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「そろそろ、我々からの動画が来る頃だと思うが」


「また、スマホから人類に向けての動画が配信されるというのか?」


 週明け、紫陽たちがいつものように学校へ登校し、教室に入ると、クラスメイトの大半が教室の中心に集まっていた。何事だろうと、近くにいた男子に声をかけると、すぐにその理由が判明した。


「三回目のスマホからの動画を待っているんだ、ちょうど八時半から生配信らしいから」


「三回目のスマホからの動画……」


「ほら、我の勘が当たっただろう?まあ、我々は勘などと言うあいまいな言葉は使わないが」


 紫陽の質問に答えたクラスメイトが、興奮した様子で動画に対する思いを口にする。



「今度は一体、どんな情報をオレ達にもたらしてくれるのか、みんな、期待少し、不安がたっぷりで待っているわけだよ。ちなみにオレは、スマホから寄生されないようにする方法をこの動画で期待する」


 紫陽も動画の内容が気になったが、自分自身はスマホを持っていないため、動画を生配信で見ることはできない。すると、幼馴染の声が背後から聞こえた。


「動画の件だが、我と一緒に見るのはどうだ?お前のその古ぼけた機械では動画を見ることもかなわんだろう?」


「お前は、今までの動画に出てくるスマホについて何か知っているのか?」


「スマホがすべて知り合い同士だとは思わない方がいい。人間だって、同じ種族だからと言って、種族すべてが知り合いとは限らない。むしろ、知り合いなど限られている。とはいえ、あれは、スマホ内では有名だから、ほぼすべてのスマホが存在を知っているはずだ。当然、我も奴の正体は知っている」


「いったいだれ」



「おはよう、鷹崎君。あやのさん。なんか顔を合わせて距離が近いけど、何の話をしていたの?」


 紫陽の問いかけは、聞きなれた声によって遮られる。


「別に大した話はしていない。クラスのみんなが騒いでいる、例のスマホ動画の三回目が今から全世界に生配信されるらしい。オレ達もその話で盛り上がっていた。隼瀬もスマホを準備した方がいいんじゃないか?」


「動画配信、ね。私は遠慮しとくわ。それに、スマホは解約してしまったから、今はガラケーしか持っていないの。鷹崎君と同じね。なんだかんだ、スマホは使い勝手がいいけど」


「スマホに寄生されたから、なのか?」


 なぜかスマホを持っていないことの言い訳を始めた彼女に、紫陽は今まで隼瀬に抱いていた疑問を彼女に投げかける。彼女の手に視線を向けるが、手入れのよく行き届いたきれいな滑らかな手に見えた。白くてほっそりとした女性らしい手にしか見えない。


「い、いきなり何をいいだすの?そ、そんなわけ、ないでしょう。そもそも、スマホに寄生されたとしたら、手を切断してスマホを切り離すしかないはずよ。何か証拠でもあるわけ?」


「証拠は特にない。ただ、急にスマホを解約したのか捨てたのかわからないが、突然のことだから、もしかしたらと思っただけだ。悪いな。冗談でも、こんなことを口にするものじゃないな」


 紫陽の問いに、隼瀬はしどろもどろに返答する。突然のことで動揺しているのか、もしかしたら、本当にスマホに寄生されて図星を指されたのかはわからない。隼瀬は手を顔の前で大げさに振って、紫陽の言葉を否定する。




「証拠ならある。紫陽が本当に真実か確かめたいのなら、私が証明してあげてもいいぞ」


「な、何を言っているのか、わからないんだけど。あやのさん、自分が何を言っているのかわかってる?」


「わかっている。だが、それで紫陽の身に何か不利益が被るとしたら、止めておこう。私は彼を気に入っている。幼馴染を無駄に危険な目に合わせるのは本望ではない」


 隼瀬の証拠という言葉に反応して、《《あやの》》が意味深な言葉を口にする。彼女のことだから、本当に証拠があっての発言だろう。隼瀬がスマホに寄生されていたという証拠が何か、気になるところだが、その話は、クラスメイトの唐突な発言によって中断された。


「おい、そろそろ時間だぞ!」


 教室の壁に取り付けられた時計を確認すると、彼の言う通り、残り一分ほどで八時半になるところだった。教室を見渡すと、紫陽が気付かないうちに、クラスメイトの大半が登校していた。



「もうそんな時刻か。紫陽、私の近くにきなさい。動画を見たいのでしょう?」


「私は他のクラスメイトから見せてもらうことにするわ」


 《《あやの》》と隼瀬は、今は言い争いをしている場合ではないと気づいたのか、スマホの動画を見るためにそれぞれ別行動をとり始める。名前を呼ばれた紫陽は、慌てて《《あやの》》のもとに駆け寄り、左手のスマホに視線を向ける。隼瀬も近くにいた女性生徒のスマホを覗き込んでいた。



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