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ニャンだふるワン  作者: 自由人書
103/521

ニャ~・・・103

「先生、質問です?」


教室の教卓に乗る猫先生の僕、目の前に席に座る女子学生さんから質問された。猫先生として質問を聞こう、相談されれば相談に乗らないと先生として失格だ。


「何かニャン」


「温かいお菓子は、何処に売っているんですか?」


うん、なかなか難しい質問をされてしまった。焼き立てのお菓子なら、焼けるのを待てば温かい、温かい状態で食べるお菓子だと・・・・・・販売している、お店はないかも。ローラさんが食べた異国の地に行かないと食べる事が出来ない。


「売っていないニャン、残念ニャン」


「そうなんですか、私の情報では温かくて美味しいお菓子が有ると聞いたんですが」


質問してきた女子学生のグランカさんは、残念そうな顔をして小声で何か呟いている。


まあ、他にも沢山質問をするつもりで何を聞こうか考えているんだろうが、グランカさんと同じ最前列に座る横の学生さん達は今の質問が言われた時から頷いている。


教室の机は二人用で、最前列に置かれているのは3個、6人が最前列に座れる。教室の入口近くの机には卒業宣言をしたチェルシーさんが座っている、その横には卒業宣言をしたし、今年は授業に参加出来ない筈のキャシーさんが座っている。真ん中の席のグランカさんの横にはミヤちゃんが、教室の奥の最前列の席にはメグちゃんとモモを抱いたアカリちゃんが座っている。その最前列の学生さん達は今も頷いている。


「約束は守らないといけないんだよ、レイ先生はどう思いますか?」


メグちゃんからの質問だ。


「守るニャン、守るのは大事ニャン」


「レイ先生、約束を守っていない人がいるんですけど、どうしたらいいですか?」


今度はミヤちゃんからの質問だ。


「ニャ~・・・・・・約束は大事ニャン、守れない時もあるニャン、許してあげるニャン」


そう、約束しても守れない時はある、どう頑張っても遅刻しそうな時とか、電話で伝えれば待ち合わせの相手も怒らないだろう。今の世の中、スマホを持っていない人は少ない、僕は持っていなかったけど。


「先生、同じ約束を何回もするんですけど、まだ守って貰えていません、どうしたらいいんですか?」


今度はアカリちゃんか。何度も同じ約束か・・・・・・その約束を守るのが大変なんだな、そうに違いない。


「約束は守られないニャン、とても難しい約束ニャン、諦めるニャン」


「・・・・・・いつ食べれますか?先生」


「ニャ~≪いつ食べれるの温かいお菓子は、約束は守らないといけないんだよ≫」


チェルシーさんからの質問は・・・・・・お菓子を食べたい話だったのか、それはホットケーキの事だな。もう我慢の限界になった人達が質問しているんだな、次のモモの発言でよく分かった。


「難しいのニャン、職員室で考えるニャン、答えは今度ニャン」


「先生、私の家にはいつ来てくれますか?」


キャシーさんも質問をするんだ。簡単な質問で良かった。


「今日ニャン、行くニャン」


「両親が喜びます」


キャシーさんの質問に答えると廊下から『さようなら』『またね』等の今日の授業が終わった後の挨拶が聞こえてきた。


「授業は終わりニャン、お疲れ様ニャン」


僕は学生さん達に掛ける授業の終わりの挨拶を言った、授業時間の終わりの方の質問の時から事の成り行きを何の事か分からなかった生徒さん達が今の何だったのと思っているだろう。教室を出て行く生徒さんの中には、分からなかった時にする仕草をして教室を後にしている。


「ニャンパラリン、終わりニャン」


いつもの様に教卓からニャンパラリンと言って飛び降りる。


「レイちゃん~、さあ行こう」


何故いるのか分からないけど、お昼は美味しい焼き肉だ。抱き上げたキャシーさんの周りに質問した皆が集まって来た。


「いつ食べれるのかな」


それは・・・・・・完成するまでお待ちを。





「こう書くニャン、分かったニャン?」


「そうか、もう一本線が足りなかったんだ。先生ありがとう」


教卓の上に座る僕の前に出された文字を書くための板を持って、自分の席に戻る男子生徒さん。書いた文字が合っているか、その答えを僕の所に確認しに来た。


「先生、露店の文字を教えて下さい」


「はいニャン」


今日の授業は、文字を木の板に書く授業。知っている文字を書く、思い付く文字を並べて単語にして書く、合っていなくても取り敢えず書く。自信が無ければ誰かに聞く、僕に聞いてくる生徒さんも要るけど、友達と教え合うのが一番良い、コミュニケーション・・・・・・人との繋がりは大事だ。


