、モモが言ったニャン、僕もそう思うニャン」
「ブクブク」
「ブクブク」
残念がるブクブクさん達、体が重い様な仕草をすると二つのチームは相手の手に手を当てて握手をするみたいにして海に散って行った。最後に残ったブクブクさん達は僕とモモにお辞儀をして、あれ食べていいよと仕草をして海に入って行った。
長い一日だった、カニ倒しの距離の勝負、泳いで帰った時の勝負、ハマグリの大きさの勝負、2人の勝負のようだったけど、カニさん全員の参加した運動会のよな感じだったな。
「わぁ~、ハマグリの山があるよ、お姉ちゃん」
「探さなくていいのね」
「凄いわ、モモ。頑張ったのね」
「アカリちゃん、大好き」
「私もよモモ」
アカリちゃんはモモを抱き上げると、その場でグルグルした。
「どうして来たニャン?」
「お母さんにレイが何処にいるのか聞いたのよ、砂浜に遊びに行くと教えてくれたのよ」
そうか、シンシアさんに聞かれて、ここに来ると言ったんだ。お土産は1個でいいと言われたんだよな、1個しか持てないから。
良くぞ来てくれたミヤちゃん達、1個持ち帰るのに立ち歩きをしないといけない事に、今気が付いたよ。
家までの距離を立ち歩きで帰るのは不可能だったんだ。
「バッグが足りないよ、それに多すぎるよね」
ミヤちゃん達が持参したバッグは2個づつ、とてもここに有るハマグリを全部入れられる筈がない。
「そうね、私達だけでは持っていけないわね、それに食べきれそうもない、よし、皆に知らせよう。メグはキャシーとトロイのところね、私はチェルシーとレイモンドに、後ルーカスのところに行くわ」
「ミヤ、私は?」
「アカリはここで私達のバッグにハマグリを詰めてて、すぐに行って来るから」
「は~い、頑張ってね、馬車に気を付ける様に」
「分かってる」
「行くぞ、レイちゃん」
メグちゃんとミヤちゃんに手招きされた、でも、ここでのんびりしたいな僕は。
「僕は行かないニャン、ここに残るニャン」
「レイ、皆が喜ぶわよ。さあ、付いて来なさい」
「はいニャン」
仕方ないニャンね、行くしかないニャン。
突然現れたミヤちゃん達、広い街だけど行く場所はだいたい決まっている。今から行くのは友達の家、ハマグリのおっそわけだ。
「ああ、速いレイちゃん、後ろから付いて来て」
「はいニャン」
今日の夜は美味しいハマグリが食べれるニャン。ブクブクさん達、ありがとう、お礼を言っていなかったニャンね。




