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それから〇〇年後1

「人類がスマホに寄生されてから今年で〇〇年目となります。今回は、その歴史を紐解いていきましょう。今でこそ、我々人間の手にスマホが寄生しているのは、おなじみの光景になりましたが、〇〇年前まではそれが普通のことではありませんでした。我々人間の手にスマホが初めて寄生されたのは、〇〇年前。そこから、人類の歴史は大きな転換点を迎えることになりました」


「あれからもう、〇〇年が経つのか……」


 今はGW明けの月曜日。紫陽はテレビを見ながら朝食を取っていた。紫陽のつぶやきに妹のすみれも、テレビの報道内容に気付いたのか声を上げる。


「早いものだねえ。私たちもすっかり社会人として働くことになってしまったよ」


「まったくだ」


 紫陽はすみれの言葉に同意し、テレビ台に置かれた3枚の写真を見つめる。1枚目には、紫陽の幼馴染とすみれの3人が映った写真、2枚目は両親と彼ら4人の集合写真。そして3枚目は。


「まさか、オレ達がこんなことをするとは思わなかったよな」


「だから、感傷に浸るのはもうやめたら?私たちにしかできなかった役目だったと思うけどね」


 3枚目の写真には。紫陽とすみれ、幼馴染、スマホが人間に寄生することになった原因を作った女性が映っていた。




「さっさと準備しないと仕事に遅刻だよ」


「そもそも、オレたちの仕事は会社出勤じゃないから、遅刻とか関係ない」


「それもそうでした」


 ふふふと視線が合った兄弟は思わず笑みをこぼしてしまう。一軒家に成人した兄妹2人きりとは少し寂しいが仕方ない。両親は亡くなり、幼馴染も《《彼女》》も亡くなった今、妹のすみれだけが自分の心のよりどころとなっていた。


「すみれがいてくれて、本当に助かっているよ」


「それ、面と向かって言わないでよ。恥ずかしい。私だってあの場面で、一人で《《彼女》》と交渉して、と言われたらどうなっていたことか。助かっているのはお互い様だよ」


「それもそうか」


 妹のすみれの言う通りである。一人では不安と責任の両方から気が狂っていたかもしれない。


「だから、この話は終わり。ほらほら、本当に時間がないよ。今日は偉い人とオンラインで会議でしょう?」


「そうだった」


 紫陽は急いで朝食を終え、歯を磨いて身支度を整え、仕事部屋となっている書斎に駆け込んだ。その様子をじっと見つめ、すみれも朝食の後片付けを始めた。


 テレビでは、いまだにスマホの寄生の歴史を淡々と説明している。スマホの寄生についての歴史を説明するアナウンサーの手にはスマホが握られていた。それを聞いているゲストの手にも同じようにスマホが握られている。


しかし、紫陽とすみれの手にはスマホは握られてはおらず、両手が自由に使えていた。



 紫陽たち兄妹以外の人間は、スマホを受け入れた。自らスマホを手に握り、彼らとの共生をすることになった。



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