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人類とスマホの共存のために1

《《あやの》》は、勝手知ったる顔で他人の家の廊下を歩いていく。玄関で靴を脱いで、そのまま階段を上がり、二階の一番奥の部屋で立ち止まる。紫陽たちも慌てて彼女と同じように靴を脱いで、二階に上がっていく。


「コンコン」


「どうぞ」


 ノックをした彼女に応えたのは、玄関でも聞いた女性の声だった。入室を許可されたことを確認して、ドアを開けて中に入っていく彼女。当然、二人も後に続こうとしたが、それがかなうことはない。


「お前らは少し、そこで待っていろ」


 ドアはガチャリと無情にも閉じられた。突然閉じられたドアの前で、紫陽たちは呆然とその場で立ち尽くす。


「ええと、ここでおとなしく待っていろってことだよね」


「そう言うことだろうが、今なら、この家の中を物色することもできるよな」


 いったい、ドアの向こうにいるのは誰なのだろうか。ドアが開かれた一瞬、部屋の中の様子が見えたが、書斎として使われているのか、部屋の奥に机が置かれていることしか確認することができず、女性の姿を見ることはなかった。


すみれは、素直に《《あやの》》の言葉を聞き入れ、ドアの前で待つことを提案する。しかし、紫陽はその場にとどまっているつもりはなかった。《《あやの》》はここで待っていろとは言ったが、それだけだ。この家を物色してはいけないとは言われていない。


「お兄ちゃん、あやのさんの指示を無視するの?」


「どうしようかな」


「私も気になるけど、なんだか、やめておいた方がいい気がするよ」


 確かに、他人の家の中を家主の許可なく動き回るのは非常識である。それに、ここは紫陽たちの知り合いの家ではなく、《《あやの》》の知り合いの家だ。興味はあったが、下手に動き回るのは良くない気がした。


「でもさ、お兄ちゃんの言うことも一理あるよね」


「さっきの言葉は何だったんだ」


「まあ、細かいことは気にしない」


 結局、二人は足音を立てないように階段を降り、一階の部屋を見て回ることにした。




 外観が一般的な一軒家だったため、家の中もそこまで広いわけではなく、リビングやキッチンの他に和室や洋室が一部屋ずつ、他に洗面所や浴室、トイレなどがあるだけだった。


「別にこれと言って不審な点は見つからなかったね」


「ああ、普通の家だったな」


 5分ほどで一階を一通り回り終えた二人は、二階の部屋の前に戻ってきた。それから5分ほどで、部屋のドアが開かれた。


部屋から顔を出したのは《《あやの》》だけで、部屋に入るよう、紫陽たちに指示を出す。


「入ってもいいぞ。ただし、ここで見ることに驚いてもいいが、大声は出すなよ」


 ごくりと、二人は喉を鳴らして、開かれたドアに足を踏み入れる。そんな二人を《《あやの》》は楽しそうに見つめていた。


「まったく、好奇心旺盛な奴らだ」


 ぼそりとつぶやかれた言葉は紫陽たち兄妹に聞かれることはなかった。




『いらっしゃい。待っていましたよ』


「なっ!」


「あなたは!」


 部屋で待ち受けていたのは、すでに何度も見たことのある女性だった。《《あやの》》の言葉を思い出し、二人ははっと自分の驚きの声を慌てて手で押さえる。


『驚くのも無理はありません。私も、ここにたどりつける人間がいるとは思ってもいませんでしたから』


 女性は、世界にスマホとの共生を訴えていた動画に映り、何度も配信を行っていた人間だった。どこかで配信はしていたのだろうが、まさか日本の、しかも紫陽たちのすぐそばで会うことになろうとは思ってもみなかった。



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