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味方か敵か 1

「もし、お前の言う通りなら、オレ達には、スマホの肥大化を止めることができる力があるということだよな」


 嫌な想像を頭の奥に沈めて、《《あやの》》の話が本当か改めて問いかける。もし、そんな能力があったとしたら、世界中のスマホに寄生された人々を救うための大きな力となる。


「成長を止めるという表現をしたが、お前たちが考えているような、世界中の人間を救えるような力ではない」


「どうして?私たちがいれば、あなたみたいに、人間がスマホに乗っ取られても生きていられるということでしょう?」


 《《あやの》》の言葉に反応を示したのは、妹のすみれだった。すみれが彼女の言葉に反論する。


「我らにしても、お前たちのような力を持つ者の存在は貴重だ。現在は、人間に寄生してもすぐに自らとともに、その宿主が力尽きてしまう。この状況を打破したいと考えていたら、お前たちと出会い、我は幸運にも宿主と心中せずにすんだ」


「だったら」


「だが、先ほども言っただろう。お前らの存在は貴重で、周囲のどの程度にその力が影響しているのかわからない。人間とスマホ双方にとって、お前たちのような存在は必要だ。だからこそ、血眼になって探しているはずだ。今はまだ、下手に騒がず、自分たちの特殊な力を隠して生きていった方がいい」


 ふと、《あやの》》の話を聞いて、紫陽は一つの疑問が頭に浮かんだ。そもそも、このような大変な事態になったのはどうしてだろうか。あまりに根本的な疑問が口からこぼれてしまう。


「なあ、スマホが人間に寄生するのはどうしてだ。寄生しても、長くは生きられない。宿主とともに死んでいくのを待つだけの行動に意味はあるのか」


「さあな。そんなことは我らにも理解できていない。自分たちの本能、知能がやれと命令しているから実行しているに過ぎない」


 人間に寄生したところで、長生きできるわけではない。自由に動かせる身体を手に入ったとしても、すぐに死んでしまうことに抵抗はないのだろうか。とはいえ、スマホは人工知能で意志を持ったように見えるが、所詮は機械である。彼らと人間には分かり合えない価値観の相違があるのかもしれない。




「プルルルル」


 突然、《《あやの》》の手が振動を始める。正確には彼女の手から離れないスマホが着信を告げた。紫陽が彼女の手の中のスマホを確認すると、着信相手は、「隼瀬」だった。


「さて、どんな用件だろうか。我と彼女の接点は一つ」


「隼瀬さんって?」


「とりあえず出てみるとしよう。ふむ、おぬしもいるのだから、スピーカーモードにしてやろう。そこの妹も会話を聞いて誰か判断するといい」


 隼瀬からの電話を彼女は左手でスマホ画面をタップして対応する。すぐに隼瀬のいら立ち声が部屋に響き渡る。


「もしもし、あやのさん。さっきから連絡を取ろうと、メールやSNSでメッセージ入れていたんだけど、用事があったの?気付いてくれないから、電話したんだけど。今、時間は大丈夫?」


「連絡が来ていたことは知っていた。ただ、ほら私の身体は今、スマホと一心同体だから、いちいち、SNSやメールで身体が振動するのが嫌で、電話以外の着信をオフにしていたの」


「白々しいことを言うのね。スマホと一心同体なら、メールとかでも簡単に気付けるはずよ。だって、体内にメッセージを取り込むのと同じなのだから」


 二人の会話を黙って聞いていたが、どうやら隼瀬はあやののことが嫌いらしい。言葉の端々に嫌味な言葉が含まれている。すみれはそんな二人の会話を黙って聞いていた。


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