「銀貨と書きたいんです、お願いします」


「はいニャン」


女子生徒さんの書きたいのは銀貨。出された板に、アイザックさんが作ってくれたペンで銀貨と書く。書く時に道具を使っている、定規だ。猫の僕は直線を書くのがとても難しい、そこで考えたのがコ型の定規だ。L型でも良かったけど、L型だと定規を移動したり回転させたりしないと書けないので、コ型なら少ない移動で済むので便利だ。


銀の字の縦線と横線が丁度ぶつかるところに定規を当てて右手のペンで書く、銀が書けた。同じ様に銀貨の貨を定規を上手く使って書く。


「先生、その板で書くの便利ですね」


「そうニャン、先生には大事な道具ニャン」


「私達にも同じのが有れば簡単に書けますよね」


確かに、文字は直線の集まりだ、定規で書いてもいいのかも。曲線の無い文字だから、文字に個性がないんだよな。


「はいニャン、有ると便利ニャン」


「僕も同じの作ろう、簡単そうだ」


「私も家に帰ったら父さんにお願いする」


「俺も」


「母さん、作ってくれるかな」


近くにいた生徒さん達が銀貨の文字をお願いした女子生徒さんの考えに乗り、僕が使っている定規の様な道具を作るらしい・・・・・・この世界は基本自作だ、板を切るだけだから簡単だな、直線だけ書ける定規でもいい。僕にはこの形の定規じゃないと文字を書くのが大変だ、早く書く為なら僕と同じ形だな。




今年の夏は色々とあったな。猫学生から猫の先生になった、モモと砂浜まで競争して溺れた、文字を書くペンを作って貰った。


他にもあるけど、メグちゃんが魔法を使えたのが特に思い出に残っている。学校の授業では、魔法の現象は起きていないけど、近いうちに出来る様になるだろう。


ハリーさんの商売もうまくいっているし、積み木も沢山売れている。昨日は皆で、箱に詰める作業をした。いい事ばかりだ。


岸壁から見る海に太陽が沈んで行く、とても綺麗だ。大自然万歳だ。


今年最後の夏の海水浴が終わった、明日から秋・・・・・・おそらく、街ゆく人が秋だと言っていた。溺れたあの日から、更に体力作りをした、それは砂浜まで泳ぐためではなくて、溺れない為だ。砂浜まで泳げるかとジョンさんに聞いたら『あんなに遠くまで泳げるか、小娘』と言われてしまった。ジョンさんとマックさんでも行き付けないのなら、浮いて移動している位の速度でしか泳げない僕とモモは一生砂浜まで泳いでいけないだろう。


なので、溺れないで浮いていられるぐらいの体力を付けるつもりだ。ただ、分からないのが、泳いで体力を付けた方がいいのか、走って体力を付けた方がいいのかだ。


「ニャ~≪分かんない事だな、帰ろ、夕ご飯だ≫」


「夕日がきれい、ハァ~」


泳いで疲れた僕は岸壁で海の方向に向いて座っていた、考え事をしていると、お隣に座る女性がいた、ナタリーさんだ。


隣に座ったナタリーさんも何か思う事があるようで、考え事をしながらため息をついていた。邪魔をしたら悪いと思い話し掛けなかった・・・・・・猫だからそれでいいのだろうけど、話せる猫の僕だとどうしたらいいのか迷うところだ、なので、話し掛けられるまでは気にしないでいた。


「さようならニャン、また明日ニャン」


悩めるナタリーさんを置いて行こうと歩き出したら、抱き上げられた。


「相談があるんだけど、聞いてくれるかな。先生だからいいよね」


なるほど、勉強して東大の受験でもするんだな、東大に入れば何でもかなうと聞いた事がある。テレビでは東大生のタレントが活躍しているらしい。才能の無駄遣いの様だけど、なりたくなったのだろうタレントに。僕に分かる事は協力しよう・・・・・・お世話になっている筈だ。


