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 スマホに寄生される条件というものが、数日で徐々に明らかになってきた。スマホに寄生されていることに気付くのは、大抵、朝起きたときということが、各報道陣の取材や、スマホ依存の専門家などの調査から分かってきた。


 スマホを持ったまま、寝落ちした人々が被害に遭っているようだ。それがわかるや否や、テレビやネットでは、夜の就寝前にはスマホの電源を切るように注意を促した。


 ただ、スマホを持ったまま寝落ちする人々は多いといっても、数は知れている。全人口のほとんどがやっているわけではなく、一部のスマホ依存とも言える人々が行っている習慣ともいえる。


 それ以外の条件の存在するはずだが、人々の情報は錯綜していて、正確な情報をつかむのが難しくなっていた。



 被害者は増え続けていて、紫陽が通う高校は、この異常事態を受けて、動画が配信された次の日から、週明けまで臨時休校にすることに決めた。全世界の小学校、中学校、高校、大学に同じく、臨時休校にする学校が多かった。


 紫陽の家族は今のところ、誰一人、スマホに寄生されることはなかった。もともと、両親はスマホを最近使い始めたばかりで、そこまでスマホに慣れておらず、電話やコネクトでの連絡くらいしか使用していなかった。妹はというと、スマホを買い与えられて、最初の方こそ、スマホに依存しているように見えたが、友達と連絡を24時間体制でとることに疲れたそうで、今では、必要最低限しか連絡を取り合っていないことが、今回は幸いした。




 隣の家に住むあやのの家は、家族全員がスマホに寄生されていたらしい。学校を休んだあやのの様子が気になり、見舞いという形で隣の家を訪れた際に発覚した。


「おじゃまします」


 紫陽が呼び鈴を鳴らすと、あやのの母親が対応する。入っていいという許可を得たので、玄関に入ると、泣き声のような叫び声のような大声が、家中に響き渡っていた。


「いや、スマホをもし外したとして、それ以降、左手が使えなくなるなら、いっそのこと、スマホと一生過ごす!」


「そんなこと言っても、どんな副作用が出るかわからないでしょう。いい加減、病院に行って、取り外してもらいましょう!」


 大声を出しているのはあやので、それをなだめているのはあやのの母親だった。


 あやのの部屋は二階で、二階のあやのの部屋のドアが少し開いていて、そこから顔を出しているあやのと、廊下で声をかけている母親がいた。


「あやの。元気そうで何よりだよ」


 二階に上がり、あやのに声をかける。


「紫陽。これのどこが元気そうなのよ。紫陽はいいわよね。スマホを持っていないんだから、これに寄生されることもなくて。どうせ、私をバカにしてきたんでしょう!」


「いいや、そんな低俗なことをしに、わざわざ家まで訪ねないから。ただ、学校を休んでいたから、気になって見舞いに来ただけだ」


 紫陽の言葉に嘘はない。学校が臨時休校になったのは、動画が出た次の日からだ。動画が公開された日、あやのは学校を休んでいた。


この時期に、いつも元気で風邪もひかなさそうなあやのが休んだ理由が気になった。連日ニュースになっているスマホの寄生の可能性がある。もしそうだとしたら、いったいどんなものなのか、この目でしっかり見てみたかったのだ。幼馴染という関係を生かして、じっくりとスマホに寄生された手を観察することができる。



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