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 そうと分かれば、実験するのみ。池谷たちの研究班は考えた。しかし、人間の手にスマホを組み込むなど、正気の沙汰ではない。サイボーグ手術でもするつもりかと彼女の研究班の中に反対する者も現れた。


「では、自分にスマホを組み込んでみればいい。そして、自分が試してよかったら、他の人間も賛同して、研究はさらに発展するだろうと考えたわけだ」


『思えば、あの時にやめておけば、こんな事態にはならなかった』


「でも、実験はしてしまって成功したということですか?」


《《あやの》》が過去形で池谷という女性の過去を語っている。それに対して、池谷という女性も頷いている。ということは、過去に自分にスマホを組み込む手術をしてしまったということだ。紫陽は思わず、二人に問いかけてしまう。すみれは黙って話をじっと聞いていた。


「実験は成功した。手の神経とスマホの回路をつなげて、彼女とスマホは一体となった。その時はまだ、彼女だけの問題で、彼女だけがスマホに寄生されている状態だった」


スマホの寄生が今のように世界に広まることはなかった。一人だけ、池谷だけがスマホに寄生された状態だったわけである。それなのに、どうしてスマホの寄生がここまで世界中に広まってしまったのだろうか。一つのスマホだけで、世界中に寄生をするようなスマホが急速に広まるようには思えない。


「簡単な話だ。スマホと人間をつなげることができる特殊な人工知能を彼女が開発し、量産してしまったからだ」


 疑問が顔に出ている紫陽だが、口に出すのははばかられた。それに気付いた《《あやの》》が説明を補足する。にわかには信じがたい内容の話に頭が混乱してしまう。


「自分がスマホとともに生活することができたのならば、問題はない。これを世界に広めることができたのなら、片手は使えなくなるが、それ以上のメリットが大きいと思った彼女は。すぐに研究班と協力して、人工知能が搭載されたスマホを開発することになり、成功した。そして、それは世界中で売られることになった」


『まあ、何事も副作用、デメリットがあることを私は失念していました』


「そう、それが我々の肥大化。および、人間の寿命を縮めるという、致命的な欠陥だった」


 話はどんどん不穏な雰囲気を増していく。そして、どんどん、現在の状況まで戻りつつある。目の前の彼女のせいで、大勢の人間がスマホに寄生され、亡くなった。


「でも、そんな危険なスマホを売り出したのに、私たちがそれを知らずに買ってしまったのはどうしてですか?」


 今まで黙って話を聞いていたすみれが口を開いた。紫陽も同じ疑問が頭に浮かび、質問しようか迷っていた。人間の手に寄生するかもしれない危険なスマホであるにもかかわらず、それを宣伝しなかったのはおかしい。自社の商品の性能をきちんと説明しないのは法律にも違反するのではないか。


「それに、そのスマホを買った人は当然として、それ以外の人もスマホに寄生される理由がわかりません」


「なるほど、その疑問は当然出てくると思っていた。本人から説明をさせた方がいいかもしれないな。どういうことなんだろうな、創造主様?」


 すみれの質問の回答は池谷が対応することになった。


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