「どんな勉強ニャン、教えるニャン」


「勉強はいいのよ、昔したから。シンシアさんのお店に勤めているけど、何かこれだと言えるものが欲しい、ジェシカさんは色々な洋服が作れる、お客さんに頼まれれば破れた所を簡単に直して上げれる、同じ事を私には出来ない。教えて貰っても上手くならない。ハリーさんは仕入れの仕事が得意で、シンシアさんは何でも出来る、私だけが得意な者が無いのよ。レイちゃんな分かるでしょう、得な事が無いと辛いのよ」


僕の得意な事は・・・・・・人に自慢できる事か。喋れる猫でも人間には普通、猫先生だけど、普通に先生達は学校にいる。マッサージも手が小さいので趣味の様なもの、泳ぐのはジョンさん達の方が上手い。


確かに得意の物が無いな、新しく趣味でも始めるかな、それが上達したら得意だと言えるかも。


「さようならニャン、帰って頑張るニャン」


「レイちゃん、私にも頑張る事を何か考えてよ」


非常に難しいぞ、だいたい、どんな場所の得意な事を作りたいんだ、職場の事か、家の中の事、街中の事、後は冒険者のような戦闘とか、色々あるだろう。


「お菓子作りニャン、皆が喜ぶニャン」


「もう、お店の仕事でだよ、分かるでしょう、私だけ得意な事がないんだよ」


お菓子なら喜ぶ人が多いと思ったけど仕事の事か、僕の苦手な分野だよな。





「商品を綺麗にたたむニャン」


「それは、皆が出来るよ・・・・・・ハリーさんは雑だけど」


思い当る事をどんどん言えばいいのか、思い付く事か。


洋服屋さんの仕事・・・しごと・・・しごと・・・おお、あるじゃないか。


「コーディネーターニャン、これがいいニャン」


お店の人にお任せとか、お客さんの選んだ服にその他のアイテムを合わせるとか、洋服屋さんなら洋服と下に履く物の色のチョイスとかアドバイスをする人、コーディネーター。


「何よそれ、コーディネーター、聞いた事が無いわよ」


何やら起こり気味のナタリーさん、アパレル業界にいるのに知らないのか、ワインを選ぶソムリエと同じでお客さんの為だけにいる人、ワインのソムリエはコーデネーターだよ。専用の言葉があるだけだ。


「お客さんの為に洋服を選ぶニャン、色の・・・調和を教えるニャン、変な色の組み合わせは注意するニャン、それがコーディネーターニャン」


「そんなのシンシアさんがしているわよ」


残念だ、僕の浅知恵だとこの辺が限界だ。もう帰ろう。


「ニャ~≪離してくれニャン≫、離してくれニャン、帰るニャン」





「思い付く事をどんどん言ってよ」


世の中は真っ暗、月らしき光に照らされた海は、とても怖い。夜の海は凄く怖いんだな。


あれから、時間はどの位立ったのだろうか、思い付く事が数ないので、沈黙の時間を二人で過ごしてきた。時折、思い付いた事を僕が言うのだけれど、どれも、得意の人がいたり、覚えたい事ではなかった。


「頑張って考えるニャン」


ナタリーさんはお腹が空かないのだろうか、僕は凄くお腹が減って来たんだけど、まだ帰れないよな・・・・・・今まで思い付いた事以外に何かないのか。だいたい、そんなに行った事がないんだよな洋服屋さんに、背広を売っているお店なんかCMでしか知らない。


僕のイメージの洋服屋さんではダメなんだよな、この世界か、現代の洋服屋さんの仕事で僕が知らない事・・・・・・知らない事を思い付く筈がないよ。


「また今度にしようか、お腹が空いた」


「そうだニャン、お腹が空いているニャン、いい考えが浮かばないニャン」


僕の返事を聞くと岸壁の地面に僕を降ろしてくれて、ナタリーさんは自分の家に向かった。


足取りが重たそうなナタリーさんを見てしまったので、僕は考えようと思った、夕食後にベッドの中で。



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