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「この女のことが気になるのか?まあ、お前も男子高校生だからな」


「ち、ちがう。ただ気になることが」


 紫陽のつぶやきをどう捉えたのか、《《あやの》》はにやにやと笑いながら詰め寄り、耳元でささやく。


「スマホの寄生についてなら、お前の思っている通りだ。それ以外にあの女に興味がないのは丸わかりだ」


「だったら、変なことを」



「お、お兄ちゃん、あ、あやのさん。ろ、廊下の人たちが」


 すみれが突然、廊下を指さした。慌てて紫陽が廊下に視線を向けると、床にうずくまっていた男女数人がゆっくりと起き上がろうとしていた。


「そろそろ時間切れか。紫陽、この女の話は後で詳しく聞かせてやろう。今はこの場を離れることが先決だ」


《《あやの》》は紫陽とすみれの腕をつかみ、教室の外へ向かう。二人もこの場で長居するのは得策ではないと思い、素直に彼女の腕にひかれて教室を出る。


「お、おぼえ、て、い。いなさい。あんたたちなんか、わたしの、りょうしんに、言えば……」


 教室の中央でいまだに倒れこんでいる隼瀬の言葉は、紫陽たちに聞こえることはなかった。



 廊下にいた男女数人は、起き上がろうとしていたが、まだ身体に力が入らないのか、紫陽たちが目の前を横切っても、捕まえることができずにいた。手を伸ばしても、空を切るだけで何も掴むことはできない。


「本当に動けなくすることができるんだな」


「言ったはずだ。スマホに寄生している者、スマホに寄生されていた者、どちらも我は自由に操ることができる」


「でも、それができるのって、あやのさんだけなんでしょう?他のスマホができていたら、あやのさんが逆に操られちゃう可能性も出てくるわけだし」


「それもそうだ」


 いつの間にか紫陽たちを掴んでいた腕を離した《《あやの》》に、危険は去ったと判断した紫陽たち兄妹の歩みがゆっくりとなる。廊下で倒れている隼瀬の仲間らしき男女の姿を思い出し、話しかける。


「我は特別だ。他にそんな芸当ができるのは……」


我たちの創造主である彼女たち、だな。


「何か言ったか」


「いいや、とりあえず、高校を出ることにしよう。お前たちに会わせたい奴がいる。今からそこに向かうことにする」


 最後の言葉は紫陽たちに聞こえないほどのつぶやきとなり、二人に聞こえることはなかった。彼らはそのまま、隼瀬たちを放置して、高校を出て、彼女が案内する場所に向かうことにした。


 玄関を出て空を見上げると、朝見た時と同じで雲が広がっていた。




「オレ達に合わせたい奴って誰だよ。この近くに本当にいるのか?」


「あ、あやのさんって、本当にスマホに寄生されて、人格が乗っ取られてしまったんだね」


「少しは静かにすることができないのか。おしゃべりな兄弟だな」


高校を出て、三人は自転車を押しながら歩道を歩いていた。二人の様子にあきれたような表情を浮かべる《《あやの》》だったが、紫陽たちの言葉を無視することはなかった。


「二人いっぺんに話しかけるな。とはいえ、答えるのは簡単だ。紫陽については、我についてくればわかる。すみれについては、その通りだとした言いようがないな」


 とはいえ、詳しいことは話すことはせず、それ以上彼女が口を開くことはなかったので、二人はしぶしぶ彼女の後についていくしかなかった。


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